11月27日 伊豆日日新聞掲載
古里のアユ
アユ釣りシーズンも終盤を迎え、今シーズン釣り人から多くの質問や意見を受けました。その中で
多かったのは「最近のアユは性格が変わった」という意見です。その時私はこう答えます。「アユは
氷河期からいる魚ですからそんなに簡単に性格は変わりません。変わったのは狩野川の河川環境
や水質で、そのためアユはそれに順応しているのです」と。
どこが昔と変わったかというと、一番は増水した後の水の減り方が早くなったこと、次に川が浅くな
り水の流れが弱くなったことです。そのため、瀬が浅くなり、大きな石がなくなり、アユの餌場が減り
ました。アユの縄張りは狭くなり、追いが悪くなるのです。
アユは河川環境に対し非常に敏感に反応します。河川の環境は今後さらに悪化することが予想さ
れます。台風や集中豪雨による災害から人命を守るためには今のような川づくりも仕方がないです
が、この状態を改善するためには少しでも速い流れの場所をできるだけ多くつくることだと思います。
理由は前述の通りアユは水環境に敏感です。そのアユは流れのある水環境の良い場所にいます。
瀬には良いコケ(珪藻)が付くからです。そのためアユは流れのあるところで餌をたくさん食べます。
また良いコケは流れを中心に外側に円を描くように徐々に少なくなっていきます。つまり流れが速け
れば餌場は広く、弱ければ狭くなります。ですから速い流れの瀬をつくることがアユの生育には大切
です。
狩野川漁業協同組合 組合長 植田正光