『晋三よ!国滅ぼしたもうことなかれ』
~傘張り浪人人生決起する~
亀井静香 メディア・パル 2014/11/29
<小学校3年生のときに迎えた敗戦のショック>
・吉田茂や岸信介は小さな抵抗はしたかもしれないが、大きな流れでいえば従米路線を進め、それが自民党、つまり日本の政治の主流となっていったんだ。
<交渉は相手の力を利用して制す合気道の極意で>
・ただ、集団的自衛権はまずかった。
世論の大方の反対を押し切って、閣議決定で変更することをやってしまったことも。開けてはならないパンドラの箱をいじってしまったんだな。
「実際問題、集団的自衛権が使えるか」って晋三に問い質したが、
彼はただ黙って聞いていた。
使えるわけがないのだ。ダメだと話をしたが、本人も今になって「しまった」と思っているんじゃないかな。
TPPは、大企業含めてそれで得する連中もいるが、集団的自衛権の問題は、カネではなく命の問題であり、日本の平和と秩序の問題だ。
<純ちゃんの改革を総括する>
<「政治の従米化」「マスコミの洗脳」「国民の劣化」>
・この章の目的は、俺のほんとうの意味での敵が外来種の新自由主義であることと、その新自由主義の出鱈目な正体を明らかにすることだ。そのためには、どうしても純ちゃんの改革について語らないわけにはいかんだろ。
あれから10年、郵政民営化とは結局なんだったのかって考えると、「政治の従米化」「マスコミの洗脳」「国民の劣化」を痛感するね。
政治家は国民のための政治をするのではなく、それを権力におもねったマスコミが情報操作、アレンジして伝え、一方、国民も痛みを痛みとも感じず生体反応を起こさないほど劣化した。それが今も続き、ますます悪くなっている感じだ。
あのとき純ちゃんは「官から民へ」とか、「改革なくして成長なし」ともっともらしいことを言っていたね。「痛みなくして改革なし」とも言ったが、結局、ほとんどの人に「痛みだけあって改革なし」だったってことだ。
・聖域なき改革とか三位一体の改革とか、改革が素晴らしいもののように思わせ、マスコミもそう誘導した。彼らのバックには、郵政民営化で得する大スポンサーがいたから当然だろう。
郵政民営化だけを争点に、衆議院を解散して選挙に臨んだのは狂気の沙汰だった。法案が参議院で否決されたからといって、衆議院を解散するというのは憲法違反の暴挙だな。民主主義を冒涜する以外の何物でもなかった。自民党内でも多くの人が反対していたが、党執行部は彼らを脅したりあやしたりして鞍替えさせていた。
俺は郵政民営化が明らかにアメリカからの年次改革要望書(日本の弱体化を狙う勢力や、郵政の財産を狙ったアメリカの保険や金融資本の意図した)に沿ったものであると承知していたので、徹底的に反対した。
・郵便にしても、簡保にしても、郵貯にしても、あるいは、それ以外のサービスを含め、郵便局は地域に密着したコミュニティーの拠点だから潰すわけにはいかないんだ。日本の重要な社会基盤の一つなんだが、やつらはそれを壊そうとした。
要は「官から民へ」ということを、十把一絡げでやるのはあまりにも単純過ぎるということ。
「改革」にしたって中身が問題ってことだよ。
<結果は「働けど働けど我が暮らしよくならず」>
・この10年、改革によって日本がよくなったと思っている人はほとんどいないだろう。いるとしても1パーセントのカネを握っている連中だけだろうな。あとの99パーセントの人々の生活はますます苦しくなって、全然いいことないと感じているのではないか。
つまり、その改革が国民のためではなく、自分たちに都合のいい、つまりバックにいる新自由主義のグローバリストたちに都合がいいものだったってことだ。日本の財産が掠め取られ、「働けど働けど我が暮らしよくならず」という風になってしまった。その、日本人の富を吸い上げる仕組みが、この10年でつくられてしまったんだ。
<我が反骨と抵抗の半世紀>
・カネがないからアパートにも住めない。それで、東大・本郷のキャンパス内にある合気道部の道場『七徳堂』の隅に布団とミカン箱を持ち込んだ。俺は合気道のヌシだったからできたんだ。
