レトロ

忘れてはいけない物は レトロな色合いで僕たちをみつめている

雪の駅にて

2015年01月27日 | ひとり言
車を置いて 飛行機に乗って真冬の地にやってきた
目的地まではローカル線を乗り継いで行くことにする
駅舎には薪ストーブが置いてあるけど 少し息苦しいから
外にある雪の降る古びた椅子に座る
君を忘れるために乗る汽車ではないけど 君を探す汽車でもない
しんしんと降り積もる孤独の中で 何かを見つめたかった
それが答えかもしれない
ほどなく北へ行く列車がホームへ着いた
見送る人も見送られる人もいるはずもなく
コートの襟を立てて 背中を丸めながら急いで乗る
発車のベルが鳴り出した
もう二度と訪れることもないだろうと思いながら 雪の駅を見送った
行商のおばちゃんたちが ニコニコして笑いかける
「こんな始発の汽車でどこに行きますか?」と聞いてきた
「はい、自分の中の氷を溶かしに行きます」
「????」
どうせ冷たい心なら 一番寒い場所で凍らせる
その氷が溶ける頃には 君を包み込む暖かさが身についているだろう
失った愛を追うことより 忘れた自分を取り戻すために・・・