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ベートーベンの「第九」

2005年05月21日 | 音楽(クラシック)

【プロムズ(Proms)】:ヘンリー・ウッド・プロムナードコンサートのこと。ロイヤルアルバートホールで約3ヶ月の間、ほぼ毎日クラシックのコンサートが行われる。アリーナが立見席として開放され、大体1000円くらいで良質のコンサートが聴ける。ロンドンの音楽祭みたいな感じ。最終日のチケットは抽選となる人気ぶり。かならず、〆にエルガーの「威風堂々」をやる。

ロンドンの夏の風物詩「プロムズ」まで、あと一ヶ月を切った。今年は6月15日から9月10日までのようだ・・・。HPを見てはため息をついている。

・・・行きてー・・・。

それはともかく、昨日、ダンナがクラシックのCDを買ってきた。
それも、ベートーベンの「第九」。
いきなりどうしたんだ。うちには第九がすでに5枚あるのだが。
「なんか、ストレス溜まっちゃっててねー。昼休みにCDショップ行ってきた」とのこと(涙)
毎日遅くまで働いてるもんね。おつかれさん。
彼は「第九」には特別思い入れがあるようで、自然にCDも集まってしまったのだけれど。

それで買ってきたのが、ベートーベンの交響曲第9番「合唱つき」だったわけなんだけど、指揮がクラウス・テンシュテット。「伝説のライブレコーディング!」という、あおり文句に負けたらしい(笑) 「限定」とか、「伝説」とか、「歴史に残る」とか、とかく弱いよね・・・。

クラウス・テンシュテットといえば(私はあんまり詳しくないんだけど)、ロンドンフィルの元首席指揮者。ロンドンフィルが一番輝いていた頃の指揮者でもある。98年にガンで亡くなってしまっている。
このCD、奇しくも85年のプロムズで録音されたものだった。
私が呼んだのか?(笑)

かくて、夕飯食べながら「第九」を聴くことになったわけだけれど、最初はコンサートホールがあまり良くないこともあり、ダンナは「うわ、音悪いな~」とぶちぶち文句を言っていたんだけれど、だんだんテンポが良くなってくる。
特に最終楽章の駆け上り方が、まさに芸術的でびっくりした。
すごく早いんだけど、清冽で、少しのぶれもない。
二人とも、「うっわ、なにこれ!」と驚く。
何年ぶりだろう。ともかく久しぶりに「第九」を聴いたけれども、これなら「伝説」と言っても差し支えないくらい、すごい演奏だった。二人とも素直に感動。
良かった!!

そんなこんなで、「イギリス行きたい」熱が再燃しそうな勢い。
こんな自分が怖いよ~。



【おまけ】
ところで、「第九」というと「年末」なイメージだけれど、これは日本だけのもの。
①戦後の混乱期にN響が年越し費用を集めるため、ドル箱だった演目「第九」の演奏会が定例化した。それをきっかけに、各楽団が真似した。
②1943年12月、東京芸大の音大生が学徒出陣で繰り上げ卒業することになったが、その卒業式で第九の第4楽章を演奏した。生きて帰ってきたら、必ず第九を演奏しようと誓った。
・・・のが始まり、とか言われる。
どちらが本当かはよくわからないようだが、どちらも「戦争」がらみだ。

欧米では、シーズンに関係なく、「ここぞ」という時に使われることが多い。
1989年12月。バーンスタインはベルリンで行われたクリスマス・コンサートで、やはりベートーベンの「第九」を演奏している。
「壁」が崩壊したあとの、初めてのクリスマスという、特別な時間と場所。そこに東西ドイツ時代は決して一緒に演奏することのなかった顔ぶれが集まって、「歓喜の歌」演奏した。
ちなみにバーンスタインは、この場に合わせて歌詞の「歓喜」を「自由」に変えている。

戦後60年の今年。
いろいろ考えながら「第九」を聴いてみるのも、悪くないかもしれない。

チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番

2005年04月25日 | 音楽(クラシック)
最近週に一回のペースで歯医者通いが続いている。その治療室でよくかかっているのが、チャイコフスキーのピアノ協奏曲。有線なのかCDなのかは不明だが、行くたびに第一楽章から第三楽章まできいているような気がする。
だから私の中では、この曲は「歯医者の曲」(笑)

演奏会でもよくかかる定番中の定番だが、改めてうちにあるCDを聴いてみた。88年のジルベスターコンサートから、カラヤン指揮、ピアノがエフゲニー・キーシン。

第一楽章から、展開のさせ方がとってもゆっくり…。早めのテンポに慣れてしまっているせいか、ちょっとじれったいくらいだ。オケのアンサンブルなんかは相変わらずとてもきれいなんだけど、思わず早送りしようかと思ってしまったくらい。
カラヤンのチャイコは他をあまり聴いたことがないのでなんともいえないのだが、特にこれがゆっくりなのか? 何かもったいぶっている感のある演奏だなー・・・という感じ。
キーシンのピアノも、抑え目に弾いてるのか。第一楽章のソロは途中でゆるくなってくるので、余計に眠くなってくる。
第2楽章辺りで耐え切れず、撃沈。うっかり眠ってしまった。
第3楽章は割とよかったんだけど…ね、眠い…。

