地獄の黙示録
学生時代みた映画の中で、当時さっぱりわけがわからなかった映画がある。今回のタイトルの「地獄の黙示録」だ。確かきっかけは「世間で有名だから」という主体性が全くない理由だったと思う。ところがこの映画は時代背景や文学などの下地がないと全くわけがわからないのも当然で、社会人になってから立花隆「解読地獄の黙示録」を読んで当時観ても理解できなかった理由がわかった。
この本を読むと分かるが、コンラッド「闇の奥」 T・Sエリオット「荒地」「うつろな人々」聖杯伝説、ジェームズ・フレイザー「金枝篇」映画の音楽となっているドアーズ「ジ・エンド」(エディプス・コンプレックスとの関連)・・・が下地になっている。学生時代の私は当然(ではないのだが・・・)闇の奥もT・Sエリオットも金枝篇も知らず観ていたのだ。社会人となった今は大急ぎで闇の奥、金枝篇、聖杯伝説(聖杯伝説は本当にすこしかじっただけだが)を読んで、自分の無知の程と世界の大きさを実感しました。
それにしても「解読地獄の黙示録」に出会ってはじめて本格的な映画論を読んだわけだが、最初はページ数が少ないのではっきり言ってナメテいた。しかし少ないページ数の中に凝縮された情報量の多さに圧倒され、実は何回か撤退しているのだ。それがとりあえず最初から最後までかろうじて議論についていけるようになったのは、とにもかくにも「闇の奥」「金枝篇」の2冊を読んでからだ。正直「闇の奥」はどこがすごい作品なのか分からなかったが、金枝篇は衝撃をうけた。
金枝篇の参照資料の多さにもびっくりだが、要するに私個人として「ヨーロッパ人の世界の見方」に初めて出会ったのがこの本だった。金枝篇の解説の次の文章がとても分かりやすい。
「・・・ここには、呪術・タブー・供犠・穀霊・植物神・神聖王・王殺し・スケープゴートといった、人類学の基本的な概念に関する世界中の事例が満載されているだけではなく、資料の操作にまつわるバイアスをも含めて、ヨーロッパ人の世界解釈が明瞭に看取できるのだから。・・・」
このあと「人類」に興味が出てきて、レヴィストロース「レヴィストロース講義」や山口昌男「学問の春」を読みはじめたのだった。今は中国にいることもあり、中国古代の夏王朝や殷代の世界観を学んでいきたい。そういう中でもう一度立花隆「サル学の現在」を読みたいのだ。そうすれば、今よりも一歩だけ「人類」に関する見方をすすめられる気がするのだ。
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解読「地獄の黙示録」 (文春文庫) |
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闇の奥 (光文社古典新訳文庫) |
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荒地 (岩波文庫) |
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初版 金枝篇〈上〉 (ちくま学芸文庫) |
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レヴィ=ストロース講義 (平凡社ライブラリー) |
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学問の春―“知と遊び”の10講義 (平凡社新書) |
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