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デラシネ魂

ジャンルよろずな二次小説サイトです。
ネタバレ満載、ご注意を。

ロックマンエグゼ小説お品書き

2007-11-07 | ロックマンエグゼ小説
連載

◇触れない手、振れるココロ◇(全5話予定・更新停滞)*途中まででもいいわ!という心の広い方向き。未完になる可能性大です*

「触れない手、振れるココロ / 前書き」(2005-11-20)
…という名の注意書きです。この話の設定やこれから消化予定のお題が書いてあります。  

「触れない手、振れるココロ / 01.ちゃんと聞かせて」(2005-11-22)
それは、獣化したロックマンに声を届ける、ただひとつの。
   「俺、何も、出来ないのかな…?」

「触れない手、振れるココロ / 02.声が嗄れるくらいに」(2005-12-03)
大切な人が傷ついているのに、自分には、見ていることしか。
   「熱斗くんが無茶、するからだよ…」

◇約束シリーズ◇(全3話完結・番外編がひとつあります)

「やくそくのであい」(2005-11-25)
あの子の笑顔を見た時にわかった。決まっていたんだ。それはきっと。
   「おにいちゃん、ぼくのナビなの?」

「やくそくのしるし」(2005-12-14)
少しのお別れだけど、大丈夫。だって君と僕には。
   「あのね『ぺあるっく』!」

「やくそくのゆくえ」(2007-03-06)
クリスマス企画リク小説。ちょっと暗めかもです。一応ハッピーエンドのつもり。
   「また…約束、破るんだ」

「こどもとのやくそく」(2007-11-07)
企画リクもの。であいとしるしの間の話です。笑顔の裏で、熱斗が泣きながら願っていたのは。
   「僕ね、おにいちゃんがほしかったんだ」

ロク熱

「あおいろとみどりいろ」(2005-10-25)
いつもみまもってくれるのは。
   「…いいけど、はやく眠ってよ?」

「最初で最後の」(2005-10-28)
熱斗死にネタ。君が呼んだ、その名は。
   「ごめんな」

「たとえ、ふれなくても」(2005-11-20)
BEAST8話のその後。いつかきっと、その日は来るから。
   「トリルは、いいな…」

「あおきいろあか」(2005-11-29)
秋の風物詩のそれは、彼の心を乱す、いろ。ちょっと暗め。
   「お前は…何もわかってないんだな」

「音を立てて崩れた世界」(2005-12-01)
ロク熱…というか彩熱←炎。歪んだ執着の行き着く先は。
   「だって、君がいけないんだよ…?」 

「冬の日」(2005-12-04)
彩熱。風邪を引いた熱斗に彩斗は…。短いです。
   「今日はもう、帰ろうね」

「ひかりのこども」(2005-12-10)
パラレル。彩斗が生きていたら、な幼い頃の光兄弟捏造話。
   「ごろん、しよ?」

「クリスマスの奇跡」(2005-12-20)
パラレル彩熱。クリスマスにデートするふたり、その朝のひとコマ。
   「兄さん…安全運転してね」

「何度も、怖い夢を」(拍手内御礼文・2007-09-04/09-26再録)
それはかけがえのない貴方が。大切な人を殺めてしまうかもしれない、恐怖。
   「パパやメイルちゃんがあのまま深海に沈んでたら…俺、ロックマンのことゆるせたのかな?」

熱ロク

痛いのが何処なのかさえわからないまま、私、は。(不完全版)(2005-12-12)
熱斗×獣化ロク。それは、ぎりぎりまで張り詰められた心の糸を断ち切る言葉。
   「俺には、逆らえないって教えてやる」

炎熱

「そのてがあれば」(2005-10-31)
だれよりも、なによりも、つよく。
   「大丈夫だ」

「白の誘惑」(2005-11-02)
ハロウィンの話。熱斗が持って来た差し入れは…。
   「どうしてこんなにぐちゃぐちゃなんだ…?」

「ささえるもの」(2005-11-28)
映画から。友達を消され、父親を拉致られ、ぼろぼろの熱斗の前に…。
   「…熱斗くんをお願い」

「期間限定」(2005-12-06)
高校生。熱斗の炎山への差し入れは…。
   「どうしてそんなに期間限定商品にこだわるんだ?」 

「迷子の帰り道(前編)」(2005-12-18)
クリスマス企画リク小説。今も消えない、あの日の後悔。
   「ずっと、忘れていたのにな…」

「迷子の帰り道(後編)」(2005-12-22)
灯りの消えた家で、貴方を待つ。涙の向こうには、きっと。
   「おかあさんは、わかってたと思う」

その他

「呼び声」(2005-10-30)
さいごによぶのは、あなたのなまえ。
   「ねっ、と、く、ん」

「それは勘弁してください」(2005-11-26)
11月26日はいいフロ企画小説。青コンビ+赤コンビ。ギャグ?
   「アフロで」

「貴方を好きになった、その理由」(2005-12-02)
BEAST8話冒頭のひとコマのつもり。熱斗とトリル、ふたりの会話。
   「トリルがロックマンを好きなのはね…」

「ご利用は計画的に」(2005-12-07)
元ネタは無印30話。どこかに続きがあるかも…?
   「やっぱり狂犬の躾は迅速に確実に----だよね」

「ナイショだよ?」(2005-12-08)
ダークロックマンの一人称。僕はもうひとりのキミ、そして。
   「ね、ロックマン」

「あの空の向こうには、きっと未来が広がっていて」(2005-12-09)
もしも熱斗がデューオと融合することを選んだなら。ブルースの思い出。
   「…うん。そうだな、そうだと、いいな…」

「ひとつ分の陽だまりに」(2005-12-16)
パラレル。光兄弟+ブルースIN牢屋、な話。熱斗がちょっと訳ありです。
   「王子であるお前が何故こんなところにいる、熱斗」


こちらは所謂裏ものです。18歳以上の方のみ閲覧可です。
閲覧方法は各話の余白参照のこと(反転すると出ます)

「痛いのが何処なのかさえわからないまま、私、は。(完全版)」(2005-12-12)
熱斗×獣化ロック。暗くて痛い話です、ご注意。
   「お前、順応力ありすぎ」

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こどもとのやくそく

2007-11-07 | ロックマンエグゼ小説
◇このお話は熱斗とロックマンの関係をネタバレしてます。不快になりそうな方はお手数ですが、自力回避をお願い致します。
「やくそくのであい」の続きになりますので、未読の方はそちらから読んだ方がよろしいかと。

それではどうぞ。


その信号が受信された時、科学省では誰もが信じられない光景が繰り広げられていた。
がたん!どんがらがっしゃーん!だだだだ…。
「な…なにがあったんだ?」
それがいつもは温厚な光博士の発した音だと理解するのに、研究者達は数瞬の時間を要した。
残像しか見えなかったが、真っ青な顔色で外に飛び出していった…ような。
今までどんなトラブルが起ころうが「なんとかなるよ」と笑っていたあの人が。
ちょっとやそっとの徹夜でもびくともしないあの人が。
実質科学省を取り仕切ってる、文字通りネットナビ研究の要のあの人が。
あれだけ動揺するなんて、これはひょっとして世界崩壊の前触れじゃなかろうか。
そしておそるおそるブースを覗いた時には。
「光博士…?」
その姿はやはりすでに影も形もなかったのである。
「お…おい、これ…!」

