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デラシネ魂

ジャンルよろずな二次小説サイトです。
ネタバレ満載、ご注意を。

ラタトスク小説お品書き

2010-05-17 | ラタトスク小説
「ゆっくりくまさんの徒然なるままにラタ妄想道中記」に跳ぶか?ラタネタバレ(クリア済・EDまで容赦なく!)があるから注意しろよ!  まっとうなプレイ日記じゃなくって妄想小話とか、妄想考察とかごった煮状態、なんだけど…。ええと、後悔しないって誓えるなら、ロイドのひらひらを押して先に進んでね! 

*発売後の小話や妄想が書き連ねてある「(前略)妄想道中記」は、このページのどこかから飛べます。クリアした方で心に余裕のある方は、良かったら探してみて下さい。

以下はそちらで書いたものの再録です。

ラタでも妄想話を書く気満々の困った管理人のゲージ上げに協力する→ 大樹ミトスの未来のために!

ラタ面白いよね!でもちょっとひとやすみ、の間にアンケートにこたえてみる→ しょうがない、こたえてやるか…


!発売後の話はラタさんとエミル、そしてロイドの話が多いです!ED後捏造などごろごろしてるので、ご注意を!

連載

◇いつかまたあうそのひまで◇(ラタのゼロロイ捏造/全5話予定・シリアス)1話のみUP

「いつかまたあうそのひまで/あ:明日を知るため、生きていると言うのなら」(2009-02-27)
TOSのED後。エターナルソードの継承者としてロイドが背負うもの。
   「大丈夫、もう夢はおしまい…戻っておいで、ロイド」

◇大樹大戦(仮)◇(いきあたりばったりのラタエミ+ロイド+αの軍服パラレル。タイトル常時募集中!)

「01.手が届く範囲にいるのに、」(2009-02-05)
あなたはもう、ここにはいない。エミルとラタさん。
   「お前だって、わかってるんだろう?」

「02:あともう少しが踏み出せないまま」(2009-02-06)
クレスが託されたのは、自軍の命運ともいえる、その。
   「…隊長?」

「大樹大戦(仮)・断片」 挿絵有 / by高声はにゅ~さま (2010-05-17)
神無月の巫女EDの歌をイメージして書いてます。どうして、どうして君が。
   『キミがいるからだよ』

お題

「ゼロスとロイド、二人の会話で5のお題」(2009-02-14拍手/03-12再録)

基本的に1話完結もの(妄想ばっかです)

「憑いてる片翼」(2009-02-20)
とある漫画のパロ。ある意味ラタ妄想のロイドに憑依したミトスネタでもあるかも。
   「僕の影を傷つけた…その罪、万死に値する」

「狭い狭いも罠のうち」(2008-12-28)
ラタエミ。ある意味1126企画もの。
   「おい。なんでそんなに縮こまってんだ」

「精霊様は苦労性」(2008-11-26)
泡風呂に入るエミルと猫ラタさんの話。
   「わ!また飛んだ!綺麗だねえ、ラタトスク!」

「いつかの理由」(2008-11-26)
例の温泉イベントでロイドが逃げなかった、その理由。ゼロロイオチな続きもあったり…?
   「えーっと、な。そうじゃないんだ、あれは…」

「まっしろいゆきのなかで」(2008-10-08)
ラタバッドED後なゼロロイ。ロイドの心は狂々(くるくる)と。
   「ああ、あれはゆめ、だったのか…」

「星に祈りを」(2008-09-08)
クラロイ前提エミロイ風味。あの人に、してあげたかったこと。
   「俺も、背負ってやればよかった」

「天使の天秤」(2008-09-04)
ラタさんとエミル、ふたりの賭けに巻き込まれたロイドの運命や如何に?
   「なんだ、不戦敗か?」

「ぼくらがいつか還る場所」(2008-09-03)
ふらふラタさんの、世界はどれくらい僕を試しますか、なED後捏造話。
   「せかいは、ほろびるの?」

「例えば繋ぐもの」(2008-07-23/2008-08-29加筆の上再録)
捕らわれのエミル、な逆行もの。絶対絶命のふたりの前に現れたのは。
   「悪いな、こいつは連れていく」
  
「がらんどうの中に」(2008-08-08/2008-08-29再録)
ED後捏造。枯れゆく大樹の下、クレスが出会ったのは。同じ彩を持つ少年と蝶。
  「あの…、ッ!」

「終わりの日の始まり」(2008-08-05/2008-08-29再録)
サイバック組の過去妄想。リヒターとアステルの出会い。短いです。
   「え、どうしたの?かなしいことでもあった?」

「はじめてのせかい」(2008-08-19/2008-08-29再録)
サイバック組の過去妄想再び。閉じ込められてたリヒターがはじめて見る、世界。
   「君に、一番に見せたかったんだ」

「それはやすらぎの」(2008-07-16/2008-07-26再録)
ED後捏造。頑張ったロイドにラタトスクがしたことは。
   「こっちむけよ」

「消えぬ泡沫」(2008-07-15/2008-07-26再録)
テネブとエミルの会話。ラタトスクにとって、エミルという存在は。
   「…馬鹿だなぁ、って…」

「痛みの在り処」(2008-07-10~14/2008-07-26再録)
アルタミラ潜入の時、もしもエミルがロイドと出会っていたら。
   「ごめん、なさい…」

「伝えたかったこと」(2008-07-09/2008-07-26再録)
七夕話。伝えよう、あの子の言葉を。
   『どうしてお前はそこまでするんだ』

「ふれるこころ」(2008-07-09/2008-07-26再録)
5章クリア後の捏造。セレスとロイドの語らい。
   「お逃げなさい。お兄様に見つからないうちに」

「ひとりじゃなくて」(2008-07-04/2008-07-26再録)
ED後捏造。封印として在るラタトスクのことを想うエミルの話。
   「…もうひとりの…ラタトスクも、そうだったよ」

「翼折れても」(2008-06-30/2008-07-26再録)
4章クリアした辺りの捏造話。もしも、大樹とロイドの中にあの人がいたら。
   「あー、悪い。また俺、眠っちまったんだな…」

「否定と皇帝」(2008-06-28/2008-07-26再録)
イセリアに流れ着いた辺り。みんなが信じるロイドに追い詰められていくエミルの話。
   「そんなこと言うエミルは私の好きなエミルじゃない」


*ここから下にある小説はゲーム発売前に書いたものなので、本編内容にかすってもいません。そこのところご了承の上、自己責任でお読み下さい。

またラタトスク小説とカテゴってはありますが、ラタキャラはほとんど出てきません。(発売前だったので)
ちなみにロイド中心、かなりゼロロイ寄りです。ロイロイ(17×19)なんてぶっ飛んだ設定もぽろぽろ出てくるので、純粋にラタの小説が読みたい方は回れ右をオススメ致します。よろしくお願い致します。

よろしいですか?

