hir-taniの山と沢の日記

趣味の山と沢登りを中心に、ときどき雑談を・・・。

日高国境稜線

2021年08月13日 | 日高国境稜線
【日高十勝岳から日高国境稜線 (2007.04)】

日高国境稜線の図

00(番外) 佐幌岳(1059.6m)~奥佐幌岳(1040m)~椎空知山(942.8m) (2019.04.21)
00(番外) 日勝峠~1327無名峰(労山熊見山)~1383無名峰(双珠別岳) (2012.04.21)
01 日勝峠~ペケレベツ岳 (2009.04.19) (2021.08.11 Up)
02 ペケレベツ岳~ウエンザル岳 (2006.04.08-09) (2021.08.12 Up)
03 ウエンザル岳~パンケヌーシ分岐 (2010.05.15-16)
04 パンケヌーシ分岐~芽室岳~ピパイロ西峰 (2010.05.02-05)
05 ピパイロ西峰~1967m峰 (2002.05.02-03) (2007.05.22-23) (2010.06.25-27)
06 1967m峰~戸蔦別岳 (2002.06.29-30) (2004.07.01-04) (2010.06.25-27)
07 戸蔦別岳~神威岳 (2007.05.03-05)
08 神威岳~エサオマントッタベツ岳 (2009.05.03-05) (2015.05.02-04)
09 エサオマントッタベツ岳~カムイエクウチカウシ山 (2002.07.27-30) (2008.08.06-09)
10 カムイエクウチカウシ山~ヤオロマップ岳(~1839m峰) (2001.08.12-16)
11 ヤオロマップ岳~ペテカリ岳  (2011.08.26-30)
12 ペテカリ岳~神威岳 (2011.05.03-06)
13-1 神威岳~ソエマツ西峰 (2014.05.03-05)
13-2 ソエマツ西峰~ソエマツ岳 (2015.09.21-23)
14 ソエマツ岳~ピリカヌプリ (2007.08.12-14)
15 ピリカヌプリ~トヨニ岳 (2004.05.03-05) (2021.08.10 再Up)
16 トヨニ岳~1151 (2006.05.06) (2017.03.18-19)
17 1151~野塚岳~十勝岳 (2006.05.03-04)(2021.08.10 Up)
18 十勝岳~楽古岳 (2007.04.29-05.01)


(2015.09.22 11:06 ついに念願の国境稜線(芽室岳~楽古岳)を全山踏破しました。)

【ゴールは近い、ソエマツ西峰まであとわずか! 】


【ゴールに向かって】


【ついに、ソエマツ西峰にて日高国境稜線踏破! 2015.09.22 11:06】


【2015年9月記 ゴールを迎えて】
2001年の8月にカムイエク~1839峰までの縦走で国境稜線を歩き始めてから14年目にして、ついに目標としていた芽室岳~楽古岳までの区間を踏破することができた。
2011年のGWに神威~ソエマツの区間を残してリーチとなってからも、実に4年も待ち続けてのゴールだったので終えるまでの4年間は本当にもどかしかったが、全てを終えた今はうれしいという気持ちもさることながら、もうこれで苦しい思いをすることもない、ほっとしたという気持ちが大きいのが正直なところである。
達成するにあたっては、ここ10年にわたってお付き合いいただいてきたY川さんのおかげによるところが非常に大きいと思っている。氏なくしては絶対に達成されなかったと思われ、感謝してもしきれないほど感謝している。また、難関の一部である神威~ペテカリを同じく稜線踏破を目指していたY内さんのグループに混ぜてもらって歩き通せたのも大きい。いずれにしてもいえることは周りのメンバーに非常に恵まれたということであり、ここで改めて感謝の意を表したいと思います。本当にありがとうございました。

【2014年8月記  今年の挑戦を終えて・・・】
GWのリベンジにお盆休みを利用してヌビナイからのルートでゴールを目指したが・・・。
8月頭からの雨続きで、日高の山は飽和状態らしく、なかなか水位が減らない。おまけに直前の台風、行っては見たものの途中の橋から見たヌビナイ川は水量が多く、林道も終点から10kmも手前で壊れている有様。即撤退を決め、知床の沢に向かった。
350mを残して今年もゴールならず、相方のYさんが来年再挑戦しようといってくれているので来年こそは何とかしたいと思っている。(七つ釜も復活してるといいけどね・・・)
お願いだから、ゴールさせてくれ~ !

【2014年5月記 ゴールならず無念・・・】
そして・・・、
2012年は悪天予報のため、足を踏み入れることさえせず。
2013年は同じく悪天で神威夏尾根途中で撤退。
そして3度目の正直で2014年GW、今年こそゴール!と気合だけは十分に望んだが、前半の好天続きからはうって変わって天気に翻弄される後半となった。結果はというと、残念無念!ソエマツ西峰でタイムアップとなり本峰までの350m弱を残す結果となった。夏時期にヌビナイ再訪にて藪漕ぎでなんとかしたいと思っている。

【2011年9月記 なんとか繋ぎたい・・・】
2001年の夏にカムイエクからコイカクを経て1839まで日高の国境稜線を初めて縦走してから10年が経ち、地形図をつなぎあわせて部屋のカベに貼ってある日高山脈の地図もだいぶ赤線で繋がってきた。日勝峠から楽古岳のうち、ヤオロマップ~ペテカリ~神威岳~ソエマツ岳と、一番濃い部分をここ数年残していたが、2011年GW、国境稜線繋ぎにリーチのかかった方とペテカリ~神威岳を幸運にも繋げることができた。
そして8月末、数年前から積み残していたヤオロマップからペテカリまでを3度目の正直で今年こそ片付けようと気合を入れて臨んだ。
職場に無理を言って天気予報を睨みながら夏休みを設定したおかげで、何とか繋ぎ(過去2回とも天候悪化で途中撤退)、難関の神威岳~ソエマツ岳を残してリーチとなった。
ここまで来たら何とか繋げたいものだが・・・。


【日高国境稜線 02 ペケレベツ岳~ウエンザル岳】

2021年08月12日 | 日高国境稜線

 2006.04.08-09 ペケレベツ岳~ウエンザル岳

ペケレベツ岳~ウエンザル岳を歩いた時の記録。余裕で日帰りできるけど、ペケレベツをこえて1458くらいのところで幕を張って宴会メインの山行だったはず。北日高のつなぎはじめの第一弾でした。

【石山除雪ステーションから上がって、ペケレベツ岳】


【芽室岳の方向】


【チロロへの支稜がずらりと】


【よきところでのんびり天幕】


【ペケレベツ】


【手前のウエンザル岳と奥に芽室岳】


【樹氷が綺麗】


【ウエンザル岳へ】


【幌内分岐峰から幌内岳】


【主稜線、幌内分岐峰~芽室岳】


【日高国境稜線 01 日勝峠~ペケレベツ岳】

2021年08月11日 | 日高国境稜線

2009.04.19 日勝峠~ペケレベツ岳を歩いた時の記録。この後2010年の5月にピパイロまでの間を一気につぶしました。北日高も北のほうになるとなだらかで日高らしくないおおらかな稜線が連なっていて、のんびりと歩ける区間です。

【日勝峠を出発】


【振り返れば、熊見山(右)・労山熊見山(左)】


【1359から下って手前が1343、奥がペケレベツ岳(1531.8m)】


【この辺りはまだなだらか、奥には北日高の山並みがずらりと】


【手前のトンガリがウエンザル岳、幌内分岐峰~幌内岳、一番奥左に芽室岳と西峰が見えている】


【チロロ岳、西峰も見えています】


【芽室岳をアップで、手前はウエンザル岳】


【ペケレベツ岳頂上】


【ベルグラに太陽の光が当たって】


【ペケレベツ岳を振り返って】


【石山の除雪ステーションへ下山です】


【日高国境稜線 15 ピリカヌプリ~トヨニ岳】トヨニ東峰~ピリカヌプリ(ピストン)

2021年08月10日 | 日高国境稜線

2005/5/3-5 トヨニ東峰~ピリカヌプリ(ピストン)

(記録帳のメモから・・・)
前週に
行った野塚岳からみた白い南日高の山並みがとにかく印象的で、情報収集を重ね、昨年の函館のsakagさんのHPを参考にして、もし危険と感じたら迷うことなく撤退という条件を自分に課して、ピリカヌプリにチャレンジしてみることにした。ルートは尾根取付までのトヨニ川の状況が心配だったものの、稜線での危険区間が少なそうという理由でsakagさんと同じルートとし、こちらは十分な余裕の持てる同じトヨニ岳付近をBCとする2泊3日の行程とした。結果、行程にも無理はなく残雪期の日高での稜線泊をし、ピストンではあるが縦走ができ、充実感いっぱいの山行となった。また、次へのステップアップへのいい経験にもなった。

