高齢者への読み聞かせ

昨日、ほんぽーとの「いっしょによもうよとしょかんのほん」の当番でほんぽーとに行ってきました。館の中に入ったら、一人の女性がが車椅子に乗り、介護の方に押されているのにすれ違いました。すれ違ってからフッと気がつき車椅子を追いかけて声をかけると、車椅子の方は知り合いのAさんでした。高齢のためしばらく音信不通になっていたのです。手にはしっかり紙芝居の袋をお持ちでした。施設に入居したあとも、施設内で紙芝居を周囲の方にしておられるとのこと。大変お元気な様子で、はっきりとした声の出し方も以前のままでした。

その後、こどもとしょかんで立って絵本などを探していたら、別の、車椅子に乗ったお年寄りと介護の方が入ってこられました。歩いておられるお年よりも一緒です。どこかの施設からのお散歩の途中でしょうか。近くにあった昔話の棚からとっさに赤羽末吉の『ももたろう』『かちかちやま』をつかんで近寄り、これこれこうでよみましょうかなどと声をかけると、はにかんだお顔でOKをいただき、奥のソファのところ、すぐ目の前に本を寄せて、ももたろうを読ませていただきました。介護士の方も一緒でした。
 途中、桃太郎の紙芝居を見たんだと思い出話をされたり、うふふと笑われたり、反応も良く、とても楽しく過すことができました。介護士の方は「これはいつやっているんですか?」などと尋ねてくださったので、次はいついつですとお答えし、そこでお別れしました。
  
  最近は長い絵本を読むことがめっきり少なくなったので、昨日は読んだ私もとても満足しました。長いことが楽しいのだというご様子だったので安心して読めたのです。そしてまた、こどもとしょかんに施設入居のお年寄りが来るという偶然に居合わせてラッキーでした。
こういう使い方もあるんだな、というのが今日、思うことです。ボランティアにとっても、昔話を口にしてテンポをつかむチャンスがあるのです。なんといっても相手は聞いてくれる人なので、自然に語りになっていきます。日本の昔話でポピュラーなものが肩がこらなくていいのでしょう。作家の50音順に並んでいる棚では、「赤羽末吉」は端っこで見つけやすく、自分でも読んだ記憶があるので、偶然とは言え使いやすいと思いました。

 最近は、ちょっとした公園でも若い介護士に付き添われながら散歩するお年寄りの集団を見かけることが多くなりました。ほんぽーとも開館後数年たち、車椅子で通っても通路をふさいで他の迷惑にならないような、ゆったりした時間が流れるようになったと思います。これからできるような新しい図書館も、通路はゆとりをもって広く作られるでしょうから、お年寄りがこどもの場所にいるのも自然なことになるかも知れません。こういう使い方もあるんだと、介護士の方々に広報したらどうかと、ぼんやり思っています。

 

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