りんごの気持ち.blog

信州の四季の景色を散りばめながら書いていきます

2009-11-30 01:01:55 | 四季の移ろい
信号待ちで何気なく横を見たら、あれ?
ハンドルを切って樹に近づくと紛れもなく桜でした。

寒桜かなぁと念のため調べたら、寒桜は2月から3月に咲く種類。
更に調べるとこの時期に咲く桜には、八重の十月桜と一重の冬桜があるとのこと。

撮ったときは午後遅くで風もあり、
また相変わらずのピンぼけ写真なのでよくわかりませんが、
どうもこの写真のは、十月桜ではないかと思います。

思い返せば今月上旬頃にここを通ったときには
すでにこの樹には今と同じようにポツポツと花が咲いていたような。
その時は桜とは思いも付かずにいました。
冬を迎えてもなお咲き続けるその姿が、存在を気づかせてくれたのですね。

行きたかった

2009-11-28 19:36:27 | こころ模様
無念。
開演時刻をすっかり間違えていた。

楽しみにしていた「レ・ヴァン・フランセ」のコンサート。
今年の来日ツアー(国内8箇所)は、初日の舞台が当地だった。

早目に夕飯を食べて、支度して、
さぁ!とチケットをバッグに入れる前に券面を確認して・・呆然。
もう終わる。& 

張り切って発売初日に買った良い席だった。
ステージから観てもほぼ正面だと思う。
そこがぽっかり空いてしまったわけで・・。

支度を解いて、ここに書くことで気を静めてます。

カレンダーに時刻を書いておかなかったミス。
もう絶対にこんなこと繰り返さない。

固く固く心に誓います。

ウォームビズ

2009-11-27 01:22:06 | 四季の移ろい
冬はハイネックかタートルネックのセーター。
襟の開く服の時はスカーフかプチマフラー。
とにかく首を冷気、寒気に晒さない。
ここ10年ほどの私の冬服はこのスタイルが定番でした。

そこへ発売されたのがユニクロのヒートテックシリーズ。
昨年試しにタートルを2枚買ってみたらとても良かったので、
今年も購入しました。

どこが良かったか。

まず、程よくフィット(締め付け感がない)する。
重ね着によくあるゴロゴロ感やもたつき感がありません。

次に、薄くて軽いのに保温性が高い。
動きやすいので肩凝りそう~という違和感がありません。

肌触りが優しくなめらかな生地。
そして静電気が発生しない。
着ていても脱いでも肌が擦れたり痒くなったりすることがなく、気持ちが良い。

 以前ヨーロッパ製の、
 価格はユニクロの数倍の肌着を何枚か買ったことがあるのですが、
 脱ぐときに静電気がスゴくてパチパチと痛かった。
 それに静電気のせいなのか、生地のせいなのか、脱ぐと痒くて痒くて。
 宣伝ほど温かくもありませんでした。

そんなわけで、今年はヒートテックを更に買い足しました。

去年買ったものと並べては比べてないけど、
今年は襟の高さが長く、程よいゆとりも出たような・・。
おかげでクシュクシュさせて、
と言うか、自然とクシュクシュとなって
セーターやカーディガンの下に着たときに見た目も可愛いし、
生地が重なる部分に空気が溜まるのか温かい気がします。

ネットでユーザーレビューを読むと、袖丈や着丈も長めになったようです。
確かにしっかりフィットさせると、袖丈はセーターなどの袖から出ます。
首、手首、足首を保温すると身体全体が温かいし、
色をアクセントにしても良いので、これは良いですね。

現在7色揃えました。
オフホワイト、黒、グレイの濃淡、パープルの濃淡、濃いピンク。
女性用はパープルなら3色、赤、ピンクは各2色あるのですが、
これはネットじゃなくて店頭で実際の色を見て決めるのが良いです。
緑系も欲しいのだけど、
今出てるカーキ色とか蛍光っぽい緑じゃなくて、
もう少し緑が濃く(彩度が高く)て、
しかも落ち着いた
モスグリーンとかフォレストグリーンみたいなのが良いな。
来シーズンにもし販売されたら買います。