全日本学生合気道連盟を俺はつくって委員長だった。東大の合気道部を同好会から部にしたのも俺だ。副委員長が大平(正芳元首相)さんの息子だった。彼は慶応の合気道部のキャプテンで金持ちだから、飲んだら全部払ってくれた。
家から仕送りをしてもらうわけにもいかない。飯が食えない。仕方がないからアルバイトを見付けるしかなかった。石油モーターの消費実験をするアルバイトを見付けてきた。夜間のアルバイトもやって、朝方に帰ってきて、勉強を始めたんだ。
<嵐を呼ぶ警察官時代>
<自治省のおごりでピンサロ三昧>
・あまりにやることが派手だったから亀井対策として、後に新党さきがけの代表となる武村正義が自治省から地方課長として埼玉に送られてきたくらいだ。
で、夕方5時くらいになると、「亀ちゃん、行こう、行こう」とハイヤーを待たせて誘いにくる。俺も嫌いじゃないから、ピンクサロンなんかへ1軒、2軒と付き合ってやった。
ところがあいつは、「亀ちゃん、もう一軒行こう」って誘うんだ。仕方がないから付いて行ってやったけどね。
あいつが村山政権で大蔵大臣をしているとき、大蔵官僚のノーパンしゃぶしゃぶ接待疑惑が持ち上がったんだよな。あいつが彼らを、「首にする」と言い出したから、「何言っているんだ。おまえだって、遊びまくったじゃないか」と脅すと、「昔のことは言わないでくれ、言わないでくれ」って懇願してきた。
結局、懲戒処分にするのを諦めて処分保留にしてたな。
<社会のゴミをなくすために国会を目指す>
<誰にも相談しないで出馬を決意>
・いくら警察で頑張っても所詮、社会のゴミ掃除だ。社会のゴミを出さないようにするしかない。そんな考えで政治家になろうとした。
<晋三の親父さんから「帰ってこい」と言われ>
・代議士となり、自民党では清和会に入った。俺を推挙してくれた永山先生の流れからだ。当時は晋三の父晋太郎さんが派閥の長で安倍派と呼ばれていた。
実は一度、清和会(安倍派)を除名処分になっている。
<政権内でも暴れまくり>
<今でもスチュワーデスに礼を言われる俺>
・村山政権が誕生して、野坂さんが俺に、「組閣では、好きな大臣を選んでくれ」と言ってきた。俺も久し振りに日の当たるところでやれるんだなあ。よかったわいと思って涙が出たよ。そして運輸大臣になったんだ。
・「ダメだ。俺は認めない。日航に取り消させろ。スチュワーデスは、お茶汲みじゃない。あれは重要な安全要員なんだ。同じキャビンで同じ仕事をしているのに待遇が全然違う。更に、安く使おうというのか。そんなことでコスト削減を図ろうなんてとんでもない話だ。ただちにやめさせろ」と指示した。
・どの会社でも試用期間っていうのはあるから、3年間は試用期間。アルバイトじゃない。3年経ったら無条件で正社員にする。事故のときは正社員並みに扱うという文言を、自ら書いたんだ。給料も2倍以上に引き上げた。
「これは最終案だぞ。文句があるなら辞めろ」と通達したんだ。今でも、国際線や国内線に乗っていて、年配のスチュワーデスから、
「私は、先生のおかげでアルバイトからスチュワーデスになれて、今は責任者の立場で働いています」と何人も礼を言うんだよ。スチュワーデス神社ができたって言われるくらい、俺は救いの神になったんだ。
<ハワイでゴルフをしながら2兆8000億円の財源確保>
・俺がハワイでゴルフをしていたわずか10日ほどで、223事業を中止にし、2兆8000億円くらいをカットしたのだ。
結果、2兆8000億円の財源をつくったわけだ。財源づくりまでこっちはしてやったんだから、大蔵省がガタガタ言うことではない。そして、建設省、農林省に必要と思われる新規事業をバーンと付けた。
<自衛隊全軍をすぐ福島に派遣しろ!>
・「どのくらいだ」
「8000名の陸上自衛隊を派遣しました」
「おまえ、何を言っているんだ。こういうときに頼りになるのは、自衛隊と警察と消防だぞ。特に自衛隊だ。陸海空を全部派遣しろ。全指揮を統幕議長にとらせろ」と命じたのだ。その後、菅に、「副総理をやってくれ」と2時間近く口説かれた。菅は、俺が一応剛腕だというイメージがあるから、それを副総理にすることで格好付けようとしたんだ。
