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カネボウへの退場命令

2005-05-15 12:47:28 | マネー&ポリティックス
社説1 カネボウ株の上場廃止は当然だ(5/13 日本経済新聞)

基本的に日本の新聞の社説ほどつまらないものはないと思っているので、毎朝配られる新聞を読むことはあっても、
社説を読むことはありません。それでも、カネボウの上場廃止問題に関して、この社説と意見を異にすることはありません。
もっと言ってしまえば、5月10日の日経新聞夕刊1面にこの記事が出たとき、思わずガッツポーズをしました。
カネボウには市場から退場してもらう価値が十分に備わっていたわけで、ついにその日が来たというべきでしょう。

企業再生のプロが集っているはずの産業再生機構は、上場廃止で再生に支障が出るだの、新経営陣が再生に必死だのと言って
(カネボウの債務超過、粉飾決算は前経営者の行った行為ではあるが)上場廃止しない要請を行ってきました。
ならばなぜ9年連続の債務超過や5年間もの粉飾決算を見抜くこともできず、私企業ではなく官製の産業再生機構が、
税金投入もありえるかもしれない状況下で、再生するほどの価値があるのかが不明なのです。

機構側は、「産業再生機構」というものが水戸黄門で言うところの印籠と同じ価値と思い込んでいたとしかいえません。
企業の再生と悪いことをした企業が証券市場から退場をさせられるのは別問題であり、背信的行為をしたならば、
再生中の企業であるか否かを問わず、それなりの制裁を受けて当然と考えるべきでしょう。

ところで、機構側が上場廃止を止めて欲しかった理由の中に、上場廃止で一般消費者のカネボウに対する
企業イメージが低下して、売り上げの低迷、そして再生に影響を与えるというものがあったようです。しかしこれも時代錯誤。
上場企業=いい会社、という考えは西武鉄道の問題でそうではないことが判明しています。それに一般消費者は、
有名企業か否かで商品を決めることは合っても、上場企業か否かという部分で商品を選ぶことはありえないでしょう。
そしてもう1つ。カネボウの上場廃止問題は、機構が思っているほど世間では盛り上がっていません。

悪いことをした企業まで温存する必要はありません。市場経済で当たり前な判断をした東証は、難しい判断を
迫られたとされますが、評価すべきでしょう。同時に、社説の言うように非公開企業の株式の取引が
容易に可能な制度も作るべきでしょう。株式会社の株主は有限責任を負う一方、善意無過失の株主までは
そこまで負わせるのは酷といえます。

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