「黒い森」のお嬢様と石川五エ門の気持？

加羽沢美濃さんと須川展也さんをご存知でしょうか？
作曲家兼ピアニストとサクソフォン演奏家です。
この二人の演奏で「黒い森」という曲が NHK-FM から流れてきました。
静かできれいな旋律の曲なのです。

お客様から「仙台駅まで２０分で着きますか？」と聞かれたので、
「多分２０分をちょっと過ぎると思いますよ」とお答えしました。
それで良いですよとのことで、早速出発。
始めは良く見えなかったのですが、このお客様、
この曲に劣らずとても静かできれいなたたずまいの方でした。
長く黒い髪で、瞳も黒く深いものでした。鈴のような声で話すのです。
なんだか言葉をなくしてしまいました。
でも既に記憶なのでかなり美化していると思います。

しかし、ひとたびハンドルを握れば車両を安全にコントロールして
目的地まで走ることに集中してしまう私なのでした。
途中多少の渋滞があったのですが、
裏道を走ると信号のタイミングまでばっちりで、
とてもスムーズに走行できました。
途中「駅の東口までお願いしたら、西口から歩くより早いですか？」
と聞かれたのですが、そちらへは若干距離を走るのと、
そちらの道路状況が掴めなかったので、
もし渋滞しているとかえって時間がかかることと、
まだお若いお客様だったことを考え、
「時間的にはほとんど変わらないと思いますよ、
西口だと料金も節約になりますし…」
とお答えしました。そして西口になんとジャスト２０分で到着。

タクシー降車場に着くと、私はそこから見えるエスカレーターを指さし、
「あれを使うとスムーズに行けますよ」とお伝えしました。
丁度の料金を頂き、「早く着きました、ありがとうございました」
といって会釈して頂きました。いいえ、どういたしまして。
その笑顔に少し心が動きました。可憐だ…
ルパン三世の「カリオストロの城」に出て来るクラリスに、
石川五エ門が抱いた気持ってこんな感じなのかもしれません。
でも、ハンドルを握ると、とたんに車両コントローラーと化す私でした。

「今宵の斬鉄剣は一味違うぞ！」
私にとっての斬鉄剣はこのタクシー！？
男って結構メンタルな生き物なのです