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第2話(4)

 クリミア・黒海の戦い(4)

 ソ連の大型艦が出撃したという情報が、空軍からもたらされた。
夜、ケルチ海峡の近くで待ち伏せすることになった。

 強力な敵なので、6隻のSボートを2隊に分け、別方向から攻撃する戦法だ。
一方が発見されたら、敵の火力をその隊が引き受ける。
その間に、もう一方の隊が奇襲攻撃を掛ける。

 霧が出てきた。
前を行く艇の信号灯がボンヤリ見える。
海面は穏やかだ。

 待ち伏せ海域にきた。
風が出てきて霧を吹き払う。

 じっと待つ。

 黒い水平線上の中空に吊光弾がポツンと光を発し、ゆっくりと落ちていく。
青色の吊光弾は味方の哨戒機が投下したもので、その下に敵艦あり、の信号だ。

 「右30度、20ノット、戦闘用意!」

 途中で2隊に分かれた。
敵も迎撃体制を整えているはずだ。
ハンスは各部署の情報を艇長に伝える。

 「左前方にエンジン音!」
「僚艇の横に並べ。」
「針路このまま、全速!」

 黒い影が左前方から、急速に近づいてくる。
「撃て!」

 相手の曳光弾が、ものすごい速さで自分の方に向かってくる。
同時に、味方の機関砲弾が敵艇の霾△傍曚す・泙譴襦」
敵艇は一瞬身震いをして火炎を噴き出し、横滑りして消えた。

 敵の大型艦の姿が、2キロ程先に見えてきた。
照明弾が打ち上がり、あたりが真昼のように明るくなった。
「煙幕張れ!」

 艇前方に無数の水柱が上がる。
崩れた水柱の中に艇が突っ込み、激しくバウンドする。

 僚艇がオレンジ色の火の玉になり、バラバラになって砕け散った。

 「これ以上無理だ。魚雷発射!」
S49艇は、めいっぱい回頭し、煙幕の中に飛び込む。

 他の方向から攻撃した隊は雷撃に成功し、2隻の駆逐艦に損害を与え、敵艦隊を撃退した。

 この攻撃で、1隻のSボートが失われ、1隻がひどい損傷を受けた。
S49艇でも、2人の砲手が砲弾の破片で重傷を負った。

     
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