酔いどれ烏の夢物語

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酔いどれ烏の夢物語 僕と悪魔

2023-05-13 11:49:56 | ポエム

      

     僕と悪魔

昼下がりの公園 何時もの風景

休日の何気ない日常 そこにいる人々

楽しそうな家族連れ 微笑ましい姿

けれどその笑顔の向こうには

いくつもの苦しみと悲しみがあったのだろう

皆それを乗り越えて 逞しく生きる

かつて僕は僕のすべてを拒絶した

悲しみ 辛さ 息苦しさすべてを

目を閉じて 耳を塞いで 絶望を受け入れた

果てに望んだのは 静かな暗闇

時が止まり 何もない空間の彷徨い人

 

救われたかった 逃れたかった

そんな愚かな僕の前に 君が現れた

僕が僕を必要としない そんな世界

そこに君が現れてこう言った

辛かったんだね 苦しかったんだね君は

今はただ眠るといい 何も考えず

君の身体と心が休息をとれるよう

目を閉じ 今は 眠るといいんだ

何かが消え 僕の中で 何かが弾け飛んだ

あの夏の日の午後 光の中で

僕の心が 解放されていくそんな気がした

 

目を覚ましたのは 優しい風の中

いい香りがしていた ここはどこだろう

天国というところか? そんな筈はない

僕は自ら死を望んだ愚か者だ

そんな僕が天国になど行けるはずもない

ふと見渡すとそこに 笑顔の君が居た

やあ気が付いた?ゆっくり眠れたかい

君は 誰? 僕は彼に尋ねた

君にとっては 天使かな それとも悪魔かな

僕は君を助け 生かそうとする奴

そうかやはり 簡単には救われないのか

 

彼は何も訊かず ただこう言った

一緒に生きてみないか これからの人生

僕が君の手を引くから 新しい人生を

新しい人生なんてあるのだろうか

君は本当にこんな僕と一緒に生きてくれるの

ぐっすり眠れたなら 次は食べる事

なぜか心がとても軽くなった気がする

僕は 彼に 甘えてばかりだ

それすらも 容認して 受け入れてくれる

悪魔なら良かった 僕の魂ごと

喰らいつくす 悪魔だったら良かったのに

 

彼の事は知っていた 有名だったから

見た目も性格も良く 人気があった

誰からも信頼される そんな彼がなぜ

日陰に咲く雑草のような僕を

こうして助けて守ってくれるのか解らない

でも訊くのは怖かった 本当のことを

そして僕は名前以外をすべて捨てた

新しい 人生を 生きると決めた

彼は僕に 嘘を言わない だから彼を信じる

たとえ彼が悪魔でも 信徒になろう

こうして今 彼が僕を愛してくれるなら