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Say Hello! あのこによろしく。

2005年05月17日 | 書籍


表紙をはじめてみたとき、「ずるい…」と思った。
買っちゃうでしょ、こんなに可愛いわんちゃんのあくびなんか見たら…。それも、歯なんかまだ生えていないような、ちいさなわんちゃんだ。
というわけで、これも即買してしまった犬の本。

これはジャックラッセルテリアのルーシーが3匹の娘を産んでから、それぞれが里親にもらわれていくまでの、数ヶ月の記録である。
糸井重里氏のHP「ほぼ日刊イトイ新聞」(ほぼ日)に掲載されていたルーシー親子の写真を、今回一冊の本にまとめたもの。

生まれたての赤ちゃんが、少しずつ大きくなっていく様子、そしてルーシーが立派な母親になっていくところが、たくさんの写真と文章とともに綴られている。
何より、この本の著者であり飼い主であるイワサキユキオさんの、愛情に満ちた視点がたまらない。
パートナーといい距離感で暮らしている証拠なんだな、と思う。

愛くるしいわんちゃんたちの日常を見ながら、つい「可愛い~」とニヤニヤしてしまったのだが、途中からそれは涙に変わっていた。
母親のそばで無邪気に遊ぶ子供たちは、いつか里親の元へ行き、別々の道を歩んでいく。だからこそ、母親と子供たち、そしてイワサキさんの絆の強さに、じんとくるものがあった。

命あるものが与えてくれるもの…それは単なる「癒し」だけではない。
きっと誰もが知っていることなんだけれど、いつの間にか忘れてしまう「温もり」なのだろう。そういった暖かさが、この本には凝縮されている。
家族、娘、母親―――そんな愛にあふれた関係が、いとおしくてしかたがない。心あたたまる一冊である。
犬好きでない方にもおすすめしたい。何か心に響くものがあるんではないだろうか…。


それにしても、生まれたての仔犬の鼻と肉球は、桜色なのね…。
初めて知ったよ…。

Sideways

2005年05月10日 | 書籍

今回読んだ本は、映画「サイドウェイ」の原作。
映画のほうはアカデミー脚本賞(原作つき)を獲得している。
面白そうだったのでアマゾンで本を取り寄せてみたのだが、これがなかなか。
読み終わるのが惜しくて、寝る前にちびちび読んでいた作品なのだが、とうとう連休中で読了してしまった。

ストーリーは、マイルズとジャックのダメダメ男二人の珍道中を描いている。

ワインおたくのマイルズは作家を夢見ているが、まったく芽が出ない。妻には数年前に逃げられたが、彼女のことを忘れられずにいる。金もなく、しょっちゅう大家や借金取りから電話がかかってくる。そんな彼はとてもデリケートな性格で、精神的にちょっと病んでいる。
一方、彼の親友であるジャックは成功した映画監督。役者もやっているのでハンサム。お金持ちで、女性にももてるし、話もうまい。
しかし、無類の女好きで、婚約者がいるにも関わらず、女性をナンパしてばかり。

マイルズは結婚式を一週間後に控えたジャックをつれて、カリフォルニアのワイナリー巡りにでかける。ワインとゴルフ三昧の日々になる予定が、女好きのジャックのおかげで一転。トラブル続きの旅になってしまう。

とにかく文章が巧みで、読んでてちっとも飽きない。
いい年をした男二人(特にジャック)の羽目のはずし方が笑えてしょうがない。会話もウィットに富んでいて、思わずニヤリとしてしまう。
それでも、そこはかとない寂寥感が漂っているのは、ひとえにこの旅が「ジャックの独身最後」だからだろう。
劇中で二人が「結婚したら、もうこんな風にバカ騒ぎもできない。これが最後なんだ」と何度も言っているとおり、どちらかに生活の変化が訪れると、友情と言うものの本質は変わらなくても、形は変わらざるをえない。それを惜しむように続けられる旅が、なんともいとおしい。
頭にくること、むかつくこと、妬ましいこともあるけれど、やはりお互いのことをよく理解している。そういう親友同士なのだ。

また、マイルズの夢、別れた妻のこと、そして現在気になる女性のこと。デリケートなジャックの内面が細やかに綴られていて、なんだか応援したくなってくる。それにしても、マイルズが鬱の発作を起こしたときの描写がやけにリアルなのは、作者自身も似たような経験があるからだろうか。

抜けるように青いカリフォルニアの空の下、どこまでも続く道を、酔っ払い男二人が車を走らせる。
まあ、道はまっすぐじゃないんだけど。
それでも人生は捨てたもんじゃない・・・という一冊だった。

ところで、"Sideways"というタイトルの意味にお気づきだろうか?
「回り道」という以外に、実はもう一つの意味がある。
正解はまた明日、DVDの感想を書くときにでも。

「大人たばこ養成講座」

2005年04月29日 | 書籍


突然ですが、あなたはタバコを吸いますか?