んじゃどんな妄想したんじゃ見せてみろやおらぁ!という方、詳しくは「ネタ走り書き」(2008-03-31 色んなとこから再録)をご覧下さい。

ついでに「ラタ情報詰め合わせ」(2008-05-02)なんてものも作ってみました。よろしければどうぞー。 

*ただいまアンケート実施中!
右の投票猫さんを押すとアンケートに飛びます。「お前らそんなにロイドが好きか!」「大好きさあ!」
よろしければご協力お願い致します☆

○捏造妄想設定小話積み重ね

「ラタ発売直前カウントダウン」(2008-06-19~26/2008-07-01再録)
ほとんどロイドとエミル関係の捏造です。閲覧する方は、ご了承の上、お進み下さいませー。

・冒頭のマークが●になってるのはまだ書いてないです、ご了承下さいませー。

○ロイドに憑依したミトスの話

「真実と偽り」(2008-02-18/2008-04-30再録)
その存在に気づいたのは偶然で。けれどその力を求めたのは、必然だった。
   「その罪、万死に値する」

●神子んびによるロイド拉致話

すみません、まだ書いてませんー。
上の話にちょこっと触りだけ置いてあります。

●ラタキャラとロイドが絡む話

「かなしきいかり」(2008-05-12/2008-05-15再録)
クラスターエッジパロ。化け物と罵られるエミルと、そこに居合わせたロイドの怒り。
   「だけどなんか…胸の奥の方がすごく、痛いんだ」

○17(過去)×19(未来)話

「絆のはし」(2008-02-18/2008-04-15再録)
パンプキン・シザーズ9巻ネタ。大樹の暴走後、19歳ロイドとゼロスの語らい。17歳はちょっとしか出てきません。
   「前に…決めたんだ。あいつの『ロイドの背中を守る』って」

「辿りつくぬくもりは」(2008-04-30)
上の続き。守られてるのは、自分の方だった。17歳ロイドは最強なのです。
   「ロイ?お前また無理したんじゃ――」

「触れてはいけない」(2008-07-14/2008-07-26再録)
短いです。それは、受け容れてはいけない、存在。
   「全部、欲しいのに」

●純粋なラタ予想話

○1話完結もの(ゼロロイが多いですよー)

「して欲しいこと、あげたいこと」(2008-05-15)
母の日ものです。ラタでもふたりでいて欲しいという願いをこめて…。
   「なんで母さんが怒るんだ?」

「弱点発見器」(2008-05-08/2008-05-15再録)
気をゆるしている相手だから、弱点だって見せられるのです。
   「なーに、別に恥ずかしことじゃないっしょ~?」

「幻想だと知っていながら」(2008-03-31)
17歳(過去)と19歳(未来)の入れ替わりネタ。19歳ロイドがかわいそうな目にあってます。ご注意。
   「なに?かわいそうなロイドくんは誰でもいいから『慰めて』欲しいわけ?」

「疵は癒えることも忘れて」(2008-03-10)
泣かないんじゃなくて泣けない、君に。
   「なにしてんだよ、はやく行けって」

「そして神子は焔へと手をのばす」(2008-02-19/2008-03-07再録)
TOSゼロロイ。完全天使化してるロイドと、まだ人間としての生を望めるゼロスの話。イメージソングはサンホラの石畳の緋き悪魔。
   『…ごめんな?』

「かみさまへのといかけ」挿絵有 / by高声はにゅ~さま(2008-01-23/2008-03-07再録)
世界を作っては壊す神様の、その手の中に残るのは。
   「どうすれば、よかったのかな」

「ついなのおに」(2008-02-06/2008-03-07再録)
エミルがミトスだったなら、な話。異質なものを、人は受け入れられないから。
   「逃げて…」

○繋がってるもの

「行動原理」(2008-01-24/2008-03-07再録)
エミルとゼロスの語らい。あの人と剣を合わせて、わかったのは。
   「あんたが、あんた達がロイドの弱さを認めてやったらよかったんだ」

「終焉の時」(2008-03-05/2008-03-07再録)
生み出した、世界を。ロイドなら、見捨てないってそう信じていたのに。
   「「世界再生なんて、しなければよかった」」

ちょっと異色なもの

○19歳ロイドと仔リッドの話。

「キミへの架け橋」 挿絵有 / by高声はにゅ~さま(2008-06-18)
キールが見た不思議な夢の中で、リッドは…。
   「なら、どこかで、見ててくれてるのかもな」


大樹大戦(仮)・断片

2010-05-17 | ラタトスク小説
◇高声はにゅ~さまのサイト「ステキ☆界面世界」の60000ヒットでリクエストさせて頂いたイラストを、挿絵として使わせてもらっています。ちなみにリク内容は「白制服ロイドと軍服エミルで神無月の巫女EDパロ」でした。
いつも本当にありがとうございます!