『今すぐ助けに来ないと僕デリートされちゃうよ!助けてパパァ!』

ディスプレイに点滅する、次世代ネットナビの助けを求める叫びを見つけた研究者達の、その背筋にぞわっと寒気が走った。
光博士は温厚で、面倒見も良く、好人物ではある、あるのだが…。
「まずいわね…暴走、しなければいいけど」
「や、無理だろ。これ見ちゃったらなあ…」
ことロックマンに関しては、親馬鹿といってもいいくらいの愛情を注いでいる上司の、その心情を察し。
研究者達は今日は自宅に帰れそうもないな…とがっくりと肩を落とした。

廊下を駆け抜ける自分にかけられるのは、たくさんの戸惑いと、そして非難の声。
今貴方がここを離れたら、科学省はどうなるのか。
うるさいうるさい、うるさい!
僕がここにいるのは、あの子をもう一度、この世界に呼び戻すため。
そして、もうひとりの息子に引き合わせるため、ただそれだけなんだ。
頼むから、邪魔をしないでくれ!
僕はもう二度と、彩斗の存在を…そして熱斗の、笑顔を。
うしないたくはないんだ!

「大丈夫。ここにいるよ」
そう、ネットナビのおにいちゃんが言ってくれた時に。
なんでだろう…すごくほっとした。
「大丈夫だよ。すぐに光博士が迎えに来てくれるからね」
「パパ…?」
どうしよう。
パパがここに来たら、また悲しい顔する。
だって僕が我が侭言ったから、帰って来なくなっちゃったんだもの。
「…どうしたの?」
いけない、このままじゃおにいちゃんにまで心配かけちゃう。
笑わなくちゃ。
「熱斗くん」
でも。
綺麗な、緑色の目に映る僕は、いつもの僕じゃなかった。
どうして?
「僕は熱斗くんのナビだ。だから君が泣いてると、僕もかなしい」
かなしくなんて、ないのに。
ぽろぽろぽろぽろ、零れてくる涙。
それはきっと、おにいちゃんの言葉に、嘘はないから。
「熱斗くんは光博士のこと、好きかい?」
パパのこと?
…好きだよ、すごく好き。
ずっと家に帰って来てくれないパパに会いたくて会いたくてたまらなくなって、気がついたら、ここに座り込んでた。
「光博士は…」
うん、わかってるよ。
わざと家に帰らないんじゃないって、わかってるつもりだったんだけど。
「しょうがないんだ…僕が、パパを泣かせちゃった、から…」
でも、苦しいんだよ。
ずっとずっとからっぽだったのに。胸のね、ここんところが、痛いんだ。

送信記録を元に、慌ててその場所に駆けつけてみれば、思ったより落ち着いたロックマンの声が聞こえて来て、ほっと胸を撫で下ろしたのも束の間。
「…熱斗?」
祐一郎の心臓がどくりと大きな音を立てた。
ふたりはこちらに気づいていない。
いや、ロックマンは気づいているのかもしれないが…。
「僕ね、おにいちゃんがほしかったんだ」
ぽつりと零された呟きに、思わず体が強張った。
熱斗は聞き分けの良い子供だった。
そんな彼が一度だけ、どんなに否定されても捨てなかった、願い。
今思えばそれは、喪ったものを取り戻そうとしていたのだろうか。
「おとうととかいもうとはね、ぼくが望めば来てくれるけど…おにいちゃんはつれて、こられないって…!」
どんなに、どんなに望んでも。
もう、会えないのだと。
「…そんなことないよ」
触れ合えるはずがないのに。
それでも、確かに兄の優しい腕が弟を抱き締めるのを、祐一郎は見た。
「だって僕は熱斗のナビでしょう?ナビはオペレーターの面倒を見るものなんだから…僕がおにいちゃんだよ。すごいね、パパは」
「すごい…?」
「だって誰にも出来ないことをやったんだよ?すごいと思わない?」
いたずらっぽくウインクするロックマンに、その言の葉に誘われるように。
泣き顔のままでそれでも熱斗は、花が咲くように、ほわりと笑った。
「うん、すごいね…僕たちの、パパは…」
「でしょ?」
笑い合うふたりの息子を前に。
祐一郎は涙を堪えずにはいられなかった。

それからどれだけの時間が経ったのか。
「…光博士」
静かに自分を呼ぶ声に顔を上げると、熱斗は安心しきった顔でうとうとしていた。
白衣を脱ぎ、その小さな体を包むと、そっと抱き上げる。
「パパ…?」
ああ、この子が自分の目を見て話してくれるのは、久方振りだ。
その笑顔を向けてくれるのも。

「ありがと、おにいちゃん、つれてきてくれて」

これから先のことは、誰にもわからない。
けれど、君達がもう二度と離れないように。
僕はそのために何が出来るのかを、必死で考えるよ。

だって、こどもとの約束は。
彼らを護るためにあるものだからね。

「やくそくのしるし」 に続いてるような、続いてないような。


◇万葉庵3周年記念企画、匿名希望さまよりリクエスト「ロックマンエグゼで「やくそくのであい」の最後の方にありました「ロックマンの発信した『今すぐ助けに来ないと僕デリートされちゃうよ!助けてパパァ!』信号を受信した祐一郎がものすごい勢いで飛んで来る」お話…です。いかがでしたでしょうか。こちらも長らくお待たせしてすみませんでした…!

さらには「親馬鹿な祐一郎さんと、待っている間の熱斗とロックマンのふれあいを希望します」とのことでしたのに、ロックマンと熱斗の語らいがほのぼのとは言いがたいものになってしまいました。おゆるし下さいませ…(汗)

このお話が少しでも気に入ったという方は右のぱちぱちネコさんを押してやって下さいですー。→押して下さる方、ありがとうございます!励みになります!

そして私信ですー。

Mさきさん
感想どうもですーvまずはハァハァして下さってありがとうございました!(そこか)ハニーの(以下略)はやっぱゼロスが願うのはあれかなーと。や、独占したいだけってのもありかと思うんですけどね!(笑)そしてカイルは黒いですよね!週末ですか、はい大丈夫だと思いますので、ご都合つきましたら是非お話させて頂きたいですー。こどもに薬飲ませるのは一大戦闘ですが、頑張って下さいなのです!
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何度も、怖い夢を

2007-09-26 | ロックマンエグゼ小説
◇何話か忘れてしまいましたが、ビースト初期、獣化したロックマンのその後の話。


腕にかかる重みに、トリルを取り戻せたことを知る。
「僕は…」
また、獣化してしまったのだろうか。
例によって記憶はあいまいだが、ゾアノロイドがここにいないということはそうなのだろう。
いつもと違うのは、分離した直後なのに意識があるということ。
「ロックマン!」
「トリル…良かった」
ほっとため息をついたロックマンは電脳空間を見渡して…そして言葉を失った。
深海艇のシステムは見るも無残に壊されていて。
そう、したのは。

