1948年、ベル研究所のショックレイらが点接触型トランジスタを発明した。
これは全く画期的な発明だった。
それ以前は、真空管内の電子制御により電気回路の増幅・発振・スイッチングの作用を行っていた。
トランジスタは真空管に代わって、半導体という固体内の電子を制御することにより、増幅・発振・スイッチング作用を行うことを可能にしたのだ。
トランジスタは、真空管に比べ小型化が可能であり、衝撃などに強く、メンテナンス・フリーであることから、無限の可能性を秘めていた。
翌年、取り扱いが容易な接合型トランジスタが開発された。
その後、脆弱なゲルマニウム・トランジスタにかわり、シリコン・トランジスタが主流となった。
1959年、印刷で使用されていた光触媒技術を応用したプレーナープロセスによるトランジスタ製造法が開発された。
これによりシリコン・トランジスタ回路の微細加工が可能となり、多数のトランジスタを1チップに組み込んだIC(集積回路)が出現した。
私が入社した1960年代後半には、さらに集積度を高めたLSI(大規模集積回路)が開発されつつあった。
最初、これらのトランジスタの需要は過酷な環境に耐えうる電子回路を必要とするアメリカの宇宙・軍事分野からだった。
このトランジスタを最初に民需に利用したのが、ソニーのトランジスタラジオだった。(1955年)
これを起爆剤として日本の半導体産業は離陸した。
しかし製造の特許やノウハウは、アメリカの半導体企業から得たものだった。
このトランジスタの民需を大きくしたのが、1960年代から始まった日本の電卓開発競争だった。
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