<真の敵は外来種の新自由主義>
<人類は文明から大反逆を受けている>
・自然環境だけじゃない。人間社会でも異常が常態化し、人々の心も文明から反逆を受けている。原発事故や公害、あるいは薬害問題など、人々の命を脅かすことが頻発している。
<人々の幸福や生命までも奪われていく>
・彼らは国を超え自由に経済活動をすることで人類の繁栄をもたらすと考えているようだ。「グローバリズム」(世界主義)とも呼ばれているが、要は自分たちが独占したいだけ。自分たちの価値観やルールを「グローバルスタンダード」とか言って世界中に押し付け、自己の止まるところを知らない欲望を、ただ満足させようとしている連中である。
<日本人よ、洗脳から目を覚まして立ち上がれ>
・そんな新自由主義的なグローバリズムに対して、「冗談じゃない!」と声を上げる人々が現れた。何が正しくて何が間違っているかを自己判断でき、行動できる人たちだな。
お膝元のアメリカでもヨーロッパでも。またアジアの国々でも新自由主義的なグローバリズムに対して、デモや言論による抵抗と反発の動きが起こり始めている。
<外来種の思想ではなく土俗の政治が日本を救う>
<地方再生は農漁業がカギ>
<日本人の根っこは農漁村にあるんだ>
・そこにTPP(環太平洋パートナーシップ協定)でしょ。TPPは新自由主義の典型的な政策。日本の農家が大打撃を受けるのは明らか。関税が撤廃された、安い米やら野菜、果物が大量に入ってきたら、間違いなく壊滅する。アメリカやオーストラリア、ニュージーランドといった農業大国と戦ったら、中小零細の日本の農業なんかあっという間に木端微塵だ。
今でも食料自給率は40パーセントだが、TPPでは10パーセント台になると言われている。文明の反逆を受ける現在、天候不順などで日本に食料が入ってこないと、餓死者が続出することだってあり得るんだ。俺は、農業は森の番人、漁業は水の番人として大切に守らなければならないと言ってきた。これらの風景は日本人にとって心の原風景だけでなく命の支えでもあるんだよ。
農業と漁業は食糧安全保障の要。それを価格で勝負が決まる自由競争の場に出すということ自体、そもそも考えが間違っている。
<狙われた農協と農業潰しの背景にある意図>
・食べるものがなければ、いくら最新の車や電化製品があっても生きていけない。日本にとって大事なのは、TPPで輸出を促進したり安い農作物を輸入したりするのではなく、日本の農業を立て直すことだ。
<アベノミクスは絵空事だ>
<所信表明演説から消えたアベノミクス>
・今まで、わかっていても書かなかったが、各週刊誌もいろいろ書き始めている。隠し子騒動の話まで飛び出した。上り調子のときには書けなくても、今なら大丈夫というところだろう。見るに敏というか、マスコミもいい加減なものだ。
<晋三に注意した、博打場となった株式市場>
・だから俺は総理に直接電話でも言ってやった。
「なあ晋三、今、兜町はどうなっていると思ってる。近頃の株式市場は産業資金を調達する場ではなく、ただの博打場になっているじゃねえか」
それに対して信三から特に否定する言葉は返ってこなかった。だから心のどこかでそう思っているのかもしれないな。
<株価が上がれば景気がよくなるというのは嘘>
・アベノミクス実施後、株価は上昇し、兜町界隈の懐は暖かいかもしれないが、それ以外の場所で景気がいいという話はほとんど聞かない。むしろ、寂れて荒廃しているのが今の姿なんだよ。
<今の日本では円安はマイナス要因だ>
・現在の日本の産業構造では、円安というのは、日本人が一所懸命つくっているものを外国に安売りしていることに他ならない。
円高対策で数兆円程度の為替介入をしたところでその効果は一時的だ。逆に投機的な動きがある中、「虚の世界」にもてあそばれるだけ。ここでも、まさにグローバルな資金を使った外資たちが、儲けている。
もちろん為替を安定的に推移させるためにはいろいろな施策をやらなければならない。だが、実体経済を伴わず、ただ日銀がカネを出しまくって円安に持っていくというのは通貨の価値が下がるだけだ。