「ロックマン?」
かたかたと伝わる震えに、トリルが緑の瞳を不思議そうに瞬かせる。
「…」
ぎこちない動きでその体を床に降ろすと、ロックマンはがくりと膝をついた。
自分は。
またこの力を制御出来なかった。
「深海艇は…パパ…、は」
もう、壊したくなんてないのに。
なのに。
「ブルース…」
訊かなくちゃいけないのはわかってる、でも。
…こわい。
震える声を遮るように、ブルースは強い口調でこたえる。
「みんな無事だ」
「…そう」
その、声は。
ひどくちいさく、頼りなく。
「…っと、くん…」
一番会いたくて、会いたくないであろうオペレーターの名を紡ぐその背中を。
ブルースはじっと見つめることしか出来なかった。

熱斗は、海から吹く風に身を任せ、ぼんやりと佇んでいた。
「なぁ、炎山」
まるで独り言のような問いかけに、だから炎山はひとつ頷いて続きを促す。
「パパやメイルちゃんがあのまま深海に沈んでたら…俺、ロックマンのことゆるせたのかな?」
それは。
ブルースがダークロイドとなり、熱斗と闘う度に、自分が抱いていた…。
大丈夫だ、と。
そう言えたら、どんなにいいだろう。
けれど。
「…沈まなかっただろう」
自分には、ただ結果を言うことしか…出来なくて。
「うん…だからきっと、次も…」

大丈夫、なのか
また自分は何も出来ない、なのか。

続く、言葉は。
風と波の音にさらわれる。

「寒くなってきたな…はやく、中に入ろうぜ!」

ぶるり、と身を震わせた熱斗は、こちらの視線をかわすように、ふわりと笑った。
けれど。
その瞳の奥に、揺れているのは。
隠し切れない、恐怖。

ああ、どうして。
どうして自分はこんなに、無力なのだろう、と。
炎山はただ、唇を噛み締めることしか出来なかった。


◇怖いのはロックマンだけじゃないという…すみません、フィーリングでお読み下さい…。
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やくそくのゆくえ

2007-03-06 | ロックマンエグゼ小説
◇このお話はロックマンと熱斗が以前に出会っていたという捏造話「やくそくのであい」「やくそくのしるし」の続きです。未読の方はそちらから読むことをおすすめ致します。
また、そういうのが苦手な方は自力での回避をお願い致します。

それではどうぞ。


それは、きっとずっと心に刺さっている。
ちいさな、棘。

クリスマスパーティをしようと言い出したのは熱斗だった。
いつも忙しいロックマンに、いつしかわがままを言わなくなった黄色いナビ。
その姿が、昔の自分に重なって。
トリルが寂しいのが、わかるから、わかってしまうから。
出来るだけにぎやかにしようと、友達のみんなを呼んで、わいわい言いながら準備をして。
でも。
『ただいま、いいこにしてた?トリル』
『してたよー、だからロックマン!あそぼ!』
こんなやり取りがきこえるのは、正直、キツい。
ほんとうは。
本当は他にやりたいこと、あったんだ。
でもきっと、あのひとは忘れてる、だろうから。
『…熱斗くん、熱斗くんてば』
「なに?」
きっと自分は相当ぼんやりしていたんだろう。
心配そうに首を傾げる青いナビは、あの時と変わらない。
変わってしまったとしたら、それは。
『なにか手伝えることある?』
「平気平気!ロックマンはトリルと遊んでやれよ!」
…大丈夫、ちゃんと笑える。
だって、やくそくはまもられたんだから。

ほんとうに?

「…!」
脳裏に閃く、過去の記憶。
寒くて、怖くて、それでも、ずっと…ずっと待っていたのに。
『おにいちゃん』は来なかった。
「…に、てた、のに…」
ちいさな呟きは、届くことなく。
その涙は、気づかれることなく。
『はやくはやくー!』
『うん、今行くね。じゃ、熱斗くん、何かあったら、呼んで…』

「また…約束、破るんだ」

電脳世界に消えていく瞬間、翡翠の瞳がわずかに揺らいだ気がしたのは。
きっと、幻だったんだろう。

ようやくトリルを寝かしつけ、戻って来た時には。
ロックマンはパーティ会場にそのオペレーターの姿を見つけることは出来なかった。
かわりに見つけたのは、ぐしゃぐしゃにまるめられたイルミネーションの広告。
クリスマスカラーのそれは見覚えの、あるもので。
『これ…』
「遅かったのね」
シャンパングラスを片手に、熱斗の幼馴染の少女は微笑んだ。
どこか責めるようなその口調に、ロックマンの表情が曇る。
メイルはそんな青いナビからふい、と視線をそらすと、ぽつりと呟いた。
「ねぇ、ロックマン。今からじゃ考えられないかもしれないけど…熱斗はそりゃあおとなしい子だったのよ」

知ってる。
初めて会った時のあの子は、ひとりで泣いていた。

「早起きだったし」
『朝はちゃんと早く起きるんだよ』
「お父さんとお母さんの言うこともよくきいてたし」
『ママとパパの言うこともよくきいてね』
「宿題だって忘れたことなんて、なかったんだから」
『学校っていうところに行ったら宿題も出るから、きちんとやるんだよ』

「熱斗は忘れてなんかないわ。ずっと、ずっとね」

また会えるまで、という約束を君はまもって。
再会してからはわがまま言ったり甘えてくれるのが、嬉しくて。
それなのに。
「…そんな顔してるくらいなら、さっさと迎えに行って来なさいよ」
指差されたそれに、ロックマンは驚いたようにその翡翠の瞳を瞬くと、にっと少年のように笑った。
「うん…ありがとう」
それは熱斗のナビである彼の。
もう、ひとつの。

どぉん、と響く大きな音。
冬の花火を一目見んと、人の波が広場へと向かう。
笑いながら歩く恋人達や親子の姿を、熱斗は光の木の下でぼんやりと見ていた。
あの時も、そうだった。
今も、また、ひとり。
ロックマンは今頃どうしてるんだろう。
俺がいないことに気づいてくれた?
それとも、トリルと一緒に空を見上げてるのかな?

「熱斗…!」

幻聴まできこえるほどに、恋しかったのかと思うとおかしくて。
本当に幻だったらと思うと怖くて、振り返ることなんて出来なかった。
ただ。

自分が信じられるのは。
ふわり、とかけられたマフラーのあたたかさと。
抱き締められた、その腕の、つよさだけ。

「『おにいちゃん、ねっとのナビになってくれるの…?』」
「うん。熱斗が約束、まもってくれたからね」

大きな茶色の瞳に、映るのは。
たったひとり、ずっと傍にいて欲しいと、願ったひと。

「彩斗、兄さん…」

自分だけが呼べるその名を繰り返し。
熱斗は目の前の兄に縋りついて、透明な涙を流した。
あの日から心に刺さっていた棘が、消えてしまうまで、ずっと。


◇2005クリスマス企画、ミナミさまよりのリクエスト/ロックマンエグゼ。クリスマスなのにトリルの相手で、なかなか2人きりになれないロックマンと熱斗。…です。いかがでしたでしょうか。遅くなって、そしてトリルの出番が激少なくて申し訳ないです…。

すみません、ちょっと風邪引いてしまったので私信などはまた後で。
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迷子の帰り道(後編)(望月りんさまリク)

