◇「徒然なる~」てちょこちょこあげてたもの。まとめて再録してみました。
指定キャラ:ゼロロイということだったんで、自動的にゼロスとロイド。
<Q1>昔から共に生きてきた主と従者。主は?
A.ロイド。設定は当サイトの初のゼロロイパラレル
「This Is The Way」から。
王国騎士団は、ご近所さんとの付き合いを大事にしている。
この前はバレンタインのチョコケーキ(それを作るのに自分は何度も死にかけたわけだが…まあ過ぎたことだしね)をそれはそれは景気良く街の人々に振舞っていた。
そして、今日、ホワイトデーは。
「んー?っかしーな、言われた通りに作ったのになー」
なんでも冷やし飴を作って欲しいと頼まれ、引き受けたはいいものの。
分量通りにしようとしても、飴という性質上「スプーン3~4杯」というのがうまく量れないのだという。
「こらこら、ハニー?そのスプーンについた飴、どーするつもり?」
剣を扱う割には綺麗な指が、す、とその表面をなぞると。
ふわり。
甘い香が、鼻先を漂う。
「あ、だってもったいないだろ?いーじゃん、直接はくわえてないんだし!」
休憩だって!といたずらっぽい顔で笑う青年は、間違いなく自分の主君で。
ああ、だから。
「ぜっ…?」
その手を取って。
忠誠の証を立てるのは、普通のことデショ?
「…噛むなよ?」
ジト目で見つめてくるロイドくんに、笑顔でこたえながら。
俺さまはあまい甘い、従者である自分だけに与えられる甘露を貪った。
◇ほのぼ…の?(←激しく疑問)
<Q2>相方をかばった怪我が原因で記憶喪失に。記憶を失ったのは?
A.ロイド。パラレルでは一応ふたりともそれぞれが記憶喪失になる話は書いてるので、ここはあえて本編沿いで。
「何いってんだよ~。ばっちり信じてくれって!」
ああ、いってしまう。
俺はまた、間違えたんだ。
前に進むために、諦めたものはたくさん、あって。
この手から零れ落ちてしまったものは、もう戻らない。
でも。
「ロイド!?」
雪原から躍り出たシルルスの体当たりをまともに受けて。
俺たちは二人揃って、跳ね飛ばされた。
だいじょうぶ。
絶対に、お前だけは、まもるから。
その頭をぎゅっと抱きこんで。
幼い子供に言い聞かせるように、その耳に囁いて。
来たるべき、その時を待つ。
ああ、良かった。
お前が裏切る、前に。
「オレ」を消せて――。
◇あれ、ほんのりピンクな小話計画はどこへ(汗)
<Q3>敵に操られ仲間を攻撃!操られたのは?
A.ロイド。設定は当サイト名物(?)執事ロイドが大活躍する
「楽園」から。いつか書いてみたかった、敵対貴族どもに洗脳(攻撃目標「赤毛」)モノ(笑)
ずきん、ずきん、頭が痛む。
どうしてなんだろう。攻撃目標は残らず倒したのに。
「…」
ふわり、と体が宙に浮く。
空から舞い降りるのは、桜の花びらにも似た。
だめ。
だめだ。
護らなければ。
白く、冷たい「それ」から。
だってあいつは、こんな日はまだ泣くんだ。
…あいつ?
あいつって、だれ…?
「…ッ」
途端、頭に、体に、そして心臓にはしる、激痛に。
掴めそうだった、その笑顔は。歪む視界の向こうに消えてしまって。
いたい、イタイ、痛い。
もう、いやだ。
「輝く御名の下、地を這う汚れし魂に」
消してしまえ。
何もかも。
「裁きの光を雨と降らせん…、っ?」
無意識に振り上げた左手の。
その薬指に、光るのは。
『俺さまがワイルダー家の指輪を贈ったのは…お前には俺たちみんながついてるって意思表示みたいなもんだ』
まもりたかった。
まもりたかったんだ。
だけど、それはあいつひとり、だけじゃなくて。
かえりたい。
かえっておいで。
ここに。
「「俺たちの、居場所に」」
大丈夫。
みんなは絶対、受け止めてくれるから。
だからもう、これは必要、ないんだ。
◇赤毛さんたちの奮闘は省略しましたが、まあ色々あったということで(え、それだけなんですか…!)ワイルダー家の指輪?なにそれ?という方は
こちらへどうぞvこの後、翼を消して空からおっこってくるロイドを屋敷のみんなはなんとか受け止めるわけですよ(洗濯済みの真っ白いシーツで・笑)
<Q4>新任の先生と入学したばかりの生徒。先生は?