『オマエがいるから』

存在を疎まれ否定されるその言葉は、少年には耳慣れたものだった。
けれどだからといって傷つかないというわけではなかった。

心に降り積もるは、罪悪感という名の、溶けぬ雪。

孤独な精霊を封印に置き去りにしてまでも、幸せを掴みたかった。
せめて少女が天寿を全うするまで、その傍にいてあげたいと願った。

けれど、想いは届かなかった。

事切れるその時、少女は笑った。
どうして、と問うた自分にこたえるように。

『キミがいるからだよ』

どうして君が死ななくちゃいけないの。
それが、少女のこたえだった。



ごめんな。
お前をそんな風にしてしまったのは、俺だ。

ダオスの言う通り、記憶を戻さなければ。
こんなに苦しむこともなかったんだろうな。
でもな、それでも俺は。

知って欲しかった。
マルタがなんであの時笑ったのか。

お前がいるから。
笑えたんだって、幸せだったんだって。
…伝えたかった。


◇中途半端ですみません。
これはすっかりご無沙汰しております大樹大戦(仮)の断片です。

あらすじというか思い浮かんだものを垂れ流すと、本編でのふたりは敵味方に分かれてるわけですが、ロイドの狙いはダオスが持ってるエミルの記憶の欠片だったりします。なんだかんだでマルタは若くして殺されちゃったんですが、その時エミルの力が大暴走、緊急措置として偶然その場に居合わせたロイドが記憶を封印することでなんとかおさまったという設定で。エミルが落ち着いたらすぐに戻すつもりでいたんですが、ついもう少しもう少し…と迷ってるうちにダオスに奪われてしまったんですね。ダオスは大樹の精霊を迎えに来たので、この世界に未練を残すような記憶はいらないと言うんですけど、ロイドは自分のこと(クラトスがお父さんだったこととかその他諸々)を思い出して、辛くても本当のことを知った上での決断をさせてあげたいって敵対したわけですね。記憶が戻ったら戻ったで、実はロイド自身がエターナルソードだとか、大樹がこの世界を飛び立つには楔の剣を抜く(=ロイドが永遠の眠りにつく)しかないとか、エミルとラタさんに申し訳ない展開考えてました…。

はにゅ~さん、素敵なイラスト本当にありがとうございました!
そしてアップが遅れてしまい、すみませんでした…!

ゼロスとロイド、二人の会話で5のお題

2009-03-12 | ラタトスク小説
素敵なお題を配布されてますv
こちらからお題をお借りしました。二人の会話じゃなくてすみません…!


「甘いもん食いすぎじゃねぇのか?」(2009-02-14拍手/03-12再録)
宿屋でのひとコマ。ロイドだって嫉妬します。
   「…甘いな」

「悪い気はしねぇけどよ。」(2009-02-14拍手/03-12再録)
時流に乗ってコスプレネタ。ゼロスがあとをつけなかったわけは…?
   「なんでってそりゃハニーが契約書よく見ずにサインしちゃったからっしょー?」

「信じてるから」(2009-02-14拍手/03-12再録)
ゼロロイ連載「いつかまたあうそのひまで」のロイドサイドの走り書き。
   「俺が傍にいると、迷惑か、ゼロス…?」

「プレゼントって何だ?」(2009-02-14拍手/03-12再録)
据え膳食わぬは男の恥、でもそれには罠もつきもので…?
   「せっかくのプレゼントだし、がっつくのはみっともねぇよなぁ?ハニー?」

「期待してろよ! 」(2009-02-14拍手/03-12再録)
メイちゃんの執事パロ。ロイド大好きな仔ゼロスの話。
   「今日は、バレンタインだろ?だからさ、テンパってたんだ」

甘いもん食いすぎじゃねぇのか?

2009-03-12 | ラタトスク小説
ねぇ、気づいてないとでも、思ってるの?

宿屋のテーブルの上に所狭しと積み上げられた、可愛らしい包みから目を逸らしてること。
想いを告げるカードに指を滑らせては、こっそりため息をついてること。
ぜんぶ全部、お見通しよ?

「お前、この頃甘いもん食いすぎじゃねぇのか?」
「そぉ?んじゃ…」

それでも何にも知らない振りしてるのは、めったに見れないハニーの顔が見たいが為、なんて。
本人に知れたら、ただじゃすまないんだろうなあ。

「手伝ってくれる?」

一際大きなハートのチョコの端をくわえて、ベッドに乗り上げれば。
ロイドは、瞳を逸らすことなくその口をそっと開き、そして。

「…甘いな」

見事にまっぷたつに割れた、ハートのチョコ。
それが、ハニーの愛なんだよな?

では、遠慮なく。
甘いものをおなかいっぱいいただくとしましょうか。
な、ハニー?

「ぜ、ろす…」

いくらなんでも食い過ぎだ、なんて言いかける不粋な唇はソッコーで塞いじまおう。
なあ知ってるか、ロイド。

本当に『あまいもの』ってのは、いくら食べても足りないんだぜ?


◇ハート型チョコの端っこをくわえて、しかもゼロスとの共同作業でまっぷたつにするロイドが描きたかったのです(笑)

悪い気はしねぇけどよ。

2009-03-12 | ラタトスク小説
◇ふたりが女装してます。そういうのが嫌いな方は注意して下さい。


黒いロングスカートのワンピースに、白いふりふりのエプロンをつけて。
眼鏡をかけて、いいかげん長くなった髪を解き、まっすぐにセットして。
おっと、白いカチューシャも忘れずに。

「なあ、ハニー?」
「…なにも言うな、言ったらボコる」

ああ、寒さもようやくやわらいできたというのに。
こんなに気持ちの良く晴れた休日は、久しぶりなのに。
なんで。
なんでこんなことに…!

「なんでってそりゃハニーが契約書よく見ずにサインしちゃったからっしょー?」
「だってマルタはイベントの『簡単な』手伝いだけだって…!」

ヴァンガードの生き残りとして、辛く当たられてるのを、知っている。
だから、少しでもその手伝いが出来たら、と思った心に嘘はない。
けれど。

「まー確かに簡単だわな。仕事っつっても、チョコの試食を配るだけだし?」
「あ、こら!つまみ食いするな!って、そのカッコで足組むなーっ!」

目の前で、嫣然と微笑むゼロスは自分と同じメイド姿。
そのスカート丈の短さと、それに動じない相棒のずぶとさにくらくらと目眩がしたのはみんなには内緒だ。

「ああ、立ちっぱなしだったから疲れちゃった?あいつらに混じって体動かしてくるか?」
「…いや、遠慮しとく…」

ぼーかろいど、というのだったか…?
そんな扮装をさせられ、歌って踊れる客引きを目指すのよ!とマルタにしごかれている精霊サマふたりを見て、ロイドはそっと両手を合わせた。

「まあ多分火の粉はかぶりまくると思うんだけどね…」
「…なにか言ったか?」
「うーん、俺さまマルタちゃんにこれもらってたんだわ」

にこやかに差し出されたそれに、ロイドの顔が引き攣った。
これは所謂…ステージ衣装、というやつではないか?