2005-12-22 | ロックマンエグゼ小説
あの時の貴女の、かなしそうな顔は。
今でも鮮明に、この目に焼き付いて離れなかったけれど。

どうして、こんなことになってしまったんだろう。
夕日が沈み、部屋が真っ暗になっても。
熱斗は明かりもつけずにただぼんやりと座り込んだままだった。
『熱斗くん…』
自分が余計なことを言わなければ。
今頃は飾り付けたクリスマスツリーの下で、ふたりでケーキを食べていたのだろうか。
「ロックマン…」
PETの頼りない光源に照らされた熱斗の目は真っ赤で。
『…うん?』 
それでも、今は慰める時じゃなくて、その話を聞いてあげる時だと思うから。
震えた声には気づかぬ振りで、翡翠色の瞳が続きを促す。
「小さい頃、パパがクリスマス帰って来られない時があったんだ…でも、俺『我慢しなきゃ』って思って…」
言いたいことを胸にしまいこんで、笑うのはすごく辛くって。
「そうしたら、ママが『嫌だと思うならはっきり言いなさい』って…で、話したらすごく楽になったんだ…だから…」
魘されていた炎山を見た時、思ったんだ。
少しでも楽にしてあげたいって。
でも。
「それって、無駄な、ことなのかな…」
『僕は、無駄じゃないと思うよ』
強い口調で言い切ったロックマンに、茶色の瞳が驚いたように見開かれた。
『熱斗くんは炎山を楽にしてあげようって思ったんでしょう?大丈夫、今はだめでもきっといつか話してくれるよ。もっとも…』
熱斗くんが愛想を尽かさなければだけど、といたずらっぽい口調で付け足すと。
「そう、かな…」
『そうだよ』
「へへ…ありがとな!ロックマン」
画面の向こうのオペレーターは久し振りに笑顔を見せてくれた。
『冷え込んできたね…、暖房つけなきゃ。あ、何か食べる?』
応えるように、絶妙のタイミングできゅう、と鳴ったおなかを慌てて押さえる。
そういえばお昼頃から何も食べていない。
「炎山、今頃どうしてるんだろ…」
家に帰ってればいいのだけれど。
何か食べてるならいいのだけれど。
『僕がメール、届けようか?』
「ん、ちょっと待って」
ロックマンの申し出に、少し、考えた後で。
「これ、全部食べてからな」
『え、ええ?熱斗くん、だってそれ…!』
その手にあるものに。
翡翠の瞳は大きく見開かれた。

『待って!炎山…っ!』
差し伸べられた手を、自分は拒絶してしまった。
かなしそうな熱斗の顔が頭にちらついて。
それからどこをどう歩いていたのか、まったく覚えていない。
けれど。
「何故…」
気づけば、光家の前に立っている自分はなんと未練たらしいのだろう。
また、傷つけた。
言葉にしなければ、伝わらないのに。
その努力さえせずにどうしてわかってくれないのか、と八つ当たりをして。
「すまなかった、熱斗」 
眠ってしまったのだろうか、灯りの消えた家に向かって、そっと呟いて。
その場を立ち去ろうとした、その時。

『炎山!大変だよ、熱斗くんが…!はやく家に入って来て!』

PETの画面に現れた青いナビの、その切羽詰った表情に。

----大変でございます、炎山様、お母様が…!

クリスマスの次の朝、降り出した白い雪に誘われるように。
眠るように、逝ってしまった母。
ごめんなさい、と。
いつでも謝れるなんて、どうして信じていられたのだろう。
「熱斗…!」
言い知れぬ悪い予感を感じて、炎山が光家に駆け込むと。
「う…」
探し人はリビングにうつぶせに倒れていた。
「熱斗!」
駆け寄って、逸る心のままにいささか乱暴に抱き起こせば。
「えん、ざ…?」
うっすらと目を開けた熱斗に、意識はあるようだ、とほっと胸を撫で下ろす。
「きもちわるい…」
こみ上げてくる吐き気を我慢しているのか。
見るからに苦しそうなその様子に、炎山の胸が痛む。
自分が傍にいてやれば、何らかの処置をしてやれたのに。
額に触っても熱などない。
では、床で滑って頭でも打ったのだろうか、ならばこれ以上動かすのは…。
「だい、じょうぶ…」
「熱斗?」
「…時間が経てば、治る…」
「…?」
床には、倒れた時に巻き込まれたのだろうか、鈍い銀色の光を放つボールが転がっている。
けれど中身は飛び散ってはいなかった、いや最初からなかったのか。
確かその中にはいっぱいの…。

『熱斗くん、ボールの中の生クリーム、全部食べたんだよ…』

怒りと、呆れと。
それらがごっちゃになってしまったような顔で、ロックマンが告げた言葉に。
「どうしてだ…?」
「炎山、これ嫌いだろ?」
なんでもないことのように。
笑って。
「ごめんな、俺、焦ってた…知らないことがあるの嫌だって、わがままでお前のこと、傷つけた」
だから、ごめん。
頬を撫でる優しい手に、導かれるように。
あの時言えなかった言葉は、それはいとも簡単に。
「すまない、すまない、熱斗…!」
ごめんなさい、かあさま、ごめんなさい…!
なんども、何度も、冷たい墓石の前でくりかえした言葉。
あの時、ほんのひとかけらの勇気が自分にあれば。
母は…。
「おかあさんは、わかってたと思う」
炎山の謝りたいっていう本当の気持ちも。
「『ごめんね』って、言葉に出して言わなくても…きっと、届いてたよ」
その青い瞳は、時に。
千の、万の言葉を尽くすよりも、雄弁に持ち主の心を伝えてくるから。
「そうだな…」
ぎゅっと抱き締められ、不意に目頭が熱くなった。

ああ、自分は。
ずっと泣きたかったのかもしれない。

「俺の前でまで我慢しないで」
温かい手に背中を撫でられたら、もう。
「ね?炎山…」
溶けていく、解けていく心。
あたたかいひかりのもとで。
炎山は思いっきり声をあげて泣いた。

ずっとかなしそうな顔をしていた思い出の母は。
今は嬉しそうに、微笑んでいた。


◇はい、というわけでクリスマス企画、望月りんさまよりのリクエスト/ロックマンエグゼの炎熱。はる香ママの手作りのケーキを小道具に。…の後編です。いかがでしたでしょうか。炎山のお母さんの話はもちろん捏造なので信じないで下さいませ。
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クリスマスの奇跡

2005-12-20 | ロックマンエグゼ小説
光家の朝は、一杯のコーヒーから始まる。

「あ、起きたかな?」
とんとん、と軽快に響く階段を降りる音に、彩斗はふと顔を上げた。
昔はあんなに起こすのに苦労した弟も、流石に高校生ともなると自分で起きてくる様になった。
嬉しい反面少し寂しいが、それは顔に出さない。
「おはよう、熱斗」
「おはよ、彩斗兄さん…あれ?」
テーブルを見た熱斗は思わず首を傾げた。
いつもならそこに置かれたマグカップから、コーヒーのいい香りが漂っているのに。
「今日はね、お休み」
「ふぅん…」
いたずらっぽく微笑む兄に、弟は複雑な表情を浮かべた。
『はい、おにいちゃん!クリスマスプレゼント!』
幼い熱斗がお小遣いをためて、さらにはお年玉までつぎこんでプレゼントしたパーコレーターは彩斗の大のお気に入りだ。
それが使われない日など、今まで一度もなかったのに。
「あ、何か変な誤解してるでしょ」
泣きそうな顔をごまかそうと、俯き必死に首を横に振ろうとも。
素直な弟の考えていることなど兄はいつでもお見通しで。
「あのね、熱斗」
これから自分が告げる言葉は、どんな反応を引き出すのか、わくわくする。
雪にも、北風にも負けず、世間一般ではクリスマス一色で。
「今日学校午前中で終わりだったよね?だから」
たまには、ね。

