老いの坂道(パピー)

楽しい心で歳を取り、働きたいけど休み、喋りたいけど黙る。
そんな気持ちで送る趣味を中心に日々の一端を書き留めています。

読書日記 『ヨハネによる福音書』 新訳聖書より 

2011-09-16 | 読書日記

 

 聖書には福音書が四つあります。そのうちマタイ、マルコ、ルカによるもの(何れも読了)を共観福音書というそうですが、このヨハネによる福音書は少しそれらとは趣がちがうようです。歴史的なキリストの事実を述べながら、かなり教科書的な感じがします。終始「イエスが神の子であり、救い主れあること」を他の三つの福音書にくらべて、より強調しているようです。

 

(THE STUDY BIBLE 『聖書』 新共同訳 日本聖書協会発行。『ヨハネによる福音書』始まり部分)

 まず、冒頭の出だしが他の福音書とはちがって、難解で、深い淵を覗きこむような印象を受けました。

「初めに言(ことば)があった。言は神と共にあった。言は神であった。この言は、初めに神と共にあった。万物は言によって成った。成ったもので、言によらずに成ったものは何一つなかった。言の内に命があった。命は人間を照らす光であった。光は暗闇の中で輝いている。暗闇は光を理解しなかった。」というように、最初からかなり難解な出だしで始まります。

 解らなくってもいいんです。朗読を続けます。唯、聖書の注釈欄には、言(ことば)はギリシャ語[ロゴス]であって、理性や目的も意味すると記されています。さらにここでの言はイエス・キリストを指す。イエスは神からの全ての人へのメッセージを伝え、神の力と意志を明らかにする・・・とあります。ちなみに前期の記述の「言」を「イエス」に置き換えて読んでみるとなんとなくイメージとして浮かぶようですね。

 ストーリーは四つの福音書全てがほとんど同じです。当然でしょうね、イエスという偉大な人物のある意味のような物語ですから。この辺は次回の『イエスの生涯』読書日記に譲ります。

 では、この福音書のポイントについて纏めてみます。

 先ず,一つ目は、「イエスとは誰か?」を知るためのヒントを読む者に与えてくれるようです。イエスは自分をメシアと認め、命を与えるパン、生きた水の源、良い羊飼い、死者を命へとよみがえらせる者、まことのブドウの木である・・・と述べています。

 二つ目は、自分が神の子であることを証明するために、イエスが行った多くの奇跡(しるし)について語られています。例えば、水をワインに変え、湖で嵐を鎮め、飢えた群衆を養い、病人を癒し、死人を蘇らせる等です。これらは、イエスは自らが神の子であること、神がイエスを遣わした意図、つまり、すべての人に新しい命をもたらすことを示しているそうです。

 三つ目は、イエスの新しい教えに従う者たちと、律法の教えに忠実な者たち(ユダヤ教を信じる人達)との葛藤の場面が多く語られています。これらの場面でのイエスの対応には大いに興味を覚えました、と同時に面白いシーンでもあったようです。

(羊の親子、羊は聖書の中でたびたび出てくる家畜。神の民は羊に、それを導く人々、あるいはイエス自身が羊飼いにたとえられている。「わたしの羊の世話をしなさい」(21-16))

 

 さて、イエスの七つの奇跡とは下記のようなことです。

◆奇蹟1:カナでの婚礼で水をワインに

(カナの教会:水をワインに変える奇蹟を行った村に建てられた教会)

◆奇蹟2:役人の息子を癒す

◆奇蹟3:病人をいやす

◆奇蹟4:五千人に食べ物を与える

◆奇蹟5:湖の上を歩く

(イエスが湖の上を歩く奇蹟をはじめ、いろいろな奇蹟を起こしたガリラヤ湖付近の夕景色。)

◆奇蹟6:生まれつきの盲人をいやす

◆奇蹟7:ラザロを生き返らせる

 これらの奇蹟によって、イエスを友とみなすか、あるいは敵とみなすかに人々は分かれたのですが、イエスは普通の人々の苦しみや悲しみを全て自分が受け止め、苦しみそして自分の命を全ての人々に捧げる覚悟で、十字架の人となるのです。これらの奇蹟が事実だとはボクには未だ思う事が出来ません。しかし、、もしかしたら「事実」じゃないけど「真実」かもしれないな~といった感覚も少しはしています。そしてこの福音書は以下に続きます。

〇イエス、死への準備

〇弟子たちへの別れの準備

(シオンの丘にあるダビデ王の墓の2階に最後の晩餐(過越祭の食事)の部屋があるとのこと)

〇逮捕、審判、十字架上の死

(オリーブ山のふもとにあるゲッセマネはイエスがいつもの祈りの場所だった。最後の晩餐の後にイエスは弟子の裏切りにあい逮捕された)

