トーチカ近くの兵舎で眠っていたステファンは、上官にたたき起こされた。
「アゼルバイジャン側の動きが変だ、攻撃が始まるぞ！」
「また、脅しの銃撃だろう。」
ステファン達はぶつぶつ言いながら、配置につく。
前方に、黒々とした大地が広がっている。
突然、地平線のあたりが明るくなった。
無数の火矢が飛んでくる。
「ロケット弾だ！」
ズズズン、ズズン！
周りの大地が巨人のハンマーでたたかれたように、揺れる。
爆発と火炎が渦巻く。爆発の振動で身体が飛び上がる。
あたりが薄明るくなったころ、煙の中から戦車が姿を現した。
坂道を、長い砲身をこちらに向け、進んでくる。
突然、先頭の戦車が炎に包まれた。
「やった、味方の対戦車砲が仕留めたぞ！」
すぐ、上空に攻撃用ヘリコプターが現れ、ロケット弾や砲弾の雨を降らす。
トーチカにも着弾し、崩れた壁から炎が吹き込んできた。
「退避！後退して敵を食い止めるんだ！」
負傷した仲間に手を貸し、アルメニア軍の戦闘車両のいるところまで後退する。
「上空にUCAV（無人戦闘航空機）！」
翼の細長い飛行体がゆっくりと旋回している。
戦闘車両の高射機関砲が火を吐く。
ヒューという不気味な音とともに、砲弾が降ってきた。
参考図：「ナゴルノ・カラバフ紛争の動画」、http://www.bing.com/videos
