hir-taniの山と沢の日記

趣味の山と沢登りを中心に、ときどき雑談を・・・。

【日高国境稜線11 ヤオロマップ岳~ペテカリ岳】コイカクシュサツナイ岳~ペテカリ岳縦走

2011年09月03日 | 日高国境稜線

 

2007年:東尾根1518で撤退
2010年:ヤオロマップで撤退

過去2回天候不良で撤退していたので、今年こそ片付けようと気合を入れて臨みました。今回は職場に無理を言って天気予報を睨みながら夏休みを設定したおかげで、やっとこさ3度目の正直で踏破できました。
びっくりしたのは思った以上に踏み跡やノコ目がしっかりついていたこと。縦走の方向もよかったようです。ハイ松はほとんどが順目でした。それでもヤブ漕ぎであるのには違いなく、つらかったことはつらかったですが、構えていたほどではなかったかなという印象です。(今だから言えること・・・)

8/25 函館~中札内道の駅
函館から十勝は遠いので、9時過ぎにゆっくり出て中札内20時着。やっぱり1日がかりのドライブだった。明日からに備えて安着ビールを飲んで車中泊。

8/26 晴れ(稜線ガス)
 コイカクシュサツナイ岳登山口 7:30
 コイカク夏尾根頭 13:50

いよいよ縦走の開始、もう少し早く出発しようと思っていたのだけれどちょっと寝坊。まあ今日は核心部へは突入せずヤオロまでのどこかでC1なので良しとする。
コイカクの沢はもう何回も来ているので問題はない・・・、と思っていたら小熊に吼えられるというハプニング。渡渉した先に黒い動くものがいる。小熊が立ち上がってワタシに威嚇して吼えている。小熊は近くに必ず親熊がいるといわれているので、親に出てこられたらマズイ。ここはセオリーにしたがって少しずつ後ろずさり、距離ができたところで渡渉して戻る。藪の中でうろちょろしていたので、ここで立ち去るまで時々笛を吹きながら1時間ほど足止めさせられる。空身でちょっと偵察して、いなくなっていたのを確認してから再出発。何事も基本が大事、襲われなくて良かった。
上二股で大休止をして尾根に取り付く。この尾根は何度来てもキツイ、2泊分の水と3泊分の酒を背負った身には拷問そのものだ。晴れていた天気も1305を過ぎたころからはガスに包まれ展望もない。本当はもう少し先に行っとく方が先の行程が楽なのかも知れないが、明日以降に疲れを残さないために今日は夏尾根頭までとする。今回は食料&酒ともケチらずに予定通り消化して徐々に軽量化していくことにする。ビールもいつもは500缶を泊数分持ってくるのだけれど、350缶にした。少し物足りないが、軽量化のためには仕方がない。食事もいつもは生ものを持ってきたりしてるが、今回はレトルト&アルファ米、がっつり食べて就寝した。

8/27 快晴のちガス
 コイカク夏尾根頭 5:45
 ヤオロの窓 6:55-7:10
 ヤオロマップ 8:30-9:10
 1569コブ 12:30-12:50
 1599峰 16:10

快晴の朝を迎える。天気予報を確認するとここ3日程度はまったく問題ない。やっと未踏部分に突っ込むことができそうだ。
ヤオロマップまでは、1839峰へのツアーなどが入っているせいか、10年前に初めて歩いたときよりはるかにいい「道」になっている。2時間45分でヤオロマップに着く。
ここで進む先を眺めながら大休止、帯広のお仲間に神威山荘までの迎えをお願いしたり腹ごしらえをしたりして腰をすえて休む。ゴールのペテカリは頭だけみえ、シビチャリ沢を挟んでぐるっと半円状に稜線がつづく。1599までは今日ここまで歩いてきた距離と同じくらいだけれど、藪によるペースダウンは果たしてどれくらいあるだろうか。
初めての領域に踏み込むワクワク感と多少の不安感で出発する。ヤオロマップからコルまでは岩稜帯や草つき斜面で踏み跡も明瞭で難なく進む。ここでまたしても熊を発見、笛を吹きながら行く、藪漕ぎ途中に鉢合わせたら目も当てられない。思っていたよりかは苦労せずに1569コブへ着き休憩。とにかく暑いので、休みのたびに給水と腹ごしらえだけは意識して進む。木陰があればクールダウンを積極的に行う。こんなものかと思っていた歩きも1569コブからは厳しくなってくる。ハイ松だけならいいのだけれど、今度はダケカンバとササが混ざってくる。特にササは曲者だ。踏み跡にかぶさっているので苦しい中、ルートファインドも加わる。それでもあせらずゆっくりと行けばノコ目があるし、ハイ松は皮がはがれているところがあるので、確かに人が歩いた形跡が確認できて精神的には楽だ。
1569からコルへ降り、りんご畑といわれるハイ松ダケカンバササのミックスした部分にかかる。あせらず辛抱の登行が続くが、このころから雲が湧き出し、日差しがさえぎられて多少は楽になる。
徐々に標高を上げ、りんご畑を脱出、ヤオロマップから6時間で1599峰に到着。頂上は広く整地されており天床としてはいうことはない。風もすっぱり切れ落ちているのと、ある程度カンバが茂っているので直接はあたらない。
とりあえず第一の核心部は終わった。予定通りの行程消化に安堵して就寝する。


