
【プロムズ(Proms)】:ヘンリー・ウッド・プロムナードコンサートのこと。ロイヤルアルバートホールで約3ヶ月の間、ほぼ毎日クラシックのコンサートが行われる。アリーナが立見席として開放され、大体1000円くらいで良質のコンサートが聴ける。ロンドンの音楽祭みたいな感じ。最終日のチケットは抽選となる人気ぶり。かならず、〆にエルガーの「威風堂々」をやる。
ロンドンの夏の風物詩「プロムズ」まで、あと一ヶ月を切った。今年は6月15日から9月10日までのようだ・・・。HPを見てはため息をついている。
・・・行きてー・・・。
それはともかく、昨日、ダンナがクラシックのCDを買ってきた。
それも、ベートーベンの「第九」。
いきなりどうしたんだ。うちには第九がすでに5枚あるのだが。
「なんか、ストレス溜まっちゃっててねー。昼休みにCDショップ行ってきた」とのこと(涙)
毎日遅くまで働いてるもんね。おつかれさん。
彼は「第九」には特別思い入れがあるようで、自然にCDも集まってしまったのだけれど。
それで買ってきたのが、ベートーベンの交響曲第9番「合唱つき」だったわけなんだけど、指揮がクラウス・テンシュテット。「伝説のライブレコーディング!」という、あおり文句に負けたらしい(笑) 「限定」とか、「伝説」とか、「歴史に残る」とか、とかく弱いよね・・・。
クラウス・テンシュテットといえば(私はあんまり詳しくないんだけど)、ロンドンフィルの元首席指揮者。ロンドンフィルが一番輝いていた頃の指揮者でもある。98年にガンで亡くなってしまっている。
このCD、奇しくも85年のプロムズで録音されたものだった。
私が呼んだのか?(笑)
かくて、夕飯食べながら「第九」を聴くことになったわけだけれど、最初はコンサートホールがあまり良くないこともあり、ダンナは「うわ、音悪いな~」とぶちぶち文句を言っていたんだけれど、だんだんテンポが良くなってくる。
特に最終楽章の駆け上り方が、まさに芸術的でびっくりした。
すごく早いんだけど、清冽で、少しのぶれもない。
二人とも、「うっわ、なにこれ!」と驚く。
何年ぶりだろう。ともかく久しぶりに「第九」を聴いたけれども、これなら「伝説」と言っても差し支えないくらい、すごい演奏だった。二人とも素直に感動。
良かった!!
そんなこんなで、「イギリス行きたい」熱が再燃しそうな勢い。
こんな自分が怖いよ~。
【おまけ】
ところで、「第九」というと「年末」なイメージだけれど、これは日本だけのもの。
①戦後の混乱期にN響が年越し費用を集めるため、ドル箱だった演目「第九」の演奏会が定例化した。それをきっかけに、各楽団が真似した。
②1943年12月、東京芸大の音大生が学徒出陣で繰り上げ卒業することになったが、その卒業式で第九の第4楽章を演奏した。生きて帰ってきたら、必ず第九を演奏しようと誓った。
・・・のが始まり、とか言われる。
どちらが本当かはよくわからないようだが、どちらも「戦争」がらみだ。
欧米では、シーズンに関係なく、「ここぞ」という時に使われることが多い。
1989年12月。バーンスタインはベルリンで行われたクリスマス・コンサートで、やはりベートーベンの「第九」を演奏している。
「壁」が崩壊したあとの、初めてのクリスマスという、特別な時間と場所。そこに東西ドイツ時代は決して一緒に演奏することのなかった顔ぶれが集まって、「歓喜の歌」演奏した。
ちなみにバーンスタインは、この場に合わせて歌詞の「歓喜」を「自由」に変えている。
戦後60年の今年。
いろいろ考えながら「第九」を聴いてみるのも、悪くないかもしれない。