私はタバコが死ぬほど嫌いなので、全世界的な禁煙の動きには大賛成なのだが、「タバコを吸いたい」という、スモーカーたちの切ない気持ちもなんとなくわかる。しかし、マナーの悪い人がやたらと目に付くこのごろ。

全面禁煙の地下鉄の駅から出てきたあとの、路上での一服。そして、レストランにてご飯食べてる人たちがいるにもかかわらず、まわりを気にせずプカプカし始めたり。山登りにきてんのに、プカっと吸ってポイっとしたり。
いや、吸いたいという気持ちもわかるよ。
でもね、このご時勢なんだから、最低限のマナーは守ってもらいたいのね…。

そして目の敵にされるスモーカーも、「いちいちうるさいな!」と思う人もいるだろう。

…と、タバコのことを言い出すと、とかく目くじらを立ててしまいがち。スモーカーとノンスモーカーの仁義なき戦いは続いていくのだろうが…。

そんな戦いに一石を投じる一冊、「大人たばこ講座」。
「東京ウォーカー」や「日経エンタメ」に掲載されてる、JTの「タバコのマナーについて」という見開き広告を集めた本なのだが、これがユーモアにあふれていて、つい笑ってしまう。
現在シリーズ2冊が出ているが、本屋で立ち読みし、気に入って購入してしまった。

脱力系のイラストで書かれた主人公が、いろんなところでの「お作法」を説明している。(「ホウサク」という名前もある)喫煙大好きな彼が、「大人として、たばこをいかに上手に、かつスマートに楽しむか」ということも交えて、いい大人のありかたをシチュエーション別に実践している。

例えば。
「出張でのお作法。」
①初の出張が決まったら、オレも大人になったなあ、としみじみ一服すること。
②喫煙席、禁煙席のどちらを予約するかは、上司ののぞみを優先すること。
③海外出張の場合、その国の文化、風習、価値観をよく知ること。いらぬ衝突をしないこと。
④当日、上司を待たせないこと。遅れたら、見えそうなところからダッシュすること。
(中略)
⑦駅弁はフタについたゴハンを粗末にしないこと。カリカリ梅干しをさいごに楽しむこと。
(中略)
⑩訪問先では、上司を呼び捨てにすること。待合室では、まだしないこと。
⑪会議中や商談中、そこに灰皿があっても「たばこを吸ってもよろしいですか」のひとことを忘れないこと。
(中略)
⑭ホテルにつくなり、有料ビデオにかじりつかないこと。
⑮会社への報告を終えたら、充実感とともにたばこの煙をゆっくり味わうこと。

という感じ。イラストをお見せできないのが残念。これがまた、味があってよい。結構おかしくてニヤニヤしてしまう。
現実、マナーを守るのも、これくらい楽しくできればストレスも溜まらなさそうだ…と思う。
「マナーを守ってるオレ、大人だな~」という呟きが聞こえてきそうなイラスト。
マナーというのは、「守るもの」というよりも、本当は「楽しめるもの」であるのかもしれない
そして、マナーを守ってくれる人は、素敵だなーと思う。

一冊2000円もするので二の足は踏むが、書店で見かけたら、チラッと覗いてみてほしい。
ちなみに、巻末には「アダルトたばこ養成講座」という、ちょっぴりオトナのコーナーもついている(笑)


よしながふみ、という漫画家。

2005年04月19日 | 書籍


まんがが大好きな私だが、尊敬してやまない漫画家が二人いる。
一人は、もう何度もこのブログやHPのレビューでも取り上げさせていただいている、波津彬子さん。そしてもう一人は、よしながふみさんだ。とにかくこの二人に関しては、どの本もハズレがない(と、少なくとも私の中では思っている)ので、新刊が出るとすかさず買ってしまう。