「普段見れないハニーの艶姿が見られるのは悪い気はしねぇけどよ。跡つけないようにするのはキツかったわー」
「…ゼロス。ウィスキーの入ったチョコってどれだ?」

もうこうなったら自分に出来るのは、酒の力を借りた現実逃避しかなくて。
しかし哀しいかな、その努力も空しく、母親の遺伝(=めちゃくちゃ酒に強い)のことを忘れていたロイドは、素面でステージに立つことになるのだが。
それはまた、別のお話。


◇ゼロスのメイド服は膝上30センチで!(笑)ステージ衣装はあれです、マクロスFのランカとシェリルの(以下略)最終話みたいにふたりでライオン歌うといいんだぜ!そしたらコレットが「ゼロスが…ゼロスとロイドがワタシの翼だよ!」公式二股宣言してくれるよ!(ええー)ちなみにラタエミのは鏡音リン・レンです。

信じてるから

2009-03-12 | ラタトスク小説
◇このお話は、今度連載しようとしてる話の断片です。色々わからない部分もあると思いますが、すみませんフィーリングで読み流して下さいませ。


真白き雪に埋められるのは、その彩を纏った、封筒。
自分がそれを隠しているのを知っているのだろうに。
何も言わないのは、お前も俺と一緒にいたいって、そう思ってくれてる、からなんだろうか。

ふわりと鼻を掠める、甘いにおい。
外はこんなに寒いのに、チョコを買い求める女の子はとても――。
しあわせそう、だ。
「…」
華やかな売り場から目を逸らし、裏通りへと歩を進める。
踏み荒らされていないしろに足跡を残しながら。
ロイドはひとり、天を仰いだ。

お願いです、どうか。
あともう少しだけ、ゼロスを――。


「メルトキオにね、戻ろうと思うのよ」
「え…」
「明日、迎えが来る。俺さまにも、ハニー、にも」

ああ、見捨てられるのかな。
そんなことを考えてしまう自分が嫌だ。
本当は。
みっともなく縋りついて、今すぐ抱き締めて欲しい、だけど。

「悪い…ひとりに、してくれないか…」

そんなこと、出来るわけない。
ゼロスは無言でひとつだけ頷くと、静かに部屋を出て行った。

実際、今までよく保ったと思う。
オリジンの忠告を振り切って大樹を発芽させたこの体は、もうぼろぼろで。
そのせいで、幾度となくゼロスを危険に晒したし。
エターナルソードを継承したことで、俺は夜にはひどく魘されるらしく、ゼロスは目の下にいつも隈を作ってた。
ミトスとの決戦の時に置いていったみんなの、助けが来なかった時の「もしも」や、ゼロスが俺たちを裏切って、俺があいつを殺すっていう「もしも」。
そんな無数に生まれる可能性の枝葉を…夢として、見せつけられるようになったから。

「俺が傍にいると、迷惑か、ゼロス…?」

ただ、一緒にいたかっただけなのだ。
他にもう、何も遺してやれないから。
そう遠くない未来に、自分が眠りにつくまで。
束の間でいいから、幸せな時間を――。
でも、それは。
あいつの心に消えない傷を刻むということだ。
本当にお前は、それでいいのか?ロイド=アーヴィング。
ゼロスにしてやれることは、もう本当に何もないのか?

「はは…俺、本当にあいつのこと…」

ぽたり、と透明な雫がひとつ、またひとつと皺だらけのシーツに染みを作る。
祈りの形に組まれた、手は。
部屋に戻って来たゼロスに解かれるまで、ずっと、そのままだった。

「んんっ、ふ、ぅ…!」
とろりと口の中で溶けるのはチョコレートと、それから。
抵抗なんてしない、する気もない。
ゼロスにもそれがわかるのか、もたらされる口づけは、ひどく穏やかで。
「ロイド」
馬鹿だな、なんて顔してんだよ。
大丈夫、お前は俺を騙してなんかない。
だって。
だって俺は、いつだってお前のことを。

「信じてるから」

ああまいったな、視界がぼやけてきて、ゼロスの顔がよく見えない。
もうひとつ、伝えなきゃいけないことがあるのに。

「また…あえる…ひ、まってる…」

離れるのは、寂しいけど。
ずっとずっとお前のことを想っている。
そしてまた会えたら、いの一番に言ってやるんだ。

『未来の幸せを望んだお前は間違ってない』って。


◇ いやたまにはゼロスに縋ってるロイドもいいかなって…。唐突に終わってすみません。連載はゼロス視点になる予定なので、こちらではロイド視点をちょっと書いてみました。イメージソングは「Distance/青山操」でお願いします。

プレゼントって何だ?

2009-03-12 | ラタトスク小説
◇さとーさんの日記絵と勝手に響き合ってみました。だってあのロイドの表情は反則だと思うんだ…!


夢かと思った。
目にも鮮やかなピンクのおリボンにぐるぐる巻きにされて、胸元でご丁寧に蝶々結びにしてもらっちゃったりして。
ほんのりと桜色に染まる顔は恥ずかしいのか、それとも逃げようとしてひと暴れした後なのか――自分としてはどっちでもいいことだけど。
最後の抵抗とばかりにいつも外してるズボンの第1ボタンは、きっちりとめてあったりして。
「む~…」
あからさまにむくれた顔で、ふい、と視線を逸らして。

「今日だけだからなっ」

真っ赤な顔で俯くハニーはなんていうか、その、ものすごく新鮮で。
据え膳食わぬは男の恥とは言うけれど。
「せっかくのプレゼントだし、がっつくのはみっともねぇよなぁ?ハニー?」
もうちょっとこうじっくり見てたいなー、んでもってハニーのあーんな顔やこーんな顔を…と、そんな高望みをしたのが悪かったのか。

