あれから幾日か経った
すべてが真っ白で音のない世界にある 丸い椅子の形をしたものに腰掛けてみる
湖であろうそのスケートリンクにも誰もいない
ただ黙ってその湖面を見つめていた
夏にはキャンプで賑わうだろう筈の避暑地
徐ろにその雑然と置いてあるコンロに銀のコーヒーカップを置いた
ジッポのライターで持ってきた雑誌に火をつけてインスタントを作る
ふと それまでは気にもしなかった寒さを感じてくる
「なんにもしなければ なんにも生まれない」
「なにかを求めれば その波紋は起こる」
火をつけなければ寒さを感じなかった事に気付く
分かっていそうで 理解していないこと
急がす心が一番大切なものを見落としてしまう
何を焦っていたのか その時気づいた気がして
右のポケットから指輪の箱を取り出して 湖面の遠くへ投げた
音のない世界に箱の滑っていく音だけが響いた
「もう一度 始めから ・・・」
まだ温いコーヒーを降り積もった雪に振りまいて
音のない世界から腰を上げた
すべてが真っ白で音のない世界にある 丸い椅子の形をしたものに腰掛けてみる
湖であろうそのスケートリンクにも誰もいない
ただ黙ってその湖面を見つめていた
夏にはキャンプで賑わうだろう筈の避暑地
徐ろにその雑然と置いてあるコンロに銀のコーヒーカップを置いた
ジッポのライターで持ってきた雑誌に火をつけてインスタントを作る
ふと それまでは気にもしなかった寒さを感じてくる
「なんにもしなければ なんにも生まれない」
「なにかを求めれば その波紋は起こる」
火をつけなければ寒さを感じなかった事に気付く
分かっていそうで 理解していないこと
急がす心が一番大切なものを見落としてしまう
何を焦っていたのか その時気づいた気がして
右のポケットから指輪の箱を取り出して 湖面の遠くへ投げた
音のない世界に箱の滑っていく音だけが響いた
「もう一度 始めから ・・・」
まだ温いコーヒーを降り積もった雪に振りまいて
音のない世界から腰を上げた