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第1話(3)

大学紛争(3

 ストライキが長引くにつれ、自治会の活動で各セクト間の争いが激しくなっていった。
大学を出て街頭に繰り出そう!」
まずは、大学当局追求集会を開くべきだ!」
資本主義を守る現大学なぞ解体してしまえ!」
外部団体との連携が必要だ!」

 “こいつら、何のために活動しているんだ”
秋山は、完全に自分の言葉に陶酔している学生たちの顔を見ながら、自分が覚めていくのを感じ、大教室を出た。

 夜勤の疲れで部屋の隅でシーツに包まってウトウトしていると、仲間にたたき起こされた。
「おい、街頭に出て我々の要求を市民に示すんだ!」
そばに転がっているヘルメットをかぶり、正門の前に群がっている集団の中に押し込まれる。

 バリケードの隙間から数百人が流れ出した。
旗ざお隊を先頭に、隊伍を組んで街頭に繰り出す。

 「大学は団交に応じろ!」
アメリカはベトナムから手を引け!」
三里塚闘争を支援するぞ!」

 500m程進んだところで、警察機動隊に阻止された。
無届のデモは禁止だ。学内に戻れ!」
小競り合いが始まる。

 先頭の旗ざお隊が旗を丸め、さおを機動隊に向け、突っ込む。
機動隊員が盾で防ぎながら、長い警棒を振り下ろす。
デモ隊の後方から、舗道の石をはがしての投石が始まる。
機動隊は盾で身を隠しながら、後退した。

 秋山らはスクラムを組んで、渦巻きデモを始めた。
集団の熱気に包まれ、一つの生き物のように激しく動く。
 
     
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