『絆』日記

~ありがとう~

国際協力

2010-06-03 12:38:15 | 社会
皆さん国際協力ときいてどんなことを想像しますか昨日、8年間にわたり国連の専門組織である国際電気通信連合(ITU)で事務総局長を務められた内海善雄氏の講演会に行ってきました(国連の専門機関といえば、UNESCOが教育文化専門機関、ILOが労働専門機関等それぞれの専門性に特化した国連機関であり、ITUは電気通信専門機関となっています)【国際援助の意義とその役割について】とのテーマで始まった講演会まさにグローバルな視点で普段は聞けないような裏話付で話が進んでいきました私的にはとってもとっても刺激的な講演会でしたその話の中で印象に残っているトピックがありますそれは『戦略的な国際協力の必要性について』です昨今、アフリカでアジア人をみると皆さん一様に『中国人ですか』と聞くのだそうですそれはまさにアフリカにおける中国の存在の大きさを物語っていますよね中国人の国際協力は一昔前の日本のように、アフリカのニーズに応えてすぐに資金を送り、すぐに人的支援を投入する支援です一流の技術者がドンドン現地に入り、地域に密着して話を進めるその迅速さと能力はまさにアッパレしかしその先にある想いそれは、お金・人を出すのだからそのための機械やモノは中国から買うようにいうタイド援助がガッチリしているというものなのですもちろん、彼らはアフリカの豊富な資源にもちゃんと目を付けてもいますそうした中、反米意識の強いアフリカ諸国の中で今や中国の貢献度が際立っているようで『中国がやってくれた』という意識がアフリカ諸国の中に芽生えているとのことつまりは中国の国際支援はまさに戦略的に行っているということが解ります逆に、日本はどうかというとお金を投入しても結局のところ国際機関を通してアンタイドの援助をしているので、そこまで戦略的に援助を行うことを考えていないというのが現実なのだそう例を言うと、あそこの巨大な立派なビルが中国政府の支援を得て出来上がっていることは誰もが知っていることだけれど、この完璧に舗装された道路が日本の支援でできあがっているのかは現地の人は知らないということも多いのだそうです日本が、国際協力、貢献の先に考えておかなくていはいけないこと。それは①世界における日本の存在を示すためにも、友好国を増やすこと②資源の何もない日本がこれからを生き抜くためにちゃんと商売ができる先を考えておくことの重要性国際協力の形としてマザーテレサ精神のように自分を犠牲にして誰かのためにやる精神は何にも比較ができないほど尊いことなのですが、国際協力が一国の存続をかけた先にあるものだと考える時、顔の見えない国益としてなんの利益ももたらさない国際協力ではなく、国が崩壊しないように戦略的に考え、国として動くことが必要なのです『国』としてあるべき顔の見える国際協力、そして内需拡大に繋がっていく国際協力はこれからの日本がどう生き残っていくのかどうかということに直結してくるのだと思います私の観点は『個人』であり、自分の性格上、人との付き合いもそうですがその先に何があるとからこうするといった戦略的な駆け引きは考えたことがないので、『国』というフレームの中にあってその利害を考察する国際協力策を理解することは、少し難しいところもありましたが、久しぶりに学生に気分に返ってとても楽しい講演会でした時に刺激のある話を聞くことは自分の中で忘れているもの、考えなくてはいけないことを呼び起こしてくれて有難いですこれは余談ですが、内海氏が選挙候補に立候補した時とある国では日本から多額のODA予算をつけてもらいその援助はその国の殆どを占めているにも関わらず、そのことは全く考えずにその国は彼の立候補に全く興味を示さず、彼の立候補を容認しなかったのだそうです逆に、その日本からの協力を有難く思っているアフリカのとある国では立候補を表明した翌日、大統領から直々に電話が掛ってきて『立候補を応援します自分達ができることを教えてください』と話があったようですその日本の国際協力の価値がはっきりわかる反応だったといいます折角いいことをしているのだから、そのいいことが自分の方にも返るように・・・それも国家間協力には大事なんですね素敵な夜を

