(【ドッグワールド】 石ノ森章太郎 著)
昨日書いた、【ダルタニヤン物語】+【魔法】をベースにした
犬の世界の物語。
地方から剣士になるために都へと出てきたシバ。
旅の途中で瀕死の犬から預かった首輪によって、都での
貴族(剣士側)と軍族(兵士側)との対立と陰謀に巻き込まれていく。
そして、シバがその対立の途中で出会った”ヒト”。
外見は犬らしくなく喋れないが、シバにだけは心の声が聞こえる。
シバとヒトは無二の親友となり、「戦うこと」よりも「戦うことなく和解」
を願う”ヒト”に感化されシバの意識も次第に変化していく。
”犬だけの世界”【ドッグワールド】での”ヒト”の存在が
明らかにされていく過程を、【八犬伝】世界での伏姫と八房の関係の
変化と比較して読むと興味深い。
シバは”ヒト”に撫でられると懐かしいような幸せなような
・・・ヘンな気持ちになってしまう。
遺伝子の中に「人間と犬が”友だち”だった頃」の記憶が残っている
かららしいけれど。
その手のぬくもりや感触は種族的記憶ともいえる無意識の中に
かすかに残っていたのだった・・・。
石ノ森作品では、地味だけれど隠れた名作。
メディアファクトリー版での石ノ森全集第一期の配本なのが証拠。
【ファンタジーワールド】じゃなくて、【魔法世界】の幼いジュンの方の
世界にどこかで通じているんじゃないかと思う。
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