建物(建築)に由来する言葉 - 33
近頃、建物の色々な部分の名称や、建物に由来する言葉を知らない人が多くなったそうなので、思いつくままに、書いて見ます。
今回は「勝手口」です。
信じられない事ですが、近頃は勝手口とは何かが解らない人が居るそうなので、確認の為に書いておきます。
「勝手」とは炊事をする所を意味し、「糧(かて)を炊ぐ(かしぐ)と言う意味からきた言葉のようです。
現在では、「台所」とほぼ同じ意味で使われていますが、民家(古民家)では今と違って「お勝手」は土間空間にあり、今の台所(ダイニングキッチン)のように、食事をする場所として使われる事はほぼ無かったようです。
その「勝手」にある出入口が「勝手口」です。
戦前?の和風建築の特徴の一つは、「表向き」と「裏向き」と言う考え方があり、接客を主にした表空間と、家族の生活のための裏空間がはっきりしていた事でしょうか。
勝手は裏向きの代表的空間で、表空間の動線とは交わることが無いように平面計画がされていたようです。
言わば、玄関が人(客・主人)の出入口とすれば、勝手口は家族の出入口であり、また、お勝手への飲食物を運び込む入口であり、色々なごみの出口とも言えるかもしれません。
それと、茶室において、茶道口や給仕口など亭主側の出入口を勝手口と呼ぶことがあるようです。
分かり易いように、平面図と写真を付けておきます。
- 図面は10年くらい前に当社で設計と施工をした建物です。