日時:5月6日
映画館:サロンシネマ
パンフレット:B5版720円
ノルウェーの研究所で人体の縮小化技術が開発され、人口増加への対応策として実用化が進められる。縮小化に伴い相対的に資産が増える(不動産が圧倒的に安い)ことからアメリカでもダウンサイズ・コミュニティが形成され、一大ビジネスとして成長する。
主人公の作業療法士、マット・デイモンは経済的に苦しい現状から脱却すべく、妻と一緒にダウンサイズすることを決断する・・・
日本人ならすでにウルトラQの「1/8計画」ですでにおなじみの世界、「サイドウェイ」とか「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」のようなおかしくて切ない人間ドラマを描いてきたアレクサンダー・ペインらしからぬSF仕立ての設定でどうなることかと思ったが、全編にペイン印。
嫁に逃げられた中年男、先が読めないシニカルなストーリー、はた迷惑だけど心優しい友人、しっかり者の女性・・・
ダウンサイジングした世界は舞台装置であり、あくまでも現実世界のメタファーであって、話の本筋は中年男の再生物語。マシュー・ブロデリックからポール・ジアマッティ、ブルース・ダーンにまで通じる一連の系譜に連なったのは、マット・デイモン。鉄板のキャスティングだが、何だか「ふたりにクギづけ」にも通じると思ったのはワタシだけだろうか。
ダウンサイズ・コミュニティでの主人公の友人がクリストフ・ヴァルツ、そのまた友人がウド・キアーとなかなか濃い二人。ヴァルツはいつものテンションが高い反面、冷笑的なランダ大佐キャラとこちらも鉄板。ウド・キアーはクルーザー船のオーナーで名前がコンラッドと「闇の奥」を連想させ、さらに彼の船は「フィッツカラルド」に出てきた船にソックリと意味深なキャラクター。
【以下、ネタバレ注意】
主人公はベトナム人の反政府活動家でダウンサイズされた女性と知り合い、彼女に振り回されるうちに親しくなっていく。ベトナム人の彼女が、毒舌でいて心優しさと繊細さも持ち合わせるいかにもペイン的なキャラ。
色々あって、主人公たち一行はノルウェーの研究所が世界で最初に構築したダウンサイズ・コミュニティに向けて旅することになる。この毛色の違うロケ地感もネブラスカとかハワイに通じてペイン的だなあ。現地のヒッピーめいた登場人物への冷めた視線もいつも通りだ。
人類滅亡に備えたノルウェーの地下巨大コミュニティはフィンランドの10万年核廃棄物保存施設を連想させるが、同じ北欧というのは意識してのことだろう。
SFコメディを期待すると肩透かしを食らうが、ペイン映画が好きなら充分に楽しめる。
ペイン作品は「世の中なんてつまらないことばかりで、クソみたいなものだ。」という嫌世感がある反面、「そこに日々、何とか生きている人間は素敵だ」という賛歌も感じさせてくれる。そこが「人類は嫌いだけど、人間は好き」というワタシに通じるものがあるのだろう。
ところで、主人公は人類滅亡を心配するのだが、ワタシは人類滅亡の日が来るなら、確率的に20万年分の1日(7300万分の1)に巡り合う自分は相当、運が良いのだろうと考えるようにしている。
映画館:サロンシネマ
パンフレット:B5版720円
ノルウェーの研究所で人体の縮小化技術が開発され、人口増加への対応策として実用化が進められる。縮小化に伴い相対的に資産が増える(不動産が圧倒的に安い)ことからアメリカでもダウンサイズ・コミュニティが形成され、一大ビジネスとして成長する。
主人公の作業療法士、マット・デイモンは経済的に苦しい現状から脱却すべく、妻と一緒にダウンサイズすることを決断する・・・
日本人ならすでにウルトラQの「1/8計画」ですでにおなじみの世界、「サイドウェイ」とか「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」のようなおかしくて切ない人間ドラマを描いてきたアレクサンダー・ペインらしからぬSF仕立ての設定でどうなることかと思ったが、全編にペイン印。
嫁に逃げられた中年男、先が読めないシニカルなストーリー、はた迷惑だけど心優しい友人、しっかり者の女性・・・
ダウンサイジングした世界は舞台装置であり、あくまでも現実世界のメタファーであって、話の本筋は中年男の再生物語。マシュー・ブロデリックからポール・ジアマッティ、ブルース・ダーンにまで通じる一連の系譜に連なったのは、マット・デイモン。鉄板のキャスティングだが、何だか「ふたりにクギづけ」にも通じると思ったのはワタシだけだろうか。
ダウンサイズ・コミュニティでの主人公の友人がクリストフ・ヴァルツ、そのまた友人がウド・キアーとなかなか濃い二人。ヴァルツはいつものテンションが高い反面、冷笑的なランダ大佐キャラとこちらも鉄板。ウド・キアーはクルーザー船のオーナーで名前がコンラッドと「闇の奥」を連想させ、さらに彼の船は「フィッツカラルド」に出てきた船にソックリと意味深なキャラクター。
【以下、ネタバレ注意】
主人公はベトナム人の反政府活動家でダウンサイズされた女性と知り合い、彼女に振り回されるうちに親しくなっていく。ベトナム人の彼女が、毒舌でいて心優しさと繊細さも持ち合わせるいかにもペイン的なキャラ。
色々あって、主人公たち一行はノルウェーの研究所が世界で最初に構築したダウンサイズ・コミュニティに向けて旅することになる。この毛色の違うロケ地感もネブラスカとかハワイに通じてペイン的だなあ。現地のヒッピーめいた登場人物への冷めた視線もいつも通りだ。
人類滅亡に備えたノルウェーの地下巨大コミュニティはフィンランドの10万年核廃棄物保存施設を連想させるが、同じ北欧というのは意識してのことだろう。
SFコメディを期待すると肩透かしを食らうが、ペイン映画が好きなら充分に楽しめる。
ペイン作品は「世の中なんてつまらないことばかりで、クソみたいなものだ。」という嫌世感がある反面、「そこに日々、何とか生きている人間は素敵だ」という賛歌も感じさせてくれる。そこが「人類は嫌いだけど、人間は好き」というワタシに通じるものがあるのだろう。
ところで、主人公は人類滅亡を心配するのだが、ワタシは人類滅亡の日が来るなら、確率的に20万年分の1日(7300万分の1)に巡り合う自分は相当、運が良いのだろうと考えるようにしている。
題名:ダウンサイズ 原題:DOWN SIZING 監督:アレクザンダー・ペイン 出演:マット・デイモン、クリスティン・ウィグ、クリストフ・ヴァルツ、ホン・チャウ |
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