hir-taniの山と沢の日記

趣味の山と沢登りを中心に、ときどき雑談を・・・。

【日高国境稜線 13-2ソエマツ西峰~ソエマツ岳】ヌビナイ右股~ソエマツ西峰

2015年09月23日 | 日高国境稜線

【ヌビナイ右股~ソエマツ西峰(1280幅に拡大できます)】


【天候回復と減水待ち】
9/19曇り時々雨
9/20快晴
昨年のGWにゴールを目指したが、ソエマツ西峰にてタイムアップとなって350mを残して無念の撤退。夏に今回同様にヌビナイ右股から計画したが、林道が10kmも手前で壊れていて直前の台風で水量が多く、今年に延びていた。
今年は複数の機会を持ったが、前の2回はいずれも天候不良で延期、今回のチャレンジとなった。今回も水量は多く、チャレンジできる条件としてはギリギリの線だったと思う。
シルバーウイーク初日はあいにくの雨だったが現地判断の原則にのっとって土日の2日間は天候の回復と減水待ちということで現地に向かう。土曜日は芽室の温泉につかったり、山仲間が建築中の別荘の見学に行ったりして、晩は剣小屋にて軽く1杯。翌日曜日は朝から晴れ上がり減水を期待して、晩成温泉まで移動して夜までまったりと過ごす。

【1日目~790二股まで】
9/21 晴れ
7:50 昭徳右岸林道崩壊地点
11:00 507二股
14:40 七ツ釜
16:20 790二股


【荒れてしまった七ツ釜】


【きれいだったころの七ツ釜(2007.08)】

2日間待って翌月曜日、ヌビナイ川はまだ水量が多い感じだが、いけるところまで行って危険を感じるようであれば撤退ということで入渓する。507二股までは前回には使った覚えのない巻道を使ったりして、渡渉には細心の注意を払いながら進む。
507を過ぎていよいよ核心部、最初の滝は水流がちょっと激しかったので左岸を小さく巻く。次の何年か前に3人の方が流されて亡くなったゴルジュ滝上の渡渉も慎重にこなす。
この次の右岸高巻きは前回はなかったトラロープが張り巡らされておりそれほどの緊張感もなくクリア。いよいよ600付近の左岸高巻が最大の難所、落ちたら命はないので1歩1歩慎重にトラバースするが、わずか10mのことなのに生きた心地がしない数分だ。ここにロープが張られれば、安全性はぐっと増すと思う。次のトラバースはこれも前回はなかったロープが張ってあり、カラビナでビレイをとって慎重に通過する。ここの残置ロープは沢屋にとっては失格なのかもしれないが、本当にありがたかった。ここを越えた時点で気分的にだいぶ楽になる、あとは七ツ釜手前の右岸高巻きだけだからだ。お荷物を抱え、慎重に来たせいもあり、七ツ釜まで6時間50分を要してしまった。
七ツ釜はやはり荒れていた。Y川さんと7年前に綺麗な七ツ釜を眺めているだけに、この惨状には情報は得ていたものの実際に目にしてほんとにがっくりきた。ここだけでなく、ヌビナイ右股は本当に荒れてしまった印象。いつしかまたきれいな七ツ釜を見てみたい気もするが、よほどの大水が数回ないと元の通りにはならないと感じたし、なによりもうこんな緊張するところへは来ないような気もする。
がっくりしつつもあとはもう難しいところはないので緊張も一気にほぐれてあとは淡々とゴーロをたどって790二股へ到着。安着ビールで1杯やって、明日のゴールを確信して8時過ぎには休む。

【2日目~ついにゴール】
9/22 快晴
6:05 790二股
6:50 940二股
8:30 1240二股
10:15-10:35 ソエマツ岳
11:06-11:45 ソエマツ西峰
12:10-12:30 ソエマツ岳
15:10 790二股


