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トラファルガル海戦(14)

 原本はイギリス人、Shippen Edwardにより書かれた「Naval battles of the world: from Salamis to Japan Sea」(1905年刊)で、サラミスの戦いから日本海海戦までの歴史的な海戦を紹介している。 日本は周囲を海に囲まれてはいるが、とても海洋国家とはいえない。日本人がはるかなる海に眼を向けたのは、室町や明治のほんの一時期にすぎない。世界では海の支配をめぐり、いくたびかの戦いが繰り広げられた。それを垣間見ることにより、歴史の舞台では忘れられがちな部分にスポットを当ててみよう。

TRAFALGAR (14)
 Just as the Victory was slowly passing astern of the great Spanish ship, with the intension of hauling up under her lee, the Bucentaure ranged ahead, and placed herself upon the four-decker’s starboard quarter. Captain Hardy now pointed out to Nelson the impossibility of passing through the line without running on board one of the enemy’s ship. Lord Nelson replied, “I can’t help it; it does not signify which we run on board of. Go on board which you please; take your choice.”

 The Victory, with helm hard a-port, steered for the Redoutable, which had gallantly come to fill a gap caused by the falling to leeward of the French Neptune. (There was a Neptune in each fleet.) Righting her helm-she had just steerage way-the Victory poured a raking fire into Bucentaure and the Santissima Trinidada, and received a raking fire from the French Neptune, which then set her jib to keep clear.

 On coming slowly to the wind the Victory drifted on board the Redoutable, but not until she had given her a broadside, and received some shot in return. The Redoutable then shut her lower deck ports, apparently to prevent the English from boarding through them, and did not again fire a gun from her port side.

トラファルガル海戦(14)
 ヴィクトリーが風下に針路を変えるべく、巨大なスペイン船の船尾をゆっくりと通り過ぎているまさにその時、ビュサントールが位置を変え、4層艦(ルドウタブル)の右舷1/4に位置した。  ハーディ艦長(ヴィクトリー)はネルソンに、敵艦の1隻に体当たりしない限り、敵戦列を突っ切るのは不可能だと進言した。  ネルソン提督はそれに答えて、“わからない。  どの船に体当たりしようとかまわない。  君の選んだ艦に体当たりしろ!”

 ヴィクトリーは取り舵一杯を取り、ルドウタブルに向かった。  ルドウタブルはフランス艦ネプチューンの風下に行くことにより起こった間隙を勇敢にも詰めようとしていた。  (それぞれの艦隊に同名艦ネプチューンがいた)  舵効速度ぎりぎりの速度でまっすぐに舵をとり、ヴィクトリーはビュサントールとサンティッシマトリニダーに斜め砲撃を浴びせた。  しかし、ジブを利かせたフランス艦ネプチューンからは斜め砲撃を受けた。

 ゆっくりと風に向かって、ヴィクトリーはルドウタブルににじり寄ったが接舷とまでは行かず、お返しに何発かをくらった。  ルドウタブルはイギリス人の接舷、切り込みを防ぐべく、ヴィクトリーの下甲板左舷側を掃射した。  そのため、その後ヴィクトリーの左舷側からの砲は火を噴かなかった。

(ひとこと)
 砲兵は忙しく、重労働で危険だ。  砲身の先から、薬包と熱く焼けた弾丸を押し込み、砲を押し出す。  24ポンド砲でも重量は2トンある。  点火孔に火薬をいれ、点火の準備をする。  船が揺れる中、目標を選び、楔で砲の仰角、綱で左右角を調整する。  発射までの時間を考え、点火する。  発射! 火焔と硝煙、耳をつんざく轟音、砲の発射の反動による後退。  6人1組で、5分間に3発発射が良いところ。  さらに、敵弾が狭い砲甲板の部屋に飛び込み、人員を殺傷する。  逃げようにも、出入口は銃剣付マスケット銃を構えた海兵隊員が見張っている。
〔参考文献:ロイ・アドキンズ著、山本史郎訳「トラファルガル海戦物語」、原書房〕

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