 この死後三日目に、復活したイエス・キリストが、弟子たちの前に現れ「私に従いなさい」と言われてこの福音書は終ります。

 ここで、四つの福音書をなんとか音読終了出来たので、ここまでの復習と纏めを兼ねて、遠藤周作氏の『イエスの生涯』を再読したいと思います。

「新約聖書」の音読は次の物語『使徒言行録』に進みます。

**************************************************

 (追記)

 ボクの現状における個人的な思いですが。当時の多くの人々は、イエスに対しては単に病気を治してほしいとか、目を見えるようにしてほしいということしか期待していなかったのですね。でもイエス本人はそのような奇蹟は自分が神の子であることを信じて欲しいがためにしていたのです。自分が唱える「愛」や「許し」の精神を信じた生き方をしてほしいという信念が強く彼には存在していました。その辺のイエス自身の葛藤がこの福音書の中心課題だったのかな、と思っています。

 予定より倍近い時間を費やし読み終えた四つの福音書。物語のストーリーの概略は理解出来たと思っています。でも、内容的には未だ未だ理解の域に達していません。仏教国で生まれ育ったキリスト者でないボクが理解出来る範囲は非常に少ないだろうと思っていますが、続けて『使徒言行録』の音読に入りたいです。


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8 コメント

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興味はあるものの (狛犬)
2011-09-16 20:16:53
友人がクリスチャンです。
聖書は興味があるものの、かじった程度で、歯がたちません。
せいぜい伝記物や、聖書外伝物語などよむくらい。
もっと、洋書を読むために意味をしりたいのですが・・・
返信する
Unknown (パピー)
2011-09-16 20:37:18
狛犬さん、お元気ですか。

洋ものに触れるには、聖書の知識が必要ですね、ボクも美術館で洋画を観るのに必要性を感じたのが、きっかけでした。

入門書的なもの沢山ありますよね。

意味が判らなくても何度か読んでるうちに
少しずつ理解できるようになりますよ。

コメントありがとう。
返信する
聖書は。。。 ()
2011-09-17 08:33:59
私にはチョット手が出ない分野かも(^^;)
福音書の意味も分からず調べたらイエスの語
録・活動に関する伝承を編集し、まとめあげ
た文学書とありました。
こんな私ですから何とコメントしていいのさ
えも分からず仕舞いm(*- -*)mス・スイマセーン
でも、一時期“死”に対する恐怖から何冊も
の仏教に関する本を読みあさった事はありま
すです(^~^;)
あっ、またまた意味不明のコメだったら苦笑
して流してくださいです(--;)
返信する
Unknown (パピー)
2011-09-17 09:08:34
文学書です、物語なんだから、みんな
もっと気楽に読めば・・・と思います。
読む前から難解だと決めつけているん
だろうな~。
最初のもマタイの出だしがよくないの
だろうな。あんなの見たら誰だって引く
だろうな。
深く考えないで、物語としてストーリー
を追う気持ちで読めば興味が湧いてくる
かも・・・
仏教書よりは読みやすいのでは・・・
海さん、別段、読む必要はないですよ。
コメントありがとう。
返信する
すごいなぁ (naoko)
2011-09-20 01:16:57
読書家を尊敬します。
本を読もうとして色々買い込んでも
なかなか読破出来ません。
これが悩みです。
東海林さだおさんの本は持ち歩いていますが...
未だ,1編読んだ所です。
返信する
積読ですね (パピー)
2011-09-20 20:10:30
読もうと思って買いこんで積み重ねてある
この状態を積読とかいうとか・・・

読書好きな人には多い傾向らしいですよ。
10分、20分の細切れタイムの読書法を身に
つけるのが必要だそうですよ。

東海林さんの本なんか1編、10分位でしょう。
naokoさん、いろんなことされて忙しいからネ、
じっくりと読書を愉しみ時間は難しいかも・・
ですね。1日10分の読書タイムから出発go!

コメントありがとう。
返信する
おはようございます。 (子銀まま)
2011-09-22 05:46:13
尊敬します。

キリストのことは、子供の頃から興味はあったのですが、聖書は部分的にしか読んでいません。

読書は心の栄養と言われますが
本当にパピーさんは いっぱい いっぱい
栄養を、頭のあげているのですね。

私は、この頃文字が追えません。なぜでしょうかね。
絵ばかりです。

いつもありがとうございます。
返信する
絵が描けたらな~ (パピー)
2011-09-22 17:42:46
台風、恐怖の直撃だったようですね。
お見舞い申し上げます。

最近、読書ペースがダウン気味です。
特にブログあげようと思ったら流し読み
できないので余計です・・・。
だから、ボクの頭は今、栄養失調です。

絵が描けたらな~、何度かスケッチに挑戦
してみましたが駄目でした。立体感が出ない
致命傷ですね。

コメントありがとう。
返信する

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