元々は肌着なのでしょうけど、
色も豊富だしデザインも肌着っぽくないので
上に着るものとの組み合わせや今まで合わせたことのない色の組み合わせを
楽しんでいます。
今度ヒートテックの2枚重ねもしてみましょう。

これでこの冬も、基本20度設定の暖房下を乗り切りれるかな。

アルクマ再

2009-11-26 23:30:23 | こんなこと
11/3の記事に書いたアルクマくん。

こんなところで初お目見えしていたようです。
しかも私も大好きなアルプちゃんも一緒だったようで・・。
知ってれば行ったのに~。
http://youkoso.city.matsumoto.nagano.jp/citizensweblog/?p=4451

いつかどこかで会えますように。

横浜聡子監督作品を観て

2009-11-24 23:18:41 | 映画・演劇・ドラマ・美術
先週の金・土は松本CINEMAセレクト上映会へ。
「ちえみちゃんとこっくんぱっちょ」
「ジャーマン+雨」
「ウルトラミラクルラブストーリー」

先に土曜日の上映会から。

「ウルトラ・・」
他の映画館で一度観たが、監督が来場するというので出掛けた。
再度観てもラストシーンの読みはやはり自分の感じ方で良いのだと思う。
http://blog.goo.ne.jp/kaorinishina/d/20090918
でも相変わらず
町子先生の元恋人の出現と靴の意味がわからない。
バトンタッチならぬシューズタッチという感じなのだろうか?
う~ん。。。
でもソンナコト、失礼な気がして監督には聞けなかった。
そのうち、あ、そうか!と思う日が来るかもしれない。楽しみにしておこう。

金曜日は二本立て。

「ちえみちゃんと・・」
こっくんぱっちょって何?
これも監督がせっかく来たので聞きたい気もしたが、
前日上映された映画を観てない人もいるし、
それを聞いてどうするヨという気もして結局意味不明のままである。
「告白」か?

主人公はのり子。
ストーリーをすべて書いていると幾晩もかかるので省略。

のり子は歯科技工士をしている。
同僚に、その歯の色、違うんじゃないの?と時々言われる。
患者さんのところに行き、確認する。合っている。
ある日、また同僚から同じように声を掛けられる。
きっぱりと顔を向けて「これで良いんです。」と答える。
この、「これで良いんです。」の言葉が、私的にはこの映画のキーワード。
自分の信じること、自分の行いの正しさ。
(このシチュエーションの場合は客観的に見ても正当と思われることについてだが)
それは堂々と主張して良いのだと。

ちえみちゃんはのり子の同級生だ。
過去に彼女の苦難に直面したのに彼女を助けられなかったのを、
のり子は悔いてきた。
思い切って謝った。それは許された。ちえみちゃんは水に流してくれた。
これをもって「こっくんぱっちょ」は「告白」では?と思う次第。

いつも飼い主から虐待を受けている近所の犬。
(これもまた他の同級生のところの犬で、虐待の主はその父か祖父のよう。
同級生はひきこもりなのだろうか。訳ありそうだ。)
のり子はちえみちゃんへの謝罪の後、またその犬と飼い主に接する。
見かけても、犬の援護に自分が出て行って良いものかどうか、
いつも迷ってきた。
一旦は通り過ぎ、でも意を決して引き返す。
その時・・。

後悔と迷いと自信(自分を信じる)と。
それらの繰り返しの中で、私たちはずっと生きていくのだ。と思う。

「ジャーマン+雨」
どこまでも我が道を行く主人公のよし子。
身勝手極まりないと見える彼女にも
身体を張ってくれる友人がいる。
先生と慕い通ってくる子どもたちもいる。
すごいと賞賛してくれる同僚もいる。