【トヨニ東峰への尾根からの野塚岳】


【この日はトヨニ南峰にベースの幕を張る】


【南日高の山並み】


【トヨニ東峰と吊り尾根】


【翌日向かうピリカヌプリ】


【きれいな夕焼けでした】


【翌朝、太平洋から朝日が昇る】


【ペンギンカール】


【ピリカヌプリに向かって】


【まだまだ遠いピリカヌプリ】


【だいぶ近づいてきました】


【ピークにむけて最後の登り】


【ピリカヌプリ登頂、やりました!(2007.08憧れのヌビナイ右股から2回目の登頂)→リンク


【ピリカヌプリ頂上から北側の展望】


【ピリカヌプリ頂上から南側の展望】


【ソエマツ岳のアップ、いつか行けるだろうか?(と、この時は思っていた)】
(2007.08憧れのヌビナイ右股からソエマツ岳登頂)→リンク


【神威岳のアップ】


【名残惜しいですが下山します】


【トヨニ北峰~南峰の間のひだ模様
が綺麗

【翌日、トヨニ東峰からの尾根を降りる】


【名残惜しく、トヨニ東峰を振り返る】


【尾根を無事に降り、あとは沢沿いに戻るだけ 素晴らしい3日間でした!】


【日高国境稜線17 1151~野塚岳~十勝岳】 1151ポコ~野塚岳~十勝岳~西尾根下山

2021年08月09日 | 日高国境稜線

2006/5/3~4 1151ポコ~野塚岳~十勝岳~西尾根下山

日高国境稜線をつなぐために1151ポコから十勝岳を歩いた時の記録。これが終わってピリカヌプリ~十勝岳がつながり、翌年2007年に十勝岳~楽古岳を歩いて南日高が完成したのでした。この年の夏から難関の中日高に突入し、北日高の虫食い部分を埋めるのも含めて8年後の2015年9月までかかることになります。

【野塚トンネル横から1151ポコへ上がったところ】


【1日目は野塚岳直下で幕】


【翌朝、野塚岳山頂から】


【次のピーク、オムシャヌプリへ向かう】


【振り返って、野塚岳】


【オムシャヌプリ西峰から北側を望む】


【オムシャヌプリ西峰から十勝岳、楽古岳を望む】


【振り返って、オムシャヌプリ西峰】


【オムシャヌプリ東峰から十勝岳、楽古岳】


【十勝岳に向かって】


【十勝岳山頂から北側を望む】


【十勝岳山頂から楽古岳を望む】


【十勝岳を振り返る】


【歩いた稜線を眺めながら西尾根を下山】





【日高国境稜線(番外)】佐幌岳(1059.6m)~奥佐幌岳(1040m)~椎空知山(942.8m)

2019年04月21日 | 日高国境稜線

4/21
5:30 サホロスキー場
6:55-7:00 佐幌岳
7:25-7:40 奥佐幌岳
(途中のポコは全てトラバースにてパス)
9:00-10:35 椎空知山
(途中のポコは全てトレース)
12:50-13:05 奥佐幌岳
13:40-14:00 佐幌岳
14:35 サホロスキー場

狭義の日高山脈とは北は芽室岳から南は楽古岳の間とされていて、ワタシは2015年の秋にソエマツ岳~ソエマツ西峰の350mを最後にすべてを歩き終えた。広げていけばきりがないので、ワタシとしてはこれで日高国境は歩き終えたことにしているが、北側はさらに芽室岳~日勝峠~双珠別分岐(~双珠別岳)までと狩勝峠~佐幌岳までは繋いでいる。
広い意味での日高山脈の北端は佐幌岳の北7kmくらいにある椎空知山(しいそらぷちやま)からと言われているが、今回そんな日高山脈の北の始まりを訪ねてみた。
佐幌岳からちょうど2時間ほど、途中難しいところは一切なく、あっけないほど簡単に初ピークゲット。椎空知山の山頂はだだっ広くどこが山頂かわからないほどだが、GPSの示す山頂には赤テープが結んであった。頂上からの景色は素晴らしいの一言、もっと知られて人が来てもいいと思う。北側には十勝連峰が立ちはだかり、その間は比較的平らな土地が広がっている。椎空知山は南へつづく日高山脈の始まりでもあり、北へつづく大雪への橋渡しでもあることを感じられるなかなかいい山だった。


【サホロスキー場からスタート】




【佐幌岳】


【南へ続くやまなみ】


【小屋は屋根近くまで埋もれていました】




【奥佐幌岳へ】


【奥佐幌岳(1040無名峰)から】


【右端の山が椎空知山】


【途中のポコは全てトラバースして・・・】


【もう1ポコ越えれば・・・】


【頂上付近はだだっ広い雪原】


【日高山脈ここに始まる、十勝連峰が目の前に】


【↑クリックで1920幅になります】


【↑クリックで1920幅になります】


【↑クリックで1920幅になります】


【トムラウシ】


【ニペソツ、ウペペサンケ】


【夕張~芦別】


【名残惜しいけどもどります】








【日高国境稜線 16 トヨニ岳~1151】 トヨニ北峰(1529m)

2017年03月19日 | 日高国境稜線

3/18-19 晴れ ひとり

13:05 野塚トンネルP帯
15:30 稜線直下C

7:00 稜線直下C
10:06 トヨニ岳南峰
10:40-11:05 トヨニ岳北峰
14:00-15:30 幕地
16:10 野塚トンネルP帯

ピリカヌプリを眺めに1泊でのんびりトヨニ岳まで行ってきた。本当は稜線にテン張りたかったのだけれど、風が強く断念。稜線下にブロックを積んで幕地とした。
夕焼けは見事なもの。稜線が赤く染まり、ここ2ヶ月あまり仕事にその他の事情になんだか心がモヤモヤしていたが久しぶりにすっきりした気分になれた。
翌日はトヨニ北峰までのんびり稜線散歩。白い日高を眺めながら心の洗濯。いい2日間でした。

































【日高国境稜線 13-2ソエマツ西峰~ソエマツ岳】ヌビナイ右股~ソエマツ西峰

2015年09月23日 | 日高国境稜線

【ヌビナイ右股~ソエマツ西峰(1280幅に拡大できます)】


【天候回復と減水待ち】
9/19曇り時々雨
9/20快晴
昨年のGWにゴールを目指したが、ソエマツ西峰にてタイムアップとなって350mを残して無念の撤退。夏に今回同様にヌビナイ右股から計画したが、林道が10kmも手前で壊れていて直前の台風で水量が多く、今年に延びていた。
今年は複数の機会を持ったが、前の2回はいずれも天候不良で延期、今回のチャレンジとなった。今回も水量は多く、チャレンジできる条件としてはギリギリの線だったと思う。
シルバーウイーク初日はあいにくの雨だったが現地判断の原則にのっとって土日の2日間は天候の回復と減水待ちということで現地に向かう。土曜日は芽室の温泉につかったり、山仲間が建築中の別荘の見学に行ったりして、晩は剣小屋にて軽く1杯。翌日曜日は朝から晴れ上がり減水を期待して、晩成温泉まで移動して夜までまったりと過ごす。

【1日目~790二股まで】
9/21 晴れ
7:50 昭徳右岸林道崩壊地点
11:00 507二股
14:40 七ツ釜
16:20 790二股


【荒れてしまった七ツ釜】


【きれいだったころの七ツ釜(2007.08)】

2日間待って翌月曜日、ヌビナイ川はまだ水量が多い感じだが、いけるところまで行って危険を感じるようであれば撤退ということで入渓する。507二股までは前回には使った覚えのない巻道を使ったりして、渡渉には細心の注意を払いながら進む。
507を過ぎていよいよ核心部、最初の滝は水流がちょっと激しかったので左岸を小さく巻く。次の何年か前に3人の方が流されて亡くなったゴルジュ滝上の渡渉も慎重にこなす。
この次の右岸高巻きは前回はなかったトラロープが張り巡らされておりそれほどの緊張感もなくクリア。いよいよ600付近の左岸高巻が最大の難所、落ちたら命はないので1歩1歩慎重にトラバースするが、わずか10mのことなのに生きた心地がしない数分だ。ここにロープが張られれば、安全性はぐっと増すと思う。次のトラバースはこれも前回はなかったロープが張ってあり、カラビナでビレイをとって慎重に通過する。ここの残置ロープは沢屋にとっては失格なのかもしれないが、本当にありがたかった。ここを越えた時点で気分的にだいぶ楽になる、あとは七ツ釜手前の右岸高巻きだけだからだ。お荷物を抱え、慎重に来たせいもあり、七ツ釜まで6時間50分を要してしまった。
七ツ釜はやはり荒れていた。Y川さんと7年前に綺麗な七ツ釜を眺めているだけに、この惨状には情報は得ていたものの実際に目にしてほんとにがっくりきた。ここだけでなく、ヌビナイ右股は本当に荒れてしまった印象。いつしかまたきれいな七ツ釜を見てみたい気もするが、よほどの大水が数回ないと元の通りにはならないと感じたし、なによりもうこんな緊張するところへは来ないような気もする。
がっくりしつつもあとはもう難しいところはないので緊張も一気にほぐれてあとは淡々とゴーロをたどって790二股へ到着。安着ビールで1杯やって、明日のゴールを確信して8時過ぎには休む。