<アベノミクスは日本を叩き売っている>
・アベノミクスは円安で日本売りを図る政策だが、バナナの叩き売りみたいもの。日本の財産を投げうっているというもんだ。
<黒田の馬鹿たれは欲求不満を爆発させている>
・黒田は財務省では本流から外れていたんだよ。欲求不満が溜まっていたのかもしれないね。いずれにせよ中央銀行の立ち位置を踏み出し、政治的な動きになっている。これは、日銀の独立性を尊重した従来の日銀総裁はやらなかったことだ。前任の白川だって「この石頭!」と言われながらも、一応かたくなに守っていた。
とにかく日本は、アベノミクスの下、国を挙げてマネーゲームに走っているんだよ。
・実体経済は小泉改革以降、ガタガタになっているから、使い道のないカネが結局、兜町に流れたってことだ。日銀の通貨政策で実体経済が上向くというのは、今の日本では絶対に不可能なこと。そんなの現場を見れば馬鹿でもわかる。
<2本目の矢も結局空振っている>
・2本目の矢もひどいんだよ。
アベノミクスの2本目の矢は、「機動的な財政出動」ということになっているが、空振っているな。これも、晋三とそのブレーンが全く日本の現状を見ないで、外国で聞きかじった経済政策をやった結果だろう。
<ドブに向かって跳ぶ矢もある>
・「総理、地方のニーズに合わせた予算を組んで、実際に執行されるような政策をしないと、絵に描いた餅になるぞ」これも晋三に直接言ったことだ。
何千億、何兆円の予算を組んでも、地域の経済が活性化していく、地場産業が元気になるような具体的な手当てをしないと、スーパーゼネコン向けのムダな公共事業に終わって、カネをドブに捨てるようなものになっちまうよ。
<晋三を操る新自由主義者どもの大罪>
<真空地帯にすーっと入ってきた竹中平蔵>
・本当は成長戦略こそもっとも重要なものだが、結局1本目と2本目でカネをばら撒き、株価、物価、消費税は上がり、景気は後退したわけだが、一部の連中だけが潤ったということだ。
実は、総理は経済に関してはあまり得意じゃない。だから取り巻き連中はやりたい放題。人がいいから任せたという感じだろうが、国民にとってはたまったものではないな。
だから、始末が悪いことに、小泉改革以来、日本をさんざん混乱させた新自由主義的な政策が始まった。「改革」というまやかしだ。
<やつらの規制緩和で日本はガタガタ>
・日本人が得られるべき富が吸い取られ、ますます庶民の生活が苦しくなってしまった。給料も物価も売上も上がらないというデフレスパイラルに陥ってしまったんだ。
<新自由主義政策で産業の空洞化が進む>
・新自由主義的経済政策では大企業に有利だが、その大企業だって当時は業績低迷で必死だったから、下請け孫請けのケアどころではなかった。
<働く人の懐から掠め取った恥ずべき利益>
・そんな外来種の新自由主義に牛耳られつつある今の日本。そこで大企業がやっていることは、非正規社員をどんどん増やして安い労働力を確保し、会社の利益を上げていくというものだ。その利益を社員に還元するのではなく、株主の配当に重点を置いている。
<弱い者いじめの税制・年金・社会保障>
<大儲けの企業からは取らずに庶民から取る>
・現在、日本の企業は全体で300兆円以上の、過去最大の内部留保を貯めている。従業員の懐に入ったり、下請け孫請けに回ったりする分を取って貯めた結果だ。今、そこに法人税減税をやると総理自身が言っている。
結局、税制においても強者から取らないで一般庶民から取るべく、消費税という形で担税させた。しかも更に10パーセントにするという。
<弱い者いじめを批判しないマスコミたち>
・社会保障政策だってことごとく弱いものいじめだ。
介護だって、医療だって、現政府が進めているのは、全部、お年寄りや弱者に対しての負担増だ。大病院に行く場合には、紹介状がなければ初診料を全額自己負担という話も出ている。カネのないやつは病院に行くなという感じだな。
介護保険にしたって、年金だって受給年齢や受給期間の条件をやたらと厳しくしている。
<社会保障に明るいはずの晋三だが>
