この危機的状況に、民族主義者や元共産党幹部が反エリツィンの狼煙を上げる。
「親愛なるロシアの人々よ、我らが祖国は破滅しつつある。」
「最愛のロシアは助けを求めている。立ち上がれ!」
ストライキが頻発する。
これらに直面し、エリツィンは市場経済化、民営化の改革速度を緩める。
ハイパー・インフレーションは収まったが、市民の暮らしの苦しさは解消しない。
ヒョードルは決心する。
“もう、政府に頼っても、ダメだ。自らの力で明日を切り開こう。”
ロシア社会にもパーソナル・コンピュータが入ってきた。
ヒョードルは図書館から本を借り、コンピュータの勉強を猛烈にした。
そして、州が支援する起業プロジェクトにエントリーする。
パソコンを支援団体から借り、事務室のスペースを借り、パソコンによる機器制御プログラムの開発を進める。
半年の間に結果を出さねばならない。
徹夜が何日も続いた。
ヒョードルが目をつけたのは、街に数多くあるガソリン・スタンドだ。
今は、人間が給油量を目で見て記録し、料金を計算し、請求している。
これを、メーターとパソコンをつなぎ、自動的に料金を計算し、プリント・アウトするようにすれば、間違いが減り、省力化になる。
経理も楽だ。
完成したシステムを、知り合いのガソリン・スタンドにおいてもらう。
何回かの手直しはあったが、成功した。
“よし、自分の会社を立ち上げ、これを売り込もう!”
ヒョードルは、未来になにがしかの明るさを感じた。
参考図:「ソ連崩壊」、日本テレビソ連横断特別取材班、日本テレビ放送網(株)、1991
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