【2日目~ついにゴール】
9/22 快晴
6:05 790二股
6:50 940二股
8:30 1240二股
10:15-10:35 ソエマツ岳
11:06-11:45 ソエマツ西峰
12:10-12:30 ソエマツ岳
15:10 790二股


【ついにゴール!】

天気予報どおり快晴の朝を迎える。790二股からは右股に入り、基本的に水流の多いほうを選びながら進んでいく。時期的にシャワーは厳しいのでなるべく水を浴びないように脇の灌木帯を巻いたりして進む。昨日のような緊張感はなく、楽しくゴールに向かえるのがうれしい。前回はピークを狙いすぎて藪漕ぎとなったので今回は早めにピリカ側の稜線に上がろうとするが、藪漕ぎを避けて右へ右へ逸れていって結局はピーク直下に出てしまう。それでも前回よりは効率の良いルート取りだった。稜線に上がるとゴールの西峰がまさに目の前、いよいよあと350mでゴールだと思うと今まで味わってきた苦しみが思い起こされてくる。
ソエマツの頂上で休んでいると西峰の方向からなんと人が現れる。この人たちとはなんとも驚きの出会いというか再会だった。実は昨年のGWのときに同じルートを同じ日に前後してたどり、同じように西峰で撤退し、これまた同じように昨夏にヌビナイからチャレンジして大雨のために撤退していた2人組だったのだ。ここまではいいとしてルートは違うもののまた同じ日、同じ時刻に西峰に向かうことになる。こんな偶然ってあるのだろうか?本当にびっくりである。
1足お先にと言っていよいよゴールへの350mを進む。あれから14年、本当に長かった。かすかに見える踏みあとを1歩1歩踏みしめながら、あと50m、10mと、幕場から5時間で待望のゴール!を迎える。天気はこれ以上ないというくらい晴れ渡り、今までたどってきた稜線を感慨深く眺める。もうちょっと感動するかと思ったのだけれどこんなものかな、うれしいのはすごくうれしいのだけれど。ここへはもう2度と来ることはないと思うのでしっかりと脳裏に焼き付けながら、ここで飲んだビールは一生忘れることはないだろう。そうこうしているうちに2人組もやってきて、ゴール!がっつりと握手をしてお互いの健闘を讃えあう。
40分ほどゴールの地で過ごして、下降にかかる。下降は比較的楽に下れるとの情報を得ていた940二股からの右股を降りることにしたが、これが大正解!さしたる難所もなく淡々と下降を続け、山頂から2時間40分で幕場へ戻った。晩は当然のごとく達成祝いで残りの食料とビールと酒で盛り上がる。やっと終わったという安堵感と明日の無事帰還を祈って心地よい夜は更けていった。

【3日目~無事に下山】
9/23 快晴
6:50 790二股
14:15 507二股
16:25 昭徳右岸林道崩壊地点


【下山後、夕焼けに映えるソエマツ(右の双耳峰)】

今日も朝から快晴、水位もだいぶ落ち着き、無事に帰還できることだけを祈って出発する。
七ツ釜直後の高巻き、600m付近のロープ付きトラバースは難なくこなすが、次のトラバースは残置ピンがあったのでロープで確保しつつ空身で先行してピンを支点にしてロープを張って確実にトラバースをする。この後大チョンボ、何を血迷ったか、次はトラロープの張ってある高巻きで右岸へ行かなければならないのに左岸をまこうとしてしまい右往左往して2時間近くはロスしただろうか、戻って冷静に考えようとして対岸を見たらトラロープが見えて事なきを得る。最後のゴルジュ滝上は捨て縄を使ってロープで確保しながら渡渉し、行きで最初に高巻いた滝も水量が減っていて難なく通過、核心部を終える。ここでお荷物と別れて先行、河畔林の中の巻道を使い、水量が減ったせいもあり507二股から行きの2/3の時間で車に戻った。この瞬間で本当のゴール、Y川さんとがっつり握手して私の長い長い14年にもわたる挑戦は無事に終わった。

【ゴールを迎えて】
2001年の8月にカムイエク~1839峰までの縦走で国境稜線を歩き始めてから14年目にして、ついに目標としていた芽室岳~楽古岳までの区間を踏破することができた。
2011年のGWに神威~ソエマツの区間を残してリーチとなってからも、実に4年も待ち続けてのゴールだったので終えるまでの4年間は本当にもどかしかったが、全てを終えた今はうれしいという気持ちもさることながら、もうこれで苦しい思いをすることもない、ほっとしたという気持ちが大きいのが正直なところである。
達成するにあたっては、ここ10年にわたってお付き合いいただいてきたY川さんのおかげによるところが非常に大きいと思っている。氏なくしては絶対に達成されなかったと思われ、感謝してもしきれないほど感謝している。また、難関の一部である神威~ペテカリを同じく稜線踏破を目指していたY内さんのグループに混ぜてもらって歩き通せたのも大きい。いずれにしてもいえることは周りのメンバーに非常に恵まれたということであり、ここで改めて感謝の意を表したいと思います。本当にありがとうございました。


【日高国境稜線 09 エサオマントッタベツ~カムイエクウチカウシ】エサオマン~カムイエク縦走

2015年05月21日 | 日高国境稜線

山行日 2002年7月27日~31日(4泊5日)

7月27日(快晴)
夜通し走って、途中日高道の駅などで休みながら戸蔦別ヒュッテ前に到着したのが朝の3時すぎ、車は4台ほどありこの週末は結構人が入りそうだ。4時半にここを出ることにして、1時間ほど仮眠をとることにする。熟睡とまではさすがにいかないが、うつらうつらとした時間を過ごし、予定の4時半にピリカペタヌ川に沿う林道へ車を進める。途中倒木にフェンダーをぶつけてしまい車が損傷、ちょっとショック。駐車スペースには2台の車があり、そのうち1台は函館のS口さんだった。MLで予定がわかっていたので声をおかけし、初対面を果たし感激でした。もう1人の方は小樽のAさんという方で同じくカムエクまで縦走ということで道中宜しくとあいさつを交わし先に出発して行く。登山靴のパッキングに時間がかかり当方も少し遅れて4時56分出発!いよいよ、今年のメインイベント札内岳~カムエク縦走の始まりだ。
7月に入ってから週末になると天気が悪く、前々週羅臼岳に行ったきり(これも天気予報をみて無理矢理行った。)なので体が鈍り気味の上に、3泊4日の予定の縦走荷物+登山靴が肩にぐっと食い込む。それでも天気は快晴、ここ4、5日は天気も良さそうなので気分もよく、ペースも快調で、五の沢の出合まで林道あとを進み、ここから沢にはいるがここから先も結構巻き道があったりして比較的楽に八の沢出合まで行く。左手には十勝幌尻へ行く沢を分け、テン場としてもよさそうなところだった。ここまでゆっくりペースで2時間強、10分ほど休憩。進む右手の本流方向からは熊よけ鈴の音、先行者も同じようなペースのようだ。八の沢出合を過ぎると、だんだん沢登りらしくなってくる。傾斜がだんだんきつくなって来る頃、小さめの滝や滑滝が現れ始め変化に富んでいて楽しい気分だったが、中には比較的大きい5~6mの滝が3つほどあり、どれも左岸に巻き道がついていたが泥で滑りやすく、縦走の重荷も加わって足下が不安なところだった。登りだからいいものの、下れといわれたらちょっと緊張するかもしれない。ここから先は川幅も狭まり、「ピリカペタヌ大滝」は?と思いながら進むと、はたして現れた。山坊主さんのHPで見て、綺麗滝だなと思っていたが、実際見てみると予想より遙かに大きく、本当に綺麗な滝だった。時刻はすでに11時、ちょっと早めの30分の昼食タイムとした。