「デート、しよ?」

待ち合わせをするだけで、気分って変わるものだよ?
そう耳元に囁く兄に、弟はただこくこくと頷くことしか出来なかった。
「…あ、でもその前に」
「え」
「学校、このままじゃ遅刻だよ?」
「うわっ、ほんとだ!」
「僕も科学省に来るようパパに言われてるから、ついでに送っていってあげるね…自転車で」
その言葉にさーっと熱斗の顔から血の気が引く。
「ツ、ツツシンデゴジタイサセテイタダキマス…」
「どうしたのさ、そんなプログラムくんみたいな顔して」
彩斗は心底不思議そうな顔で首を傾げている。
必死に隠してはいるが、実は自転車の後ろに乗るのは苦手なのだ。
特に兄のには。
「遠慮しないで。ちゃんと間に合うようにしてあげるから」
しかしかなしいかな、にっこり笑っておいでおいで、と手招きする彩斗には逆らえず。
「兄さん…安全運転してね」
せめて、と小さな声で注意を促せば。
「え?いつもそうしてるじゃない」
と、きょとんとした顔で返され。
学校に間に合ったとしても、1限はきっと自分は使い物にならないだろうな…と。
熱斗は遠い目をするのだった。


◇クリスマスなので、プチ連載でも。ちなみにこのふたり、猫が店番する、とある喫茶店に行くらしいです。ついでにそこには親馬鹿な人が息子連れてやってくるらしいです…。

炎熱のリク小説の後編は少し詰まってるので、今日中は無理かもです。すみません。
そして話は飛ぶのですが、昨日ちょっとあげてたジアビスの小説は下げさせて頂きました。いえ、深い意味はないのですけれど、話を進めてみたらなんか違う気がしたもので。読んで下さった方(いたらですけど)ありがとうございました。
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迷子の帰り道(前編)(望月りんさまリク)

2005-12-18 | ロックマンエグゼ小説
その時の貴女の、かなしそうな顔は。
今でも鮮明に、この目に焼き付いて離れない。

クリスマスパーティをするから、と誘われたのは、いつだったろうか。
「あ、あのな!時間があればでかまわない、から…」
熱斗の嘘は非常にわかりやすい。
言葉と裏腹にぎゅっと服を握って見上げられては、断れるはずもなく。
「ああ、その日は午後からオフだから、かまわない」
信じられない、と大きな茶色の瞳を見開いた後で。
「言ってみるもんだな…すごく、嬉しい!」
幼い子供のように喜色満面の笑みで飛びついて来る熱斗を抱きとめながら、炎山はふっと微笑んだ。
いつも寂しい想いをさせてしまっているのだから、せめてクリスマス位は、と。
必死に仕事を片付けたかいがあったというものだ。

自分は、父とは、違う。
かなしませたりは、しない。

「…ざん、炎山?」
「…どうした?」
すっと伸ばされた手が、愛しげに自分の頬を撫でる。
人と話す時はまっすぐに相手の目を見る熱斗にしてはめずらしく、わずかに視線を外して。
「怖い顔、してた」
告げられた言葉に内心ぎくりとする。
「ちゃんと休憩とらないと、その顔のまま固まっちゃうぞ?」
仕事の疲れと取ったのか、熱斗はいたずらっぽく微笑み、からかいの言葉を口にした。
「ああ、善処しよう」
動揺を押し殺し、ぽんぽんとその頭を叩く。
と、その時、ピピピ、とPETの呼び出し音が鳴り響いた。
『熱斗くん、ママからメールだよ』
「うわ、まずい、お使いの途中だったんだっけ…」
よっぽど怖い内容だったのか、青ざめた熱斗は、ぱっと身を翻し。
「クリスマスパーティ、俺の家でやるからさ!お前の都合のいい時間に来てくれよ!いつでもいいから!じゃあな!」
そして来た時と同じく、風のように去っていった。
助けられた、な。
恐ろしくタイミングの良いメール着信に青いナビの気遣いを感じ。
自分もヤキがまわったものだ、と炎山の口から思わず小さなため息がもれた。
『炎山さま…』
「少し、眠る。何かあったら起こしてくれ」
赤いナビの視線を避けるようにそっと青い瞳を閉じ。
炎山はゆっくりと眠りに落ちていった。

『うそつき!』
なんだろう…なにか、きこえる…。
『母様の、うそつき!』
あれは…幼い頃の、自分だ。
『あんなことしたって、父様は来てくれないじゃないか!』
母はなにも言わず、ただ静かにこちらを見ているだけで。
『父様は僕たちのこと、嫌いなの…?』
静かに首を横に振る母の、けれどその表情は。
『…うそつき!母様のうそつきぃっ!』
嫌だ、もうこれ以上この場にいたくない。
だって、今の自分には。

こら、伊集院炎山!起きろ----っ!

「…っ!」
はっと見開かれた青い瞳に映るのは、気遣わしげな視線を向ける、赤いナビ。
けれど、今の声は、確かに熱斗の。
『やっと起きたみたいだな、よかったー』
「ブルース…?」
寝起きで混乱していた頭もようやっと落ち着いてきた。
これはつまり勝手に通信を繋げられた、ということだろうか。
「魘されておいででしたので…出過ぎた真似をして申し訳ありません」
『ブルースは悪くないだろ?悪いのはナビに心配させてばっかなオペレーターなんだからさ』
『でもそれってさ、熱斗くんが言っても説得力ないよね…』
『お前と炎山さまを一緒にするな』
速攻でふたりのナビに突っ込まれ、熱斗はわざとらしく咳払いをする。
『こほん、そ、それはさておき!お前なー、そんなところで寝てるから魘されるんだぞ?寝るならちゃんと自分の家のベットで寝ろよ?クリスマスに風邪引いてたら承知しないからな』
「ああ、ありがとう熱斗」
その気持ちが嬉しくて、思わず顔に笑みが浮かぶ。
『…っ、おやすみ!』
と、照れくさいのだろう、頬を真っ赤に染めた熱斗によって、通信は唐突に切られる。
「ああ、おやすみ熱斗。いい夢を…」
しん、と静まり返った部屋の中で。
もう決して聞こえないはずの彼の人の声が聞こえた気がした。

おやすみなさい、炎山。いい夢を…。

「ずっと、忘れていたのにな…」
炎山はすっと表情を消して、呟いた。
あの日からあんなに時は流れたのに、自分はまだ囚われているのだろうか。
「…帰るぞ、ブルース」
「はい、炎山さま」
自嘲の笑みを浮かべるオペレーターを、赤いナビはただ見つめていることしか出来なかった。

