思い出はいつも…

■思い出はいつも…

思い出はいつも　ここにあるわけじゃない
大事な面影が　かくれんぼをしたり
追いかけていた約束が　飛んでいったり
そうやって思い出は　行ったり来たりする

思い出が不変だなんて　信じてはいない
胸が静かに波打つように
なだらかな坂道を眺めるように
あたりまえの時間の重なりが　新しい色を産み出していく

ゆっくりと過ぎていけば見えていたものが
ときどき姿を隠して　不安にさせる
きれいなコトバは得意だけれど
それじゃ　何も言い表せない

通り過ぎる街並みや　香る季節の不思議を
泣いたり嘆いたりせずに　見送りたい
思い出は　ただそこにあるだけでいい
振り返るのは　今のわたしの仕事じゃない

たぶん…