ハシちゃんの詩(うた)日記!

山郷の散策つれずれを
ペットのハシちゃんとつぶやきます。

白いむくげのため息(はしちゃんの詩)より

2012年08月31日 19時24分16秒 | 

白いむくげは
夏の間
主(あるじ)なき庭に
次から次へと
万の花を咲かせ続けてきた

夕闇のなかに
秋の足音をはっきりと
聞いた日から
己が身の潮時を思い始めて
ため息ばかりついていた

みんな寝静まり
たった一匹の虫が
秋の歌を奏で始めると
青い満月さまが
白いむくげを照らし出し
語りかけた
「きれいだよ なんて優しく咲いたことよ」

青い満月さまに逢って
もうちょっとがんばって
咲き続けようと
白いむくげの花は
ひときわ
優しくおだやかに咲いた









夏の幕は降ろされた

2012年08月30日 18時08分42秒 | 日記 

 とても暑い日だった。水分を補給すればするほど滝のような汗となって体外へ逃げてしまう。しかし、この炎暑の日中でさえも時折サワサワと吹く風に秋を感じ取るのはたやすい。汗だくの体に冷ややかな秋風を受けながら、「ああ夏も終わりだ」としみじみ思った。
 裏庭の二つだけのカボチャもの実も成長を諦めたようだし、ひまわりなどは気の毒なくらい年老いてしまった。そう言えばセミの鳴き声も随分少なくなったようだ。アサガオの花も小ぶりになってツルの先っぽに登り詰めてしまった。それでも、確かに色は濃ゆさを増し小粒ながら澄んで落ち着いた心持ちで咲いている。
 おっとー、我が里山の夏の終幕を飾るに最もふさわしい風景を見つけた。畑に置き去りにされた数個のスイカ。この夏は雨の降らない日がなかったのでスイカの出来が悪かったのかもしれない。スイカとしての役目を果たさぬまま、今だ枯れヅルに未練がましくしがみついている。いやいや、律儀に運命を共にしている。
 夏の終わりを探すのはもうやめよう。少々憂いを覚えてしまいそうだ。

お喋りな千日紅(はしちゃんの詩)より

2012年08月29日 18時13分37秒 | 

くじゅうの山麓の
千日紅たちのお喋りが
聞こえて来る

わたしは
くじゅう山の稜線を
ゆったりと流れ下る
滝雲が好きよ

ぼくは
すすき野の空を自由自在に
姿を変え行く
綿雲が好きだなー

わたしは
だんぜん羊雲が好きよ
お日さまの下に並ぶ羊雲は
桃色に染まって
草原の空に優しく広がるのよ

ぼくは
すべての物事に
なんの執着も持たず
風に流され
気ままに空を旅する
浮き雲になりたいなー




台風の朝

2012年08月28日 17時49分03秒 | 日記 

 出勤途中、激しい雨に見舞われた。台風15号は当地にはあまり影響はないと甘く見ていた。最速のワイパーも手に負えなくなったので脇道に入り車を停車して様子をみることにした。この脇道は旧道で頭上には雑木が被い茂り暑い夏場の日中は涼を求める車が休憩するのに絶好の場所となっている。時刻は朝の6時30分というのに激しい雨は夜明けも遅らせて暗い。ゆっくりハンドルを切りながら停車して良きも悪しきも全て洗い流してしまいそうな雨をじっくりと味わうこと10分余、嘘のように止んで小雨になった。
 背後に薄日を感じながら車をゆっくり発進させると、コトンコトンと何かに軽く当たる感触に不安になり停車すると、何とフロントガラスの向こうに青い実つけた柿の枝が垂れ下がっているではないか。左右も柿の枝に囲まれていた。柿の木のトンネルに迷い込むなんて何と愉快なことか。
 前進するには、まだ若き柿の実さんにも、車にとっても良くないので苦手なバックをするしかない。何とかバックに成功してもう一度目の前の風景を眺めやると、枝を張り出した木々に生命溢れるクズのかずらが巻き付き赤紫の花は咲き誇っていた。
 雨の止んだ路面はクズの散り花で赤く染まり薄日が微かに射し始めたこの場をぼつぼつおいとました。

