hir-taniの山と沢の日記

趣味の山と沢登りを中心に、ときどき雑談を・・・。

【日高国境稜線 10 カムイエクウチカウシ~ヤオロマップ岳】カムイエクウチカウシ~1839峰縦走

2015年05月21日 | 日高国境稜線

山行日 2001年8月12日~16日(4泊5日)

8月12日(晴れのちくもり)
去年カムエクの山頂から見た1839峰の姿が印象的で、今年は是非ともねらってみたい山だった。コイカク沢からのピストンでもよかったが、夏休みも10日間とれたし、カムエクからコイカクへ縦走し1839峰へいくことにした。カムエクまでは3度目ということもあり快調だったが、やはり三股からの登りはきつかった。

8月13日(快晴)
今日からはいよいよ初めてのルート、期待と緊張感が混ざっていた。カムエクへの途中で去年会った人と偶然出会う。考えてみれば、場所も日にちも同じだった。今回もカムエクピストンだそうだ。こちらは1839まで行くというとがんばってねと励ましの言葉をかけてくれた。
ピラミッド峰までは結構きれいな踏みあとがついていて迷うことはない。頂上ではカムエクがまた違った形に見える。三角形のほんとに形のいい山だ。ピラミッド峰と1807の間ではピラミッドとカムエクが双子のように並んで見える。1807を越えて下ったところに一見大雪のロックガーデンを思い起こさせる場所があり、ここで昼食とする。
それにしても暑い!天気が悪ければ悪いでイヤなもんだが天気がよすぎるのも考えもの、水の消費が激しくて足りるか心配になるがコイカクまでは何とかなるだろう。なくなったらそこから降りるしかないが・・・。ここからはブッシュが激しくなり、踏み跡はわりかしはっきりしているが手足を総動員して進むので、体力は消耗するしペースも乱れる。1823まで行ければと思っていたのだが、結局この日は1737の手前に小さな平地を見つけたとたんに戦意喪失し、ここで1夜を過ごすこととした。
憧れの日高稜線でのテント泊、夕日が感動的にきれいだった。日高側から雲が押し寄せ、今日たどってきた国境稜線を越えて滝のように十勝側におちてゆく。カムエクの南西稜には夕日が落ちてゆく。こんな風景にであえるから山はやめられない。


【ピラミッド峰から】


【南西綾に沈む夕陽】


【雲瀑】

8月14日(快晴)
今日はコイカクまでの予定だが、アップダウンが多い行程となる。朝一番のアルバイトで1823へ登ったと思いきや下る。このあと1643に登り返してまた下り、最低コルである1444コルにつく。ここから250m登って今日は終わりだが、見るからにきつそうである。
やっとの思いでコイカク夏尾根頭に到着したが、1839へ行くには水が全然足りないので、下山するか途中で聞いた情報をあてに夏尾根から少し下ってみるか思案していると、コイカク沢からやってきて明日1839へいくという2人づれが同じ情報を得ていたらしく、1時間くらいで水をとってこれるというので2人のうちの一人と水くみにいく。ナナシ沢の源流にあたるのか、量は少ないが、きれいな水がとれた。4Lくみ、テントに戻る。これで水の心配はなくなり、ビールを1本飲んだらたちまち眠くなり寝てしまった。


【1823峰】


【コイカクシュサツナイ岳】

8月15日(快晴)
今日はいよいよ1839だ。ヤオロマップまでは荷物が軽いせいもあって比較的順調だったが、それでもアップダウンが結構あってつらかった。今日のメインディッシュはここからだった。ヤオロマップからしばらく1781までは比較的平坦だがここから一気に下り細い支稜線の上を行く。猛烈なブッシュで思うように進まず、途中何度休んだかわからない。目指す1839の手前には前衛鋒が待ちかまえており、これをのぼりきったと思ったら、またかと下る。最後の一息、今度のピークが1839峰だ。最後のつめの部分はほとんど岩登り状態、ロープが下がっていた。
ついに憧れの1839頂上。ここまで4時間45分、ほんとにつらいの一言だったが、それを癒してあまりある展望。はるか遠くにカムエクの勇姿、おととい、昨日とたどってきた国境稜線もはっきりとたどって見える。雲一つない360度の展望が広がり、いつまでもいたいところだが、行きのペースを考えると帰りは6時間くらいかかるかもしれない。証拠写真をとり10時出発とする。帰りは暑さと疲れも相まって結局予想どおり6時間以上要してテントに戻った。午後になって雲がわいてきて太陽が遮られ涼しくなったのが救いだった。帰り道、雲海の上に浮かぶカムエクの姿がきれいだった。とにかく終わった。明日は下界に降りる日だ。


【1839峰】


【1839頂上にて】


【雲海の上のカムエク】

8月16日(快晴)
朝テントから出ると、きれいな朝焼けでカムエクと1823に朝日が当たり、神々しく見える。今日も暑い1日になりそうな予感。
5:30に下山にかかるが、夏尾根はものすごい急斜面で結構なスピードで進めるが、決して登りには使いたくないと思った。2時間強で上二股へ。あとはコイカク沢を出会まで行くだけとほっとしていたのもつかの間、ここでこの山行一番の事故が発生した。なんと1839へ一緒に行った人の熊よけスプレーが暴発、くらってしまったのだ。はじめは何ともなかったが、だんだん効き目が現れてくる。5分もするとひりひりしてきた。沢の出合でよかった、思わず水の中に飛び込む。少し落ち着いたところで出発するが、日焼けした腕の部分にもついたので特にひりひりする。早く風呂に入って完全に落としたい。早く行こうとするが、結局冷却を兼ねて水遊びをしながらいったので二股から2時間以上かかってコイカク沢出合へ。ここからは車に乗せてもらって七の沢出合で車を回収して新嵐山荘へ行き、スプレー落としをした。とにかくつらく大変で、おまけに親爺の気持ちまで教えてもらった山行だったが、今までで一番充実し印象に残る山行だった。また来年も日高にはまりそうだ。


【下山の日の朝】


【朝焼けのカムエク】


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