この二人の共通点は、ストーリーテリングが卓越していること。
波津さんの場合、クラシカルな世界の中にもひねりがきいていて、「うまいっ!」と言ってしまう。そこには、日本的な「粋」の世界が広がっている。
一方、よしながさんは「間」で読ませる。セリフやモノローグを使わず、けれども雰囲気たっぷりな大ゴマで、登場人物たちの心の動きを詳らかにしている。しかも、ただ沈黙が広がっているわけではなく、空気の動きや息遣いまで聞こえてきそうな、ビビットな色使いの「間」がそこにある。只者じゃない。
今日はそんなよしながさんのグルメマンガ(笑)を二つ。

よしながふみさんの代表作といえば、まずこれだろう。月9ドラマにもなった、「西洋骨董洋菓子店」。
男4人のムサいケーキ屋で繰り広げられる人間模様と、誰の舌をも酔わせる極上のケーキたち。これだけでもごちそうさまなんだけど、出てくる洋菓子が、めちゃくちゃおいしそうなんだな。

この作品、甘いもの嫌いな私が、読んでるうちに思わずケーキ屋に走ってしまうほどの魔力を持っている。暗示にかかってるんだろうなあ。
毎回披露される、オーナーの華麗な薀蓄も、売りの一つだったな・・・。

で、今月出た新刊「愛がなくても喰ってゆけます。」は、グルメショートショート。
ホモマンガを描いて生計を立てている漫画家、「YながFみ」(笑)。趣味は「食べること」。普段の料理も、どんなに時間がなかろうが、ひと手間を惜しまない。そしておいしい店なら、どんなに遠くても足を運ぶ。そんな彼女を取り巻く人々と繰り広げる、ゆる~い日常と、東京にある隠れた名店を紹介した一冊である。(ていうか、どこまでフィクションなんだか・・・お店は実在のものなんだけど)

毎日いろいろあるけど、美味なものさえあれば、人は結構幸せにやっていけるんだなー・・・というのを、独特のタッチで描いている。そして、食べ物ばっかりの話の中にも、スパイスのようにきいてる「よしなが節」に、しんみり。やっぱりこの辺がただものでないんだなあ。ただ笑わせるだけじゃないんだもん。

それにしても、よしながさんの描く食べ物たちの、なんとおいしそうなことか。愛をもって描いているのが、よくわかる。「ぐわ~、うまいもん喰いてえ~」という暗示にかかりそうだよ。
空腹時には、決して読まないでね。

ちなみに、紹介されている店は中央線界隈が多い。
なんで東京にいる間に、この本出してくれないんだよう(涙)
実際に行ってみたかったなあ・・・。




GO!ヒロミGO!

2005年04月10日 | 書籍

ふざけたタイトルからもおわかりのように、このマンガ、まったく型にはまってないのがいい。
はっきり言って、なんの感動も教訓もないコメディなんだけれど、なんか、突き抜けているというか、かっとんでいるというか、キレているというか。勢いだけのマンガと言えなくもないが、逆に言えば「勢い」だけでここまで読ませるって、かなりすごいんじゃあ・・・という気がしてくる。
勢い上等、文句があるならかかってきなさい・・・と、ある意味読者に挑戦してるような気もする作品。

主人公:羽柴ひろみ。
職業:学生。それも、最高学府といわれるT大(フィクションです)の学生。
性格:傍若無人。猪突猛進。天衣無縫。トラブルメーカー。混ぜるな危険。だけど素直。
外見:不本意だが美人。
友人:多いわけじゃないが、みんないいやつ。
男:20年間ナッシング。
欠点:マイペースすぎるところ。その上いい加減。
目標:いい女になること。そんだけ。

「固くてキビシイ父親から逃れるためには、最高学府T大に行くしかない!」と、勉強勉強の日々を送ってきたひろみ。無事合格して東京に出てきたはいいけれど、派手な外見と珍妙な発言が災いして、大学では浮きまくり。当然友達も出来ない。そこで出会ったのは、地元が一緒で顔見知りのヒデキ、ハーレーで全国を放浪したのち、受験勉強してT大に入ったゴロー。
この3人、ひょんなことから同居生活を始めるようになるが、ひろみの行くところ行くところ、トラブルばっかり。ヒデキとゴローは、当然そのフォローばかりだけれど、まっすぐで不器用なひろみの生き方が憎めない。