でも、歌手になる夢はなかなか果たせない。
そして、許せない父がいる。
そんな自分がたまらなく嫌だ。

うらやましいと思っていたら、
いつも強気だと思っていたら、
実はよし子は死にたくなっていた。

あっと驚く展開。
そうか、トラウマなんてくそくらえ。なのか。

でも、この映画で使われるトラウマってどの程度のものなんだろう。
そこがまた気になるところ。

横浜監督、次回作は家族を描くかもとのことらしい。
そこでまたヴェールが1枚、剥がされるのかもしれない。
そしてヒントがあるのかも。

秋の旅

2009-11-22 14:21:15 | 四季の移ろい
庭の山紅葉やまもみじが見頃。
花瓶に挿して部屋の人形の横に置いたら、「そうだ、京都、行こう!」という感じになりました。
これは良い。京都まで行かずとも我が庭で旅気分に浸れそう。
早速ロケ決行です。

小さな物語の始まりはじまり~。 
           
 旅の目的地に着いた二人  
         

            紅葉の見事さに思わず声を上げ、周りを見渡します。         
                

     歩を進めるうちに林の中へ
            

                              様々な表情
   

          
           少し高いところまで登ってきたのでしょうか。
          落葉が進んで、空が広く見える場所に出ました。
            

                          足元では、なお一層の命が輝いています。
                                      

人形:武藤公夫さん

仮名手本忠臣蔵(3)

2009-11-21 17:20:58 | 映画・演劇・ドラマ・美術
「歌舞伎座さよなら公演・観劇バスツアー ー昼の部ー」の記録、6回目。

「道行」は別名「落人」とも呼ばれているようだ。

判官の家臣、早野勘平は腰元のお軽との逢瀬のため、
主君の大事に間に合うことが出来なかった。
切腹しようとする勘平を諭し、自分の郷へと導くお軽。
二人の旅路と、高家の追手との立ち回りを描いたエピソード的な舞踊芝居。

好きな女の前では正直に弱気を見せる菊五郎さんの勘平と、
それを気丈に励ます時蔵さんのお軽。

情けない勘平も追っ手が来れば打って変わって、きりりと腕の立つ良い男ぶり。
また、時蔵さんの素晴らしく可憐な声と
男性が守ってやりたくなるような柔らかく美しい身のこなし。
すっかり引き込まれ、見惚れた。
辛い思いを乗り越えて、
明日に生きようとする若い二人の道行きに幸あれ。

以前から菊五郎さんはすっきりと粋な感じで好きな役者さん。
しっかし、時蔵さんも素敵~。すっかりファンになった。今度は何か別の役でも観てみたい。

以上で観劇の記録は終わり。

外に出ると正面玄関前は既に夜の部のお客さんでごった返していた。
私も夜、観たいなぁ。せっかくの通し狂言なのに。
と、後ろ髪を引かれる思い。

チャンスがあれば来年1、2月くらいにもう一度、
現歌舞伎座の空気とともに、舞台を味わいたいのだけど、
とりあえず、これが最後かもしれない。
なので「ありがとう。さようなら。」の思いを込めて。


さて、園田さんの講義をお聴きできたのは良かったが、
自由時間がほとんど無いのがツアーの残念なところ。
終わればすぐにバスへ戻らねば。
3度目の幕間にさっさと購入しておいた果匠正庵さんのあんず大福がお土産。

あんず大福はこの日初めて食べた。
早朝の軽い食事以降何も食べていなかったので、「大序」が終わる頃には空腹。
一番最初の5分しかない幕間に、
扉から出て真っ先に目に入ったのがコレで、
小振りだし、これならパクッと食べられると1個だけ買って試した。
美味。
干しアンズの酸味とさらりと上品な甘さの餡が互いを引き立て合っていた。

仮名手本忠臣蔵(2)

2009-11-20 00:57:16 | 映画・演劇・ドラマ・美術
「歌舞伎座さよなら公演・観劇バスツアー ー昼の部ー」の記録、5回目。
・・ふぅ、やっとここまで漕ぎ着けた・・