・重要なのは、その年金の基本理念だ、国民の信用を取り戻す努力とともに、個々の意識改革も大切。
例えば、年金の必要のない金持ちまで、もらえるものはもらわなければ損だというのでは、いくら納付率を上げようが税収を増やそうがムダなんだよ。富裕層への支給は控える制度設計にしなくてはね。
いずれにしても超少子高齢化社会を迎える以上、今のままでは持続は不可能になるし、世代間での負担の格差が広がるばかりで若い人には希望が持てなくなる。だから年金だけでなく社会保障制度全体の抜本的な改革が必要なんだ。
晋三も、俺が自民党政調会長のときに社会部会長をやっていたから、そういう社会保障問題でついては詳しいはずなんだが、弱者をいじめて、反対に富裕層への恩恵ばかり助長するようなことをやっている。
・この調子では日本はどんどん新自由主義的な、強きを助け弱きを挫く政策に染まってしまう。
『世界を見る目が変わる50の事実』
ジェシカ・ウィリアムズ 草思社 2005/4/28
<50の事実>
1.日本女性の平均寿命は84歳、ボツワナ人の平均寿命は39歳
2.肥満の人の3人に1人は発展途上国に住んでいる
3.先進国で最も妊娠率が高いのは、米国と英国の10代
4.中国では4400万人の女性が行方不明
5.ブラジルには軍人よりも化粧品の訪問販売員のほうがたくさんいる
6.世界の死刑執行の81%はわずか3カ国に集中している。中国、イラン、米国である
7.英国のスーパーマーケットは政府よりも多くの個人情報をもっている
8.EUの牛は一頭につき1日2.5ドルの助成金を受け取る。年額にすると世界旅行が可能だ
9.70カ国以上で同性愛は違法、9カ国で死刑になる
10.世界の5人に1人は1日1ドル未満で暮らしている
11.ロシアで家庭内暴力のために殺される女性は、毎年1万2000人を超える
12.2001年、何らかの形成外科手術を受けたアメリカ人は1320万人
13.地雷によって、毎時間1人は死傷している
14.インドでは4400万人の児童が働かされている
15.先進国の国民は年間に7キロの食品添加物を食べている
16.タイガー・ウッズが帽子をかぶって得るスポンサー料は、1日当たり5万5000ドル。その帽子を作る工場労働者の年収分の38年分
17.米国で摂食障害を患っている女性は700万人、男性は100万人
18.英国の15歳の半数はドラッグ体験済み。4分の1は喫煙常習者
19.ワシントンDCで働くロビイストは6万7000人。連邦議員1人に対し125人
20.自動車は毎分、2人を殺している
21.1977年以降、北米の中絶病院では8万件近い暴力事件や騒乱が起きている
22.マグナルドの黄色いアーチがわかる人は88%。キリスト教の十字架はたった54%
23.ケニアでは家計の3分の1が賄賂に使われる
24.世界の違法ドラッグの市場規模は4000億円ドル。製薬市場とほぼ同じ
25.アメリカ人の3人に1人は、エイリアンがすでに地球に来たと信じている
26.拷問は150カ国以上で行われている
27.世界では7人に1人が日々飢えている
28.今日の米国に生まれる黒人新生児の3人の1人は刑務所に送られる
29.世界で3人に1人は戦時下に暮らしている
30.2040年に原油は枯渇するかもしれない
31.世界の喫煙者の82%は発展途上国の国民
32.世界の人口の70%以上は電話を使ったことがない
33.近年の武力紛争の4分の1は天然資源がらみ
34.アフリカのHIV陽性患者は約3000万人
35.毎年、10の言語が消滅している
36.武力紛争による死者よりも自殺者のほうが多い
37.米国で、銃を持って登校し退学になる生徒の数は、平均して週に88人
38.世界には「良心の囚人」が少なくとも30万人いる
39.毎年、200万人の女性が性器切除される
40.世界中の紛争地帯で戦う子供兵は30万人
41.英国では総選挙の投票者数よりも、テレビ番組でアイドル選びに投票した人のほうが多い
42.米国のポルノ産業の規模は年間100億円ドル。海外援助額と同じである