そして、月日は流れ、約束の日となり。
招かれた光家で自分を待っていたのは。
「あー、ごめん炎山!そこの生クリーム、ボールにあけてくれる?で、泡立ててくれると嬉しいんだけど」
「俺は確か客として招かれたのではなかったか…?」
はる香に挨拶をする間もろくに与えられず、キッチンに引きずりこまれれば皮肉のひとつでも言いたくなるというものだ。
「若い人は、細かいことは気にしなーい!あ、汚れるからこれ着て?」
さらりと流された上、渡されたのはひよこ柄のなんとも可愛らしいエプロンで。
「もう、好きにしてくれ…」
ここで突っかかっても疲れるのは自分なのだ、経験上。
炎山はがっくりと肩を落とした。
「ごめんなさいね炎山くん、新しいのはそれしかないのよー」
キッチンにひょっこりと顔を出したはる香はいつもの普段着ではなく、シンプルなドレスを身に纏っていて。
「ママ!どーしたの、その格好?」
「祐一郎さんがね、久し振りにデートしようって!帰りは遅くなるから、ケーキと料理はふたりで食べちゃっていいわよ。じゃあねv」
うきうきと出かけていくはる香を見送った後で。
「ふたりで食べろって言われても、なぁ…」
「…同感だ」
乾いた笑みを浮かべる熱斗に、炎山がしみじみと頷きを返す。
テーブルの上に鎮座しているのは、はる香が作ったのだというケーキの台座。
直径30センチはあるそれは、とても男ふたりで食べきれる量ではない。
「あ、焦げてるところがあるけど気にするなよな。生クリーム塗っちゃえばわかんないし」
『ケーキのたねを作ったのはママだけど、焼いたのは熱斗くんだもんね…』
「あ、こら余計なこと言うなよ、ロックマン!味は大丈夫だからな、炎山!」

にっこりと微笑むその顔が。
今は亡き、母に重なる。

『母様、ホットケーキ、焦げちゃったよ…?』
『飾り付けをすれば、大丈夫よ』
『父様は…僕たちが作ったクリスマスケーキ食べに来てくれる?』
『ええ、きっとね』

「…うそつき」
ぽつり、と零されたその呟きに。
へたを取った苺を皿に並べていたその手がとまる。
「炎山?」
訝しげにこちらを見る熱斗に今の自分の顔を見られたくなくて。
炎山は気まずげに視線を逸らし、俯いた。
「…いや」
生クリームを泡立て終わったボールをそっとその目の前に置く。
「なんでもない」
「嘘、だな」
ごまかしをゆるさない、茶色の瞳。
いつもなら心地良いその眼差しが。
今は、痛い。
「気に入らないことがあるなら、はっきり言えよ。でないと、何も前には進まない」
かっと頭に血が上った。

脳裏によみがえる、あの日の絶望。
お前に、何がわかる。
父親にも母親にも愛されている、幸せなお前に…!

「お前に言っても、どうにもならない…俺は、無駄なことはしない主義なんでな」

はっと思った時には、もう遅かった。
「…っ…」
目の前の顔は、くしゃりと歪んで。
「わ…る、かった…、俺、余計なこと…」
違うだろう、どうしてお前が謝るんだ。
謝らなくてはいけないのは、俺なのに。
あの時だって----。

ごめんね、ごめんね、炎山…。

「…!」
その青い瞳に浮かぶのは、怯え。
「待って!炎山…っ!」
炎山はぱっと身を翻すと、熱斗の手を振り払い、光家を後にした。
まるで何かから必死に逃れようとするように。

「迷子の帰り道(後編)」 に続きます。


◇クリスマス企画、望月りんさまよりのリクエスト/ロックマンエグゼの炎熱。はる香ママの手作りのケーキを小道具に。…です。長くなったので前後編に分けました。甘いのを目指したのですが、何故かシリアスに…あれ?後編は明日か明後日にUP予定です。

タイトルはpattern-α/昨月さま)の「pattern 25」から抜粋させて頂きました。
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ひとつ分の陽だまりに

2005-12-16 | ロックマンエグゼ小説
たった一度、触れた指先の。
そのあたたかさを、取り戻したくて。

額に感じた冷たさに、ブルースは目を覚ました。
「…っ!」
反射的に跳ね起きたものの、体中に走る痛みに思わず蹲る。
「ここで、何をしている…」
目の前の人物は、ふっと笑うと、その小さな肩を竦めた。
「何って…捕虜を死なせるわけには、いかないでしょ?」
「俺が聞いているのはそんなことではないと、わかっているはずだが?」
自分の後ろを取れるものなど、この国にはそうはいない。
それもあんな、いとも簡単に。
自分を斬ったのは、間違いなく。
「王子であるお前が何故こんなところにいる、熱斗」
鉄格子の『内側』に。
仮にも一国の王子、そして勇猛果敢な将として知られる彼が。
これではまるで監禁されているようではないか。
「…炎山から頼まれたの?」
すべてを見透かすような茶色の瞳に、動じることもなく。
「…」
ブルースはただ沈黙を貫いていた。
「君がここから出られたら…伝えてよ」
ふっと少年の纏う空気が変化する。
「君の知っている『熱斗』はもうどこにもいないってね」
「お前…」
違う。
こいつは、違う。
「何者だ?」
「僕は『熱斗』だ…よ…」
そんなこと言われても…と困ったように微笑んだ、その顔が苦しげに歪んだ。
「七年前、君達の国に攻め込んだ…悪魔…」
「おい?」
ふらり、とよろめくその体を反射的に支えれば。
「…っ、触るな!」
まるで触れられるのを恐れるように、少年はその手を払い除けた。
「寝てれば、治る…」
冷たい石の床に、まるで犬か猫のように丸まったかと思うと、ほどなくして寝息が聞こえてきた。
けれど服からのぞく血のにじむ包帯から、こいつが浅からぬ怪我を負っていること、そしてそこから発熱しているのは明白で。
放っておけるか、と手を伸ばしかけた瞬間。

「…だぁれ?」

その声に。
誰よりもはやく反応したのは。
「だめだ、熱斗!」
まるで獣が我が子を護ろうとするかのように。
自分とその声の主の間に滑り込んだ少年は、ブルースを射殺さんばかりに睨みつけた。
「『熱斗』…?」
「おにいちゃん」
よいしょ、とその腕をどかすと。
少年の制止を振り切って、その人物はとてとてと歩いて来た。
「だいじょうぶだよ、だってこの人優しそうな目、してるもの」
にこり、と微笑むその顔は。
「お前たちは、一体…」
それはまるで鏡に映したような。
同じ顔をした少年ふたりを前に、ブルースは頭を抱えた。


◇中世騎士もどきの話が浮かんだので走り書き。
補足しますと、祐一郎が暗殺されたと同時に光国は友好関係にあったIPC国に宣戦布告、その時最前線にいたのはリーガルによってダークチップ(のような薬)を使われた熱斗。その時のことが原因で、熱斗は心がその前の幸せな頃に戻っている。彩斗は幽閉されている時に兵法の本や戦略戦術の本を読み漁っており、身体能力も高かったため、戦闘の時は熱斗のかわりに自分を使え、とリーガルに申し出た。薬は今のところ使われていない。炎山と熱斗は幼馴染で、ブルースは熱斗の変貌に思い悩む主人を見かねてわざと敵の捕虜になった…ってとこでしょうか。

