hir-taniの山と沢の日記

趣味の山と沢登りを中心に、ときどき雑談を・・・。

【日高国境稜線14 ソエマツ岳~ピリカヌプリ】ヌビナイ右股~ソエマツ岳~ピリカヌプリ

2007年08月16日 | 日高国境稜線

念願のヌピナイ右股へ最高の天気に恵まれて行って来ました。C507すぎてすぐの右岸高巻き、C650付近の20m下にゴルジュを見ながらの左岸トラバース、七ツ釜直前の右岸高巻きはちょっとビビリましたが、それらに耐えての七ツ釜の情景はこれはこれは感動ものでした。いけるとは思ってなかったソエマツピークを踏み、国境稜線踏破をわずかながらのばし、もうくることもないと思っていたピリカヌプリへ3年前のGWに続いて2回目の登頂を果たせたことも印象的でした。

【前日 8/11】
いつものようにYosさんに上川まで来てもらい、三国峠経由で大樹町道の駅まで、軽く安着祝いをして明日からに備える。


【1日目 8/12】
昭徳右岸林道終点 6:30
クマの沢ヌピナイ川合流点 6:50
507二股 9:20/9:40
左岸トラバース 11:50
七ツ釜 13:20/13:50
790二股 15:05

天気予報どおり快晴の朝を迎える、尾田からカムイコタンキャンプ場を経てヌピナイ川沿いの林道へ、今回は右岸林道の終点に車を止めそこをスタート地点とする。先客の車が2台デポしてあった。
足回りを整え、いざ出発、50mくらい行ったところからクマの沢の沢身に降り、ヌピナイ川へ戻る形を取る。20分ほどでヌピナイ川との合流点にぶつかる、川の流れは透明感にあふれ、今までの川のように泥っぽいところがない。日差しを浴びて水面がきらきら輝く流れの中を507m二股までたどる、この先に待ち受ける難所が嘘のような穏やかな流れである。

【穏やかな流れをゆく】


2時間50分で507m二股に到着、これからの難所に備えて大休止をする。進む右股はまだ穏やかなようだが、左股はのっけから滝となっており、遡行の困難を思わせる。

【507m二股から右股】


【のっけから滝の左股】


休憩を終えて5分ほどゆくと滝が現れる、左岸にはスノーブリッジの残骸が残っている。ここは何年か前に3人の方が流されなくなったところだそうである、亡くなった方のご冥福を祈り、無事に行って帰ってこれるよう、気持ちを新たにする。
滝を越えると函が20mほど続き、その奥にはさらに滝が見えている、なにを勘違いしたか函を突破しようと考えるがその先の滝はどう見ても普通には越えられそうにもない。左岸は崖状なので右岸に巻道があるはずと、注意深く見ると何のことはない、すぐに巻道が見つかり、すぐ先に見えていた滝も一緒に巻いて沢身に降りる。無事に行って帰ってこれるか心配になる一瞬だった。
その後は釜付きの滝がいくつか現れるが、一歩一歩慎重にこなしてゆけば問題はない。ここをすぎるといよいよ20m下にゴルジュを見ながらの左岸トラバースとなる。構えていたほどではなかったものの一部滑りやすい岩があったり、踏み跡自体は明瞭なのだがなんといっても泥で滑りやすく、これが一番難儀するところであった。滑って落ちたらゴルジュに真っ逆さま、たぶん命はないだろうから・・・。

【緊張の左岸トラバースが始まる】


【ゴルジュに落ち込む滝】


草や灌木の枝をつかみながら慎重に緊張のトラバースをこなすとしばらくは釜付き滝のオンパレードとなる。巻いたり、淵を行ったりここは問題なくこなす。洗濯釜と呼ばれる釜に水流が渦巻いているところもあり楽しませてくれる。

【水流渦巻く「洗濯釜」】


右岸にすだれ状の滝を見、行く先に大きな釜を持った滝にぶつかる、ここを越えるといよいよ待望の七ツ釜との対面である。右岸を大高巻きして中間点までくると七ツ釜が目に飛び込んできた。今まで写真で見るだけであったこの情景を実際に自分で足を運び目にすることができた感動の瞬間であった。1つ2つ3つ・・・、7つあるのだろう、エメラルドグリーンの釜は本当にきれいとしかいいようがない。苦労して緊張して、本当にここまで来た甲斐があった。