43.2003年、米国の防衛費は約3960億ドル。「ならず者国家」7カ国の防衛費総計の33倍
44.世界にはいまも2700万人の奴隷がいる
45.アメリカ人が捨てるプラスチック・ボトルは1時間に250万本。並べると、3週間分で月に達する
46.ロンドンの住民は、監視カメラで1日300回撮影される
47.毎年、西欧向けに人身売買される女性は12万人
48.英国で売られるニュージーランド産キウイは、その重量の5倍の温室効果ガスを排出している
49.米国は国連に10億ドル以上の未払い金がある
50.貧困家庭の子供たちは、富裕家庭の子供たちに比べて、3倍も精神病にかかりやすい
<「50の事実」に何ができるか>
・読み進めていくうちに、いくつかのことが明らかになるだろう。何より、世界を取り巻く問題の多くは、富める先進国と貧しい途上国との、醜い不平等に起因していることだ。
<私は、これら50の事実が世界を変えると確信している。>
・「思いやりがあり、行動力のある人々は、たとえ少人数でも世界を変えられる――それを決して疑ってはなりません。実際、それだけがこれまで世界を変えてきたのですから」
<中国では4400万人の女性が行方不明>
・2002年10月、中国の新華通信社は最新の国勢調査を発表した。それによると、2000年には女児100人に対し、男児は116.8人生まれていた。そこには、かすかだがはっきりと警告の響きが感じられた。過去2回の国勢調査と比べても、この男女比は拡大している。『上海スター』 紙は、こうした傾向が続けば、約500万人の中国人男性が結婚相手を見つけられなくなると伝えた。そうなれば、家庭、経済、社会的サービスにも問題が生じるだろう。ある専門家は、自暴自棄になった男性による女性の誘拐が増えるとさえ警告している。
・この不均衡は、中国やインドをはじめ、東アジアや南アジアにおいて男の子を望む傾向が強いために生じた。女の子を望まない親たちは、性別診断で胎児が女児とわかると、中絶に走る。実際に生まれても、女児の多くは生後数日から数週間で殺されてしまう。親たちはそれを自然死に見せかけるために、手を尽くして警察や衛生当局の目を欺く。幸いにも生き延びた女児も、出生届は出されない。その結果、教育や福祉ばかりか、充分な食事さえ与えられない日陰の生涯を歩む。
・インド、中国、台湾の出生率は着実に下がりつづけて西欧並みになりつつあるが、それでも女児への偏見は根強い。
・出生登録をされない子供たちには、どんな運命が待ち受けているのか?法律的には、彼らは存在を認められていない。だから学校に行くこともできず、公的機関の診療も受けられない。彼らの生活条件は、ひどく限られている。
<アメリカ人の3人に1人は、エイリアンがすでに地球に来たと信じている>
・30%の人々が「これまでに報告されている未確認飛行物体の一部は、他の文明からやってきた本物の宇宙船」だと答えており、45%のアメリカ人が地球外知的生命体はすでに地球に訪れていると回答している。
・実際、軍の発表と目撃者の言い分には食い違いがあった。エイリアンの死体が、いまやすっかり有名になったロズウェル空軍基地の「エリア51」に運びこまれるのを見たという人々もいる。1994年には、「エイリアン検死」の様子であるとのふれこみの怪しげなビデオも出回った。
『世界を見る目が変わる50の事実』
ジェシカ・ウィリアムズ 草思社 2005/4/28
<70カ国以上で同性愛は違法、9カ国で死刑になる>
・同性愛が死刑の対象になる国が9カ国ある。モーリタニア、スーダン、アフガニスタン、パキスタン、チェチェン共和国、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE),そしてイエメンである。
・1979年のイランにおけるイスラム革命以来、4000人以上の同性愛者が処刑されたと推計されている。
・世界で70カ国以上がレズビアン、ゲイ、同性愛者、あるいは性倒錯者を差別する法律を有している。
・社会においては同性愛は「病気」として扱われ、ゲイやレズビアンは精神医療による「治療」を強いられてきた。