「ゼロス…こら、ゼロス!起きろ!」
ガン、と頭に衝撃がきたと思ったら。
間髪いれず、真っ白なシーツにはぽたりと赤い血が垂れた。
「目ェ覚めたか?」
「…あらら、どったのハニー?俺さま、まだリボン解いてないのに…」
その瞬間、鳶色の瞳が、音もなく琥珀へと変化したのは気のせいだろうか。
鞘に収められたままの剣をぶんぶん振り回して、ハニーは物騒な笑みを浮かべ、そして。
「まだ寝ぼけてるみたいだな…もう1回イッとくか?」
その体から立ち上る剣呑なオーラに、俺さまはしちゃいけない失敗をしたことを認めざるを得なかった。
「なあゼロス…そんなにいい夢だったか?」
じりじりとにじり寄ってくるハニーの顔は、この上なく笑顔なのに、ああそれなのに。
(目が…目が笑ってません、告死天使さま…!)
「ウフフフフ、デヘヘヘヘってそりゃあ嬉しそうに笑ってるから、どんな夢見てるのかはやくききたくてさ…。枕元で俺、うずうずしてたんだぜ…?」
く、と指先を噛んで手袋を外すその仕草に。
俺さまはハニーの本気を見た。というか見せつけられちまった。
「なぁ、ゼロス…?」
その瞳に捉えられたらオシマイだ。
わかってるのに、こうなったら蜘蛛の糸にかかった蝶の如く。
ひんやりとした手にくい、と顎を持ち上げられたら、もう視線を外すことなどかなわなくて。

「プレゼントって何だ?」

ああん、それ死亡フラグよロイドくん…!
重い口を開いた俺さまにハニーが下したのはそれはそれは重い…愛の鉄槌、だった。


◇いやゼロロイだったら一回はぼこり愛書いとかなきゃなって!(笑)バレンタインお題なのにチョコが出てないのは全力で見逃して下さい(笑)

期待してろよ!

2009-03-12 | ラタトスク小説
◇ちょっと特殊設定。執事なロイドと、仔ゼロスな組み合わせ。メイちゃんの執事パロです。


初めて、名前で呼んでくれた、ひとだった。
「神子」という記号ではなく。

『すごいなゼロス!大人だってこんなの解けないんだぜ?』

どんな難しい問題を解いても、神子ならば当たり前だ、と言われ続けてきた。
他の子供は、もっと簡単に褒めてもらえるのに。

『後でごほうびあげるからな!裏庭で一緒に食おーぜ?』

そのポケットに山ほど入ってるのは、いちごミルクのキャンディ。
最初に口に放りこまれた時の、あの甘さを忘れない。

『ゼロスは軽いな!』

軽々と自分を抱き上げてくれる、その腕のあたたかさも。
執事としては整ってないけど、太陽のにおいのする、鳶色の髪も。
みんなみんな、大好きだ。

だけどちょっとこの頃、気になることがある。

「どうしました?」
こちらの視線に気づいたのか、ロイドは食後の紅茶を淹れる手をとめることなく、俺さまを見て…クス、と笑った。
「甘い、においがする」
執事として、ロイドは『一応は』教育されてるから。
それくらいじゃ、動じない。
でも。
「あー…内緒にしておきたかったんだけどなー、でも、いいか!」
なんだかんだ言ってこの人は俺さまには、甘いから。
困ったような顔をして、それでもこっそりと種明かしをしてくれる。

「今日は、バレンタインだろ?だからさ、テンパってたんだ」

…?
確かに俺さまを寝かしつけた後、続き部屋でなんかごそごそしてた…けど。
寝ぼけた振りをして覗いたそこには、温度計とボールと、そして。

「期待してろよ!」

ああ、もちろん。
だってロイドはいつも俺さまの、イチバン欲しいものをくれるんだ。


◇テンパって、っていうのはあれです。テンパリング。というか14日はふたりでテンパって、ロイドは余ったチョコを仔ゼロスにつまみ食いさせるといいんだぜ!

いつかまたあうそのひまで/あ:明日を知るため、生きていると言うのなら

2009-02-27 | ラタトスク小説
◇この連載は、かざるの自分的解釈なラタのゼロロイです。(今回はTOSのED後~血の粛清までの間ゼロスとロイドは何してたの?な話になってます)いつものように妄想ばっかり、しかもちょっとダークなカンジですので、閲覧にはご注意下さい。

それではどうぞ。


旅の終わりには、残酷な選択が待っていた。

『すでにデリス・カーラーンは大地の引力圏を離れようとしている。これをひきとめることは、かつてのユグドラシル…ミトスすら出来なかったことだ。それでも、やるのか?』
『ああ』
『エクスフィアで強化していても体がもたないだろう。それでも本当にやるのか?』

その場にいる誰もが、オリジンの言わんとすることをわかっていた。
けれど、エターナルソードを掲げ持つロイドは、少しも迷っちゃくれなかった。

『やるったら、やるんだよ!やんなきゃどうしようもないだろーが!』
『…承知した』

嗚呼。
エターナルソードをお前に継承させたことを、その手助けをした自分自身をどれだけ呪ったか。
空へと翔けあがるその翼を折り取って、この腕の中に閉じ込めたいとどれだけ願ったか。

お前は知らない。
知らなくていい。


フラノールに辿り着いたのは、もう陽もとっぷりと暮れた後だった。
この地特有の暗い空は、戦いに疲れ切った体を包み込むどころか押しつぶすように感じられて、ゼロスは軽く頭を振る。
「…ゼロス?疲れたのか?」
窓に灯る明かりに照らされたロイドの顔が、みるみるうちに曇った。
こちらの些細な仕草にも反応してしまうほどに、罪悪感を感じてしまっているんだろうか。
「まったく、労わる相手が違うでしょ~?」
自分の方こそもう立ってるのもやっとなくせに。
そんな言葉を飲み込んで、ふらふらと危なっかしい足取りのロイドを問答無用で肩に担ぎ上げる。
素直に預けられた体は、思った通り、常より大分熱かった。
「…」
「…ごめん」
無言で歩を進めるゼロスの耳に届いたのは、弱々しい謝罪の言葉。
それは自分の体調の悪化を隠していたからなのか、それとも。
「…」
「さ、着いたぜ、ハニー?」
ロイドがその音を紡ぐ前に、ゼロスは荒々しく今宵の宿の扉を開けた。
迷惑をかけたなんて、言われたら。
その場で泣いてしまいそうだったから。