【ピリカペタヌ大滝】

空は相変わらず快晴で陽光が降りそそぎ、滝の水音を聞きながらの贅沢な時間だった。「ピリカペタヌ大滝」は右岸に巻き道がついていて、比較的あっさりとかわしてしまう。すでにかわしてきた下流の5~6mの滝3つのほうがかえって緊張した印象がある。大滝からはしばらく滑滝が続き、札内カールへ吸い込まれる。札内カールはカールとはいっても八の沢カールや七つ沼カールのように平坦な部分はなく、だらだらと比較的急なカールバンドが続いているといった感じがする。途中水が噴き出しているところで水を補給しさらに重くなったザックと今までの疲れが相重なってヘロヘロ状態、さらに急登と炎天下、沢靴のままで足下もすべりやすくペースが一気に落ちる。最上部では10歩進んでは2,3分休むといった状態で、
来た道を振り返ると登っているときに感じる以上に傾斜がきつくみえ、よくもまあ登ってきたもんだという感じ。それでもあと少しで札内岳!大滝についた時点でJPまでの行程をカットすることを決めていたので、もう心は夕飯と酒に傾き最後の力を振り絞って頂上に向かい、頂上到着は14時43分。出発してから実に9時間50分やっとの思いで到着した札内岳頂上からははたして大展望が広がっていて、明日以降進む予定のJP~エサオマン、そこからカムエク方面に向かう稜線もはっきりと目で追って見えるのがうれしい。頂上では下の車止めであった小樽のA宮さんがテントを張っており、話を聞くと彼も結構カールの登りで「やられた」らしく疲れた表情をしていた。S口さんはと聞くと予定通りJPに向かったという。それにしてもすごい、あの急登のあとJPに向かうとは!こちらも早速テントを張り、くつろぎモードに入る。Aさんと山の話などしながら夕食をとり夕焼けをまった。昼間の高温のせいですっきりとした夕焼けとはいかなかったが、エサオマンの方向の遙か遠くに台形のシルエットが見える。羊蹄山だ!オレンジ色に染まる空をスクリーンに、まるで影絵のように見え、きれいの一言。Aさんも無言で景色に見とれていた。この山上でのひとときはどう言葉で表してよいかわからない。重い荷物を背にあえぎあえぎ登り苦労した人間のみの特権だと思う。今日は本当に心底疲れた。さあいよいよ明日からは楽しい稜線歩きだ!


【幌尻岳と戸蔦別岳の彼方に沈む夕陽】


【真ん中のピラミッド状のシルエットが羊蹄山】

7月28日(快晴)
今日も朝から天気は最高、十勝平野から朝日が昇り神々しい光を放つ。そんな中、朝食をとるが、日差しの遮ることのない稜線歩きで炎天下の行軍はつらいだろうと早めの出発を目指すが、結局ダラダラと6時丁度の出発となる。踏み跡はしっかりしているが、ハイマツやカンバなどの藪を手で掻き分けなければならないので意外にペースがあがらない。昨日の疲れも取れきってないので仕方のないところかもしれない。前半は下りが多く、南側にはお花畑がひろがっているが熊の掘り返しが激しい。今回もホイッスルしか持ってきてないので、見通しの悪いところでは時々吹き鳴らしながら進む。丁度出発から2時間くらい進んだお花畑で小休止とする。周りには相変わらず熊の掘り返しが点在し、少々落ち着かない感じがあるが時折ふくそよ風にあたりながら20分ほど休憩する。それにしてもこんなに熊の掘り返しが多いところには来たことがない、さすが日高だといった感じがする。休憩を終え、ちょっと登り返したところから後半のルートを眺めると、結構登り返しが多い感じがする。炎天下でもあるし、今日は「やられた」ら、JPまでにしてエサオマン往復と北東カールでの「冷たい水」を目的とし、カムエクまでの長旅に備えることにしよう。はたして後半は次々にピークが現れ、頭の高さを超える藪にくわえて踏み跡に覆い被さるハイマツで、ペースが一段と落ちる。時たま飛び出しているハイマツの枝に頭をぶつけたり、脛をぶつけたり散々な目にあう。沢登りのために被っていたヘルメットを藪こぎでとられてはと稜線に入ってからも頭に被ったままであったが、頭の保護には意外にいいかもしれない。帽子の代わりで日よけにもなるが、蒸れるのがちとつらい。やっぱり後半は「やられ」気味だ、水の消費も激しいし、ときたま稜線を吹き抜ける涼しい風だけが救いになってきた。今日はやはりJPまでにすることにする。北東カールを見下ろすところまでくると岩の露出した部分が多くなってきて高度感もあり気持ちがいい。ここから小さなピークを2、3越えて札内JP到着である。相前後して来た小樽のAさんも今日はここまでとのこと。早速テントを張りくつろぎタイムに。午後は北東カールまで水くみへいって昼寝することにするが行きはルートを間違えてしまう。崖っぷちへ出てしまったが藪をまいてなんとかカールの底へ着く。下から眺めるともっと稜線の東側から下った方が楽をできたようだ。カール底では冷たい水をたらふくのみ、1時間半ほど昼寝してくつろぐ。水のせせらぎと風の音しかしない本当に静かな空間である。
今度くるときはエサオマントッタベツ沢からあがり、このカールで1泊してみたいものである。帰りは慎重にルートを選ぶが、次第に藪に突入してしまった。うえに上に漕いでいけばいずれ稜線に出るのはわかっているので不安感はなかったが、とんだところで体力を消耗してしまう。結局JPのすぐ下の1張り分のテン場がある平地のすぐ脇に出る。そのテン場には今朝カムエクから来たという単独行の方が幕営していた。カムエクからここまで10時間、カムエク~春別岳は比較的藪の丈も低くそれほど歩きにくくもないが、春別岳から先は結構藪の濃いところもあるとのことである。明日は前半でどの程度進めるかが勝負になりそうだ。JPにもどって20分ほどやすんでからエサオマンに向かう。エサオマンは札内岳からみると双耳峰に見えるが、JPから眺めるときれいな三角錐にみえ、登行欲をそそられる。いったん大きく下り、頂上を目指すが、標高差が意外とある。時間はたっぷりあるのでゆっくり進み35分ほどで頂上着。明日たどることになる国境稜線をずっとたどっていき9の沢カールの向こうにドンとかまえるカムエクがなんとも凛々しい。カムエクを北面から眺めるのも初めてなので楽しみである。はたしてどんな姿をみせてくれるのだろうか?頂上では20分ほどくつろぎ、17時半過ぎに帰幕した。この日もウイスキーの水割りでぐっすりと眠った。



【札内岳から望む日高山脈】


【札内岳~JP間より】


【札内JPより】


【札内JPより】


【エサオマン頂上にて】

7月29日(快晴)
今日は高曇りだが、じきに暑くなってきそうな予感。できれば1732mコル(九の沢上部にあるコル)まで行きたい。昨日の情報と、天気の状況をみて、午前中の早い時間を勝負ときめ、5時半過ぎに出発する。今日のコースはおおむね100m程度のアップダウンであるのでペース配分に気をつけなければならないと思うが、1760mピーク、ナメワッカ分岐、春別岳、1791mピーク、1917mピークとちょうどよい間隔で休憩ポイントがあるのでペースはつかみやすいかもしれない。5:40にJPを出発、朝方は風が結構強かったのでテントの撤収に手間取った。まず、1751mまで100mほど下る。左側はJPに向かってのびる十一の沢のカール状地形が広がる。初めのうちは草原状のようなところだったが次第にヤブの中となる。1760mピークにかけてはササ原の中をいくところもあり、何とも足元が不安でたまたまつかむものがなかったところで転倒してしまう。 そういえばこのあたり、1965年に起きた札内川十の沢大雪崩を誘発した雪庇のあった稜線ではなかったろうか?思わず、下を流れる沢に向かって手を合わせる。1760mピークで5分ほど休み、十・五ノ沢上部のコルまで下る。この辺りはやや丈の高いハイマツが覆っている。ここからはだらだらとした登りでナメワッカ分岐へ。案外時間がかかった。ナメワッカ分岐では小休止。出発してから3時間で2km少し。700m/hといったところだ。
ここはちょっとした平坦地で、テントも張れそうだった。左側は急に落ち込み、十の沢カールが広がっている。携帯が使えたので、職場に電話し、ここまで無事の連絡と休暇の1日延長を頼むなどして、20分ほど休んで次の目標春別岳へ向かう。春別岳までは水平距離で1km程度だが岩場もあったりして結構時間を喰う。左手に十の沢カールを望みながら進み、春別岳の手前で今日初めての人に会う。10分程立ち話でこの先のルート情報などを仕入れる。1時間ちょっとで春別岳に到着。ここもテントが張れそうである。行程的には半分以上来ていて、まだ10時ちょっとすぎだったのでここで大々休止することにする。荒々しく見える十の沢カールとたおやかな九の沢カールに挟まれた春別岳からの眺望はすばらしく、下を流れる札内川の源頭にあるスタート地点の札内岳が遠くなり、逆に九の沢カールの向こうにそびえるカムエクが大きくなってくる。だんだんと近づいてくるカムエクの姿が大きな励みになる。札内~エサオマンから続く幌尻~戸蔦別~1967~ピパイロの稜線も一望のもとだ。ナメワッカ分岐から続くイドンナップの山塊も意外に大きい。日が照ったりかげったりしてちょうどよい気温で寝ころんだりして過ごし、1時間があっという間に過ぎていった。テントを張ってまどろみたい気分だが、まだ昼前。目標の1732mのコルまでは到達できるが、これから1917mピークまでが今日後半の勝負になりそうだ。1917mピークから望むカムエクはどんな姿をしているのだろうかと、楽しみになってきた。情報どおり、ここから先はハイマツの背も低く、岩場混じりの道で歩きやすい。まず、1750mまで100m程降下。さすがに大休止のあとの下りは早い。30分でついてしまう。ここから160mの登りで1917mピークだが、下りで調子にのりすぎてペースが乱れ、岩場の踏み跡でもあり1時間ちょっとで到着する。今日はあとコブを1つ乗っこして目標の1732mコルである。と、そんなことはどうでもよくなる光景が広がっていた。目の前にカムエクがどっしりと構え、まさに度迫力の勢いで威容が迫っていた。ここまで3日をかけてやってきた価値は十分にある。今回の山行はこのカムエクの姿を見るためにやってきたようなもんだと思ってしまうとともに、また来年も見に来てしまうな、これは!と直感的に思ってしまった。それほど感動的な景色だった。いつまでも眺めていたい景色だったが20分ほど休んで出発する。1732mコルまではカムエクを目の前に望みながら、岩場交じりの踏み跡をたどり1時間ほどで到着。コルにはちょうど2張り分くらいの平地があり、早速テントを張り、くつろぎモードに入る。九の沢カールには花畑が広がり、岩場からはナキウサギの声がこだまする。カールの先には今までたどってきた札内からエサオマンまでの稜線が広がっている。反対側にはさらに近くなったカムエクが迫っている。今日も相前後してきた小樽のAさんは九の沢カールに降りていって40分程度で水を汲んで戻ってきた。うれしいことに冷たい水を1口飲ませてくれた。夏の日高の稜線では水は本当に宝物だ。明日、カムエクの山頂で会う約束をしてAさんはこの先の1903m付近まで行った。今回の縦走も残り4分の1、まだ気は抜けないがほぼ成功といえるだろう。明日はカムエクの山頂でもう1泊し、あさってゆっくりと下界に降りることにする。



