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第2話(6)

敵軍上陸(6)
 せまい水域には駆逐艦は入って来れないが、魚雷艇は喫水が浅いため、自由に行動できる。艇隊は単縦陣で島沿いに進む。前艇船尾の泡立つ白い後流が目印だ。

 突然、暗闇から赤い曳光弾が先頭艇付近に飛び込んできた。こちらからも機関砲を撃ち出す。
「左舷40度、敵魚雷艇!」

 日下部上水は機関砲を旋回させ、曳光弾の飛んでくる発光点あたりに照準を合わせる。
ダッ、ダッ、ダッ、ダッ。
薬莢が飛びだす。3人が手渡しで弾薬のカートリッジを運び、装着する。
弾丸が不気味な音をたてて、まわりを通過する。

 照明弾があたりを照らすが、暗闇になれた目には何も見えない。
双方の曳光弾が無数に飛び交い、突然止んだ。

 どうやら敵は3隻で、日本艇隊と出会い頭にぶつかったらしい。火力は同等だったが、こちらが全艇で反撃したため、煙幕をはって退散したようだ。

 艇隊は敵との衝突を避けるため、海域を遠回りして基地にたどり着いた。今回の攻撃で艇隊は8名の行方不明者、2名の戦死者をだした。負傷者は5名だった。戦死者は、敵の爆撃の合間をぬって水葬された。

     
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