「なあ」
「却下」
「あのな、まだ、なにも言ってないだろ…」
マントに降り積もった雪を払いながら、ロイドは頑是無いこどもを宥めるようにそっと微笑んだ。
寒さからか、また別の理由からかその顔色はすこぶる悪くて。
とにかく今は、一刻もはやく休ませたかった。眠って、欲しかった。
「俺はまだ、大丈夫だからさ」
「そんな言葉、信じると思う?」
自分の口から零れた声の、その冷たい響きに、内心舌打ちする。
先の旅に比べ、笑わなくなった自覚はある。気持ちに、余裕がないことも。
そしてそのことを誰よりも気に病んでいるのは。
「とにかく!おとなしくここで待ってろ!」
「…はいはい」
肩を掴まれ力任せにソファに座らされたロイドは、文句のひとつも言わずただ苦笑するだけで。
ツキンと痛む胸には気づかぬ振りをして、ゼロスは受付に向かった。

「ではこちらにサインをお願い致します。それと、一通お手紙が届いております」
手渡されたのは、目にも鮮やかな真っ白い封筒。
差出人も何も書いていないそれにはたったひとつの封緘がしてあるだけだ。
「…お優しいこって」
心当たりがあり過ぎる差出人と、再生後の世界での彼の苦労を思って、ゼロスは蒼氷色の瞳をわずかに揺らした。
世界に散らばるエクスフィアを探して旅をしているとはいっても、その権力をもってすれば簡単に居場所はわかるはずで。
そう、無理やり引きずってくることだって可能だろうに。
だが彼は、めったに立ち寄らないことを知っていて、フラノールにしか手紙を寄越さない。
それは、テセアラ国王の優しさ、なのだと思う。
だからこそ今こうして自分たちは表面上は何事もなく、旅を続けていられたのだ。
けれど、それも。
「…ゼロス?」
じっと自分を見下ろすゼロスに、常ならぬなにかを感じ取ったのか。
緩慢な動作で立ち上がろうとするロイドの、その鳶色の瞳が不安げに瞬き、そして。
「それ…」
「部屋に行こうな、ロイド」
震える指先が白い封筒に触れる、前に。
ゼロスはその体を再び肩に担ぎ上げ、ゆっくりと歩き出した。

しろいふうとうをなんかいもなんかいもゆきのなかにうめた
だってこれはあいつをおれからひきはなすものだから
こんなもの、いらない

いらないんだ

「疲れた時はね、甘いものがいいのよ?」
部屋に着くなりゼロスが用意したのは、沸いたお湯とマグカップ。
それに…細かく削られたチョコ。
けれど注がれたお湯は、なんだか少なくて。
「…?」
「おっと、もひとつおまけだ。よく眠れるように、な」
なみなみと足される牛乳、そして優しく頭を撫でる手に、子供じゃないぞ、とロイドが膨れる。
それでも素直にこくんと飲み干す様は思いがけず幼く、ゼロスの微笑みを誘った。
「ん…」
そしてやはり疲れ切った体は、休息を欲しているようで。
ゆらりゆらりと揺れ始めたその体を抱き締め、幼子にするように背中をとんとんと叩いてやれば、ほどなくして寝息がきこえてきた。
「おやすみ、ロイド…今度こそ、いい夢を」

「再生の神子コレットによる世界再生」の旅は終わった。
引き裂かれた大地をひとつに戻し、うしなわれた大樹カーラーンに代わってマナを生み出す世界樹を誕生させたことにより、世界は束の間の平和の時を得た。
けれどそれも、長くは続かなかった。

(最期まで、傍にいさせてやってくれ)
新しい世界で、世界樹の守人となった男は、そう言って自分に頭を下げた。
(あれだけの力を行使して、わずかにでも命の火が燃え残った、それだけでも奇跡だったのだ)
最初は理解出来なかった、いや、したくなかった。
(その気持ちは一番お前が理解出来るのではないか?)
けれど、次第にこれは罰なのだと、そう思うようになって。
(ロイドに殺して欲しいと願っていた、お前が)
それならば、例えどんな代償を払っても、その願いを叶えてやろうと。
自分はずっと。
ずっと――。

「…?」
思いがけず真っ暗な視界とその理由に思い至り、ゼロスは内心で舌打ちをする。
まずい、少し、うとうととしていたらしい。
今のあいつから目を離すわけには、いかないのに。
「…ロイド?」
「まち…てな…か、な…」
慌てて灯りを点してベッドを見れば、眠っていたはずのロイドがその身を起こして、ぼんやりと何事かを呟いていた。
いつものようにひどく魘されているわけでも、暴れるわけでもない。
けれどその硝子玉のような鳶色の瞳から零れる透明の雫に、ゼロスは形の良い眉をひそめた。
「ぜ…ろ、す…」
「大丈夫、もう夢はおしまい…戻っておいで、ロイド」
夜毎魘されるロイドが心配で、こっそりとかつて古代大戦の英雄であったあの男に連絡を取った。
けれどそのこたえは、あまりに残酷なもので。
エターナルソードの継承者であるロイドは、枝葉のように分かれる『もしも』を夢見ているのだと。
「うそ…だろ?いるはず、ない…。だって、だってゼロスは…」
そしてそれは。
幸せなものなどひとつもなくて、むしろ――。
「あ、あ、ぁああっ!」
その口から零れるのは、絶望という名の。
嵐のように暴れるロイドはこの腕をこじ開け、扉を壊さんばかりに強く開け放して、駆け出していく。
闇に紛れてその姿は見えなくなってしまったが、ゼロスは慌てることなく歩を進めた。
こえ、が。きこえるから。
自分はかつて、ロイドに殺されたいと願った、ことがある。
「殺した!俺が!やだ、いくな、笑わないで、赤い血、とまらな…」
その心に巣食うことで、救われたい、と。
「間違って、間違ってなんかない、ゼロス、お前生まれてきたの、そんなに」
だから夢の中の自分がどんな選択をして、ロイドにどんなことを言ったのか、容易に想像はつく、つくけれども。
「囚われることなんてないのよ…?」
そんなのゆるさない、と低く呟いて。ゼロスはゆっくりと中庭へと続く扉をくぐった。