ちょいと こがねぐもさんよ(はしちゃんの詩)より

2012年08月27日 17時12分43秒 | 

ねえ
こがねぐもさん
台風が近づいているのに
そんな高い所でのんびりして
大丈夫なの

ほら
はしちゃんは
もう小屋の中だ
台風は
怖くてかなわないよ

でも
夜のとばりが降りようとしている空は
こんなにも澄み切っているんだね
少しだけ秋の匂いがするよ
いつも
せわし気なはしちゃんの気持も
穏やかに丸まってきたよ

さあ
こがねぐもさん
ぼちぼち
安全な場所にお隠れ!
暴れん坊台風はすぐ其処よ

こんな
澄み切った夕空は
里山の神様の大袋に
ちょいと
しまい込んでもらいましょう







はすの花がこんな所に

2012年08月26日 18時12分26秒 | 日記 

 真っ赤に燃えるケイトウの花に魅せられシャッターを押していた。ふと、遠くの山並みに目を移すと綿雲が輝きながら稜線を覆い尽くそうとしていた。心はケイトウから綿雲へと移ろう。舗装の路を横断して綿雲ばかり追いながら草むらにうっかり入り込んでしまった。
 私は思わぬ光景に遭遇したのだ。桃色のハスの花が小さな小さな池にぽかり咲いて私を出迎えてくれたのだ。くじゅう連山の綿雲がハス池に誘ってくれたに違いない。20年近くの馴染みの場所なのに気づかなかった。独り占めのハス池に小躍りした。透き通った桃色は黄泉(よみ)の国の色なのだろうか。
 道路を挟んだ向かいには真っ赤なケイトウの花が生き生きと今を盛りなりと咲いている。この色がこの世に生きてる証(あかし)の色なのだろうか。
 『手に触れて紙の音する蓮の花』山路紀子の句を思いだし、ハスの花びらを触ってみようと思った。小さな池ながら水に阻まれ残念ながら手が届かない。『どこからも手の届かない蓮の花』高橋将夫の句も飛び出して来た。なるほどと納得しながら思わぬ綿雲からの贈り物のハスの花を思い出しながらノートを閉じよう
 

朝を待つ

2012年08月24日 19時18分36秒 | 日記 

 日が沈みきった庭に出てみると、明日の朝に開花する朝顔の蕾が凛と澄まし顔で迎えてくれた。こんな暗闇で何を想い何を考え明日を待っているのか聞かして欲しい。指先でつんつく突いてもつまんでも彼女(朝顔)は知らんぷり。きっと、明日いかに美しく咲くかで頭のなかはいっぱなのかもしれない。いやいや、そんな余裕のないはずはない。朝顔は楽しい夢だけ抱きのんびりと夜通しかけて空を舞い夜明けとともにぱっと開花するのだろう。
 青い朝顔は空の青を奪ったのだと思っていたが、夜空を舞っているうちに空色が染まってしまったのかもしれない。では、白や赤の朝顔さんはどうして夜を過ごしたの? 
 私の心がウキウキと楽しいことが想い浮かぶときに、白、赤の朝顔さんのことを考えることにしょう。朝起きたらこの朝顔さんにこっそり聞いてみよう

るりたま草の思い出(はしちゃんの詩)より

2012年08月23日 18時28分31秒 | 

天も地も
秋うららの今朝
くじゅう草原の草むらに
空色したるりたま草が
まん丸に咲いていた


「ぼく初めてるりたま草に出逢ったとき
なぜか涙がこぼれたよ」と
恥ずかし気に笑っていた
若きころの
ジュンくんを思い出す

一昨年
つくつくぼうしの鳴いてた昼下がり
「ぼく癌なんだ」と
泣き虫のはずのジュンくんから
たんたんと
こともなげに告げられ
日々だけがいたずらに
過ぎ去っていった

音沙汰を聞くのが怖くて
るりたま草に
そっと聞いてみる
「ジュンくんは?」と










































風にひるがえる葛

2012年08月22日 18時51分51秒 | 日記 

 今朝のくじゅう連山はくっきりとした稜線に青空の雲の配置がマッチして、見とれてる間に通勤路を間違えてしまった。時間には常に余裕を持ち行動しているので、間違いついでに足を伸ばした。いつもと違う風景はとても新鮮だった。阿蘇、傾山、祖母山を遠くに置いた風景を楽しんんだ。
 道路脇の林はクズのつるが旺盛に茂り花が咲き始めていた。ここ最近、地主さんには気の毒なほどクズが傍若無人に這い回っている。
 子供時分はクズを「カンネンカズラ」と呼び若葉はウサギのエサにしていた。クズの葉が風にひるがえると白い裏を見せていたので裏見草と呼ぶこともあるらしい。困り者のクズとはいえ、根は立派な葛粉になり漢方薬の葛根湯となり随分昔から人さまは世話になっている。
 花が咲き始めると可愛いくもある。秋の七草の一つだけあってクズを読んだ俳句もたくさん見かける。
         萩ゆられ葛ひるがえる夕かな 
         山葛の風に動きて旅淋し 正岡子規
 やはり秋には欠かせないクズの花、草原にはススキが赤茶の若穂を風に遊ばせていた。