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【映画感想・ア行】 愛についてのキンゼイ・レポート ★★★

2005-09-03 | 【映画感想・ア行】
ストーリー:
アメリカ、インディアナ大学の助教授キンゼイ(リーアム・ニーソン)は、
助手たちに、アメリカ各地を一緒に旅しながら個別面接で、
人々の「性」の実態のデータを収集するよう命じる。
キンゼイは助手たちと面接の方法について試行錯誤するが…。
(goo映画より引用)

出演:
リーアム・ニーソン、ローラ・リニー、クリス・オドネル、
オリバー・プラット、ティモシー・ハットン、ティム・カリー

監督:
ビル・コンドン
隣で見ていたカップルの女性が言った一言。

「この映画、愛については何も語っていないよね。」

とても的を得た一言だと思った。これ、邦題のつけ方に難あり。
ベースは、キンゼイ教授の性に関するレポートを作り上げる過程のドラマであり、
こんなタイトルでは、恋愛に関する内容と思われても仕方がないと思う。
原題は『キンゼイ』。原題通りか、『キンゼイ・レポート』あたりにすべきだった。
確かにタイトルのつけ方で、興行収入を左右するやもしれない。
が、正しく内容を伝える役割のタイトルを安直にしてもらっては困るのである。

閑話休題。映画の話。
男女の性の悩み・疑問を独特のカウンセリング法で聞き出し、リサーチしたキンゼイ教授。
所謂、暗黙の領域に踏み込んだこの男は、どんな人間だったのかが描かれていく。

キンゼイの探究心の旺盛さにまずは驚かされる。
元々は、タマバチの調査をしていたキンゼイ。彼は、タマバチ収集で全米を回る。
その旅の中で、タマバチを何千匹も捕まえ、収集する姿、研究に没頭していく。
そして、性に関する調査においても、興味を持ったことは何でも試していく。
最初の助手となったマーティンとゲイの調査に行った際には、
同性愛経験者のマーティンと共にどんな世界なのか体感してしまうし、
マーティンがスワッピングしたいとすると、妻クララとSEXを差し出し、楽しむ。
当然巧みな話術(今で言う「コーチング」みたいなもの)でインタビューし、
様々な性に対する人々の気持ち・知識・心配事を知るようになるにつれ、
性の傾向の実際はどうなんだとばかりに、あれやこれや体感しようと試みるという訳だ。
そんな「性の虜」になるキンゼイは、強迫観念でもあるのかと思うほど。
キンゼイが性の傾向は人それぞれであると結論を導いてから、
更に、ディープな部分にハマっていったように思える。
奇特と思えば奇特。だが、真摯な性研究家だということが、ここから見えてくる。

そんなキンゼイを描けば、ただの伝記映画にすぎない。
ビル・コンドン監督は、妻クララとの夫婦のドラマを描きたかったのだと思う。
キンゼイが教え子であるクララと出会い、初めてSEXした時の惑い、
本格的に性の調査をする際には、調査内容のタイプ打ちの応援をし、
キンゼイの探究心を吐露すれば、子供にうしろ指さされても真剣に議論する。
更に、国民からバッシングをされた時でさえ、クララはキンゼイを静かに支える。
「男尊女卑」の社会通念、常識を逸脱した研究であり、風当たりは強かったはず。
研究に突っ走るキンゼイを支えたクララ。語る言葉はなくとも、十二分に愛情は伝わってきた。
クララ役を演じたのは、ローラー・リニー。何て上手い役者さんだろう。

惜しいのは、父親との関係が案外ドライに語られてしまったところ。
キンゼイの姿が、徐々に父親と同じく「偏屈・頑固オヤジ」化する描写があり、
父親を意識した描かれ方をされており、もう少し生かしても良かった様にも思える。

※余談
クリス・オドネル、もの凄い端役・・・。驚いた。



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