狂ったように、真っ白な雪に体を擦り付けるロイドを。綺麗、だと思った。
「だめ、だめだ。あいつ思い出しちまうから、でも、もう、いないのに?なんで?」
光を失った鳶色の瞳が映し出しているのはきっと、鮮やかなあか。
真っ白な雪原は無残に荒らされ、ロイドが自分を留めたい一心でここに埋めに来ていた封筒も、すっかりその姿を晒している。
壊れかけてなお自分を労わってくれる、求めてくれるその心がかなしくて――そして愛しい。
「ロイド」
最初はただ、怖いだけだった。
英雄と称えられたロイド=アーヴィングのこんな姿を見られたら、そう危惧したからこそ宿屋に泊まる時は出来るだけ他とは離れた部屋を取っていた。
でも、今は。
「見つけてくれればいいのにな?」
そうすればテセアラの神子の名の下に、狂った英雄をどこか誰の目にも触れないところに監禁して。
自分のためだけに生きると、そう誓わせるのに。
それはずっとずっと押さえ込んできた、自分の中の、狂気。
「…ぜ、ろ…」
ぺたりと座り込んだまま、呆然と暗い空を見つめるロイドの、その体は儚く揺れていた。
それはまるで。
彼の者の命の、残り火のように。

お願いです、どうか。
あともう少しだけ、   を――。

こえ、が。きこえる。
さらりと零れる衣擦れの音に、ゼロスはふ、とその意識を浮上させた。
あたたかい手が髪を梳く感覚が気持ち良くて、思わず開けかけた目を細める。
「…ゼロス?いいからまだ寝てろよ。なんだかお前、疲れてるみたいだし。そうだ、何か飲み物でも…」
「ローイド?」
得体の知れない不安から、逃れようとでもするかのように。
ぎこちない動きでベッドからおりようとするロイドの、その細くなってしまった腕をつかまえる。
そして。

「メルトキオにね、戻ろうと思うのよ」
「え…」
「明日、迎えが来る。俺さまにも、ハニー、にも」

やさしい夢の終わりを、告げた。

ロイドは、動かなかった。
俯いたその表情は、前髪で隠れてしまってうかがい知ることは出来ない。
ただ寂しげに白いシーツを彷徨う手だけが、その心を痛いほどに伝えていた。
本当は。
離したくないと、その耳に囁いて、永久にこの腕の中に閉じ込めてしまいたい。
「悪い…ひとりに、してくれないか…」
けれど。
そんなこと、出来るわけがない。
ゼロスは無言でひとつだけ頷くと、静かに部屋を後にした。

街へと出れば、ふわりと鼻を掠めるのは、甘いにおい。
外はこんなに寒いのに、道行く人々はみんな幸せそうに、笑っている。
けれど文明が遅れているという理由で蔑まれ、差別されているシルヴァラント人は、その、街は。
これまでに受けてきた仕打ちを思って、ゼロスはそっと蒼氷色の瞳を閉じた。
『自分が悪くないのなら堂々としていればいい』
瞼の裏に浮かぶのは、いつだってまっすぐに未来を見据える、その横顔。
『見たいんだ、もっと。まだこいつは――生まれたばかりだから』
ああ、だけど。

鳶色の瞳に映る、今のこの、世界は。
あまりにも、残酷で。

ロイド。
お前がそんなぼろぼろの体で、ひとつになった世界を巡ろうとするのが。
この混乱しきった世界の明日を知るためだと、そう言うのなら。
限られた時間を自分のためではなく他人のために使うことを、躊躇わないのなら。
そんなのはかなしすぎるし、それに――ごめんな、やっぱりゆるせない。
世界をひとつにしたのは、みんなが自分であるってだけで生きてる価値がある、そんな当たり前を、取り戻すためだったんだろう?
なのにみんなの中にお前が入ってない、なんて。
そんな、馬鹿なことがあってたまるものか。
2年…いや1年半だ。
それだけの時間で少しでもお前に優しくなるように、世界を変えてみせる。
だからもう、いいから。
大樹に抱かれて、何も考えずにただ眠り、そして癒されるがいい。
そして。そしてもしもいつか夢が叶うのなら――。
「…っ…て…」
紡いだ言葉は、受け取る相手のないまま、風に消えた。
再び裏切る男の、こんな身勝手な願いを。

お前は知らない。
知らなくて、いい。

誰もいない部屋で、ロイドは一体何を願っていたのだろう。
祈りの形に組まれた手を見ていられなくて、ゼロスはゆっくりとそれを解いた。
ベットに手をつけば、それはひやりと冷たくて。
「お帰り、ゼロス。…あ」
赤い目を隠そうとしたのか、珍しくも逸らされたその視線は、小さな紙袋に注がれていた。
印字されている店の名前からその中身を察したらしく、唇からは呆れたようなため息が零れる。
「また無駄遣いしたな?旅の路銀だって余裕があるわけじゃ…」
そう言いかけて、ロイドはかなしそうな顔で口を噤み、そして。
今にも泣き出しそうな顔で、それでも笑った。
「そっか…もう、いらないんだもんな…」
「ロイド」
「大丈夫、わかってるから。明日にはちゃんと…!?」
あまりに近くで、ふわりと香った甘いにおいに、鳶色の瞳が見開かれる。
無意識に逃げをうつ体を押さえつけ、ゼロスは放り込んだチョコを口内で無理やりにそして滅茶苦茶にかき回した。
「んんっ、ふ、ぅ…!」
苦しいだろうに、ロイドからの抵抗はほとんどなくて。
いっしょうけんめいにこたえてくれる口づけに、そのやさしさに。
荒れ狂っていた自分の感情の波は、穏やかに凪いでいく。
「ロイド」
とろりと口の中で溶けるのはチョコレートと、それから。
それが自分を深い眠りに引き込むものだと知ったら、ロイドは怒るのだろうか、それともかなしむのだろうか。
まるで泣き出す寸前のこどものように、ゼロスの顔がくしゃりと歪んだ、その時。

「信じてるから」

つよい、こえだった。
あの時と同じ、自分を暗闇から引きずり出してくれた、こえ。
そして弱々しく瞼を持ち上げたロイドが紡いだ、途切れ途切れの言葉に。
蒼氷色の瞳から、堪えていた涙が零れ落ちていった。

「また…あえる…ひ、まってる…」

それはまるで。
青空から降る祝福の雨のように。
刹那の幸せではなく、共に在る未来を選んでくれた、天使を濡らした。


◇というわけで連載です。相変わらずロイドがかわいそうなことになってますが、今度はゼロスもかわいそうなことになってるので痛み分けということで(ナンダッテー!)イメージソングは「Distance/青山操」連載タイトルの「いつかまたあうそのひまで」は、その歌詞から取ってます。

次のお話は管理人の趣味でショコラとセレスが出て来る予定です。ここでみなさんに質問!「ショコラとセレス、あなたが好きなのはどっち?」下記のアンケートにお答え下さると次のお話書く意欲が湧く…かも?(←何故疑問系なのか)

◇TOS~ラタでのショコラとセレス、どっちが好き?

