◇ED後捏造。ファンタジアのクレスとラタさんが出会ったら、な話。
ひらり、ひらりと。
紅の蝶が舞う。
「樹を…穢さないで…!」
悲痛な声が耳を貫いた。
迷い込んだ森の中、辿り着いたのは今にも朽ちようとしている、大木。
かつては瑞々しい緑の腕を広げていたであろうそこには、枯れてしまった茶色い葉が、わずかに揺れるだけで。
「…あ…!」
ふわり、と紅の蝶が視界を横切ったかと思うと。
その幹に寄りかかるようにして座っている少年の肩にとまる。
疲れて、眠ってしまったんだろうか。
村では見ない顔だけど、このまま放っておくわけにもいかない。
「あの…、ッ!」
鋭い、踏み込みだった。
避けられたのは、奇跡と言っていいほどの。
だけど、無様に体勢を崩した今の自分では、次はきっと防げない。
瞬くことさえ出来ないこの目に焼きついたのは、緋色の瞳。
そして、彼の者と同じ彩を持つ――。
「エミル…」
泣きそうな顔で動きをとめてしまった、少年の傍らで。
慰めるように、そして諫めるように。
ひらりひらりと、その紅い蝶は舞う。
(お願い、助けてあげて)
頭の中に響く、優しい、こえ。
ああ、だから君は僕をここに連れて来たんだね。
◇オチがなくて申し訳ない。ロイドが儚くなった後、やっぱり世界にはマナが足りなくなって、扉を維持するのにはエミルを実体化させるマナも惜しいというか…。というわけでエミルはマナの消費の少ない(?)紅い蝶となってラタさんを微力ながら魔界の干渉から護っているのです。でもいよいよやばくなってきたので、クレスに助けを求めたとか。きっとクレスは小さい頃ロイドに会ったことがあったりして、んでいろいろあってラタさんの契約の指輪を持ってるんだよ!(ええー)
タイトルは(loca(ロカ)/冴空柚木さま)からお借りしました。
ひらり、ひらりと。
紅の蝶が舞う。
「樹を…穢さないで…!」
悲痛な声が耳を貫いた。
迷い込んだ森の中、辿り着いたのは今にも朽ちようとしている、大木。
かつては瑞々しい緑の腕を広げていたであろうそこには、枯れてしまった茶色い葉が、わずかに揺れるだけで。
「…あ…!」
ふわり、と紅の蝶が視界を横切ったかと思うと。
その幹に寄りかかるようにして座っている少年の肩にとまる。
疲れて、眠ってしまったんだろうか。
村では見ない顔だけど、このまま放っておくわけにもいかない。
「あの…、ッ!」
鋭い、踏み込みだった。
避けられたのは、奇跡と言っていいほどの。
だけど、無様に体勢を崩した今の自分では、次はきっと防げない。
瞬くことさえ出来ないこの目に焼きついたのは、緋色の瞳。
そして、彼の者と同じ彩を持つ――。
「エミル…」
泣きそうな顔で動きをとめてしまった、少年の傍らで。
慰めるように、そして諫めるように。
ひらりひらりと、その紅い蝶は舞う。
(お願い、助けてあげて)
頭の中に響く、優しい、こえ。
ああ、だから君は僕をここに連れて来たんだね。
◇オチがなくて申し訳ない。ロイドが儚くなった後、やっぱり世界にはマナが足りなくなって、扉を維持するのにはエミルを実体化させるマナも惜しいというか…。というわけでエミルはマナの消費の少ない(?)紅い蝶となってラタさんを微力ながら魔界の干渉から護っているのです。でもいよいよやばくなってきたので、クレスに助けを求めたとか。きっとクレスは小さい頃ロイドに会ったことがあったりして、んでいろいろあってラタさんの契約の指輪を持ってるんだよ!(ええー)
タイトルは(loca(ロカ)/冴空柚木さま)からお借りしました。