そしてタイトルはテイルズオブジアビスのOP「カルマ/BUMP OF CHICKEN」から。
書くとしたら多分これがイメージソングになるかと…。
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やくそくのしるし

2005-12-14 | ロックマンエグゼ小説
◇このお話はロックマンと熱斗が以前に出会っていたという捏造話「やくそくのであい」 の続きです。未読の方はそちらから読むことをおすすめ致します。
また、そういうのが苦手な方は自力での回避をお願い致します。

それではどうぞ。

「これを最後に熱斗に会ってはいけないよ」

いつもの散歩に出かけようとした僕を呼び止めた光博士の口から出た言葉は。
理解するのに、数瞬の時間を要した。
「…え?」
固まってしまった僕に、光博士は困ったような顔で笑いかけた。
「君たちはまだ一緒にいるには幼すぎるからね」
わからない。
叫び出したい気持ちを封じ込めるように、ぎゅっと拳を握る。
強くなったと、思うのに。
ウイルスにだって負けないのに。
僕にだって…熱斗くんをまもれるのに。
どうして会っちゃいけないんだろう…わからない、よ。
でも。
「…わかりました」
僕の口から零れ落ちるのは、了承を示す言葉。
光博士の決定に逆らうことなんて出来ないから。
「行って来ます」
「ありがとう、すまないな…」
辛そうな声を背に受けながら。
重い気持ちと、足取りで。
僕は科学省のHPから一歩を踏み出した。

待ち合わせをしているわけではないけれど。
熱斗くんはいつもここで、僕を待ってる。
「おにいちゃん!」
にこっと笑いながらモニターに駆け寄って来るその様は、まるで小さな仔犬みたいで。
「…熱斗くん」
「あのね、おにいちゃん、きょうね…」
きらきらとその大きな茶色の瞳を輝かせて、熱斗くんは今日あったことを僕に話して聞かせる。
僕はわざと名前を告げなかった。
何故かはわからないけれど。
この子にはロックマンじゃなくて、おにいちゃんって…呼んで欲しかったから。
ごめんね、今は一緒にいられないんだって。
もう、君と会っちゃ…いけないんだって。
「熱斗くん、あのね…」
さよならって、言わなくちゃいけないのに。
そのきらきら輝く茶色の瞳を見たら、言葉が続かなかった。
「おにいちゃん、見て見て!」
青いパーカーに、自転車に乗る時の青いヘルメットをかぶって。
「あのね『ぺあるっく』!」
得意そうに胸を張るその姿に、涙が零れそうになる。
「でもおにいちゃんの胸のそれはまだなの…でもね!ママがね、クリスマスまでに作ってくれるって!」
熱斗くんは僕のナビマークを指差して、嬉しそうに笑った。
それはこの日々が続くと信じて疑わない。
今の僕には眩しすぎる、笑みだった。
「それでね…えっとおにいちゃんは、クリスマスはひまですか?」
「あ、え…うん…」
思わず反射的に返した返事は、とんでもない言葉を連れて来て。
「じゃ、ねっととでーとしよ?」
「はい?」
一瞬思考がフリーズした。
熱斗くん、君一体何処でそういう知識を仕入れてくるの…?
「クリスマスにここに来てね!約束だよ!」
「あ、熱斗くん!」
もう帰る時間なのか、熱斗くんは外にぱたぱたと駆けていってしまった。
「どうしよう…」
困ったなあと呟きながらも。
まださよならしないですむ、という安堵感で、口元は緩みっぱなしだった。

そして僕の予想通り。
光博士に言ったら、それなら、とクリスマスに会うことをゆるしてくれた。
道を塞ぐウイルスに手間取って、待ち合わせの時間に遅れてしまった。
「熱斗くん、ごめんね遅くなって!…熱斗くん?」
返ってくるのは沈黙だけで。
待ちくたびれて帰ってしまったのか、と思って博士に連絡してみたんだけど、家にも帰っていないらしい。
夕方から夜にかけて気温はどんどん下がってくる。
こんな寒空の下、今頃熱斗くんはどこでどうしているのだろう。
「熱斗くん…」
どぉん、と響く大きな音。
「花火…、こんな時期に?」
広告だろうか、クリスマスカラーの紙がちょうど自分の視線に合わせて置かれていた。
クリスマス…今夜まで国営の大きな公園のクリスマスイルミネーションが点灯しているらしい。
「もしかして、ひとりで行ったんじゃ…」
地図を見ればここからは、大分遠い。
僕は慌ててその場を後にした。

もう、イルミネーションは終わったのだろう。
閉められた門の前で。
よくやく見つけた熱斗くんは、寒そうにその身を縮こまらせていた。
「おにいちゃん…」
心細かったんだろう、モニターに僕の姿を見つけた途端、その茶色の瞳からはぶわっと涙があふれだしてきて。
「…っ、ごめん、ごめんね、熱斗くん…!」
僕がウイルスに手間取らなかったら、熱斗くんを泣かせることもなかった。
心細さからも、寒さからも、まもれたかも、しれないのに。
つよく、なりたい。
「熱斗くん」

もっと、もっと。
つよく。

「少しの間だけ、さよなら、出来る?」

いつか僕が君の本当のナビになれる日まで。

空を見上げた熱斗くんは、じっと動かず何かを必死に考えているようだった。
そして。
涙で濡れた茶色の瞳と、僕の瞳が音もなくかちあう。
「おにいちゃん、ねっとのナビになってくれるの…?」
「…うん。約束するよ。いつか、きっとね」
だから、一緒につよくなろう?
そう言って笑いかければ、熱斗くんはにこっと笑ってこくり、と頷いてくれたんだ。

「…朝はちゃんと早く起きるんだよ。ママとパパの言うこともよくきいてね。学校っていうところに行ったら宿題も出るから、きちんとやるんだよ」
「ねっとがやくそく、まもったら、またあえる…?」
「うん、会えるよ」
「じゃあ、ねっといいこにしてる!やくそくまもるね、おにいちゃんにまたあえるまで!」

僕に再会するまで、熱斗くんは確かに約束をまもった。
そして、今。
「熱斗くん、熱斗くん、起きて…こら、起きろ!光熱斗ぉーっ!」
「んー、うるさい…」
寒くなったからだろうか、この頃起こすのがさらに大変になってきた。
「早く起きてよ、学校遅れるよ?時間割はそろえてある?あ、宿題やってない…」
ほんとにもう、どうしてくれよう…ともう一度起こそうと息を吸い込んだ、その時。
「おはよ、ロックマン!」
いつの間に起きたものやら。
きゅ、とバンダナを締めた熱斗くんが、PETを覗き込んでいた。
「おはよう、熱斗くん」
僕のナビマークが印刷された、青いそれ。
あの時から、肌身離さずつけてるってパパがそっと教えてくれた。
君は小さくて、僕に初めて会った時の記憶はもう残ってないのかもしれないけれど。
君がこうやって、僕に甘えてくれる度に、ずっと待っててくれたんだなって胸が熱くなるんだ。
「さ、行こう!」