【春別岳より北日高方面を望む】


【春別岳からカムエク】


【春別岳にて】


【1917mからカムエク】


【1917mにて】


【1732mコルから】

7月30日(快晴)
今日は快晴の朝を迎える。予定距離は短いが、1730mコルからカムエクまでの250mの登りが待っている。遅めの6時半出発。まず1860mまで登り、1730mまで下るが、今日はいまいち体に力が入らない。虎の子として取っておいたウイダーインゼリーを腹に流し込む、プラス羊羹。これをやるとなぜか効き不思議と体力が回復してくる。結局意外に時間がかかり、1860mには7時半、1730mには8時少し過ぎについた。日もあがってきて汗だくだくで頂上までの250mを登る。時折吹き抜けるそよ風が救いである。道は1730m付近は草原状&ハイマツ、その先はハイマツが主体の道である。時々いままで進んできた稜線を感慨深く眺めながらコルから1時間少しでついにカムエクの山頂に到着。小樽のAさんは当然ながら先についており、握手をしてお互いの健闘をたたえあう。今日はもう何もすることはない。早々にテントを張って、くつろぎモードへ。4度目のカムエクであるが、変わらぬ景色にほっとする。静中線はピラミッドと1823の中間あたりを貫く予定であると聞くが、ここから畳々と続く山脈を見るにつけ、ムダな道路建設は今すぐこの瞬間にやめて、いつまでもこのままの姿であり続けてほしいと、来る度に思う。小樽のAさんはコイボクカールに水くみに行ったあと、ピラミッドを往復していたが、こちらは夕方まで何もせず、昼寝したりボーっと景色を眺めながら過ごした。明日はいよいよ下界に降りる日、5日間にわたる山旅も終わりだ。



【1860mからカムエク】


【カムエク頂上より来たりし道を振り返る】

7月31日(ガス、小雨)
今日は下山の日。頂上からの朝焼けを期待したが、生憎のガスと小雨。天気のよい中を下って行きたかったがそこまで望むのは少々贅沢だったか?入山してから稜線歩きの4日間ずっと晴れていたのが不思議なくらいで、今回は本当にいい天候に恵まれたと思う。天に感謝、感謝。小雨の中、テントを撤収し、通い慣れた道を七の沢出合いまで進む。どうみても不釣り合いな静中線の七の沢橋が見え、工事のダンプの音を聞くといよいよ終着点だ。予約しておいたタクシーでスタート地点のピリカペタヌ沢の駐車地点までもどり、Aさんと握手して無事に戻ってこれたことを喜び合い、またどこかで会いましょうと言って別れる。清水町のフロイデで汗を流し、帰札。かえってきて手足を改めて見ると、無数の虫さされ&ひっかき傷&アザで、日高に行って来たんだなと実感した。


【日高国境稜線 06 1967m峰~戸蔦別岳】伏美岳~幌尻岳縦走

2015年05月21日 | 日高国境稜線

山行日 2004年7月1日~4日(3泊4日)

1ヶ月半に渡る泊まり勤務態勢が解け、日高に遠征できることとなった。
どこへ行こうかと迷ったが、お気に入りのロクナナへ、あわよくば今シーズンは静かであろう幌尻岳へ向かってみることにした。山中泊の1日目は行程を短くしたかったので、1日目はまず伏美岳ピークで1泊2,3泊目を1967直下のテン場で、幌尻岳を往復する計画とした。

7月1日(木)晴れ
登山口 13:38
5合目 14:55-15:00
伏美岳(1792m) 16:11

5月のはじめ以来2回目の伏美岳の登りはすっかり夏の装いの中となった。倒木がやけに目につくのはやはり雪が多かったためだろうか?明日以降への体力温存のためゆっくりと登る。カールと沢筋にのみ雪が残り、すっかり夏装束となったサツナイが見えてくると伏美の頂上はまもなく、2時間半での登頂となった。登る途中で気になっていた風もそれほどでもなく、ピークでテン張ることにする。
今年は雪が多いと言われていた割には残雪が少ない気がする。もう1、2週間もしたら水に苦労することになるだろう。期待のアーベントロートは見事なもの、伏美岳の影が十勝平野にのび、空には満月。ピークでの夕暮れ時は実にいいものである。


【十勝平野にのびる伏美岳の影】

7月2日(金)晴れ
伏美岳(1792m)  7:38
1546mコル  8:11-8:14
水場のコル  8:43-8:53
ピパイロ岳(1912m) 10:13-10:55
ピパイロ西ピーク 11:27
1967峰 12:42

2日目、見事な朝焼けで朝を迎える。昨日とは逆に今度はトッタベツカールの方に自らの影をのばしている。エサオマンのカールもきれいに焼けている。今日は幌尻岳往復のベースとなる1967直下のテン場までの行程となる。
まず、1546コル迄の降下、オーバーペースにならぬよう注意して進むが、下りはやはり勢いがついてしまい、次いでの登り返しがきつくなってしまう。水場のコルで10分間休憩し、ピパイロの登りに備える。きつい登りに耐え、ピパイロの肩まで来るとトッタベツ川を挟んで大展望が広がる。
67から幌尻岳までを目で追ってみるが何と長いことか。軽荷で往復10時間とふんでいるが果たしてどうだろうか?ここからは見えないほどに深く落ち込んでいる七つ沼カールのギャップが一番苦労するところだろう。
頂上で大休止して先へと進む。ピパイロ西肩までの間はミヤマシオガマが群生、ヒダカミヤマノエンドウ?(ピパイロ岳の固有種らしい、同定には自信がないが)、ツクモグサも見られた。戸蔦別川10の沢側は黄色のシナノキンバイ、白色のハクサンイチゲの花畑となっている。ピパイロ西肩から1967迄はアップダウンがあるが、左手にトッタベツのカール群を間近に眺め、右手にはチロロから芽室へと続く北日高の稜線の向こうに大雪、十勝を望む気分のよい稜線歩きとなる。最後の急登は縦走荷物を背負った身には苦しいが、今日は到着すれば幸せな午睡が待っているので頑張って進む。
ロクナナの頂上からは360度の大展望、羊蹄山のシルエットも確認できた。この後、直下の幕場で幕営し、冷たいビールのために近くの雪渓に雪を取りに行く。夕暮れ時は雲が多く、あまりきれいな夕焼けではなかったが、冷たいビールを飲みながら幸せなひとときを過ごした。


