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日本海海戦(8)

 原本はイギリス人、Shippen Edwardにより書かれた「Naval battles of the world: from Salamis to Japan Sea」(1905年刊)で、サラミスの戦いから日本海海戦までの歴史的な海戦を紹介している。 日本は周囲を海に囲まれてはいるが、とても海洋国家とはいえない。日本人がはるかなる海に眼を向けたのは、室町や明治のほんの一時期にすぎない。世界では海の支配をめぐり、いくたびかの戦いが繰り広げられた。それを垣間見ることにより、歴史の舞台では忘れられがちな部分にスポットを当ててみよう。

Battle of the Japan Sea (8)
[by Sydney Tyler]
 The story begins eight months before these thrilling events in the Straits of Korean, when the Russian fleet, variously called the Baltic Fleet and the Second Pacific fleet, sailed from Cronstadt, in the Baltic, on its 20,000 mile journey, around Africa and by way of the Indian Ocean to the Orient.

 The fleet represented every available Russian warship. A half dozen others, too old for active service or still in course of building, were left in Russian waters, the Czar deciding to leave the home shores practically unprotected after securing a secret agreement with Germany, which amounted to a temporary offensive and defensive alliance.

 The fighting strength of the squadrons included seven battleships, two armored cruisers, six cruisers, with a full complement of torpedo boat destroyers, a fleet equal, on paper, to the entire available navy of Japan, and in some aspects stronger than any Japan could hope to master. Supreme command of the armada was entrusted to Vice-Admiral Rojestvensky, with three divisional commanders, Vice Admiral Vollkersham, Rear Admiral Nebogatoff, and Rear Admiral Enquist.

日本海海戦(8)
[シドニー・タイラー著]
 この物語は朝鮮海峡のスリリングな出来事の8ヶ月前に始まった。  その時、ロシア艦隊-バルチック艦隊とも第2太平洋艦隊とも呼ばれていた-はクロンシュタットを出航し、アフリカを回り、インド洋を通り東洋へと続く2万マイルの旅にでたのであった。

 艦隊は使用できるロシア軍艦すべてから編成された。  他の6隻は-軍役には旧過ぎるか、まだ建造の最中だった-ロシア海域に残された。  艦隊が無防備な母国の海岸を離れる前に、ロシア皇帝は時として攻撃上の、また時として防衛上の同盟者であるドイツとの間で秘密の合意を取りつけた。

 7隻の戦艦、2隻の装甲巡洋艦、6隻の巡洋艦、完全編成の駆逐艦隊を含む艦隊戦力は、紙の上では日本の全艦隊の戦力と同等だったし、幾つかの点では日本艦より強力だったので、ロシア艦隊は日本艦隊を打ちのめす望みを持つことができた。  艦隊の司令長官にはロジェストウェンスキー中将が任命され、3つの戦隊司令官にはフェルケルザム少将、ネボガトフ少将、エンクウィスト少将が任ぜられた。

(ひとこと)
 ロシア帝国の西側ではポーランドをめぐりドイツ帝国と、バルカンをめぐりオスマン・トルコ帝国と対立していた。  特にオスマン・トルコとはロシアの南下に伴い、18世紀からたびたび戦争を行った。  ロシアは、黒海の制海権を保持するために黒海艦隊を、バルト海のロシア海域を守るためバルト海艦隊(バルチック艦隊)を持っていた。  いかにドイツと秘密協定を結んだにせよ、自国の表玄関である西の海を1年間も無防備にしてバルチック艦隊を派遣するとは、思い切ったことをしたものである。  国内対策からも逆転大勝利が必要だったのだろう。
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