ハシちゃんの詩(うた)日記!

山郷の散策つれずれを
ペットのハシちゃんとつぶやきます。

廃屋の花畑

2012年05月31日 19時00分30秒 | 日記 
 この地に居を構えて間もない頃、赤、白、紫のシャクヤクの花がいっぱい咲き乱れる花畑を散歩の途中見つけた。雑草のない手入れの行き届いた花畑のすぐ隣にこじんまりとした住居が続いていた。花と言えばシャクヤクの花の印象しかない花畑だった。兎の目のような真っ赤なシャクヤクの芽が出始める3月の頃から花畑の主人は、稲わらを被い遅霜から守って大切に育てていた。5坪程の花畑はシャクヤクだけの舞台だった。
 この美しい花畑も昨年あたりから見られなくなった。シャクヤクは宿根草だから必ず芽を出し花も咲く。でも、雑草の勢いには悲しいかな勝ち目はない。年々衰退してシャクヤクは草葉の陰に哀れな花を咲かしている。
 のっぴきならぬ事情で廃屋となったこの家の玄関先は、花盛りのスイカズラが八方に伸びて今にも家の壁に登って行きそうな勢いだ。
 気の遠くなる程生きてきたであろう、柿の老木だけが若葉を山のように茂らせ生命を燃やし続けている。

夏つばき (はしちゃんの詩)より

2012年05月30日 19時21分43秒 | 
少しだけ 夏の匂いを含んだ
お日さまが
菖蒲の 花びらを
そっと解きほぐした

夜明けに咲いた
真っ白な 夏つばきの花は
もう 庭に降り始めた
はらりはらり はらりはらり

艶やかさ 秘めたまま
杉苔の上に
幾重にも 幾重にも
折り重なっていく

はしちゃんにだけ 
聞こえる
白い妖精たちの 歌う
レクイエムが


ごめんなさい、ヒトリシズカ

2012年05月29日 19時33分02秒 | 日記 
 今月の24日、「驚くべきヒトリシズカ」と題してこの野草の花が受粉され種子となったら、4枚の葉の交わり点に在るはずなのに、いつの間にか葉の裏側に方向転換して表からは種子が全く見えなくなる「驚き」の話をした。
 通りすがりに見るたび、種子が隠れんぼしているヒトリシズカのことが、愛おしくて可笑しくてならない。この山里で私しか知らないヒトリシズカの「秘密」ほんの少し鼻が高くなったようだ。
 ところが今日、じっとヒトリシズカを眺めていたら、私の心のなかにモヤモヤといたずら心が湧いてきたのだ。葉の裏側に隠れんぼしている種子を葉の表に出してしまった。意図は表に引っぱり出された種子がまた裏側に隠れんぼしてしまうかの実験だ。群がるヒトリシズカの10本が実験台となってしまった。犠牲となってしまった。
 私は信じている。ヒトリシズカは必ずまた、自身の子供を守ってちゃんと元通りに葉の裏側に種子を隠れんぼさせると。乞うご期待。

廃校跡のセンダン

2012年05月28日 19時51分34秒 | 
静まりかえった 廃校跡に
大きな大きな栴檀の木が
立ちはだかっている
いつも煙ったように 
薄紫の花がふわーっと 咲いている

風を含まぬ 夏の日差しに
紛れ込んだ過去たちが
栴檀の木を 囲むように
宙を舞っている

「お前さんも 随分長生きしたなあ」と
梢と梢を抱き合うように
寄り添って 生きて来た
楓翁(かえでおきな)の 独り言が
聞こえて来る


雨のあとの散歩道

2012年05月26日 19時16分54秒 | 日記 
 静かな雨が少しだけ遊びながら通り過ぎていった。雨のあとの道はいろんな花びらや葉っぱなど散っていて楽しい。足元に何か見つけると、反射的に頭上を仰いでしまう。白い花ならエゴノキに卯の花にヤマボウシ、赤い花なら谷ウツギと分かっているのに、やはり頭上を仰ぎ「ほう、なるほど」と得心する。この頃は散り花の面積で木の大小も分かるようになった。
 松ぼっくりは冬の季節のようには落ちないが、1年通して道に転がって遊んでいる。今日のような雨のあとだと、しっかりと閉じてしまう。
 初夏の山々の木々の花は、申し合わせたように白色が多い。その中で目を惹くのが桐の花だ。高い木は、たくさんの薄紫の花をつけていて良く目立つ。昔は女子が生まれると桐を植えて嫁入り道具の箪笥をこしらえていたそうだ。成長の早い木であり、燃えにくいので箪笥に利用されたらしい。
 今はもうそんな風習もなく、野生化した桐はあちこちと大きく成長して花盛りを迎えている。
  