・しかし、多くの国々で事態は変わりつつある。2003年6月、米最高裁判所は、同性カップルの性的行為を禁じるテキサス州法に違憲判決を下した。この判決は、テキサスだけでなく、他の13州における類似の法律を一挙に無効にすることになった。
・さらに同性愛のカップルも異性愛のカップルと同じように子供を育て、家族の絆を持ち、結婚に関する判断を下すことができるとした。これらは米国憲法に保障された権利と確認したのである。
・米国市民自由連合はこの判決を「LGBT(レズビアン、ゲイ、両性愛者、性倒錯者)にとって、これまでで最も有意義な判例」と呼んだ。
・国際人権団体も同性愛を公言する人々の保護を求める働きかけで注目を集めており、おそらくはそれがまた保護手段になっているだろう。
『国家の実力』 危機管理能力のない国は滅びる
佐々淳行・渡部昇一 致知出版社 H23/6/30
<中国に対抗するための「核シェアリング」という発想>
(佐々)アメリカは日本のために核戦争はやりません。ただ、ちょっと心配なのはアングロサクソンというのは撤退するときに、焼土作戦をやって引き揚げていくのです。物を残さないで破壊してしまう。だから、日中を軍事的に破壊することはあり得ないけれど、経済的、政治的に破壊していくケースは考えられなくないんです。中国の一部になられたら困るわけですからね。
(渡部)日本には「核シェアリング」という発想が重要だと思うんです。そうすると中国と戦争は起きない。にらみ合っているうちに向こうはひっくり返りますよ。中国が総選挙のできるような国になれば、戦争の危険はあまりなくなるわけだから、それまで日本は核シェアリングをしたいというようなことをアメリカに対して表明すればいい。
(佐々)ただ、今は運の悪いことに原発事故が起き、国内で反核ムードが高まっていますからね。まず国内を説得しなければなりません。核シェアリング論にとって、これはとても困った状況ですね。
<警察官不足で危機に瀕している国内の治安>
(佐々)「ポリティコ・ミリタリー」や「ポリティコ・エコノミー」や「ポリティコ・ファイナンス」を唱えて研究する人は、いるのですが、「ポリティコ・ミリタリー」をやる人はいません。ましてや治安、防衛、外交の三点セットをすべて学んだ人はほとんどいない。私は、たまたまそれを学ぶことになったわけですね。だから、次の総理には治安、防衛、外交をやってくれる人になってほしい。今の内閣は、正反対です。「治安、防衛、外交だけはやらない」という人たちの集まりですから。
(佐々)私が、警察に入ったころから警察庁が言っているのは、人口5百人あたり警察官一人が必要である、と。人口が1億なら20万人の警察官が必要だと言っているのですが、なかなか実現しない。
・この間の1万人の増員が完成して5百5人に1人。
・しかし、諸外国と比較してみると、イタリアはカラビニエリという警察騎兵隊を入れると272人に1人の割合で日本の倍以上になっています。それから、アメリカは353人に1人。イギリスが366人に1人、ドイツとフランスがそれぞれ314人と286人です。ところが埼玉県などは現在でも639人に1人です。
・だから被害者が警察に助けを求めていたのに、警察は忙しいものだから「恋愛沙汰には民事不介入の原則で手を出せない」なんて言って放っておいたら、それで被害者が殺されてしまいました。あの時は、ごうごうたる非難を浴びたけれど、本当に人がいなかったんです。
しかも、定員を増やさないまま、どんどん仕事が増えました。また、コンピュータ犯罪が出たり、愉快犯が出たり、犯罪の種類もどんどん広がっています。
<小泉純一郎元総理の知られざる功績>
(佐々)小泉さんは2回目の自民党総裁選の立会演説会で「空き交番をゼロにする」と言いました。そして、実際に1万人の警察官増員をして平成19(2007)年までに空き交番はなくなったのです。これはすごいと思いました。
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