「一番最初に良い本を」に異論

「子ども時代は短いのだから、良い本だけあればよい」という考えがあり、一握りの本が推奨されることがあります。私たちもそのように習いました。
良い本を与えれば子どもはよく育つ、地域が良くなる、ということでしょうか。

 実は、私は子ども時代にそれらの本に出会ったことがありません。昭和30年代、本を買ってもらえる子どもはわずかでした。保育園でわずかの本、小学校で図書館に行きましたが。ぐりとぐらも大人になって初めてまともに見ました。
では、それらのお考えの皆様は、私に向かって「あなたはそれらを読んでいないから、よく育たなかったのね。地域が悪くなったのね」ということになりますね。
面と向かって言えますか?

 それらの本をそう言ってお勧めする方、図書館にいつもそれがあることがサービスだと思っている人たちは、言外に、そう発言しているのと同じなのです。周囲の私のような育ちの者が困ったような顔をしているのに、お気づきではないのでしょうか。
 
 例えば、萬代橋を渡っている人、一人ひとりに、それらの質問をして答えてもらい、「あなたは良く育たなかったのね」と、おっしゃってみたらどうでしょうか。80万都市で、それらの本を子ども時代に読んだことのある人は、一体何人いるでしょう。それらの発言は、79万数千の人生を否定しているのと同じではないかと思います。市民の静かな怒りは、皆様に届かないのでしょうか。本を読めば想像力が養われるとおっしゃる方々が、それを想像できない、ということです。
 

 こうすればこうなるだろう、と、想定して動くことは私にもよくありますし、今の育児書はそんなことのオンパレードでしょう。私も失敗だらけだったけど、この本を読めば人間が良くなるなどとは、言いたくないと思っていました。絵本の勉強会でも、そういう発言はないですね。皆、恥ずかしいということを、知っているからです。

 それから、「私たちは特別」といって憚らない人たちがいらっしゃる。何が特別なのか分かりませんが、誰かのそばにいて守られていて、その考えは図書館で絶対正しいと認められているから変えなくていいと思っていらっしゃるのではないでしょうか。「人より本が大事」とも。私は反論も同意もせず、淡々と当番をこなしてきました。過去のことですが、自分は特別なのだという考えで子どもの前に立つことが、恥ずかしいことではない人もいるんだなーというのが、ずっと、今も、私の驚きです。
・・・ちょっと感情的になってるかな。



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