【戸蔦別方面にのびる伏美岳の影】


【朝焼けのエサオマントッタベツ岳】


【ミヤマシオガマ】


【ツクモグサ】


【ヒダカミヤマノエンドウ?】


【カムエク方向~1967から】


【幌尻岳方向~1967から】


【十勝連峰~1967から】

7月3日(土)晴れ
1967峰 5:55 17:03
1920ピーク 15:56 16:25
北戸蔦別岳 7:23-7:37 15:05-15:10
1881ピーク 8:01 14:34
戸蔦別岳 8:23-9:04 14:03-14:15
幌尻岳の肩 10:32 13:10
幌尻岳(2052m) 10:56-12:45

3日目、5時には出発の予定だったが寝坊してしまう。6時少し前に熊よけ鈴の音がして目覚め、寝ぼけ眼で通りかかった方と話をする。ピパイロとのコルで2泊、幌尻岳往復だそうだ。
今日は高曇りで歩きやすい。67の岩峰を下り、1920ピークまでは岩と背の低いハイマツの稜線歩きとなる。ここから先、1856から北戸蔦別岳まではヤブが少々うるさくなるが、ツガザクラ等の雪田性花畑が広がっているところもあったりして目を楽しませてくれる。最低コルからの登りは少々こたえたが、1時間20分ほどで北戸蔦別岳に到着する。これでやっと半分の行程だが、わりかしいいペースできているのでひとまずほっとする。
15分ほど休憩ののち戸蔦別岳への登りにかかるがこちらは見た目ほど厳しくはない。途中1881付近の赤茶けた橄欖岩が印象的であった。
戸蔦別岳からは眼下に七つ沼カールが広がり、カールバンドはハクサンイチゲが群生しており圧巻である。幌尻岳北カールから流れ出る額平川の源流部は涼しげだ。






【七つ沼カールのハクサンイチゲ】

最後の一踏ん張りは200m下って、300mの登りとなる。戸蔦別岳の斜面はミヤマシオガマがここかしこに咲いており、そんな中を最低コルに向かって下ってゆく。時間があれば七つ沼へ下りたいが今回はやめて先へ急ぎ、戸蔦別岳から1時間半で幌尻岳の肩へ到着。雲が多いものの中部日高の山やまが東カール越しに広がる。偽ピークにだまされつつも30分ほどで幌尻岳に到着する。
 今日は土曜日でもあるし、いつものシーズンだったらもっと人がいそうだが額平川コースが使えないためたった1人の静かな山頂である。30分ほどして今朝方から相前後してきた旭川の方が到着し、いろいろ山の話などして過ごす。ここまで丁度5時間、帰りも大して変わらないと思われるのであまりゆっくりしてもいられなかったがそれでも1時間50分も静かな山頂を満喫して下山にかかる。


【カムイエクを望む~幌尻岳山頂から】


【イドンナップと幌尻湖~幌尻岳山頂から】

戸蔦別岳、北戸蔦別岳と戻り、1920ピークから1967を眺めると、ピパイロ側からとは違い、荒々しくも美しい山容を見せ、無名峰であることが不思議に思えてくる。さすがに12時間近い行動時間で疲れ果て、翌朝は6時少し過ぎまで熟睡してしまった。


【ツガザクラの群落】


【無名峰なのはなぜ?】

7月4日(日)晴れ
1967峰  7:45
ピパイロ岳  8:52-10:00
水場のコル 10:41
1546mコル 11:23
伏美岳 12:03-13:23
5合目 13:18-13:23
登山口 14:03

4日目、快晴の朝、帰途につく。ピパイロまで戻り、大休止するが、太陽を見ると笠が懸かっている、どうやら天気予報通り天気は下り坂のようだ。伏美岳まで戻ると朝の快晴が嘘のように雲が湧き上がって展望は望めなくなっていた。昨日までの最高の天気に感謝しつつ、定番の新嵐山荘で汗を流し上川へ戻った。


【快晴の朝に】


【日高国境稜線 10 カムイエクウチカウシ~ヤオロマップ岳】カムイエクウチカウシ~1839峰縦走

2015年05月21日 | 日高国境稜線

山行日 2001年8月12日~16日(4泊5日)

8月12日(晴れのちくもり)
去年カムエクの山頂から見た1839峰の姿が印象的で、今年は是非ともねらってみたい山だった。コイカク沢からのピストンでもよかったが、夏休みも10日間とれたし、カムエクからコイカクへ縦走し1839峰へいくことにした。カムエクまでは3度目ということもあり快調だったが、やはり三股からの登りはきつかった。

8月13日(快晴)
今日からはいよいよ初めてのルート、期待と緊張感が混ざっていた。カムエクへの途中で去年会った人と偶然出会う。考えてみれば、場所も日にちも同じだった。今回もカムエクピストンだそうだ。こちらは1839まで行くというとがんばってねと励ましの言葉をかけてくれた。
ピラミッド峰までは結構きれいな踏みあとがついていて迷うことはない。頂上ではカムエクがまた違った形に見える。三角形のほんとに形のいい山だ。ピラミッド峰と1807の間ではピラミッドとカムエクが双子のように並んで見える。1807を越えて下ったところに一見大雪のロックガーデンを思い起こさせる場所があり、ここで昼食とする。
それにしても暑い!天気が悪ければ悪いでイヤなもんだが天気がよすぎるのも考えもの、水の消費が激しくて足りるか心配になるがコイカクまでは何とかなるだろう。なくなったらそこから降りるしかないが・・・。ここからはブッシュが激しくなり、踏み跡はわりかしはっきりしているが手足を総動員して進むので、体力は消耗するしペースも乱れる。1823まで行ければと思っていたのだが、結局この日は1737の手前に小さな平地を見つけたとたんに戦意喪失し、ここで1夜を過ごすこととした。
憧れの日高稜線でのテント泊、夕日が感動的にきれいだった。日高側から雲が押し寄せ、今日たどってきた国境稜線を越えて滝のように十勝側におちてゆく。カムエクの南西稜には夕日が落ちてゆく。こんな風景にであえるから山はやめられない。


【ピラミッド峰から】


【南西綾に沈む夕陽】


【雲瀑】

8月14日(快晴)
今日はコイカクまでの予定だが、アップダウンが多い行程となる。朝一番のアルバイトで1823へ登ったと思いきや下る。このあと1643に登り返してまた下り、最低コルである1444コルにつく。ここから250m登って今日は終わりだが、見るからにきつそうである。
やっとの思いでコイカク夏尾根頭に到着したが、1839へ行くには水が全然足りないので、下山するか途中で聞いた情報をあてに夏尾根から少し下ってみるか思案していると、コイカク沢からやってきて明日1839へいくという2人づれが同じ情報を得ていたらしく、1時間くらいで水をとってこれるというので2人のうちの一人と水くみにいく。ナナシ沢の源流にあたるのか、量は少ないが、きれいな水がとれた。4Lくみ、テントに戻る。これで水の心配はなくなり、ビールを1本飲んだらたちまち眠くなり寝てしまった。


【1823峰】


【コイカクシュサツナイ岳】

8月15日(快晴)
今日はいよいよ1839だ。ヤオロマップまでは荷物が軽いせいもあって比較的順調だったが、それでもアップダウンが結構あってつらかった。今日のメインディッシュはここからだった。ヤオロマップからしばらく1781までは比較的平坦だがここから一気に下り細い支稜線の上を行く。猛烈なブッシュで思うように進まず、途中何度休んだかわからない。目指す1839の手前には前衛鋒が待ちかまえており、これをのぼりきったと思ったら、またかと下る。最後の一息、今度のピークが1839峰だ。最後のつめの部分はほとんど岩登り状態、ロープが下がっていた。
ついに憧れの1839頂上。ここまで4時間45分、ほんとにつらいの一言だったが、それを癒してあまりある展望。はるか遠くにカムエクの勇姿、おととい、昨日とたどってきた国境稜線もはっきりとたどって見える。雲一つない360度の展望が広がり、いつまでもいたいところだが、行きのペースを考えると帰りは6時間くらいかかるかもしれない。証拠写真をとり10時出発とする。帰りは暑さと疲れも相まって結局予想どおり6時間以上要してテントに戻った。午後になって雲がわいてきて太陽が遮られ涼しくなったのが救いだった。帰り道、雲海の上に浮かぶカムエクの姿がきれいだった。とにかく終わった。明日は下界に降りる日だ。


【1839峰】


【1839頂上にて】


【雲海の上のカムエク】

8月16日(快晴)
朝テントから出ると、きれいな朝焼けでカムエクと1823に朝日が当たり、神々しく見える。今日も暑い1日になりそうな予感。
5:30に下山にかかるが、夏尾根はものすごい急斜面で結構なスピードで進めるが、決して登りには使いたくないと思った。2時間強で上二股へ。あとはコイカク沢を出会まで行くだけとほっとしていたのもつかの間、ここでこの山行一番の事故が発生した。なんと1839へ一緒に行った人の熊よけスプレーが暴発、くらってしまったのだ。はじめは何ともなかったが、だんだん効き目が現れてくる。5分もするとひりひりしてきた。沢の出合でよかった、思わず水の中に飛び込む。少し落ち着いたところで出発するが、日焼けした腕の部分にもついたので特にひりひりする。早く風呂に入って完全に落としたい。早く行こうとするが、結局冷却を兼ねて水遊びをしながらいったので二股から2時間以上かかってコイカク沢出合へ。ここからは車に乗せてもらって七の沢出合で車を回収して新嵐山荘へ行き、スプレー落としをした。とにかくつらく大変で、おまけに親爺の気持ちまで教えてもらった山行だったが、今までで一番充実し印象に残る山行だった。また来年も日高にはまりそうだ。


