10月9日 伊豆日日新聞掲載
古里のアユ
10月に入り日照時間が短くなると、アユは産卵場に入り産卵を開始します。まずお腹の左右にある卵巣
の片方が成熟し産卵に入ります。そして場所を変えてもう片方の卵が成熟したら産卵します。
これはアユが確実に子孫を残すための知恵です。産まれ卵に雄が精子をかけると受精が成立します。受
精が整った卵は、15日から20日でふ化し、川を下ります。そして48時間以内に海に入ります。
この時間内に海にたどりつか「ふ化仔魚(しぎょ)」=ふ化したばかりの魚=たちは死んでしまいます。運
よく海にたどりついても、今度は海の魚に食べられたりして、生き延びるのは0.01%程度で生き延びたア
ユは母なる海で3か月程度過ごし成長します。
このことから逆算しますと、10月の初めに産卵し生まれて幼アユは、1月の後半にそ上を開始することに
なります。産卵を終えたアユはゆっくりと川を下り一生を終わります。一部は水温の高い柿田川へ入り、そし
て一生を終えます。
そもことから考えると、今年の狩野川における産卵数は春のそ上量から見て、現在川に残っている雌アユは10万匹、1匹が平均2万5千個の卵を産むと思われるので、250億個前後ではないかと推測できます。
狩野川漁業協同組合 組合長 植田正光