紫陽花坂

どこまでも続く石畳の坂道を

転がり落ちてゆく雨

その両脇を包みこむように咲く紫陽花が

やけに儚く見えるのは

今の僕の心模様なのか・・


坂道の途中にある

レンガ造りの洋館の前で

寂しそうにうつむく君は

まだ　彼の事を忘れられずにいるんだと

敏感な心は悟った

そのあとに込みあげるせつなさ

僕にはどうすることも出来ないのか・・


せめて　傘をさしかけ

震える肩を　そっと抱きしめてあげたい

けれど　今の僕にはそれすら出来ない

君を失いたくないから

このまま　友達のままでいるよ

打ち明ければ

すぐに消えてしまいそうで・・


君が振り向く前に

この想い　一気に飲み干そう

雨に打たれる紫陽花のように

心はずぶ濡れだけど

でも　それでもいいんだ

傍に居れるだけ

それだけで　幸せだから・・


「待たせてごめんね！」


君が振り向いてくれるのを

ひたすら待つよ

どこまでも続く

この　紫陽花坂のように・・





我が家の玄関前にも、鮮やかな青い色の紫陽花が咲いています
毎年、花が咲くのを楽しみにしている私です

　　風香・・