この地に居を構えて間もない頃、赤、白、紫のシャクヤクの花がいっぱい咲き乱れる花畑を散歩の途中見つけた。雑草のない手入れの行き届いた花畑のすぐ隣にこじんまりとした住居が続いていた。花と言えばシャクヤクの花の印象しかない花畑だった。兎の目のような真っ赤なシャクヤクの芽が出始める3月の頃から花畑の主人は、稲わらを被い遅霜から守って大切に育てていた。5坪程の花畑はシャクヤクだけの舞台だった。
この美しい花畑も昨年あたりから見られなくなった。シャクヤクは宿根草だから必ず芽を出し花も咲く。でも、雑草の勢いには悲しいかな勝ち目はない。年々衰退してシャクヤクは草葉の陰に哀れな花を咲かしている。
のっぴきならぬ事情で廃屋となったこの家の玄関先は、花盛りのスイカズラが八方に伸びて今にも家の壁に登って行きそうな勢いだ。
気の遠くなる程生きてきたであろう、柿の老木だけが若葉を山のように茂らせ生命を燃やし続けている。
この美しい花畑も昨年あたりから見られなくなった。シャクヤクは宿根草だから必ず芽を出し花も咲く。でも、雑草の勢いには悲しいかな勝ち目はない。年々衰退してシャクヤクは草葉の陰に哀れな花を咲かしている。
のっぴきならぬ事情で廃屋となったこの家の玄関先は、花盛りのスイカズラが八方に伸びて今にも家の壁に登って行きそうな勢いだ。
気の遠くなる程生きてきたであろう、柿の老木だけが若葉を山のように茂らせ生命を燃やし続けている。