「四段目」
昼の部のメインと言って良いだろう。
前半は判官切腹の場。判官と国家老、大星由良之助の最期の対面。
後半は城明渡しの場。

iPodに落とした圓生さんの芝居噺「淀五郎」を車中で重ねて聴き、
鑑賞に備えた道中。
 急に判官の代役となって舞台に立つことになった淀五郎。
 初日、2日めと幕が開く。
 国家老、大星由良之助の到着を「まだか」「まだか」と待つが、
 いたずらに時を引き延ばすこともならず、ついに刃を腹に突き立てる判官。
 そこへやっと駆けつける由良之助。
 判官寄りの上使、石堂に、近う近うと呼びかけられるが、
 しかし、大先輩の由良之助役の役者は花道の途中に座したきり、
 一歩も近づこうとしない。
 舞台の幕がおり、どこがいけないのでしょうかと尋ねる淀五郎に、
 淀五郎が腹を切っても家臣として側へ行かれないと
 厳しく突き放す先輩役者の言葉。
 こんなことなら本当に舞台で腹を切って死のうと思い詰め、
 世話になったことのある先輩役者、中村仲蔵にそれとなく挨拶に行くと、
 心中を見破られ、切ない心情を吐露することに。
 仲蔵は早まるなと淀五郎を諭し、的を絞って直しどころを教えてやる。
 思い直して一心に寝ずの稽古をして、3日めの舞台に立った淀五郎は
 一晩で見事判官になっていた。
 大先輩もそれを認め、ようやく、殿!と側へ駆けつけると
 そこで判官の台詞「由良之助、待ちかねた。」が二重の意味を持つ、というオチ。

さぁ、いよいよ。
勘三郎さんの判官、仁左衛門さんの石堂、幸四郎さんの由良之助。
なんという豪華な顔合わせ。

しかし、しかし・・
実は延々と「淀五郎」を書いて稼いだのには訳がある。
舞台「切腹の場」という緊張のせいなのか、朝4時起き(3時間睡眠)だったせいなのか、
感じたことをあまり覚えていないのだ。
観てはいた。目を開けて。少なくとも前半は。
でも持って行ったオペラグラスをこの場ではほとんど使った記憶もないし、
舞台上のことが遠くで行われていることのように感じられ、
今ひとつ感情移入が出来なかったように思う。
ただ、声も姿も石堂役に良く合って、仁左衛門さんカッコイイ~、と、
仁左衛門さんの動きを中心に追っていたような覚えがある。
夜の部の由良之助役も観たかったなぁ。

後半「明渡しの場」ではそのような自覚がないのだが、
ついにどうも、ウトウトしてしまったらしい。
筋書きと自分の記憶を照らし合わせて、
え?こんな場面あったっけ?と、その連続。

昼の部鑑賞の記録もあと少し。
記憶力がすっかり衰えてきたので、一日も早く仕上げねばと思いつつ
「道行き」はまた他日。

しっかし、今日のは舞台の記録じゃなくて、噺の記録だなぁ・・。

仮名手本忠臣蔵(1)

2009-11-18 00:49:27 | 映画・演劇・ドラマ・美術
「歌舞伎座さよなら公演・観劇バスツアー ー昼の部ー」の記録、4回目。

「大序」
物語の発端。ここでは筋は省略。

人形に順々に魂が入る。
清々しい浅葱、柔らかな卵色、深い黒といった、
登場人物の衣装の舞台上の配色が美しく、引き締まってもみえる。

師直には富十郎さん。
待ってました!
私は富十郎さんファンでもある。
大きなお顔、堂々たる体躯、明晰でよく通る立派な声。
素晴らしい存在感。
悪役であってもどこか滲み出る愛嬌があるところも好き。
この方が舞台にいるとホッとする。
すべてが安心してみていられるというか。

梅玉さんの若狭之助の凛々しい顔立ち、きびきびした動きが、
役の真っ直ぐな性格を表すのにぴったりであり、
その分、若狭之助をいじめる師直のいけ好かなさが強調された。