これはいかんと思い、今度は比較の意味でアシュケナージ指揮版のCDをかけてみた(ピアノはアンドレイ・ガヴリーロフ、オケは先ほどと同じベルリンフィル)。
…ああ、これだよ、これ。こちらは対照的にテンポが速い。カラヤン版と第一楽章だけで比較しても5分以上のひらきがある。やはりこれくらいの速さのほうが聴きやすい。
演奏自体は、無難かなあという感じだが。

指揮者の引っ張り方でここまで違うものかと感心。ちょっと勉強になった。

歯医者でかかっているやつも、もう少し細かく聴いてみたいものだが、「きゅいーん」という音に負けてしまうのだな…。
ちなみにこの日は、ピアノ協奏曲のあとにチャイコのヴァイオリン協奏曲もかかっていたが、タイミング悪く(?)治療が終わってしまい、全曲聴けなかった。
さすがに「この曲が終わるまでいさせてください」とも言えないしな…。

ミハイル・プレトニョフ 

2005年04月12日 | 音楽(クラシック)


今日も腹痛。具合はだいぶ良くなったが、あまり無理もできない。
外は天気も悪いしで、やることがみつからない。
二日間寝ていたものだから、ブログに書くようなネタもないんだけど、そんなときでも書くネタを見つけてくるのが根性ってものよね・・・(何がだよ)

そういえば、好きなピアニストのことを書いてなかったな。
いろいろいるが・・・今日はミハイル・プレトニョフをご紹介。

前にもちらりとこの人のことを書いているが、もう最近この方にはやられっぱなし。最近はロシアナショナル管弦楽団の指揮者としても知られているが、どうやらピアノもやめないでいてくれるので、嬉しい限りだ。(どうも私の好きなピアニストは、指揮者に転向している方が多いような気がする・・・)

1957年、旧ソ連のアルハンゲリスク生まれ。
74年にモスクワ音楽院に進学し、78年のチャイコフスキー国際コンクールで優勝。その後ピアニスト、作曲家として活躍。90年にはロシア初の民営オーケストラであるロシアナショナル管弦楽団を組織し、同楽団の芸術監督となる。その後は指揮者としても来日を果たし、99年には同楽団の名誉指揮者に。指揮者とピアニストとして活動しながら、現在に至る。

彼が1997年のベルリン・ジルベスターコンサートでラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」を弾いてるのを聴いて、私はすっかり魅了されてしまった(といっても、CDで聴いただけなんだけども)。以来、何かといえば彼を追いかけている。マルタ・アルゲリッチと共演した(つうか、「競演」と言っても過言ではない?)「シンデレラ」の連弾もよかったし。新譜の「チャイコフスキー 18の小品」も買おうかともくろんでいるところ・・・。うふふ。

演奏のほうはといえば、精緻なテクニックと適度にドラマタイズした盛り上げ方がとっても素敵。
「来てほしいところでズバンと来てくれる」というか。ピアニストによっては「やりすぎでしょうよ・・・」という人も結構いるんだけど、不思議とプレトニョフはそういうのがない。自信と余裕が醸しだす演奏のような気がする。
要するに、「引くべきところは引き、押すべきところは押す」というところをわきまえているピアニスト。盛り上げ方にまでテクを感じる。ロシア的な叙情性がいい具合に揺らめいてる演奏で。それがとっても気持ちいいのデス。はう~ん。(byのだめ)

画像は、「プレトニョフ ライブ・アット・カーネギーホール」のCDジャケット。
もう一曲目からやられました。バッハの「シャコンヌ」をピアノ用に編曲したものだが、これがもう、絶品。あと、ショパンのスケルツォも素晴らしい盛り上がりかただった。
二枚目に入っているラフマニノフのエチュードは、なんだか異様に力強くて印象に残る。
ラヴェルの次くらいにヘビーローテーションの一枚である。

ああ、こういうの聴いてると、ピアノ始めたくなるんだよな・・・。多分長続きしないから、ぐっと我慢。手の大きさだけは、ピアニスト並みなんだけど(笑)

それはともかく、このアルバムに入ってる「シャコンヌ」をきっかけに、バッハにも手を出してみるかな・・・と思っているところ。思えばそれほどバッハは聴いてないので、いい機会かも。

本日のN響アワー:オヤジギャグとジャニーヌ・ヤンセン

2005年04月03日 | 音楽(クラシック)
本日から司会が交代する!ときいて思わず喜んでしまったのだけれど、実際に変わったのは女性のほうのみ・・・。ちょっとガッカリ。

本日のI氏の発言。
「アマデウスで有名なモーツァルトの「アマデウス」はミドルネームですけどね、どんなにすごい曲を書いていても、「アマデウス」だけに、プロではなくてアマなんだよねー」