驚くべきヒトリシズカ

2012年05月24日 19時23分09秒 | 日記 
 野鳥のヒナの巣立ちのあっけなさ。庭の徳利のヒナは朝がた、地上に舞い降り1時間ほど親鳥が付き添って、あっという間に我が家の庭から姿を消した。旅立つヒナは意外にも6羽もいた。狭い徳利の中に生まれたシジュウカラの兄弟姉妹たちは、ひたすらエサをむさぼって2週間そこそこで厳しかろう大自然に追われるように旅立ったのだ。
 ヒナも旅立ち、静けさの戻った庭を後に野路へと散歩に出掛けた。1週間もご無沙汰すれば、植物たちは随分成長している。クヌギ林の下草も伸びていつの間にやら、野アザミが主人公となって赤紫の群がりを成していた。
 伸びた下草の陰に4月の始めに白い小さな穂花を、ひとつずつ咲かせて群生していた、ヒトリシズカが艶やかさ失うことなくしっかり生きていた。ヒトリシズカは1本が4枚の葉を持っている。ふと、「確かに花はそれぞれちゃんと咲いてたはずなのに?種はどうしたの?」と疑問が。ちょっと失礼して1本手折ってみると、なんと、4枚の葉の内の1枚の裏側に若い種がぴったり隠れていたのだ。試しに他のヒトリシズカも裏返してみると、みんな、種が葉にぴったりくっついて、表からは見えないようにかくれんぼしているのだった。自身の存在をアピールする種子が多い中でヒトリシズカの変わった習性に驚かされた。受粉が終わったら、あとは土に帰るだけなのだ。我が身を守る意味で葉裏に隠れる知恵を得たのだろうか。鳥のエサとなり遠い地には行きたくないと、かくれんぼしたのか?
 ヒトリシズカに逢ったら、つい、葉を裏返ししてしまいそうだ。 
 

舞う木漏れ日 (はしちゃんの詩)より

2012年05月23日 19時18分20秒 | 
青葉道歩けば
木漏れ日
どこまでもついてくる
まん丸な光は
いくつも いくつも
揺れている
りらりら りらりら


青葉道歩けば
シジミチョウ待っている
木漏れ日受けて
誘い(いざない)の舞いの始まりだ
りらりら りらりら

はしちゃん
木漏れ日追っかけ
自慢の黒毛が
青葉色に染まってしまった
りらりら りらりら





カラスも一目置く

2012年05月22日 19時06分37秒 | 日記 
 畜産業の盛んなこの地は、発酵した牛糞を畑に展げる光景を良く見かける。この時とばかりに里山のカラスたちが、牛糞の中に生息している生き物(みみず、昆虫の幼虫)を狙って集合する。最初の頃は、カアカア鳴く真っ黒な集団が不気味だったが、すっかり慣れてしまった。
 今日、何気なく牛糞にたかるカラスたちを眺めていると、なんと、その中にキジの雄が一羽だけカラスと一緒にご馳走にありついているではないか。
 長い尾羽、青緑の背な、目の周りの真っ赤な肉の膨らみ。カラスの中のキジは美しく大きい。日本昔話の「桃太郎」では、情報収集役として活躍している。それに、日本の国鳥でもある。1万円札の裏にもキジくんは確かに居る。
 気の強いカラスも、キジくんにだけは一目置き、一緒に食事をすることを好しとしているのだろうか。
 もう空は夏のようだ。青い空に入道雲がもくもくと湧いている。柿若葉の黄緑が本当に綺麗だ。カラスもキジも、みんな平和でありますように。



 


ヒナの旅立ち

2012年05月21日 18時12分15秒 | 
不安を抱えた雨は
ぽつり ぽつりと
惑いながら 落ちて来る

霧の中に
今朝 巣立ったばかりのヒナの
親鳥を呼ぶ声が
八方へ 響き渡る

感傷につかまってはいけないと
庭の木々や 花たちは
みんな 知らんぷり

雨はまだ
惑いから 抜け出せず
ぽつり ぽつり