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東医宝鑑 内景篇(内科)
肝臓
肝臓の形状
肝には二布葉と七小葉があるが、それはちょうど木甲が開いたのと同じ形である。布葉ごとに支絡脈があって、その中の脈が陽和の気を発し、魂の管となる。
肝臓の主管する時・日
肝は春を主管、足蕨陰・小陰を主治するが、その日時は甲乙である。東方から風がおこり、風が木を育て、木は酸を生み、酸は肝を生む、また肝は陰中の小陽となり、春気と通ずる。
肝臓病の治療法
肝が急だと苦痛で、急いで甘を与えて遅れさせてあげねばならぬが、それには甘草が主材で粳米・牛肉・棗(ナツメ)・葵を食べる。肝病に麻・犬肉・李(スモモ)・韭(ニラ)などの酸味を取るのは酸が肝の本味であるからである。肝の弱い人には、四物湯、清肝湯または補肝丸を使い、重いときには寫青丸・洗肝散・当帰竜薈丸を使う。
〔清肝湯〕 肝経が血虚して怒火のある症を治す
(処方) 白芍薬一銭半、川芎・当帰各一銭、柴胡八分、山梔仁・牡丹皮各四分を水で煎じて服用する。
〔補肝丸〕 一名凉肝丸 肝虚を治す
(処方) 即ち四物湯に防風・羌活を加え蜜丸めたもの。
〔寫青丸〕 肝の慢性を治す
(処方)当帰・草竜胆・川芎・梔子(クチナシ)・大黄煨・羌活・防風を各等
分に粉末にして、芡実大に蜜で丸め毎一丸を竹葉湯と糖温水に混ぜて飲む
〔洗肝散〕 肝の慢性を治す
(処方) 羌活・当帰・薄荷・防風・大黄・川芎・梔子炒・甘草灸各一銭を水煎じて草竜胆一銭を加えて使う
〔当帰竜薈丸〕 肝臓の実熱で脇痛が生じたときに使う
(処方) 当帰・草竜胆・山梔子・黄連・黄柏・黄芩各一両、大黄・蘆薈・青黛各五銭、木香二銭半、麝香半銭、をそれぞれ粉末にして小豆大に 蜜で丸め薑湯で
二〇~三〇丸服用する
肝臓の修養法
いつも正月、二月、三月の一日早朝に東に向かって正座し、歯を三回鳴らし、東方の清気を九回飲み込み、九〇回閉気する。
単法(二十一種)
草竜胆 ~ 肝胆の気を補う。煎じて服用する。
空青 ~ 肝胆の気を補う。煎じて服用する。
黄連 ~ 煎じても末でも良い。
細辛 ~ 肝胆を補う。煎じて飲む。
決明子 ~ 肝熱をさます。粉末にして服用する。
車前子 ~ 肝の保健剤、炒って煎じても良く、粉末にしても良い。
薺子(ナズナ) ~ 即ち菥蓂子である。粉末にして服用。嫩根は米とまぜて粥に煮て食べる。
覆盆子 ~ 補肝に効く、生でも粉末でも良い。
青箱子 ~ 鎮肝作用と肝臓の熱を治す。粉末にして服用する。
酸棗仁 ~ 肝気を補い、粉末、煮ても良い。
山茱萸(ヤマグミ)~ 肝を温める。粉末、煮ても良い。
沙蔘(サジン)~ 肝気を養う、煮て服用する。
芍薬 ~ 補肝に良い。粉末か煮て服用する。
青皮 ~ 肝・気を通させる。粉末か煮て服用する。
苦蔘(クジン) ~ 肝胆の気を養う。煮て服用する。
木爪(ボケ) ~ 筋と血の補益剤、煮て服用する。
小麦 ~ 肝の気を養う。煮て服用する。
葱白 ~ 肝の邪気をなくす。煮て飲むか、または汁を取って飲む。
韭(ニラ) ~ 肝気を充足させる。おしたしにして食べると良い。
李(スモモ) ~ 常食すると肝病に良い
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