【ついに来た七ツ釜・・感動の一瞬だ】


あまりの美しさに少々長めの休憩をとり、今日のテン場となる790m二股に向かう。滝がいくつか現れるが、今まで味わってきた緊張感を伴うものもなく、やがてゴーロとなってテン場にたどり着く。
すぐそばに冷たい水が流れ落ちる絶好のサイトを発見し早速テントを張り、1日が無事に終わったことを祝って、ビールとジンギスカン、野菜サラダでの夕食である、ビールがことのほかうまい。
明日は右股からソエマツピークを踏み、ピリカヌプリまで国境稜線をたどり、左股を降りてくるという長丁場なので、程良い疲れの中20時過ぎにはシュラフに潜る。


【2日目 8/13】
790二股 5:15
950二股 5:40
1280二股 6:45/7:00
ソエマツ岳 8:20/9:00
C1534 10:25
C1529 11:10
C1471 13:00
コル 13:50
ピリカヌプリ西コブ 14:20
ピリカヌプリ 14:39/15:10
下降点 15:13
930二股 16:42
790二股 17:32

長丁場なので明るくなる5時過ぎには出発し、ソエマツに向けて右股に入る。本流のような釜付きの滝はないが、変わって高度感のある滝が次々と現れ、グングン高度を上げる。難しい滝はないように感じたが、一つ一つの滝の高度差は相当なものがあるので緊張感はある。途中トイ状の滝もあり、そこではシャワークライミングも楽しむ。
C1100付近をすぎ、ふと後ろを振り返ると、ピリカヌプリが東西にゆったりと裾を広げている姿が目に飛び込んでくる。

【高度感たっぷりの滝が連続する】


【振り返るとピリカヌプリが】


1280で山頂をダイレクトに狙うべく水の枯れた右股に入る。途中、脇からこんこんと水が湧き出ているところがあり、ヌピナイ川の源流水で喉を潤し、5時間の国境稜線歩きに備えて2.5リットルの水を汲む。
やがて沢型はなくなり、源頭部は花畑となっていて、イワブクロ、ツメクサが咲いている中を進んでゆく。

【源頭部はガレの花畑でした】


ピークまであと2,30mにして藪こぎとなる、藪こぎはそんなにないはずだが、どうもいつもツメが甘い、山頂をダイレクトに狙いすぎた感があり、もう少しピリカに寄った側から狙えば良かったと反省する。
それでも10分も漕げばピークだろうとがんばり、3時間5分で三角点がポツンとあるだけの質素なピークに着く。2,3年前は来られるとは思ってもみなかったソエマツピークに、今自分が立っていることがしばらくは信じられない気持ちだった。
快晴の天気に恵まれ、視界を遮るものは一切ない大展望をおかずに1本だけ忍ばせてきたビールで登頂祝いとする。キリリと冷えてはいないがそこそこの冷たさはあり、今までの中でも印象に残る山頂ビールの喉ごしだった。頂上ではこれからの長丁場に備え、行動食を摂ったり水分補給をしたりして40分ほど休憩する。

【ついに立ったソエマツピークから山脈北側】(クリックすると拡大します)


【ピリカは遠い】


いよいよここから、今山行の第2の難関ともいえるソエマツ~ピリカヌプリ間の国境稜線歩きとなる。おおむね踏跡は意外なほどはっきりしていて、ヤブはそれほど酷くなく苦労するところはない印象だが、時々現れる岩稜帯は基部を巻いたり、登って通過したりして緊張する場面もある。
唯一の敵は容赦なく降り注ぐ太陽である、水は十分に担ぎ上げて来ているので熱射病にならぬように水分補給と休息をこまめにとりアップダウンを繰り返しての前進が続く。

【ソエマツ~ピリカ間の稜線にて】










ピリカヌプリ西峰を目前にしたコルの手前が今回は唯一少しばかりヤブがすごいと感じたが、ここまで来たらもう最後の力を振り絞って行くしかない、時間も既に予定の5時間を過ぎ、14時を過ぎている。意外にもコルからは再び踏み跡がしっかりしてきてわずか30分でピリカヌプリ西峰に到着する。先に着いていたYosさんはほうほうの体で休んでいた。
あと15分もすればピリカヌプリ本峰である、最後のそのまた最後の力を振り絞って前進、途中踏み跡を見失うが、沢からのルートが合流するとあっという間に本峰だった。
見覚えのある景色が、季節を変えた今また再び目の前に広がっている。予定時間は過ぎていたが、Yosさんがかなり疲れていたので30分ほど休憩をとる。かなりへたっていたが、残りの水を頭からかけると復活してくれて一安心。

