老いの坂道(パピー)

楽しい心で歳を取り、働きたいけど休み、喋りたいけど黙る。
そんな気持ちで送る趣味を中心に日々の一端を書き留めています。

読書日記 『西の魔女が死んだ』 梨木果歩  

2011-10-01 | 読書日記

 

(『西の魔女が死んだ』梨木果歩 新潮文庫 2001年)

 あらすじはちょっと手抜きして出版社の紹介本参照で・・・

 「魔女が倒れた。もうダメみたい」中学3年になった少女まいに、突然の知らせが届く。おばあちゃんの家へ向かう車の中でママから聞かされたおばあちゃんの訃報。

 “魔女”とはママのママ、英国人の祖母のこと。ママとまいだけの呼び名だ。まいは2年前の日々へ想いを馳せる。

 中学校へ入学して間もないあの頃、学校へ行くのが苦痛になってしまったまいは、ママの提案で、西の魔女のもとで暮らすことになった。おばあちゃんの家系は魔女の血筋だと聞く。おばあちゃんのいう魔女とは、草木についての知恵や知識を代々受け継ぎ、物事の先を見通す不思議な能力を持つ人のこと。

 まいは自分も魔女になりたいと願い、魔女になるための修業を始める。“魔女修業”の始まりだ。おばあちゃんが課した修業とは、まいの予想に反し、早寝早起きし、食事をしっかりとり、よく運動をし、規則正しい生活をするという単純なこと。そしてもう一つ、「何事も自分で決める」ということだった。

 草原で野いちごを摘んでジャムをつくり、野菜やハーブを育て、昔ながらの知恵を活かす。それは、まいにとって、まったく新しい生活だった。風を受け、ふりそそぐ光を感じながら大自然の中で暮らす日々は、閉ざしていたまいの心を次第に解かしていく。

 しかし、近所に住む謎の男、ゲンジの言動が、まいの気持ちを逆なでし、心をかき乱す。どうしても彼を受け入れることが出来ないまいは、ゲンジに寛大に接するおばあちゃんがどうしても理解できない・・・。

 ついにある出来事がきっかけとなり、二人の心はわだかまりを残したまま、まいはおばあちゃんの家を去ることになってしまう。

 山を越え、森を抜け、あのなつかしい魔女の家を久々に訪れたまい、そこには魔女が、静かに横たわっていた。

 いつも包み込むような、よき理解者であったおばあちゃんとの、あの不本意な別れが最後だったと知り、後悔で押し潰されそうになるまい。しかし、彼女を救ったのは、いつかのおばあちゃんとの“約束”だった。

 「おばあちゃん、人は死んだらどうなるの?」「そうですね。おばあちゃんが信じていることを話しましょう。」

 まいは死んだ西の魔女から、最後のメッセージをうけとる・・・・。

 

 http://www.youtube.com/watch?v=rBmfRJPJR8Y

 ↑ 昨年、映画化された作品でご覧になった方も多いかも。ボクは知りませんでした。

 さて、ボクがこの作品を読んだ動機は、先日読んだ梨木さんの作品『家守綺譚』に彼女の不思議な魅力を感じ、是非他の作品も・・・ということで、たまたま2冊購入したうちの一冊でした。前作に比べて比較的現実色が強く、主人公が中学生の少女だったからか共感すべき内容は特に持たなかったという意味で期待外れの作品でした。どちらかというと童話的で寓話的な内容です。梨木さんは童話作家の出身だったと思います。中高生くらいとか感受性の高い人には楽しめるかもしれませんね、そうでない人にはちょっと不思議なお話ぐらいのものでしょうか。

 これでは梨木さんには申し訳ないので、見方を変えてひと言。

  梨木さんの親子関係論でしょうか・・・親は愛する子供をいつまでも自分の羽の下に抱いているわけにはいかないよ。やがて飛び立つ日を目指し、荒海を渡る力を持てるように子供を打ち鍛えなければならない。それが真の親の愛であり子育ての大切な課題ではないだろうか。そして子供がこの親の深い愛に気が付いた時、注がれた親の愛が、その子供の本当の生きる力となってくれるのではないだろうか!。これが本作品の一つのテーマではないでしょうか。

 一冊の本も、見方を変えれば読み人にとって良書であったり凡書であったりするのでしょうね・・・

 それから、この作品を読みながら気になっていたのが、実にいろんな花樹が登場することです。それは前作の『家守綺譚』でもそうでした。梨木さんは花や樹に対して強い思い入れをお持ちなんだろうと気付き、出てくるそれらをピックアップしてその一部を写真で紹介しておきましょう。(これを探すのに時間がかかったんです)