「三段目」(二段目はなし。通し狂言といっても上演しない段もあるのだな)
後半が有名な”松の廊下”の場面。舞台では”松の間”。

師直が八つ当たり的に勘三郎さんの判官をいじめる。
下から出ようとする判官に顔を背けたり、
背を向けて袴の裾で判官の顔に埃を浴びせたり。
ねちねちといやらしく。
ここを見ていたら
昨年まつもと市民芸術館で見た「夏祭浪花鏡」、
義平次(笹野高史さん)と団七(勘三郎さん)の殺し前のやりとりを思い出した。
覚えのない事に対しての執拗な屈辱に耐えきれず、ついに刀を抜く判官。

ここでも富十郎さん、大活躍。
若狭之助の家臣が贈った賄賂を受けて若狭之助に頭を下げ、
横恋慕(でも思いは真剣)していた判官の妻、顔世御前に振られ、
それらの反動で、判官をいじめ抜く。
いくつもの顔、心情を、それぞれかなりの動きも伴って表すのだ。
判官の前で長く座っているときはさすがに大変そうに見えたが、
台詞はどこまでも朗々と響き、
この敵役、しぶとそう。という説得力に充ち満ちており。

天王寺屋ァ!

心の中で声を掛けた。

interlude

2009-11-17 00:19:31 | 映画・演劇・ドラマ・美術
記録の幕間

歌舞伎座で写真集「歌舞伎座」(写真:安齋重男)を買って、
週末、発刊された雑誌「大人の週末・増刊 ゴクウ(吾空)」で紹介されていた
「完全保存版 ザ歌舞伎座」(写真:篠山紀信)も購入。

前者は歌舞伎座と歌舞伎座公式インターネットショップでのみ購入可。
数量限定。
写真の枚数多し。記録的。
大物俳優の姿も収められており、嬉しい。
http://www.kabuki-bito.jp/news/2009/09/post_28.html

後者は2001年に出版されたものをサイズ変更して
この夏に再発(と言うのか?)されたもの。
写真の解説を玉三郎さんが加えている。
8年前のものなので、
勘三郎さんが勘九郎さん時代、海老蔵さんが新之助さん時代。
1枚の写真が大きい。迫力と美。
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=210492X
(↑ここには01年ヴァージョンしか写っていないけど。)

両書とも、歌舞伎座の建物のみならず、その内部、
歌舞伎座で働く人々、役者さんたちの舞台前(裏)の姿などを収めている。

2冊揃えて、無敵。と、悦に入る。

歌舞伎講座(後半)から開演まで

2009-11-16 00:25:44 | 映画・演劇・ドラマ・美術
先日、願い叶って
「歌舞伎座さよなら公演・観劇バスツアー」に参加することができました。
その記録を2回か3回に分けて残しておこうと思います。
・・の3回目。
でも、講座の記録までで3回目だから、
あと1、2回は今回のツアーについて書くことになりそうです。

以下、講座後半のメモと感想など
ーこの日私たちが観る「仮名手本忠臣蔵(昼の部)」についてー
ところどころ私が勝手に補足。

1701年3月に起こった事件をそのまま上演するわけにはいかず、
登場人物の名を変え(浅野を塩治判官、吉良を高師直)、
時代も足利時代「太平記」の中の物語に置き換えて、
1748年8月に初めて人形浄瑠璃として上演された。
その間、47年。
「四十七」と言う数字に掛けたのか。何かを感じる。

大序は柝(き)=拍子木が47回鳴ってから開くなどとも言われているが、
自分は数え切れていないので、実のところはどうだろうか。
それくらい幕が開くまで長く、全体が儀式的である。
例えば、幕が開くと登場人物は舞台に勢揃いしているが、
首はうなだれている。
これは初演の人形浄瑠璃に敬意を払っての演出である。
舞台が進むにつれ、人形一人一人に魂が入る。
・・実際、役者さんが自分の台詞で初めて顔を上げていました。・・

