加奈子のたららん うたレシピ♪

歌い手、声楽講師として活動中♪ 音楽のこと、日々のことをマイペースに綴っております。

第7曲 夏の日々 ~Sommertage~

2012-03-15 | うた♪
≪7つの初期の歌≫の終曲、“夏の日々(Sommertage)”です。
これまでの6曲とは少し違う世界観を持ちます。

“夏の日々”とは言っても夏の思い出話をしてるのではなく、現実的な男女の愛の歌。
でもなく、神への讃歌とも言える内容です。

濃密で息苦しくなるような熱気をはらんだ夏の大気の中で、夏の勢いある風が吹く。
その中で、心が解放され、神の御手の中でさすらい、歌い、よろこぶ。


この曲を聴く度、詩を読む度、歌う度に少しずつ違った感覚があります。
2年前、1年前に歌っていた時とは、思うことも感じることもまったく異なる今。
結局、今の自分はどんな風に歌うのが1番心地良いのか。
いろいろお試し、試行錯誤中です。




第7曲 夏の日々 ~Sommertage~
原詩:パウル・ホーエンベルク(Paul Hohenberug)


Nun ziehen Tage über die Welt,
永遠の青空から届けられる日々が

Gesandt aus blauer Ewigkeit,
この世界を通り抜けていく。

Im Sommerwind verweht die Zeit,
夏の嵐に吹かれて時は過ぎていく。

Nun windet nächtens der Herr
夜ごとに神は星の冠を

Sternenkränze mit seliger Hand
その御手で夜空に編まれる、

Über Wander- und Wunderland.
さすらいとよろこびの国の上に。

O Herz,was kann in diesen Tagen
あぁ、心よ、この夏の日々に

Dein hellstes Wanderlied denn sagen
お前の明るい旅の歌は

Von deiner tiefen,tiefen Lust:
その深いよろこびはどうしたのだ。

Im Wiesensang verstummt die Brust,
草原のそよぎを聞いても、

Nun schweigt das Wort,wo Bild um Bild
心から言葉が浮かび出ぬのは、夏の光景が

Zu dir zieht und dich ganz erfüllt.
次から次へとあらわれ、心を満たすからなのだ。


Youtubeより
Sommertage aus"Sieben frühe Lieder"

Elīna Garanča(Ms.)
Sinfonieorchster des Hessischen Rundfunks
Leitung: Paavo Järvi



第6曲 愛の頌歌 ~Liebesode~

2012-03-09 | うた♪
詩人のハルトレーベンは、シェーンベルクの≪月に憑かれたピエロ(Pierott lunaire)≫の
ドイツ語訳詩を書いた人として知られているドイツの劇作家です。

この曲は前の第5曲とは全く性格の異なる曲調で、真夏の濃厚な夜を連想させます。
メロディーを支える伴奏部分に、アルペッジョ(分散和音)が多用され、
感情の渦・官能的なむせかえるような匂いのようなものを感じ取ることができます。




第6曲 愛の頌歌 ~Liebesode~
原詩:オットー・エーリッヒ・ハルトレーベン(Otto Erich Haltleben)

 
Im Arm der Liebe schliefen wir selig ein.
愛の胸に抱かれて、私たちは幸せに眠りました。

Am offnen Fenster lauschte der Sommerwind,
開けた窓から夏の風がじっと耳を澄まし、

Und unsrer Atemzüge Frieden trug er hinaus
私たちの穏やかな寝息を運び去ったのです。

in die helle Mondnacht.
明るく月が照らす夜空へと。

Und aus dem Garten tastete zagend sich
すると庭からはおずおずと忍び込んでくるのです。

ein Rosenduft an unserer Liebe Bett
薔薇の香りが私たちの愛のベッドまで。

Und gab uns wundervolle Träume,
そして私たちにすばらしい夢を授けてくれました。

Träume des Rausches, so reich an Sehnsucht!
陶酔と憧れに満ち溢れた夢を。



Youtubeより
Liebesode aus "Siebe frühe Lieder"

Elīna Garanča(Ms.)
Sinfonieorchster des Hessischen Rundfunks
Leitung: Paavo Järvi

第5曲 部屋で ~Im Zimmer~

2012-03-09 | うた♪
ヨーロッパの秋は突然やって来ます。
住んでいたウィーンでも、短い夏が終わる8月中旬頃、秋の気配が少しずつ感じられるようになり、雨が降った翌日から急に寒くなったりしました。
真夏のジリジリと焼けるような太陽の陽射しから、一気に真冬のコートが必要なくらいの寒さになったりするのは、それほど驚くことでもありませんでした。

その激しい寒暖差のおかげ?で、街中のあちこちで美しい紅葉・黄葉を見ることができます。

そして、ヨーロッパの秋は日本と同じように実りの秋でもあります。
美味しいキノコや果物がスーパーに並び、秋も深まれば焼き栗スタンドが街中に出始めます。また葡萄の収穫期で、新酒の季節でもあります。
夏とは違った楽しみが待っている、最高の季節がやって来るのです。



第5曲 部屋で ~Im Zimmer~
原詩:ヨハネス・シュラーフ(Johannes Schlaf)


Herbstsonnenschein.
秋の日射し。

Der liebe Abend blickt so still herein.
美しい夕日が穏やかに射し込む。

Ein Feuerlein rot
小さい赤い炎が

Knistert im Ofenloch und loht.
ストーブの中でぱちぱち音を立てて燃えている。

So,mein Kopf auf deinen Knie'n,
こうして、私の頭をあなたのヒザに乗せていると、

So ist mir gut.
私はとても幸せ。

Wenn mein Auge so in deinem ruht,
私の目が、あなたの中で安らぐ時、

Wie leise die Minuten zieh'n
時が経つのはなんて早いのかしら。


Youtubeより
Im Zimmer aus "Sieben frühe Lieder"

Anne sofie von Otter(Ms)
Bengt Forsberg(Pf)