【下山の日の朝】


【朝焼けのカムエク】


【日高国境稜線08 神威岳~エサオマントッタベツ岳】エサオマントッタベツ岳(1902m)~神威北東尾根から

2015年05月04日 | 日高国境稜線

5/2-5/4 メンバー3人

5/2 晴れ
6:45 駐車地点
7:20 尾根取付
9:25 1129
10:55 1488
12:10 北東尾根頭
13:00-13:40 神威岳
14:00 幕地(北東尾根神威寄り)

5/3 晴れ
5:05 幕地
5:50 1513
6:25 1563
7:15 1604
9:00-10:40 エサオマントッタベツ岳
13:25 幕地

5/4 晴れ
6:35 幕地
7:20 1488
7:45 1129
8:25 尾根取付
8:55 駐車地点

2015年GW、国境で残っているのはソエマツ西肩から本峰までとなり、ここをつぶすのに昨年のルートを再びやるのは考えづらいし、何よりもゆっくりと山歩きを楽しみたかった。他の山域も考えたがやっぱりGWは日高だろうと、戸蔦別岳とあわよくばエサオマンの2座再訪を狙ったが、後半の天気予報が思わしくなかったのと戸蔦別方面の稜線の雪付きが悪そうに見えたので、エサオマン再訪だけにして国境歩きをゆっくり堪能してきた。あとでヤマレコの記録を見ると戸蔦別岳もいけたような気がするが、天候のことを考えるといずれにしても1座で限界だったような気がするのでよしとしよう。(実際、5日午後から6日朝にかけての稜線はかなり荒れたようだ。)

1日目は神威北東尾根までの予定。先週の偵察では積雪でヒュッテから1.3kmまでしか車での進入ができなかった戸蔦別林道だが、今週はあれよあれよと進みびれい橋を通過、ラッキーなことに第6号砂防堰堤の手前200メートル付近まで入ることができた。すでに5台ほどの車が止められており、こちらが出発準備をしている間にもう一台やってきた。
出発して30分で北東尾根の取付で、予想どおり雪がないが、遠目で見たところ上部には雪がついていたので最初のうちは我慢のヤブこぎで尾根づたいに進む。ちょっと荒れ気味の夏道かとも思える鹿道に助けられる箇所もある。
Co900位でやっと継続的に雪が現れ、背後には妙敷山、右手には木々の間からピパイロや1967が望めるようになる。先行者のトレースにも助けられて踏み抜きもそんなになくひたすら高度を上げると、左手に今度は札内岳が見えてくる。Co1400位で傾斜が緩むと続いてエサオマントッタベツ岳のお出ましだ。北カールと北東カールを抱える山容が素晴らしい。
Co1488付近にはテン場跡地があったが、近くのハイマツにワカンが2、3個結わいてあった。忘れ物だろうか?北東尾根頭が望める頃になると単独者と4人パーティーが先行しているのが見え、直下の急登をかわすと出発から5時間半ほどで主稜線上の人となる。単独の方はエサオマン、4人パーティーのほうは我々と同じく戸蔦別岳とのこと。大展望の中休憩を取って神威岳方面へと向かう。ところが、展望が開けたところで戸蔦別岳を見て唖然とする。頂上付近はすっかり雪がとけてハイマツが出て黒々とし、そこまでの稜線の雪つきも少ないようにみえる。Abさんを除いて再訪でもあるので、藪をこいでまで行っても・・・。Abさんには申し訳なかったが、この時点で比較的雪つきがよくみえるエサオマンピストンに変更する。時間はたっぷりあるので、神威岳を踏んでから明日のことを考えて北東尾根頭まで戻ることにする。神威岳は幌尻岳や戸蔦別岳、北戸蔦別岳から1967、ピパイロ岳と続く稜線を眺めることのできる展望の良いピークだ。
尾根頭から神威岳よりの鞍部をベースにすることにして、40分近くかけて風除けブロックを積んでテント設営。これで風が吹いても静かな夜を迎えられそうだ。テントの設営が終われば冷やしておいたBeerで楽しい宴会タイム。たらふく飲み食いして21時前には眠りについた。

2日目は4時に起床。この時期4時にもなると、もうすでに明るい。朝食をとり、準備をして5時過ぎに出発する。今日は正面にゴールのエサオマンを望みながらの稜線歩きだから気分は最高だ。セッピの状態に気をつけながらヤバそうなところは尾根に回り込む。以前きたときよりもヤブを歩く箇所は明らかに多く、崩れるまじかのセッピも多いので、気も使うし消耗もするが、それでもヤブには必ず鹿道兼踏み跡があるので助かる。左には北東カールと札内岳、右には大きな北カールを望みながらアップダウンを繰り返しながらの登行だが、天気もそこそこよく最高の稜線歩きだ。1513の最低コルを過ぎ、もうひとコブ越えてCo1604付近からはひたすら細尾根を登り、エサオマン本峰が左奥に見えるようになると、頂上はまではあとわずかだ。振り返ると後ろ側には幌尻岳、戸蔦別岳、北戸蔦別岳から1967、ピパイロ岳、伏美岳までの大展望が広がっている。肩の下で昨日会った単独の方とすれ違い、西の肩まで上がると、中部日高の展望が広がるが、ハイマツが出まくって黒々としていて、今年は本当に雪解けが早いことが感じられる。西肩からは踏み跡とセッピを交互に使って4時間足らずで2回目の残雪期のエサオマントッタベツ岳の頂上に立つ。
頂上は風が少し強かったので少し降りたところで登頂Beerと大展望を楽しみながら休憩する。9の沢カール越しに見えるカムイエクはこの山域からはどこから見ても存在感を放っており、その左にはピラミッドに重なって1839が望める。コイカクやヤオロも見えるが霞んでいるのが残念だ。いつかは行ってみたいナメワッカ岳はカール地形を抱えていて形のいい山だ。
戸蔦別岳ピストンを考えてもともと2泊の予定で、ゆっくりもう1泊できるので、頂上で1時間40分もゆっくりとして下山にかかる。行きのトレースをたどるが、気温が上がってきたので当然のことながら踏み抜きも多くなる。途中で神威岳(南)からペテカリをご一緒したSさんにお会いしてしばし談笑する。ナメワッカ狙いだそうだ。この時期にしては暑過ぎる帰途の稜線歩き、最後は帰幕後のBeerのことしか頭にない体たらくで幕場にたどりつく。

最終日は天気が崩れるとの予報で、名残惜しくも足早に後にする。帰りはわずか2時間20分で車までたどり着く。後から知った話だが4日夕方から5日朝にかけての前線通過時の稜線はかなり荒れたそうだ。途中でお会いしたSさんは無事にやり過ごしたことを知りほっとした。今回の山行は車でどこまで入れるかが大きかったのだが、結局第6号砂防堰堤近くまで入れたのがラッキーだった。天候と仲間に恵まれているのが最大の要因であるのは言うまでもない。


【エサオマントッタベツ林道分岐】


【北東尾根を行く】


【伏美岳(右)とピパイロ岳(左)】


【ピパイロ岳(右)、1967(左)】


【札内岳(左)、エサオマン(右)】(クリックで1920幅)


【神威岳頂上】


【神威岳頂上から北側】(クリックで1920幅)


【エサオマンを正面に見ながら2日目スタート】


【北カールを望みながら】


【来たりし稜線】


【本峰が見えてきた】


【西肩付近から】(クリックで1920幅)


【もうすぐ頂上】


【カムイエクに乾杯】


【頂上から南側】(クリックで1920幅)


【頂上から北側】(クリックで1920幅)


【エサオマンとナメワッカへ続く稜線】(クリックで1920幅)


【北カール】(クリックで1920幅)


【登り返しは辛い】


【名残惜しくもだいぶ戻ってきた】


【最終日、ありがとうエサオマン】


【日高国境稜線 13-1神威岳~ソエマツ西峰】神威岳~ソエマツ西峰ピストン

2014年05月05日 | 日高国境稜線

今年こそゴール!と気合だけは十分に望んだ2014年のGWだったが、前半の好天続きからはうって変わって天気に翻弄される後半となった。結果はというと、残念!ソエマツ西峰でタイムアップとなり本峰までの350m弱を残す結果となった。ここはなんとしても夏にヌビナイ再訪にて藪漕ぎでなんとかしたいと思っている。