【ついにゴール!】

天気予報どおり快晴の朝を迎える。790二股からは右股に入り、基本的に水流の多いほうを選びながら進んでいく。時期的にシャワーは厳しいのでなるべく水を浴びないように脇の灌木帯を巻いたりして進む。昨日のような緊張感はなく、楽しくゴールに向かえるのがうれしい。前回はピークを狙いすぎて藪漕ぎとなったので今回は早めにピリカ側の稜線に上がろうとするが、藪漕ぎを避けて右へ右へ逸れていって結局はピーク直下に出てしまう。それでも前回よりは効率の良いルート取りだった。稜線に上がるとゴールの西峰がまさに目の前、いよいよあと350mでゴールだと思うと今まで味わってきた苦しみが思い起こされてくる。
ソエマツの頂上で休んでいると西峰の方向からなんと人が現れる。この人たちとはなんとも驚きの出会いというか再会だった。実は昨年のGWのときに同じルートを同じ日に前後してたどり、同じように西峰で撤退し、これまた同じように昨夏にヌビナイからチャレンジして大雨のために撤退していた2人組だったのだ。ここまではいいとしてルートは違うもののまた同じ日、同じ時刻に西峰に向かうことになる。こんな偶然ってあるのだろうか?本当にびっくりである。
1足お先にと言っていよいよゴールへの350mを進む。あれから14年、本当に長かった。かすかに見える踏みあとを1歩1歩踏みしめながら、あと50m、10mと、幕場から5時間で待望のゴール!を迎える。天気はこれ以上ないというくらい晴れ渡り、今までたどってきた稜線を感慨深く眺める。もうちょっと感動するかと思ったのだけれどこんなものかな、うれしいのはすごくうれしいのだけれど。ここへはもう2度と来ることはないと思うのでしっかりと脳裏に焼き付けながら、ここで飲んだビールは一生忘れることはないだろう。そうこうしているうちに2人組もやってきて、ゴール!がっつりと握手をしてお互いの健闘を讃えあう。
40分ほどゴールの地で過ごして、下降にかかる。下降は比較的楽に下れるとの情報を得ていた940二股からの右股を降りることにしたが、これが大正解!さしたる難所もなく淡々と下降を続け、山頂から2時間40分で幕場へ戻った。晩は当然のごとく達成祝いで残りの食料とビールと酒で盛り上がる。やっと終わったという安堵感と明日の無事帰還を祈って心地よい夜は更けていった。

【3日目~無事に下山】
9/23 快晴
6:50 790二股
14:15 507二股
16:25 昭徳右岸林道崩壊地点


【下山後、夕焼けに映えるソエマツ(右の双耳峰)】

今日も朝から快晴、水位もだいぶ落ち着き、無事に帰還できることだけを祈って出発する。
七ツ釜直後の高巻き、600m付近のロープ付きトラバースは難なくこなすが、次のトラバースは残置ピンがあったのでロープで確保しつつ空身で先行してピンを支点にしてロープを張って確実にトラバースをする。この後大チョンボ、何を血迷ったか、次はトラロープの張ってある高巻きで右岸へ行かなければならないのに左岸をまこうとしてしまい右往左往して2時間近くはロスしただろうか、戻って冷静に考えようとして対岸を見たらトラロープが見えて事なきを得る。最後のゴルジュ滝上は捨て縄を使ってロープで確保しながら渡渉し、行きで最初に高巻いた滝も水量が減っていて難なく通過、核心部を終える。ここでお荷物と別れて先行、河畔林の中の巻道を使い、水量が減ったせいもあり507二股から行きの2/3の時間で車に戻った。この瞬間で本当のゴール、Y川さんとがっつり握手して私の長い長い14年にもわたる挑戦は無事に終わった。

【ゴールを迎えて】
2001年の8月にカムイエク~1839峰までの縦走で国境稜線を歩き始めてから14年目にして、ついに目標としていた芽室岳~楽古岳までの区間を踏破することができた。
2011年のGWに神威~ソエマツの区間を残してリーチとなってからも、実に4年も待ち続けてのゴールだったので終えるまでの4年間は本当にもどかしかったが、全てを終えた今はうれしいという気持ちもさることながら、もうこれで苦しい思いをすることもない、ほっとしたという気持ちが大きいのが正直なところである。
達成するにあたっては、ここ10年にわたってお付き合いいただいてきたY川さんのおかげによるところが非常に大きいと思っている。氏なくしては絶対に達成されなかったと思われ、感謝してもしきれないほど感謝している。また、難関の一部である神威~ペテカリを同じく稜線踏破を目指していたY内さんのグループに混ぜてもらって歩き通せたのも大きい。いずれにしてもいえることは周りのメンバーに非常に恵まれたということであり、ここで改めて感謝の意を表したいと思います。本当にありがとうございました。


2 コメント

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7ツ釜は・・・ (MIKO)
2015-10-01 07:32:49
日高主稜線縦走踏破、おめでとうございます!
最後の最後まで簡単には歩かせてくれない稜線でしたね。
taniさんの苦労に比べると私たちは幸運に恵まれすぎていたと思います。

それにしても、7ツ釜の流木はなかなかきれいに流れませんね。
まあ、私たちが歩いたときは5~6mの残雪の上に累々と流木がありましたから、それに比べるとかなりきれいになったといえます。

歩き終えた瞬間は、私もtaniさんと同じようにそれほどの感激は感じませんでした。

今は、懐かしく思い出しジワリジワリと嬉しさが込み上げてくる状態です。

14年間、お疲れさまでした!!
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ヌビナイでお世話になりました (kawabe.goro)
2015-10-06 07:01:47
9月21、23日にヌビナイで同行いただいた者です。その節はたいへんお世話になり、心より感謝しております。日高国境達成おめでとうございます。今後のご活躍をお祈りいたします。
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