携帯電話

2010-04-03 20:34:05 | 社会
現代の生活に今や必須アイテムとなっている携帯電話1人で1台以上を所有する人に会うことも珍しいことではありません携帯電話の恩恵、それは目まぐるしくあくせくと時間に追われる現代人の生活を快適なモノへと導いてくれていると最たるモノであるいっても過言ではありません携帯電話があるから緊急時に大事なメッセージを受けることができ、大切な人と場所を問わずリアルタイムで繋がることができるその絶対の安心感そして、携帯メール機能を利用して上手く口頭で伝えられなかった気持ちを文章に書いて相手に伝えることができたり、相手の時間を束縛することなく相手の都合がいい時に自分の気持ちを読んでもらえるという心地よさ私もどれだけたくさんの温かなメールをもらい励まされ、優しさをもらい、嬉しかったことか心に響いた嬉しいメールは全てプロテクトをかけています携帯電話と生活の密着性は誰もが認めることでしょうしかし、一方、携帯電話は快適さとともに時として、過剰な不安感を運ぶこともあると思いませんか先日何度かこんなことがありました事務的な用事で自分が同じメールを8名程、複数人宛てに送ったのですが、Aさんから自分宛てに返事がくるまでには数日かかりましたまた別の件で他の人がAさんと私を含めて複数宛てに同じメールを送った時には、Aさんからの返事はすぐ当初は『私が送ったメールを受信した時はきっと忙しいからかな』なんてたいして気に留めていなかったのですが、何回か同じことが起きた時『』と思いました何かが違う・・・内容は事務的なことを連絡事項として送っているだけなのに加え、Aさんに対して私は特別な感情を抱いているわけではないのですがなんとなく寂しくなりましたまたこんなこともありましたタティに連絡したいと思いお昼休みを待って電話をしたのに何故か繋がらない・・・ その時の不安感繋がるはずだと信じ切った先にあった繋がらない事実にドキドキしたのを覚えています結果的にその時、本人携帯を自宅に忘れてきたのだと後からわかりましたが、携帯電話があまりにも日常の生活の中で大きな存在になってしまい、時に携帯電話の向こう側にいる人の想いに対して敏感に反応するようになったような気がします安心感と不安感・・・何事も両極があるのですね何事においても依存しすぎずにいるのがいいのかもしれませんおやすみなさいませ

Base of the Pyramid

2010-03-06 01:49:02 | 社会
職場の最寄り駅の改札付近に自転車を横づけにして眼鏡をかけて、毎日雑誌を販売している若者がいます彼の手にする雑誌・・・それは『BIG ISSUE』という雑誌一度は買いたいと思っているのですが、朝の通勤ラッシュの人の波に押されその波に逆流するように彼の前で立ち止まることができずにいます更に彼は下を向いていて、その雑誌を握る手だけを高らかに上げているのでこちらをみていません彼らを支える『BIG ISSUE』、皆さんご存知ですか1991年にロンドンで初めて出版された雑誌ですこの雑誌が普通の書店に並んでいる雑誌と違うのは・・・この雑誌は自立をしたいホームレスの方だけが路上で販売できるモノなのです最初は出版元から無償提供で定価300円の雑誌を10冊もらい、路上で販売し、最初の10冊を完売したら3000円全て彼らの収入になりますその3000円を元にして次から雑誌を仕入れる時には、1冊につき140円で仕入れ、売れた160円が彼らの収入となるという仕組みになっているのです『貧困』からの自立・・・それは一辺倒な援助ではなく彼らが自らの力で立ち上がっていけるチャンスを創りだし、自らの道を切り拓いていけるための道標を示すことが大事なんですよね近年全世界的にも『社会還元』ではなく、『win-win』の関係から成り立つBOP(Base of the pyramid)ビジネスが注目されています『援助』ではなく世界で40億人いるという貧困者が自活する道を切り拓くのと同時に、企業にとってもビジネスとしてその機会を捉える、まさに理想的な構造なのです『win-win』ビジネスの源流と言われているのが、40年程前に最初にやり始めた『ヤクルト』だと言われています『ヤクルト』はフィリピンで事業を拡大するにあたり、考えたことそれは①『ヤクルト』は健康を導く飲み物である②『ヤクルト』は一本が手頃価格である-そこから、貧困者に飲んでもらいたい。その思いで、スラム街での販売を始めたのだそうですスラム街に突然外国人が販売に行くのでは現地の人達も一歩引いてしまうことを考え、スラム街に住む現地の人に『ヤクルト』についての講習をし『ヤクルトレディ』として販売員に雇いましたそれにより、信頼する隣のおばちゃんが販売しているということで現地の人は買うようになり、薬までは高価ででがでないけれど病気にならないように予防ドリンクとしてヤクルトは爆発的に売れていったのです結果的にはスラム街に『ヤクルトレディ』の雇用を創出し、現地の人に健康に導き、それと同時に企業自身もそこから利益がでるようになったのだといいます何という素晴らしい発想なのでしょう社会全体で前進していく気持ちが温かくなりましたそう思っていた矢先知り合いがレストランの前に並んだ『セットメニュー』を見て笑いながらいいました。『外に出していて乞食が食べたらどうするんでしょうね。』そして他の人は『途上国なんかで何かでプールなんか入ったら下痢になりそうだね。』『現地の生ものは絶対に口に入れられないよね。たとえ日本食でも。』とこれまた笑いながら話しているのが聞こえますそれらの心無い言葉にフツフツと怒りが沸いてきましたそしてこういうことを何も考えずにすぐ口に出す人がいることに悲しくなりました助け合ってお互いに寄り添って進んでいく社会もっと一人ひとりが真剣に考えていかないといけないと思いますおやすみなさいませ

