私の身の周りには大学の非常勤講師をしている人が多い。
そういう人同士で集まるとしばしば話題になるのが
「大学レベルの数学の授業(線形代数・微分積分学)を理解するために
必要な最低限の数学の素養さえ持ち合わせていない学生が多い」
という現実である。
ここで最低限の素養というのは高校文系で習うI・II・A・Bあたりと
思っておけばよい。
当然、高校で学んだからと言って高校数学を全般的に把握できている人は
卒業時点ではごく少数であることは承知している。
また学生に対し、
「高校でやったはずのことは一切
大学でフォローしないから自分で復習しておくこと」
と突き放すのは教育者としてはいかがなものかと思う。
学生の知識には必ず穴があるので、
少しづつでも折に触れて、高校数学の記憶を呼び返すきっかけを
学生に提供するのがよい授業というものだろう。
それくらいのフォローをする気持ちは教員側も大抵、持ち合わせている。
ここで問題にしているのは、それを遥かに突き抜けた質の学生である。
…2次関数のグラフを直線で書くといった類の学生である。
これは、高校でそれ以降に習う2次関数の全ての内容を取りこぼしてきた、
ということではないのか。
名前は伏せるが、これは名の通った大学での話である。
彼らに対し、「自主的に復習しておくこと」と突き放す手段は通用しない。
彼らは、自主的な学習ということを基本的に今までしてこなかったからである。
昨今の高校は生徒を手取り足取り、学習方法も含めてフォローする。
また宿題、課題を大量に出す。
これは、宿題を出さないと生徒は自分で動かないから、という理由もある。
生徒は教員からの指示を守るので精一杯であり、
それ以外の学習に対して動機も気力もないのである。
それでも、教員から指示された勉強についてきたならば、
それなりに数学の素養は身についているはずなのである。
ただ、ここで問題にしている学生については、
『教員の指示にすらついてこなかったのではないか?』
という疑念を抱かざるを得ない。
問題は、その姿勢が保たれたまま彼らが大学に入ってきてしまったことである。
彼らに対し、正直なところ大学はどう対処すればよいのだろう?
補講などで、2次関数を最初から教えなおすべきなのだろうか?
…しかしそれはそもそも大学の役割か?
大学は本来「自主的に学びたい人が来る」場所ではないのか?
またいずれこの話の続きをとり上げる。