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[短評]ドラマ負債国

2012-05-07 22:57:10 | マネー&ポリティックス

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海外ドラマはライバル!? 日本が100%ドラマ輸入国にならないために!!(3年越しの大改訂版)(海外ドラマNAVI)

日本のテレビドラマだって個々に見れば秀作もあります。でも今どんな日本のドラマを見てるかと聞かれて、すぐに答えられない人も多いことでしょう。自分なんて、今日本のテレビ局がどんなドラマを流してるのかすら全くわかりません。

反面、海外ドラマ流入の勢いは留まるところを知りません。アメリカでの映画・ドラマ出演の経験が多いこの筆者は、日本はドラマに関して「100%輸入国」とさえ言うほどです。つまり、日本は日本のドラマを輸出できない一方で、海外からのドラマは次々と流入しているということです。アジアのドラマもそうですが、特にアメリカのドラマは、内容の善し悪しを別にして、新作でも次々と日本で放送されるような時代です。日本人俳優がアメリカのドラマに出ることも珍しくなくなりました。

現在のアメリカのドラマは、国内ではネットを使った収益システムが確立し、同時に始めから国外で売ることを強く意識したドラマづくりをしているのが特徴だと思います。それはドラマの中で使われる車や服やiPhoneから、アメリカの明暗混在の現代をありのままに見せる(そう、必ずしもアメリカのいい面だけを映しだしていないのです。それでは多種多様なアメリカの国民の心に訴えられないのであり、多様な人種を抱えた国であるからこそ、どの国へ出しても受ける作品を作ることができるのです)、いうなればドラマがアメリカ自体のステマ状態です。

一方で日本のドラマは国内受け、テレビ局と芸能事務所が満足すればそれでよいという極小の世界です。総じて今の日本のドラマは安易なところに原作を求め、筆者が言う「オリジナルのコンセプト」がない作品が3ヶ月毎に入れ替わります。加えて複雑な権利関係とライブドア・楽天の一件以降ネットを嫌うテレビ局の風潮ゆえにネット戦略に欠け、国外でも売れるドラマを作ろうという気概もなく、その隙を狙うかのごとく海外ドラマが入り込んでいる(そしてテレビ局がそのドラマを流す)、そのような状況です。

そこでフジテレビの前でデモをしても、じゃあ日本のドラマを観るかと聞かれて観たいと答える人は少ないはずです。それは外国からドラマを売り込む側ではなく、古い習慣と権利の上に眠る国内勢が悪いのです。むしろ、資本主義の世界では、韓国なりアメリカなり、自分たちのドラマや映画を海外へ売り込む、少しでも多く利益を得ようとするのが自然であるはずです。縮小し続けるパイの中だけで儲けを出すにしても、たかが知れています。結局、国内ドラマがつまらなくなったのは、国内の権利問題、意識の有無の問題に行き着きます。

そうした中で外務省が「クールジャパン」(笑)を海外へ売り込む「ソフトパワー戦略」など行っても、効果を予測するのすら寒々しいです。日本人が国内の作品にそっぽを向く、あるいはおもしろいと思えない時代に、そうしたものを観たいと思う外国人がいるのでしょうか。霞が関は広告代理店の言いなりになる暇があるのならば、国内の権利関係の立て直しと芸能作品のモノづくりに対する覚醒を促しさえすればいいです。そうすれば自ずと海外でも受ける作品が数多く生まれるはずです。

クール・ジャパン発信強化…外務省組織一元化へ(読売新聞) - goo ニュース

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