透明人間

2010-02-08 12:26:57 | 社会
今日は一段と寒さが厳しくなりました皆さん体調は如何ですか最近はあまりに寒いので、私も毎朝の通勤、身を縮めてマフラー、コートを手放すことができなくなりましたでも、何もない人はどうするんだろう・・満員電車の中、体温で車内の温度が上あがり、くもっていくガラス越しに外を見ながらふと気になりました・・・今日もあの人はいるのだろうかと職場の最寄り駅の改札から、出口に上がる階段の下にいつも座っている人がいます。髭が伸び放題で、いつも上半身は赤のトレーナ、そして下は黒のジャージにスリッパ年は60を超えているという感じでしょうか。彼の周りには誰かの飲み残したコーヒー缶が3~5本、そして、誰かの吸い残した短いタバコが散らかっていますそして足を伸ばして座ったまま、こっくりこっくり居眠りをしている姿が毎日私がであう彼の姿ですその彼の周りを何もみていないかのように、通勤客が階段を上ったり、降りたり・・・私は毎日、毎日その人をみているのですが、彼がどうしてそういう生活で過ごしているのか、役所にどうしてサポートを申請しないのか気になっていますこんなに寒い中・・・風邪をひいたらどうするんだろう・・・誰にも気が付かれることなく、まるで透明人間のようにそこにいる、その存在・・・なんだか切なくなってきます彼にも両親がいるだろうし、彼にも関わりを持ってきた人がいたはず。どうして今になって、地下通路に生活をしているのだろうかふと13年前にインドに旅をした時に見た光景と重なりました空港をでるなり取り巻いきました無数の子供の手。『Give me some money』『I haven't eaten anything for few days』っと。私はどうすることできないまま、ただ一点に焦点を定め前をみてバス停まで歩きましたそして街の中へバスを走らせると更にたくさんの矛盾の中に生きる人たちの姿がみえてきました豪華な服を着て歩く若い人もいれば、粗末な服のまま路上に寝そべっている人、灼熱の暑さの中、素足で熱くなったアスファルトの上を歩く人その時にとめどなく流れてきた涙を今も覚えています。でも、職場について思いました。今日の通勤時間彼をみて感じた気持ちとインド社会を目の前に感じた気持ちが合致しているとでも、インドでみた人々と今日目の前に見た彼の決定的な違いそれは、インド社会でみた人々はカーストにおける特殊なハイアラキーと長い歴史の中にあるその社会構造の中でそのうような生活をしているけれど、日本は、誰にも自由があり誰にも自分もが自分の道に選択できるチャンスがある経済大国である日本加えて、憲法で『人間の尊厳』が守られているはず。つまり、彼がそのような状態をもしも好んでいないのならば、何かしらの別の生き方もチャンスとしてあるはずということですでも、実際に彼のような人をみると日本社会がなんだか少し歪んできてしまっているような気がしてなりません人として人を守る、視点が弱者にある。そんな『人間の尊厳』を守り続ける社会であって欲しいと思います彼が風邪を引かないでこの冬も乗り越えられますように