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第5話(2)

 砂漠の旅(2)

 砂漠の旅が始まった。

 馬は売り払い、ラクダを購入する。
ルートの左側には、黄褐色の砂丘の山が大海原のように連なっている。
右側には、峨々たる山脈が遠望された。


 砂に足を取られ、ラクダの歩みは遅い。
身体は灼熱の太陽にあぶられる。

 遠く近く、うなるような不気味な音が聞こえる。
「気を確かに持て。あれは風で砂丘が動く音だ。」
路傍に散らばる動物の骨が、ルートを示していた。


 宿のあるオアシスは、旅人にとり天国だった。
緑したたるナツメヤシの林があり、水路には、山からの雪解け水を引いた清涼な水が流れている。


 あるオアシスを出発し、1時間ほど経ったときだった。
砂漠方面が急に暗くなり、冷たい風が吹き始めた。
「砂嵐が来るぞ!オアシスに戻ろう。」
隊商の中の誰かが叫んだ。

 急ぎ、来た道を引き返す。

 あたりは薄暗くなり、猛烈な砂混じりの風が吹き付けてきた。
布で顔を覆っても、叩きつける砂礫で痛い。
戻る方向を見定めるのに、難渋する。

 ようやくオアシスに着いた。


 砂嵐は3日間も続いた。
砂嵐が過ぎ去った後、オアシス周りの砂丘の形状は一変していた。

 1ヶ月の砂漠行の後、私たちは玉門関(敦煌の西)に着いた。
ここは東西交易ルート(シルクロード)の要地だった。

 この地で、私たちにとり、思いもかけなかったことが待っていた。
私たちを都まで護衛するよう、フビライ・ハンより遣わされた一隊が来ていたのである。

 参考図: 「マルコ・ポーロ」、ニック・マカーティ、BL出版
     
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