 ・ショコラ
 ・セレス
 ・どっちも大好きさァ!
  結果
 -ブログでアンケート-

それでは今回も妄想にお付き合い下さいましてありがとうございました。お前の妄想と響き合ったZE!な方、万が一さらなる妄想を望む!という剛毅な方がいらっしゃいましたら、下のロイドくんをぽち押しして下さいませv

ありがとうございますv次のお話は血の粛清を絡めて「どうしてテセアラ国王はじめメルトキオのみんなはロイドをハニーと呼ぶの?」な疑問解決を目指したいと思います!

お題はこちらからお借りしました!



一生に一度だけの恋のお題

あ:明日を知るため、生きていると言うのなら
い:今を君と共に生きる理由
し:生涯に約束事
て:手のひらに愛
る:ルールなんて、たったひとつだけ


憑いてる片翼

2009-02-20 | ラタトスク小説
◇結構前に日記に放置してたのをサルベージ。ラタ妄想でロイドに憑依したミトスネタです。昔懐かし「百鬼王国(モンスターキングダム)/鮎夏にい」パロでひとつ。


「あなた、誰…?」
その額に赤い結晶と化したラタトスクを宿した、少女は。
部屋ひとつはあろうかという大きな鳥篭の中、ひとり、泰然と立っていた。
「俺は…ロイド。マルタ、君を保護しに来たんだ」
ああ、自分は上手く笑えていただろうか。
なんて、なんてひどいことをするんだ。
マーテル教会の地下、光も、音すらも届かないこんな場所に、たったひとりで。
「…近づかない方がいい。結界を破ろうとすれば、あなたは死ぬわ」
「大丈夫、俺こういうの、慣れてるから」
その動きを封じる雷の札を一枚一枚剥がしていく。
人間に酷いことをされて、それでも労わりの言葉をかけてくれるこの子が哀れで、そして。
愛おしい。
「もうすぐ、自由にしてやるからな!」
自分をまっすぐに見るロイドに、その、絶対の言葉に。
マルタの凍りついた瞳が、心が。わずかに揺らぐ。
その笑顔は。
一度しか見たことがない、青空の、蒼にも似て。
「行こう!」
「いいの…?ここから出ても、いいの…?」
差し出されたその手を取ろうとした、その瞬間。
ロイドの背を、一本の矢が貫いた。

見開かれるのは、鳶色の瞳。ふわりと流れたのは、同じ色の髪。
「…ぐ…っ」
倒れ伏したロイドは、苦しげに眉を寄せ、ごほごほと咳き込んだ。
瞬く間に教会の兵士達が、ふたりを取り囲む。
教皇はほとんど意識のないロイドを一瞥すると、吐き捨てるように命じた。
「そいつにとどめを刺せ。そうすれば娘も諦めるだろう」
「…!」
振り上げられる刀から、その体を守れるように、抱きついた瞬間。

「貴方達…」

マルタは、信じられない光景を見た。
大きな羽を広げる、紅い蝶が。まるで自分達を護るように、覆いかぶさって。
「よりにもよって!この人を気絶、させちゃいましたね…?」
息せき切って走りこんで来たその少年は、その穏やかな口調とは裏腹にとても焦っているようだった。
「どーするんですか、どうしてくれるんですか!責任とってくれるんですか、とってくれないですよね!あー、もうどうしたら…!」
「何だ、お前、何を言っている?」
いきなり頭を抱える侵入者に、教会の者たちが怪訝な顔を向ける。
途端に空気がピリ、と張り詰めたかと思うと、少年の瞳の色が緑から緋色へと変わった。
「うっせぇ!出て来るって言ってんだよ!『あの野郎』が…!」
どくん。
「…!」
一際大きな鼓動と共に、マルタの腕の中の『彼』はゆっくりと起き上がる。
その背にはゆらゆらと揺らめく、虹色の光。
「ミトス…」
「…ふん、よくもやってくれたね」
背から胸へと貫通していた矢は、その手が触れただけで一瞬にして蒸発した。
ぎっと周りを睨みつける、その瞳の冷たさに。
自分を助けようとしてくれた青年とは違う存在だと、マルタの本能が告げる。
「これを射たのはどいつだい…殺してやるよ」
「ミトス…!」
戦わずともわかる、力の差は歴然だ。
けれど、きっとロイドはそれを望まない。
「僕の影を傷つけた…その罪、万死に値する」
「貴方はわかってるんですか?この人たちが死んで、泣くのは…!」
緑の瞳に映る『ロイド』は。
本来の体の持ち主が決して浮かべることのない、冷たい微笑みを浮かべた。
知っているよ、だからなおさら腹が立つんだ、と。
その唇が、音もなく動いた、その直後。

「…ジャッジメント」

かつての神の裁きの槍が、眼前に迫る。
「…っ、代われ、エミル!」
少年の瞳が緑から緋色にかわる。
同時に緋色の蝶が音もなく飛び立ち、彼とその周りを護るようにその羽を広げた。
「お前ら!死にたくなかったら、俺の周りに集まれ!早く!」
ああ、頼むから。
今度こそぶっ倒れないように、フォロー、お願いしますよ…?
後、あんまり無茶しないで下さい。
こんな風に、過保護な貴方の片翼が暴走しちゃうんで。


◇おちないですが、ここできります。ミトスはなんだかんだ言ってロイド大好きなの希望(笑)色々設定に無理ありますが、さらりと読み流して下されば幸いです。

ちなみに元ネタの紹介文をちょこっと変えたもの→百鬼(ひゃっき)――人間でも獣でもない妖怪・魔物といったモノたち――が飛び回る世界。ロイドとエミルは彼らの犯罪を取り締まる『神魔師(じんまし)』の新米コンビだ。でもこのコンビには、ロイドも知らないもう一人の凶悪なモノが憑いていて……!?

あまりにミトスにぴったりで笑った(失礼)