建物(建築)に由来する言葉 -31
近頃、建物の色々な部分の名称や、建物に由来する言葉を知らない人が多くなったそうなので、思いつくままに、書いて見ます。
ずいぶん久しぶりになりますが、
今回は「扠首組(さすぐみ)」(叉首組とも書くようです)です。
扠首組は「扠首(さす)」と呼ばれる材(丸太)を合掌(がっしょう)に組んで棟木を受ける小屋組みをいいます。(図―2参照)
「叉」は叉手(さす)を表現し、両手を組み合わせることのようです。
また、昔は(図1)の様な、丸太などを交叉(こうさ)させた、合掌形のものを扠首と言ったようですが、現在農家等の茅葺(かやぶき)屋根の丸太合掌を扠首と言うのは、その名残だろう、書いている書物もあります。
扠首組は扠首の下端部を鉛筆の先のように様に削り、小屋梁、敷桁(しきげた)、柱上の枕木などに付けた、くぼみに載せて納めているだけです。
これは、茅葺屋根は大変重く、引き抜きに対する仕口は考えなくて良いようで、
また、急勾配なので、合掌に対する曲げ応力もわずかなので、材は意外と細くても大丈夫なのだそうです。(でも私が見た物はみんな大きかったけど)
民家では、その使用部位によって、「平扠首」「向う扠首」「追い扠首」「切り扠首」などと呼ぶようで、また、民家との区別で、社寺建築では、妻にある人字形の物を「豕扠首(いのこさす)」とも呼び、その一方の木を「扠首竿(さすざお)」よびます。
茅葺屋根の家を見学する機会があれば、扠首の下端部を確認してみてください、本当に鉛筆の先のようになっているのかを。
写真は京都嵯峨野の「落柿舎」です、建物だけでも味気ないので、「紫式部(秋だったので、花ではなくて、実が沢山)」