【夏尾根頭からカムイエク方向】


【ヤオロマップから】


【ヤオロマップから1839】


【いよいよ突入・左端1599、右ルベツネ】


【1569コブから・右ヤオロマップ、左奥コイカク】


【1569コブから1599峰】

8/28 快晴
 1599峰 5:55
 ルベツネ山 12:50-13:20
 Cカール下降点 14:30
 Cカール 14:50


今日も快晴の朝を迎える。朝焼けの稜線が美しいが、今日も暑さとの戦いになりそうだ。Cカールで鱈腹水を飲むことを楽しみに出発する。
まず、1469コルまで下る。ここもハイ松とダケカンバのミックスであるが、昨日のような背丈ほどの笹薮がないだけ楽だ。藪漕ぎはゆっくりとやっていけば踏み跡が必ずあるしいいのだけれど、今日の一番の敵は日差しだ。こればっかりはどうすることもできない。昨日同様給水と、木陰でのクールダウンを心がけて進むことにする。
1469まで降りると次の1688コブがはるか上に立ちはだかる。うんざりもするが、もう後には引けず進むのみだ。今日の核心はこの登り、相変わらずの藪漕ぎに今度は登りということもあって苦しさが倍増する。それでもこんな中にもノコ目があり、意外としっかりした踏み跡があるのには驚くとともに本当にありがたい。
実は、りんご畑からルベツネまでの間はもっとすごい藪漕ぎかと思ってかなり覚悟してきたのだけれど、思っていた程ではなかったというのが印象。それでも藪漕ぎであるのには変わりなく、苦しいのは変わらない。途中何度もクールダウンしながら1688まで来ると、今度はルベツネまでの登りが待っている。振り返れば1599の端正な姿と、沢を挟んで1839、コイカクも遠くなってきた。苦労してきた一歩一歩の積み上げに感動する。標高も高くなってきたので、先を見てもハイ松主体となり、今回の山行の苦しい部分はクリヤした感じ。この後は岩稜帯や草つき斜面を通過して7時間弱かけてルベツネに着く。明らかに時間がかかりすぎだけれど、今日の暑さを考えたらどうしようもない。途中で熱中症にでもなったら目も当てられない。
昨年同じコースをやった女性に電話をして元気をもらったり、腹ごしらえをしてから今日のゴールのCカールを目指す。1720肩までは背の低いハイ松帯で40分ほどで、ここからは背丈ほどのハイ松を潜り抜けてコルに着く。1720からの下りはハイ松が順目で、サクサクと降りることができた。登りだったら大変だろうと思う。
今回全般にいえたことだけれど、ハイ松の目は概ね進行方向を向いていて助かった。コルからは天床に向けて転がり落ちる。テントを建てて、水汲みに。10分ほどで水場に着いて鱈腹飲む。この3日間水が自由に使えずに苦しかったので本当にうまい。テントにもどり、明日は予定通りペテカリ山荘までいけそうなので、予備食を再配分してガッツりと食事にする。もちろんCカール源流水での水割りつき・・・。
暗くなってきて人の声がする。なんだか変なものを聞いてしまったなと思っていたら、ずっと声がしている。テントから顔を出して稜線を眺めると、光が見える。確かに人だ。暗くてカールへの降り口がわからないようだ。それでも降りてこようとしているので、ヘッドランプで方向を示し、時々声を上げて誘導してあげる。1時間弱かけて降りてきたのは札幌からの4人グループだった。暗くて水も取りにいけないだろうからと、余っていた水を提供したらこれも感謝される。二言三言会話して、お互いにテントにもぐりこむ。


【1599峰からの稜線・左の尖ったのが1839】


【1599からルベツネ】


【1688コブと奥にルベツネ】


【水さえあればいい天場】


【端正な1599】


【昨日今日と歩いてきた稜線を振り返る】


【1688からのルベツネとペテカリ(奥)】


【シビチャリ源頭と1839】


【ルベツネ頂上から、右1720、左ペテカリ】


【ルベツネ頂上標石】


【Cカールの天床】

8/29 晴れ
 Cカール 7:15
 Cカール下降点 7:35
 ペテカリ岳 10:20 11:25
 ペテカリ山荘 15:40

8/30 晴れ
 ペテカリ山荘 6:00
 神威山荘 9:20

今日はペテカリ山荘までの予定なので、4人の皆さんとゆっくりして7時過ぎの出発とする。朝一のきついアルバイトで稜線に出て、ゴールのペテカリ岳へ向かう。
稜線はもう昨日までの苦しい藪漕ぎはなく気持ちにも余裕が出てくる。BCカールを分けている尾根上のコブまでくると、ペテカリはもう目の前。歩いてきた稜線を振り返りながら一歩一歩かみ締めて進む。
カール底から3時間弱でペテカリへ。GWには何も見えなかったけれど、今回は展望がある。GWにたどった稜線もしっかりと見えて、改めてみてその長さと険しさを振り返る。
4人組も順次あがってくる。話をしていると、その中の1人がペテカリ初登頂だそうだ。ペテカリなら西尾根か東尾根だと思うけれど、コイカクからの縦走で初登頂なんてめったにいるものではない。本人も印象に残る山行になったことと思う。かくいうワタシも3度目の正直で完遂でき、うれしさもひとしおだ。1時間ほど休んで、うんざりするような西尾根を下った。

翌日は昼過ぎに迎えの予定だったが、神威小屋で待っていると4人組の方が、Cカールでのお礼がしたいからと浦河まで送ってくれた。4,5時間は短縮でき、おかげで日付が変わる前に函館までもどり5日ぶりにふかふかの布団で寝ることができた。
3度目の正直でやっとさ片付き、日高国境稜線も神威岳からソエマツ岳を残してリーチとなった。難区間なので達成できるかどうかわからないが、夢は持ち続けたい。


【Cカールの夜明け】


【Cカール】


【だんだんとゴールが近づいてくる】


【ペテカリ】


【振り返り・・・】


【頂上の標識も見えてきた】


【無事ゴールを迎える】


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