A.ゼロス。設定はうちのサイトではめずらしい学パロ
「ふたりの猫かぶり」から。
春にしては冷たい風が、髪を切ったばかりの襟足を通り抜けていく。
目の前をくるくると回りながら落ちてくるのは、桜の花びらならぬ花まるごと。
思わず上を見上げれば、他の花はまだ蕾のままだったりして。
咲くそばから散ってくなんざまるで俺さまの恋みたいだなあ、とちょっと落ち込んだ。
『お前、餌代のいらない大きな猫、飼ってるだろ』
やっと自分が自分のままでいられる居場所を見つけたと思ったのに。
こっちは色々制限のある教育実習生で、あっちはまだあどけない中学生。
そしてあっと言う間にやって来た別れの日。
家庭の事情とやらで欠席していた彼に告白するべく自宅に押しかければ、そこは既にもぬけのからだった。
あれからなんとか教員採用試験に合格した自分は、明日からこの高校の新任教師として赴任する。
これから何年後かに、教え子と一緒に桜を見上げる時は、この胸の痛みもなくなっているだろう…その、はずだ。
「…?」
入学式は明日のはずなのに。
高校のシンボルである楠の、その木の下にいるのは。
「あ、来た来た。おーいゼロス…じゃなかったワイルダーせんせー!」
いや待て自分、これは罠だ、罠に違いない!
だってあの視力がサンコンさん並に良いロイドくんが眼鏡なんてするはずないし。
幼稚園生向けの絵本読んだだけで即寝落ちのロイドくんがハードカバーのあーんな分厚い本を読んで、爽やかに笑っていられるはずなんてないっしょが!
「なに訳わからないこと言ってんだよ…あ、そうかお前腹減ってるんだな?」
それでも、俺さまは。
彼の差し出したその物体を見て、白旗を掲げざるを得なかった。
「ほら、半分コ」
「これって究極の早弁じゃねえ?口止め料にはソーダアイス追加だぜ、ハニー?」
のびのびの冷やし中華をほおばりながら。
俺さまはなにかと騒がしくなりそうなこれからの学校生活に思いを馳せた。
◇んでもってこれが
「無条件降伏」に続いたり…いやあ学パロって本当にいいものですね!(笑)あ「ふたりの~」ではロイドくん男子校に通う高校二年生だったりしますが、全力で見逃して下さい!
<Q5>出会ってしまった民間人と王族。(もしくは貴族)民間人は?
A.ゼロス。元王族だったけど、祖父あたりが冤罪かぶせられて没落したってカンジで。
むかしむかしあるところに、小さな王国がありました。
その国の王には、翼持つものがなる決まりでした。
しかし現王のただひとりの息子である王子ロイドの背には、翼は現れなかったのです。
ロイドはそのことに心を痛め、暇さえあれば城の文献を漁り、翼を得る方法を探していました。
そして歴代の王の日記を見つけ、王家に連なる血筋のこどもが、人里離れた山奥にたったひとりで住んでいることを知ったのです。
『王となるものは遅くとも10になるまでにはその心をあらわす色の翼をその背に宿すという。17になるまでなんの兆しもない自分は、きっと翼持つものではないのだろう。しかし、その資格のある者を王にしなければ、この国は滅びてしまう』
そう考えたロイドは意を決して、城を抜け出しました。
こどもが住むという山は、翼持つものでなければのぼれるはずもない険しい山でした。
土地の者がとめるのもきかずに山に分け入ったロイドは、崖から足を滑らせてしまったのです。
「お前が…助けてくれたのか?」
「…いえ、残念ながら違います。王子」
目が覚めた時そばにいたのは、蒼氷色の瞳と赤い髪を持つゼロスというこどもでした。
やっと王を見つけたと思ったロイドは、その返事に肩をがっくりと落としました。
けれど、その家には城の蔵書にもひけを取らないほどのたくさんの文献がありましたから、翼持つものになれないなら次の王を探し出せないならせめて、とロイドは寝る間も惜しんで勉強をしました。
「王子。王子が翼持つものでなくとも、王子は既に立派な王となる資質をお持ちです。ですからそんなにご自分を追い詰めないで下さい」
ゼロスは日に日にやつれていく王子の姿を見ているのが辛くて、何度も何度もお願いしました。