5/2 (晴/曇)
ゲート        6:30
神威山荘 10:50-11:20
Dobon   12:30-12:50
神威山荘 13:30

3回目となる神威山荘までの林道歩き、過去2回に比べても異常なまでの雪の少なさ。途中からニシュオマナイ岳が見えてくるのだけれど、まさに黒々した山肌にびっくり。南西面であることもあるが、雪の少なさは異常。果たして雪の上を歩くことができるのか心配しながらの林道歩きとなる。
重荷のせいもあり4時間20分かけて神威山荘へ着き、30分休憩後出発。
ところが・・・、尾根取り付きまでの沢歩き中にアクシデント発生、Y川さんがドボン!ずぶ濡れでこのままの前進は不可能との判断で、小屋に戻って装備を乾かし、明日改めて出直すことに。
今回は酒も食料も軽量化のために最小限にしてきたので、小屋泊での酒量としてはまったく足りない。昼寝をして過ごし、16時から夕食にして早めに就寝とする。


【林道のソラチコザクラ群生】


【黒々とした山肌】

5/3 (晴/曇)
神威山荘      5:00
神威岳直下 15:15

アクシデントがあり、1日遅れのスタートとなる。沢沿いのコースはY川さんにはワタシの持ってきた沢靴、ワタシは長靴で行くことにする。それだけ雪が少ないということ。渡渉が多く、重荷でもあるので意外に時間がかかる。
尾根取り付きで靴を履き替え、尾根に取り付く。これだけ雪がなければ夏道の取り付きはすぐにわかるはずだが、判然としない。取り付きやすそうなところから笹薮をこいで夏道に合流させる。(後でわかったことだが、地形図の夏道の記載が間違っていて、道はもっと手前から取り付かなければならなかったのだ。)
その後はまったく雪のない夏道を忍の一文字で1200mくらいまで進み、3年前にぺテカリまで縦走したときのC1地で大休止する。ニシュオマナイ岳を目の前に望む絶好のテン場であるが、ここでも稜線の雪の少なさが目立つ。
ここから上は雪が断続的に現れ、ズボズボ埋まりながらの登高が続く。後ろから声がすると思ったら、2人パーティーの登場、行き先も同じソエマツ岳とのことで、元気をもらう。
この日は国境稜線分岐を過ぎた頂上直下(Co1530m)の雪庇をL字に崩してベースキャンプとする。予報によれば明日4日は後半で唯一全道的に晴れる予報であったのだが・・・。


【まったく雪のない夏道を行く】


【C1200m付近からニシュオマナイ岳】


【ベース地からソエマツを望む】

5/4 (風雪強し~晴)
神威岳直下   5:50
神威岳     6:00
靴幅山         8:55
1397        10:00
ソエマツ西峰    11:50-12:00
1397        13:10
靴幅山       14:15-14:35
神威岳       17:00-17:10
神威岳直下 17:15

いよいよゴールの日を迎えたのだったが、夜半からの風が風雪混じりになってきて暗い朝を迎える。4時過ぎには出発の予定だったのだけれど少しでも収まるのをまって6時少し前に出発する。(これが今回ゴールできなかった最大の原因となる)予報では今日はGW後半で唯一全道的に晴れの予報だったのにまったく当てにならない。
何も見えない風雪吹きすさぶ神威岳に10分ほどで着き、先へと進む。直下は雪がまだそれなりに残っているが、それでも少なさは異常。ヤブをこぐところも多々出てくる。靴幅山手前の1450コブではルートミス、国境稜線では1本道と思いがちだが、ガスで周りが見えなかったこともあり支尾根に入ってしまう。あまりにもヤブが濃いこともありすぐに気づいてルート修正して事なきを得る。帰りのためにピンクテープを結んでおく。
有名な靴幅リッジには雪はまるでついておらず、らくらくの通過となる。雪がついていたら相当な緊張感を伴うものと思う。靴幅山には3時間ほどで到着、ここからはすっかり雪の消えた草つき斜面を下り、1397の前後は快適に雪堤の上を進む。天気もだんだん回復傾向にあり気分も高まっていたのだが、スタート時間の遅れはここにきて絶対的なものとなる。
ソエマツ西峰直下の絶壁のようなところを上がり、西峰に着いたのが昼少し前、本峰は地形図ではわからないほどガクッと落ち込んだ先にそびえている。ヤブもだいぶ出ており、見た目往復2時間と判断、帰りも同じような時間がかかることを考えると、今回は残念だがここで撤退という判断をする。残りは350m程度、本当に残念でならない。それにしてもなかなかゴールさせてくれないものだ。
10分ほど休み、無念さを抱きながら帰路につく。帰路もまったく楽させてくれないが、天気がますますよくなってくる中、リベンジを胸にテントに戻った。



【神威岳直下】


【靴幅リッジ】


【届かなかったソエマツ本峰】


【奥にはピリカヌプリ】


【西峰の樹氷】


【神威岳(左)、靴幅山(右)】


【西峰を振り返る】


【靴幅山】


【神威岳(左)、靴幅山(右)】


【西峰と奥にピリカヌプリ】


【靴幅山から神威岳】


【靴幅山からぺテカリ方向】


【靴幅山(左)、ソエマツ(右)


【ベース地からの夕焼け(右の双耳峰がソエマツ)】


【中央のぺテカリ、左に39が見える】

5/5 (高曇り)
神威岳直下  7:00
神威山荘   12:00-13:30
ゲート   17:00

高曇りの朝を向かえ、ゆっくりと下山準備をして7時に出発する。350m届かなかったのがなんとももどかしい。そんな後ろ髪を引かれる思いで下山を続ける。この日は三石道の駅で車中泊。途中で収穫したタラの芽を天ぷらにして安着祝いをした。
今回はゴールできなかったが、残りは350m、ここだけのアプローチのために今回来たルートを来るのはありえないので、ヌビナイ右股を再訪して藪漕ぎで何とかするのがいいかなと思っている。果たしてどうなることやら・・・。


【ベース地での朝日】 


今年もゴールならず

2013年05月08日 | 日高国境稜線

今年もゴールできなかった。GWは国境稜線の最後の区間をつぶしに行ったのだが・・・。
初日にミゾレ混じりの風雪にあたり、装備がびしょびしょになったのに加えてここ数十年来という寒さと天気予報の悪さで撤退してきた。
天気以外にも失敗の要因はいくつかあると思っている。
まずは体力、4ヶ月近くのブランクは本当に大きかった。2年前も登った神威の夏尾根を登るのがきつい、早くテントを張りたいと思ってしまった。登る楽しみよりも辛さのほうが先に来てしまったのだ。
そしてモチベーションの低下、天気予報が悪くなる一方でいまいちヤル気がなかったのも原因だと思う。また来年もあるさと思ってしまったのもよくない。不退転の決意なんてカッコいいものでなくとも、ここまで来るとある程度の強い意志と精神力が必要なのかなとも思った。
その他イロイロあるのだろうけど、今年は全てがうまくいっていなかった感じがする。天気はどうしようもないので、来年は体力、精神力ともに整えて再度チャレンジしたいと思っている。

というわけで、撤退後は道東へグルメ旅へ行ってきた。
厚岸森高牧場のソフトクリーム
浜中小松牧場の牛乳
厚岸駅の牡蠣弁
厚岸の生牡蠣、アサリ澄まし汁
などなど・・・。
温泉は中標津のカラマツの湯で1泊してのんびりと、なかなか良い旅でした。


【初日、小屋からはきれいに見えて期待をもたせたが・・・】

【霧多布湿原】

【カラマツの湯】

【殻つき生牡蠣、絶品でした】

【アサリの澄まし汁】


ゴールは来年へ

2012年05月02日 | 日高国境稜線

GW後半は神威~ソエマツをつないで、日高国境稜線つなぎはゴールを迎える予定だった。
今日も準備のために1日休暇をとっていたが、今本州に大雨をもたらしている低気圧が北上してくるらしく道内の天気は大荒れ予想。なんとあさって4日の十勝・日高地方は暴風雨ときている。こりゃもうアウト!
それよりもここのところの高温で稜線の雪はかなり少なくなっているだろうし、加えて今回の雨ではもう歩ける状態ではなくなるだろうということもあり残念だが中止とすることにした。
4月に入ってからの週末は好天に恵まれ、GW前半も好天が続き、このまま何とかと思っていたのだがそうそういいことは続かない。運を使い果たした感じかな。
さあ、明日からの4連休どうしようか、とりあえず今日の函館はうらやむほどの好天、昼から函館山に花見へ行ってヤケビール(もちろんノンアル)でも飲んでくることにしよう。


【来年こそ、赤で結びたい】