およそここまで話してくださったところで、30分が終了。
字面で知っていることもありましたが、
園田さんのような方から直接お話を伺えるなんて、
普通に行ったら経験できないこと。
単語一つ、話し一つが精彩を持って耳に心にと響き、
心に残るひとときを過ごさせていただいたなぁと大満足でした。

しかしこれで開演まであと30分。
トイレを済ませ、筋書きと写真集「歌舞伎座」を買い、
イヤホンガイドを借り受け、幕間時間をメモし、と大忙し。
せっかく買った筋書きを読む暇もないまま、座席に着きました。
イヤホンガイドをセットしていると間もなく柝が。
ふぅ~。間に合った。

ガイドはそろそろなくても、と、ここ何回か、毎度悩むのですが、
やはりあれば見所、聞き所を逃さずに楽しめるので、
不要と思えば外せば良いと思って借りています。
特に唄や踊り、衣装の持つ意味の解説などは勉強になります。
今回は大序の幕が開く前に出てきた「口上人形」の解説も。

人形が配役を紹介するのですが、
幕の向こうで一人の俳優さんが声を出しているのだそうで、
しかも、幹部俳優紹介の際にはエヘンエヘンと咳払いの数が多いとのこと。
観客の注意を引くため、
また勿体ぶって面白おかしく演出するためでしょうか?
昔から客を楽しませるために
いろんな工夫がされてきたのだぁと感心すると共に、
登場人物が多いので、
紹介役の俳優さんも声を途中で枯らさないように大変だと思った次第。

歌舞伎講座(前半)

2009-11-15 00:27:18 | 映画・演劇・ドラマ・美術
先日、願い叶って「歌舞伎座さよなら公演・観劇バスツアー」に参加することができました。
その記録を2回か3回に分けて残しておこうと思います。
・・の2回目。



このツアーの特典として(ツアーの料金に入っていたのかな?)、
歌舞伎座内の地下食堂「花道」にて、開演1時間前に30分ほどの特別講座。
話し手はイヤホンガイドでお馴染みの園田榮治さん。
これには感激。

以下、その時のメモと感想などー前半ー

震災や戦争での大正、昭和の建て替えを経て
昭和26年に現在の歌舞伎座になったという建物の歴史。
                
天井の灯りのデザインが成田屋(市川家)の三枡紋であること。
・・これは1F正面から左手の土産物売り場への通路天井の灯り。
歌舞伎座内のすべてというわけではありません。・・

出雲の阿国から始まった歌舞伎の歴史。
1630年代に猿若勘三郎が出てこれが初代中村座(屋)であり、勘三郎であること。
今日の演目、仮名手本忠臣蔵の大序では、
中村七之助さんが演じる足利直義が、階段上で靴を履いて降りてくるが、
これは座元の人間にしか許されない(なかった)ことであり、
(以前は)座元以外の人間が演じるときは
階段を下りて、下で靴を履くという演出であったこと。
・・う~ん、しきたりの世界なんだなぁ。
座元の人間はプライドを持つと共に、人に抜きん出た心技を要求されるんだなぁ。・・

歌舞伎座の定色幕の、黒、柿、萌黄の色並びは
もともとは森田座の色並びであったこと。
国立劇場のほうは黒、萌黄、柿で、こちらは市村座のもの。
・・このあたりもっと話してくださったのですが、メモしきれず、
こちらに網羅するようなことが書かれています。・・
 http://www.kabuki-za.co.jp/sya/vol110.html

定色幕は引幕であり、
浅葱幕は吊幕で、一気に落とすことで舞台を見せ、場面を転換する演出効果を持つ。
これらは江戸(日本)独特の文化だったもの。
現在では、引幕、吊幕の演出効果を西洋の劇場でも取り入れている。
・・そうそう。浅葱幕が落ちて、舞台は一斉の桜の花盛りとか、
ホント、あれで一気に物語の世界に引き込まれるよねぇ。・・