けれどそんな時はロイドは決まって自分を膝の上に抱き上げ、ただ笑って自分の耳元に大丈夫だと繰り返し囁くのでした。
けれど、翼持つものにこの国は護られてきた、と信じる大臣たちはそうでないロイドを王と認めようとはしませんでした。
それどころか災いをもたらすものとして、高い塔に閉じ込めてしまったのです。
風の噂にそのことを知ったゼロスは、ロイドを助けたいと思いました。
「今まで嘘をついていて、申し訳ありませんでした」
夕焼け色の空を同じ色の翼で翔けてきた少年を、ロイドは咎めませんでした。
けれど一緒に逃げようと。
伸ばされた小さな手を取ることは、永遠になかったのです。
「祝福を」
新しき、王に。
ふわりと微笑んだかと思うと、王子は窓から身を躍らせました。
空から見るそれは、まるで。
真紅の薔薇が、咲いたかのように。
集まってきた人々は変わり果てた姿となった王子を見て『災いは自らを消し去った、これで翼持つものが現れるだろう!王国万歳!』と歓喜の声をあげました。
その時でした。
空から、白い羽根が降ってきたのです。
◇10×17でちみっこダークを目指したんですが、ゼロスがいい子になりすぎた…つか別人?民もゼロスもどんなに時間を取り戻したくても、もう取り返しがつかないよーって話。
一応ボツになったネタを書いておくと、ゼロスは10歳ですが、既に3歳くらいの時には翼は顕現してました。ゼロスの母は街外れにひっそりと住んでましたが、それを隣人に通報され山奥に移り住みます。そして病に罹りあっさり死んでしまいます。本当の「王」はお前だ、いつかこの国を私達一族の手に取り戻してくれ、と言い残して。で、ロイドがやって来て崖から足を踏み外し気を失った後で、上の話と同様翼を使って助けるわけです。ロイドは生命の危機になれば翼が現れるだろう、と家臣にいつも命を狙われてて、でもそのことを恨むことはありません。そしてゼロスにはそれが理解出来ない。ばっかじゃねーのこいつってなもんです。で、ロイドが勉強しに来るのは一緒で、そうだなゼロスを街の市に連れてったりするかも。そこでも出来損ないの王子様として陰口叩かれて、それでも気丈に笑うロイドに掴みかかって「泣きたいなら泣けばいい」とかゼロスが叫んだりするのです。え、何だよ俺なんでいらいらしてんの、こいつのことなんてどうでもいいはずなのにと家に帰った後で悶々としてみたり。まあそんな感じでふたりは過ごしてたんですが、ある時空から炎が落ちてくると天文台の学者が言い出しまして(燃え尽きなかった隕石の落下とかそういうの?)「それは偽りの王の血筋がのさばってるからだ。救われたくば、偽りの王と王子を殺し正当な王を玉座に据えよ」と民をそそのかすわけです。ゼロスからしたらこれで母の悲願は達成されるし、いい暮らしは出来るして万々歳なんですが、どうにもすっきりしない。現王を殺してもそれは同じで、そうだ、ロイドに会って『裏切り者!』とでも罵られればすっきりするかと牢に繋がれていたのを連れて来させ、対面します。がもうすでに王子の心は壊れてしまっていて、ただ幼子のように空を仰ぎ無邪気に手を伸ばすばかり。これではどうしようもない、どうせこの国は隕石で滅びてしまうのだ、それまではとその手を引き抱き寄せようとするゼロス。すると「触るな」鋭い制止の声が飛びます。「父さんを殺したお前を俺は赦すことは出来ないよ、でも…」何事かを耳元に囁き、ロイドは窓から身を躍らせます。事切れたその体からは無数の白い羽根が湧き出て、バリアーのように王国を包み込み、隕石から護りきりました。「お前達が、あいつを殺したんだ」ほっとした民がけたたましい笑い声に空を見上げた瞬間、その体は次々と雷に貫かれ絶命していきました。わずかに生き残った者たちは、ゼロスは王子に呪いの言葉を囁かれたのだろう、もう王国はおしまいだ、と他の国へと逃げていきました。そう、それは確かに呪いでした。「幸せになれ」それは、愛する人を殺してしまったこどもにはあまりにも残酷なことば、だったのです。…みたいな(長いよ!)