読み進めていると、「絶対こいつB型だよな・・・」と思えるところが多々あり。同じくB型の自分と妙にオーバーラップしているところがあって悲しくなるが(T大生、というとこは除く)、これくらいマイペースに生きてみたいと、ちょっぴりうらやましくなる。
・・・ええ、私の生き様なんて、ひろみちゃんに比べたら、まだまだ可愛いもんですよ・・・ふふ。

それを見守って・・・いや巻き込まれているヒデキとゴロー(五浪してるからそういうあだ名がついた。本名は・・・またこれが笑える)が、いいやつなんだなあ。色恋抜きで、こんな男友達がほしい。マジで。

そんなひろみの名言。
「頑張ったのが、なんでダサイ!?」
「とりあえずハードル決めて、死ぬ気で跳んだら、跳べた。キモチ良かった」
「売られたケンカは、買わせていただきます。」
「ハードルは避けるモンじゃない、超えるモンでしょーよ」

ああ・・・いいわー。この直球勝負のセリフたち。
スラップスティックなノリの中に、こういったヒロミ哲学が散りばめられている。
人生は、戦ってナンボ。そういうことを、しみじみと実感できるかも。

天使と悪魔(ちょっとネタバレあり)

2005年04月04日 | 書籍
ローマ法王ヨハネ・パウロ2世(84)が、日本時間の4月3日午前4時37分に逝去した。世界各地をはじめ、日本の信者の方も哀悼の意を表しているニュースが流れていた。

誠に不謹慎ではあるが(信者の方には誠に申し訳ない、と先に謝っちゃうけど)、これで思い出してしまったのが、ダン・ブラウンの「天使と悪魔」。
ロバート・ラングドンシリーズの第一作目・・・「ダ・ヴィンチ・コード」の一つ前の話だ。なので、これから「ダ・ヴィンチ・コード」を読まれる方は、その前にぜひこちらを読んでいただきたい。

どうしてこの本かというと、事件が法王の死去に端を発しているからだ。
真夜中、マサチューセッツにある自宅で寝ていた主人公、ロバート・ラングドンのところに、一本の電話がかかってくる。「今すぐ会いたい」と言われるが、ラングドンは電話を切ってしまう。そこに、FAXで死体の写真が送られてくる。その胸元には、"illuminati"という、特殊な飾り文字の焼印が押されていた。
その文字に確かに見覚えのあったラングドンは、電話の主に言われるまま、音速機でスイスのジュネーブへと向かう。
とある研究施設で起こった殺人事件に導かれるように、さらにバチカン市国へ飛ぶラングドン。そこでは法王の死去に伴い、次代の法王を選出するための投票が行われようとしていた。ラングドンを待っていたのは、テロ予告と、4人の枢機卿の誘拐事件だった。

・・・というような書き出しで、事件が本格的に起こるまでが異様に長い。しかし個人的には、この「天使と悪魔」の方が好きだったりする。

「ダ・ヴィンチ・コード」は、それまで言われていたダヴィンチの作品にまつわる学説や、キリスト教の異端に関する話を、モナリザなど人気のある作品やルーヴル美術館などの実在の建築物をからめて、一大エンターテイメントに仕上げている。
「天使と悪魔」も基本的にそのノリは変わっていないが、タイムプレッシャーがきつい分、ドキドキ感はこちらのほうが上だった。ベルニーニにからめた謎解きも、「ダ・ヴィンチ・コード」より凝っているような気がするし。どんでん返しも2回くらいあるので、最後まで気が抜けない。妙に後味の悪いラストシーンも印象的だ。

なのに、どうして「ダ・ヴィンチ・コード」並みに売れないのか・・・?
やはりダヴィンチのほうが、ベルニーニよりも万人に知れ渡っているからかもしれない。
実際、私もベルニーニの作品をネットで検索しながら読んだくらいだし。その点、世界的な天才の世界一有名であろう「モナリザ」なら、誰でも容易にどんな絵か思い出せる。想像しやすい分、より楽しめるのだろう。事件の起こる場所も、ルーヴル美術館とみんな知っている場所だし。インパクトが上か。

「天使と悪魔」は、ちょっとご都合主義っぽい展開があるのも否めないが、「神の奇跡が起こった」ということで、その辺目をつぶっていただければ・・・と思う。
上級のエンターテイメントでもあるが、どちらかといえば「謎解き」に集中して書いている分、「ダ・ヴィンチ・コード」よりもミステリー色が濃い。

現実的にも妙にマッチしている今なら、不謹慎だけど緊張感をもって読めるかもしれない・・・。
(本当にごめんなさい!)