
表紙をはじめてみたとき、「ずるい…」と思った。
買っちゃうでしょ、こんなに可愛いわんちゃんのあくびなんか見たら…。それも、歯なんかまだ生えていないような、ちいさなわんちゃんだ。
というわけで、これも即買してしまった犬の本。
これはジャックラッセルテリアのルーシーが3匹の娘を産んでから、それぞれが里親にもらわれていくまでの、数ヶ月の記録である。
糸井重里氏のHP「ほぼ日刊イトイ新聞」(ほぼ日)に掲載されていたルーシー親子の写真を、今回一冊の本にまとめたもの。
生まれたての赤ちゃんが、少しずつ大きくなっていく様子、そしてルーシーが立派な母親になっていくところが、たくさんの写真と文章とともに綴られている。
何より、この本の著者であり飼い主であるイワサキユキオさんの、愛情に満ちた視点がたまらない。
パートナーといい距離感で暮らしている証拠なんだな、と思う。
愛くるしいわんちゃんたちの日常を見ながら、つい「可愛い~」とニヤニヤしてしまったのだが、途中からそれは涙に変わっていた。
母親のそばで無邪気に遊ぶ子供たちは、いつか里親の元へ行き、別々の道を歩んでいく。だからこそ、母親と子供たち、そしてイワサキさんの絆の強さに、じんとくるものがあった。
命あるものが与えてくれるもの…それは単なる「癒し」だけではない。
きっと誰もが知っていることなんだけれど、いつの間にか忘れてしまう「温もり」なのだろう。そういった暖かさが、この本には凝縮されている。
家族、娘、母親―――そんな愛にあふれた関係が、いとおしくてしかたがない。心あたたまる一冊である。
犬好きでない方にもおすすめしたい。何か心に響くものがあるんではないだろうか…。
それにしても、生まれたての仔犬の鼻と肉球は、桜色なのね…。
初めて知ったよ…。