それは眩しい朝日の光の中、今も色あせることのない。
ふたりだけの、やくそくのしるし。


「やくそくのゆくえ」に続きます。

◇熱斗が何故あの青いバンダナをつけているのか、な捏造話。はる香ママがバンダナに発信機でも取り付けてたら笑えますな。クリスマス企画小説「やくそくのゆくえ」に続きますです。
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痛いのが何処なのかさえわからないまま、私、は。(不完全版)

2005-12-12 | ロックマンエグゼ小説
◇この話は困ったことに女性向です。さらに言うと熱ロクでかなり痛い話です。
苦手な方は自力での回避をお願い致します。
これは所謂裏の部分を削った、不完全版です…なので、話がブツ切りで、つながっていません。それでもいいという方だけ閲覧下さい。
とはいえ多少女性向の描写が入り込んでます。嫌いな方はご注意下さい。

それではどうぞ。


「気分はどうだ、ロックマン…?」
「ウ、ウゥ…」
耳に滑り込んできた冷たい声に、獣化したロックマンは起き上がろうとする。
しかし体にはまったく力が入らず、出来るのはわずかに顔の向きを変えることだけだった。
「無駄だよ。お前には特別な麻酔を打ってもらったんだから」
淡々と、けれどどこか楽しげな響きの。
その声の主はすっとしゃがみこむと、乱暴な手つきでフェイスガードを引き剥がした。
そして鋭い牙の並ぶその口に、指を無造作に突っ込む。
一歩間違えば噛み千切られるかもしれないのに、その顔はそうならない自信に満ちていて。


今のロックマンはどこを触っても感じるはずだ…そういう薬を投与したから。
くたり、と力の抜けたその体を抱え上げると。
「ロック」
熱斗はその唇をぺろりと舐めた。
それが、合図となって。
「ん…」
ふたりはどちらからともなく舌を絡める。
それはまるで互いの呼吸を奪い尽くすような。
「…」
おそらくは感じ過ぎて苦痛の方が大きいのだろう、苦しげに眉を寄せるロックマンを盗み見ながら、熱斗はくつり、と暗い笑みを浮かべた。
お前が悪いんじゃない、そんなことはわかってる。
でも。
「おいたが、過ぎたな…?」
無力な自分に対する怒りが心の中で渦を巻いて…これ以上は、無理だ。
いたくて、痛くて…このままじゃ俺、壊れちゃうと、思うんだ。

だから…ごめんな?

首にかかる重みを感じた途端に、ロックマンは荒々しく突き飛ばされた。
「言葉が通じないなら、その体に刻み込んでやるよ」
「…?」
その言葉の意味よりも、何よりも。
目の前の人間の浮かべている笑顔、に。
ロックマンの赤い瞳が恐怖の色に染まった。
「…ぅ、あ…」
本能が逃げろと、告げている。
それでも、自由のきかないこの体は動いてくれなくて。
「俺には、逆らえないって教えてやる」
じゃらりと響くのは、金属の擦れる耳障りな音。
首輪に繋がれた鎖を強く引かれ、ロックマンは冷たい床に倒れこんだ。


その尻尾が責めるようにねだるように、熱斗の腰に絡みついた。
「…痛ッ」
どこかが斬れたのだろう、体に鋭い痛みが走る。
思わず上げた声に振り返った赤い瞳が揺れたと思ったのは、気のせいか。
「…大丈夫」
こんなの、痛くなんてない。
本当に痛いのは、体なんかじゃなくて。


「ロック…?」
その名を呼ぶ、優しい声に導かれるように。
閉じられた瞼が、弱々しく痙攣した。
「っと、く…?」
ゆるやかに開かれた赤い瞳に。
理性の光がともった気がした、その瞬間。
「…今更、遅いよ」
自分の声に応えてくれなかったことも、そばにいてくれなかったことも。
もう今となってはどうでもいい。
でも、どうしてもゆるせないことだってあるんだよ。

「俺から、離れようとしたくせに」

それはまるで睦言を囁くように。
甘く、優しく。

「…うん。ごめん、でも僕がそばにいたら、君は…」

そして相手の口から零れ落ちた、肯定の言葉は。
熱斗の心のぎりぎりまで張り詰めた糸を。

「…そう、じゃ俺も好きにするよ」

いとも簡単に断ち切った。


もう、何処にもいかせない。
ロック、なあ、お前も壊れてくれよ。
「お前は俺のものなんだから」
にこりと無邪気に微笑む熱斗の、その頬に伝うのは透明な雫。
「…うん、熱斗くん…」
慰めるように、憐れむように。
ロックマンはそっと、その唇に触れるだけの口付けを落とした。

落ちていく、堕ちていく。

痛いのが何処なのかさえわからないまま、ワタシ、は。
ただその壊れた心の欠片がぱらぱらと零れ落ちるのを、見つめていることしか、出来なかった。


◇痛い話ですみませんです。いやしかし初めての裏が熱ロクとは正直思いもよりませんでした…。トリルの意識ははどうしたんだとかふたりが別人28号だとか例の如く突っ込みドコロ満載ですが、どうか海のように広い心で見逃してやって下さいませ。ちなみに削ったのは半分程度(笑)削った部分に興味のある方は下の余白を反転してみると良いかもです。
完全版が見てみたいという奇特な18歳以上の方は、その旨を書いて、件名を「歌い出しが「男は狼なのよ 気をつけなさい」なピンクレディーの歌の曲名(ヒントはBEAST11話のサブタイトル)は何?」の答えにして「kazaru2004@mail.goo.ne.jp」までメールを送って下さい。拙いものですが添付ファイルでお送りします。が、文面などから18歳以下と判断した方にはお送り出来ない場合もございます、ご了承下さいませ。

…読んで下さってありがとうございました。

タイトルは空詩[カラウタ]/陽沙真珠(ヨウサマジュ)さま)の「長文五題」から抜粋させて頂きました。

(2007.9.26追加)

◇この話は実は最初はこんな話(ロク熱)でした、な尻切れとんぼな走り書き。

コピーロイドという器に閉じ込められたロックマンは、落ち着かない様子で辺りを歩き回っていた。
ナビが現実世界に顕現するために開発されたそれ。
その力が悪用されないように、コピーロイドのナビは力が著しく制限される。
「ウゥ…」
ロックマンは幾度となく電脳空間に戻ろうとしていたが。
結界にも似た光の壁に阻まれ、それもかなわない。
『とにかく、このまま待つしかない』
科学省の一室、厚い壁に囲まれたここで、ロックマンは技を繰り出すことも、炎を吐き出すこともないが。
『気持ちはわかるが…今のロックマンには近づくんじゃないぞ、熱斗』
その鋭い牙も、すべてを切り裂く鋼鉄の爪も、失われてはいない。

「ロックマン」

祐一郎も、炎山も、ライカも。
自分以外の彼に関わるものはみんなその会議に出かけていった。
『お前は来るな』と。
面と向かって言う者、それとなく態度で示す者の意を汲んで、熱斗は体調不良を理由に会議を欠席した。
3度獣化し、その力を暴走させたロックマンの処遇を決めるものであることは容易に想像がつく。
きっと今頃あのふたりは『人の世界に仇なすナビなどデリートしてしまえ』という声に懸命に反対してくれているだろうが。
それもいつまでもつことか。

…お粗末さまでした!
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