【再び立ったピリカピークから今日来た稜線】


【2年前のGWに辿った稜線】


記念の証拠写真を撮り、少し下ったコル(入り口にテープ有り)からの踏み跡に沿って下降を開始する。この踏み跡は登山道みたいなもんであっという間に沢型におりる。上部はガレガレで水流はなく、1200m付近でやっと冷たい湧き水にありつき2人してがぶがぶ飲み、ようやっと復活する。下部はうって変わって滝がいくつも現れるが、難しいものはなく、冷えたビールしか頭にない体たらくで淡々と高度を下げてゆく。黄色い我が家が見えてきたのは出発から12時間が経過していた。キンキンに冷えたビールに、梅酒、タラコスパ、イカまんま、麻婆春雨と飲み食いしつくすと、一気に疲れが出てきて、天気予報では明日も晴れとのことで帰路の心配もなくなり、安心して早々に眠りについてしまった。


【3日目 8/14】
790二股 5:50
七ツ釜 7:15/8:00
左岸トラバース 8:40
507二股 9:50
クマの沢ヌピナイ川合流点 13:00
昭徳左岸林道終点 13:15

今日も朝から快晴である、出発しようとすると3人パーティーがあがってきた。ピリカとソエマツをそれぞれ沢からピストンするそうで、沢の状況などを話し、お互いの無事を気遣って、こちらは帰路につく。
途中でバタバタとヘリの音がする、遭難でもあったのだろうかと思っていたら、案の定ペテカリで水が足りなくなり、脱水症状を起こした人が救助されたことを後で知る。この日も朝から快晴で昨日と同じような天気だと思っていたのだが、雲がほとんど流れていないのが唯一違っていた。昨日は風があり、かなり助けられたのだが、今日のように無風に近い状態での稜線歩きは地獄だったろう。(この日は道東の根室でなんと25.9度を記録した日でもある。)
危険な箇所は頭にはいっていて、こなし方もわかっているので、今日はいくらか気分も楽である。七ツ釜では光線の加減からおとといとは色が違い、ひときわきれいに見える。

【帰りに見た七ツ釜・・また違った色合いに】


名残惜しく展望台で45分あまりも休憩し、緊張の左岸トラバースをへて507二股に帰り着いたときは心底ほっとしたが、直前でどう考えてもヤツの臭いとしか思えない生臭い臭いが強烈にしたので、ここで休憩のはずだったが気味が悪いので先に進んで河原が広くなったところまで行く。

【穏やかな流れ】


火照った体をプールでクールダウンし、夏の沢での定番であるソーメンをゆでてちょっと早めの昼食とする。あとは淡々と河原歩きをし、13時15分に車に無事たどり着き充実しすぎた念願のヌピナイ沢行を終える。

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5 コメント

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初めまして!! (kuni)
2007-08-30 20:07:04
ヌビナイ川右沢コースでザイールは絶対に必要でしょうか?
Re:初めまして!! (hir-tani)
2007-09-01 12:43:28
kuniさんはじめまして。
ザイルは一応、というか当然持っては行きましたが使用はしませんでした。行く人の力量とかその時の状況とかで違ってくると思います。でもまあ、これくらいの沢になれば持って行くのは当然だと考えます。私は日帰りの沢でも一応ロープは持って行っています。
有り難うございます!! (kuni)
2007-09-01 15:59:28
私も、行きたくてしょうがなかったコースです。ただ、単独になりそうなのでザイールが本当に必要か気になっていました。kamueku1839さんのブログを見てどうしても行きたくなり9月の中旬に決行する事にしました。罪なブログですね!! 予備としてザイール20㍍(6mm)持っていくことにしました。アドバイス有り難うございました。
Re:有り難うございます!! (hir-tani)
2007-09-01 18:14:11
9月中旬というと敬老の日あたりの連休でしょうか?9,10月は涼しくもあり、山屋&沢屋にとってはとってもいい季節になりますね。ヌピナイ右股、とってもいいところです。七ツ釜は本当にきれいですよ!
単独とのこと、事故にはくれぐれも気をつけて行ってらしてください。無事貫徹できたらまた是非またここへ書き込んでください。


とてもなつかしい写真です (やまね)
2011-12-23 13:25:21
昭和三十六年の八月に九ミリのザイルをもって、仲間の吉井、大槻の三人でヌピナイ川の遡行し、ソエマツに登りました。予想よりも易しかったのを覚えています。昭和四十一年一月にソエマツ東尾根を登って、ソエマツ頂上付近に雪洞を掘って二日吹雪の止むのを待ちました。そして無事に神威岳を往復しました。しかしあの狭い狭い稜線の写真を撮れませんでした。どなたかあの稜線の写真を載せてくれませんか。

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