現歌舞伎座最後の櫓揚げ

2009-11-11 22:57:44 | 映画・演劇・ドラマ・美術
      

江戸時代幕府公認の劇場である証の「櫓」が揚げられた歌舞伎座正面。

当時は中村座、森田座、市村座、山村座の四座
(後に山村座を除く江戸三座として有名)が、公認の芝居小屋だったのだそうです。
このあたりの詳細は「江戸三座」で検索するといろいろ学べて面白いわけですが、
まぁここでは置いといて。

11月は歌舞伎小屋の役者が入れ替わり、
向こう1年間、この顔ぶれでやっていきますという意味で
顔見世(顔見せ)興行を打っていたのだそう。
  このことは、六代目三遊亭圓生(先に亡くなられた円楽さんのお師匠さん)の
  芝居噺「淀五郎」で得た知識です。
  11月が歌舞伎界の新年と言われる理由がわかります。

「櫓揚げ」も「顔見世」も、現代まで引き継がれてきた伝統なのですね。

先週末の立冬、7日(土)に、
願い叶って「歌舞伎座さよなら公演・観劇バスツアー」に参加することができました。

その記録を2回か3回に分けて残しておこうと思います。

    

 

ありがとう

2009-11-11 01:26:45 | こんなこと
高校生の電車通の頃からずっと慣れ親しんできた
セイコーエプソン広丘事業所のケヤキの大木が
国道の拡幅工事に伴い、近く伐採されることになりました。

↓信濃毎日新聞の記事
http://www.shinmai.co.jp/news/20091107/KT091106GUI090008000022.htm

事業所の広い前庭にゆったりと枝を広げるその姿は、
樹下に敷き詰められた芝生の景色と相まって、
通学の行き帰り、また社会人になっては通勤の途上に、
どれだけ観る者の心を伸びやかにしてくれたことでしょう。
空間が気持ちまで解放してくれました。

また、庭のフェンス沿いには赤や白のツツジも植えられており、
きちんと刈り込みの手入れも施されていました。
時期になるとケヤキの新緑とともに春の喜びを謳っているようでした。

収益を庭の保全に使うことにより、
豊かな心を持つ良い会社だなというイメージづくりにも一役買っていたと思いますが、
地域の景観創りにも大いに貢献してくれていたように思います。

国道の工事が進んで、
周囲の事業所や店舗の前の道路がどんどんと拡幅されていくのを見ながら、
あの樹々は、ツツジはどうなってしまうのだろうとずっと心配でした。
それでもなかなかエプソンの前の工事には手が着かないように見えましたから、
もしかしたら天下のエプソンと言うことで、
拡幅ルートをそこだけ迂回したりして・・、なんてコトまで夢想していました。

でもやはり、ついに、
特別扱いはされず、ということになってしまったのですね。
移植も叶わないと言うことで仕方のないこととは言え、
本当に残念に思います。
寂しいです。

と言うわけで、先日の日曜日、記念の写真を撮りに行ってきました。
曇り空で朝も早い時間だったので、きれいな色には撮れなかったけれど、
ありがとう、とお別れの言葉をかけながら。

そして一番下の画像にある芝生の刈り込みを見つけました。
普段直ぐ横を歩いてはいないので正確なことはわかりませんが、
たぶん今までなかったのではないでしょうか。

エプソンの庭の手入れを任されている方が思いついて、
でも、許可を得てやったのか、
会社(社員)の依頼があってやったのか、それもわかりません。
でも、ケヤキに対する愛情を感じて、
私もとても嬉しく、
また、エプソンさんのことも益々良い会社だなと感じ入りました。

願わくは、エプソンさんが、商品作りで成功を遂げられるだけでなく
これからも地域に愛され、信頼され、共に歩む企業であってくださるように。
そしてケヤキに魂が宿っているのなら、
アナタを愛した人間たちのことを、どうか見守ってくださるように。

ありがとう、ケヤキさんたち。