 (イタドリ)

 (カヤツリ草)

 (ギシギシ)

 (キュウリ草)

 

  (キンレンカ)

 (クサノオ)

 (スノードロップ)

(セージ)

 (ラベンダー)

 (リンドウ)

 (金木犀)

 (銀龍草)

 (月桂樹)

(榛の木)

 (泰山木の花)

 (勿忘草)

 (野アザミ)

以上、全てではありません。最後までありがとうございます。

 

 

 

 

 

 


コメント (15)    この記事についてブログを書く
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15 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんばんは (ミケ)
2011-10-01 21:32:56
昨日はご来店とブログご訪問
ありがとうございました。

パピーさんのブログ、素敵な雰囲気で癒されます(^-^)

『西の魔女が死んだ』は、映画の予告編を目にして興味を持っていた作品でしたが、
機会を逸したまま、頭の中から消えかけていました。
あらすじを知ることができて、嬉しいです。

『家守綺譚』の読書日記も拝見して、こちらのほうが興味深くなりました。
ぜひ、読んでみます。
返信する
いらっしゃい (パピー)
2011-10-01 22:23:38
昨日はごちそうさまでした。

もう一つのブログは少々専門的すぎて
パピーには理解不能な箇所が多いです。

でも、ミケちゃん(呼び方はこれでいい
ですか?)のライダー姿がちょっと覗けて
愉しかったです。怪我しなようにね。

本は確かに『家守綺譚』の方がお薦め
でしょうね。読んでブログにUPして下さい。

コメントありがとう。
返信する
はい、気をつけます。 (ミケ)
2011-10-01 23:40:18
ありがとうございます。
ミケちゃんでお願いします。

もう一つのブログはマニアック度が高いので、
写真だけでも愉しんでいただけてよかったです。
いつもご心配ありがとうございます。

まず『家守綺譚』
気長にお待ちいただければ・・・
読み終えたらブログにUPします(^^)
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Unknown (zuzu)
2011-10-02 07:23:36
この本、読んだことはないけど、映画化された時ローソンでタイアップした花の種をもらってきたことがあります。

http://blog.livedoor.jp/zuzuworld/archives/51273342.html

映画でお祖母さん役をやった女優さんは日本でのタレント活動経験もあるそうです。
返信する
おはよぅ♪ ()
2011-10-02 09:47:58
いやぁ~、本当に知層が少ない私は西の魔女
と聞くと「オズの魔法使い」が最初に頭の中
に浮かんできますです^^;
今回のパピーさんの記事で初めて本や映画の
事を知りました…お恥ずかしい--;
でも、私もこの本の植物には興味が・・・
特に銀龍草の花に興味深々です^^v
って、いつも的のハズレなコメで済みません
m--m
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映画化2008年ですね (パピー)
2011-10-02 10:31:29
zuzuさん、おはよう。

貴女のコメントで映画化されたのは2008年
ということ知りました。ボクは本文で昨年
と書いたけど、間違いですね。

映画化されたという話をブログでお聞きして
おばあさん役が誰がしたのかな、と思って
お聞きしたらボクの知らない人でした(笑)

コメントありがとう
返信する
銀龍草 (パピー)
2011-10-02 10:47:54
海さん、おはよう。

世の中には実に沢山の本が出版されてるん
だから知らない本があっても結構ですよ。
ましてこの本、中高の女生徒にはおおうけ
だろうけど、海さんのようなお〇さんには
・・・(〇中適当に入れて下さい)

銀龍草、ボクも初めてです。大きい写真は ↓

http://kusabanaph.web.fc2.com/sakuin/name_index.html

よかった。今回の読書日記はコメントに困る
内容だったので、お花を沢山入れました。
効果あって嬉しいです。

コメントありがとう
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ありがとう  (リン)
2011-10-02 16:58:27
感慨深い お話でした。 ありがとう。

花や樹!綺麗です。ご苦労様です。

もっと、私に 文章が出来たら、感想言えるのに・・・
返信する
いらっしゃい、リンさん (パピー)
2011-10-02 19:15:41
こんばんは。
涼しくなったね。秋も深まるのでしょうか。

パピーのブログ、訪問いただきありがとう。
文章は気にしなくていいですから
また、寄って下さいね。

コメントありがとう
返信する
この本 (狛犬)
2011-10-03 13:44:54
この本は是非読みたいと思っている一冊。
記事を読んで、ますますよみたくなりました。
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