・・・職場の若い女の子相手に、上司が喜んでオヤジギャグ連発している図を見た気がする。
やっぱり、これくらいどうしようもないギャグをいなせるようになるには、よほどの精神修行が必要と思われる。
壇ふみよ、カムバック・・・。

ところで、本日の一曲目はメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲だったが、ソリストがジャニーヌ・ヤンセン。ゲルギエフお気に入りの女性ヴァイオリニストだ。
今回の演奏は、ラジオであらかじめ中継を聴いていたのだが、あまりのパワープレイぶりに、てっきり男性だと思っていた。あとでネットで調べて女性と知り、心底驚いたわけなんだけれども。
いい音させてます。テクもすごいし。
若いのにあれだけの迫力を出せるとなると、将来どんな風に化けるか楽しみ。
ゲルギエフが気に入るのも、なんとなくわかる・・・。

彼女のCDもほしかったけど、今のところヴィヴァルディとバイオリン小品集の2枚のみしか出ていない。
いつかゲルギーと競演したコンチェルトのCDも出てほしい・・・。


ヒラリー・ハーン

2005年04月01日 | 音楽(クラシック)

クラシックのCD業界には、自分のルックスやビジュアルを全面に押し出している人が結構いる。新人さんや声楽の人は、その方向性が顕著。特に顔を覚えてもらう意味もあるようだ。まあ、中には単に「ナル」な方もいらっしゃるのかもしれないけど・・・。某チェリストとか・・・。

まず誤解のないように書いておくが、彼らビジュアル系は、演奏も抜群に素晴らしい。ただ、マーケティングの戦略として、アイドルのように「ルックス」を全面に押し出している、ということ。ドイツ・グラモフォン在籍のソリストが、そんな風に売ってる人が多いかな?

ナルかどうかは置いといて、「ビジュアル系」で売り出してる中で目立つのは、まず中国のピアニスト、ユンディ・リ
DGが力を入れて売り出しているのがわかるほど、CDショップのクラシックコーナーには、彼のポスターがどどんと張り出してあったな。CDジャケットは、絶対彼のポートレイト。キムタクを意識してるのだろうか・・・。ま、個人的に彼のビジュアルはどうでもいいんだけど、顔があれだけでてると、やっぱりCDのインパクトも大きいような気がする。
彼はプレイヤーとしてもすごいんだが。「一位が出ない」ことで有名なショパンコンクールで優勝したこともあって、実力は十分。ファーストアルバムは未だに人気がある。私も彼のリストはCDを持っているが、とにかくすごい。色気があるっちゅうか。ビジュアル系で売らなくても、十分売れると思うんだけどな。

あとはフランス人ピアニスト、エレーヌ・グリモー。彼女もビジュアル重視の傾向あり。ファーストアルバムもバカ売れだった。実はまだ聴いていないんだけど、CDショップの言うことには「アルゲリッチの再来?!」とかなんとか。まじっすか? 
今年2月、東芝スーパーコンサートの広島公演で彼女が来るはずだったんだけど、ドタキャン。急遽、諏訪内晶子さんがステージに立ったという情報を得ているんだが・・・。本当なんだろうか・・・。

そして、ヒラリー・ハーンも、ビジュアルで売ってると思う。彼女はアメリカのヴァイオリニスト。今回は彼女のCDを聴いた(画像参照)。曲目はエルガーのヴァイオリンコンチェルト。「威風堂々」のインパクトが強いせいか、他の曲を聴くと「ええっ?!」という嬉しい驚きと発見のある作曲家だ。二月に聴いたヴァイオリンソナタ以来、結構はまっている。ヒラリー・ハーンの実力も気になっていたので、お手並み拝見とばかりに購入した。

曲自体は、エルガー独特の男性的なロマンチシズムにあふれている。ヴァイオリンソナタの時にも感じた、力強い清々しさは健在。
第3楽章は「キターーーーッ!」という感じで主題が還ってくる。オケ部分はとても気持ちが良かった。しっとりとした和声がまた良い。

で、肝心のヒラリー・ハーンのヴァイオリンだが、意外に音が繊細だった。一音一音、正確に音は拾っているが、なんとなくオケの力強さに負けてる感もあり。うまいな~という気はするんだけど。普段聞いてるのが男の人のバイオリンだから、耳が慣れないのか? 
いやいやそれにしても・・・。

「いいところのお嬢さんが弾く、行儀のいいヴァイオリン」というのが感想かな・・・。テクはすごいと思うが・・・。これも個人的な好みの問題なんで微妙な線だが、エルガーの曲なら、もう少し力強い音のほうが合うかも(少なくとも私にはそう思えた)。実際、カップリングの「あげひばり」という小品のほうが、彼女らしさが存分に発揮できててよかった。
彼女はバッハも出しているが、多分そっちのほうがまとまってていいのではないかしら。几帳面な感じの音のような気がするので・・・。

なんでかんで、これからの動向は注目しておきたいと思うソリストではあります。