JUNSKY blog 2015

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【北朝鮮ミサイル危機で見えたもの】 田中 宇

2006-07-10 11:28:52 | 国際関係
私が購読しているメルマガに、田中 宇(たなか さかい)氏の
【田中宇の国際ニュース解説】 が、あるが
その7月7日付けの解説に注目したい。
表題は、【北朝鮮ミサイル危機で見えたもの】 といい、前回このブログで取り上げた、NHKも含むマスコミのヒステリックな論調に比較して、冷静な分析を行っている。

是非、上記リンクから全文をお読み頂きたいのだが、特に注目すべきところだけ抜書きすると(この抜書きも結構な量だが、原文はこの数倍の大論文)
【北朝鮮側(非公式に北朝鮮のスポークスマンをつとめる在日のキム・ミョンチョル朝米平和研究センター所長)が、7月7日に東京の外国特派員協会で行った記者会見で発表したところによると、発射したミサイルは全部で10発だった。ロシア政府も、発射は10発だった可能性があるという見方をしている。 】
★(私のコメント)10発だったということは、この記事を見て初めて知った。

【 長距離ミサイルは、日米との約束の範囲内だが、短距離ミサイルについては、制約がかかっていない。
北朝鮮は、毎年のように短距離ミサイルの発射実験をしており、今年3月にも発射実験を行ったが、アメリカも日本も、あまり問題にしてこなかった。
今回もアメリカ政府は、短距離ミサイルの発射は、北朝鮮による約束違反ではないと表明しており、問題にしているのは失敗したテポドンの発射に絞られている。
 7月5日のニューヨークタイムスの社説は、テポドンを含む今回のミサイル発射実験について「(他国に)直接の脅威を与えていないし、国際条約にも違反していない。
だから、アメリカやその他の国は、この発射実験によって、北朝鮮を軍事攻撃する正当性ができたと考えることはできない」と書いている。】

★日本のマスコミ論調は、スカッドは韓国向け、ノドンは日本向け、テポドンはアメリカ本土向け等と言う、素人的発想を“軍事評論家”にさせて、今回の実験があたかも日本攻撃の怖れの高い軍事脅威であり、迎撃体制を確立するべきだと吹聴しているが、むしろ米国の論調の方が冷静である位である。
 ここに、憲法を改訂し、軍備を公然と持てるようにし、『集団的自衛権』の名による外国での戦闘行為や、外国(北朝鮮)への“防衛的”先制攻撃(額賀防衛庁長官発言)を可能にしようとする勢力の影を見ない訳にはゆかない。

田中氏解説続き
【 北朝鮮がミサイル発射の芝居を本格的に始めたのは、北朝鮮がヒルを招待し、米側が断ってからのことである。
ミサイル発射の懸念が高まった6月21日、国連で北朝鮮の代表が、アメリカとの交渉を希望すると表明している。】

★ 米朝で公式の交渉をしないことは国際公約だろうが、水面下の交渉は継続されているようである。北朝鮮としては、公式招待を拒否されたことに対する威嚇の姿勢ということであろうか?

【 北朝鮮が発射したミサイルは、ロシアのウラジオストクに近い排他的経済水域(200カイリ水域)の中に墜ちたが、北朝鮮がこの方向にミサイルを発射したことにも意味がありそうだ。
ミサイルが発射されたとき、ウラジオストク港には、アメリカの太平洋艦隊の旗艦ブルーリッジが、親善訪問のために寄港し、停泊中だったからである。
 米軍の準機関紙「星条旗新聞」によると、ブルーリッジのウラジオストク入港は4年ぶりで、以前から予定されていた。
北朝鮮のミサイルが発射された7月5日朝(アメリカの時間では7月4日)は、アメリカ独立記念日ということで、1000人の乗組員たちはウラジオストクで観光したり、ロシア側との親善活動をしていた。】

★ ブルーリッジがウラジオストクに入港していたということも、不覚ながらこの解説記事で初めて知った。 

【 金正日が起こしたミサイル騒動が、期せずして暴露したアメリカの秘密は、ほかにもある。
それは「アメリカのミサイル防衛システムは使いものにならない」ということである。
 ミサイル防衛システムは、アメリカに向けて飛んできたミサイルに対し、アメリカ西海岸やアラスカから迎撃ミサイルを当てて空中で破壊する防衛システムで、1980年代から巨額の防衛費をかけて開発され、2004年から配備されていた。
(中略)
 迎撃ミサイル発射装置が正常に作動せず、発射ボタンを押しても発射しないケースが、04年と05年の実験時に相次いだ。
このため国防総省は、発射装置をメーカーに差し戻し、再設計させる予定になっている。
迎撃ミサイルは、命中しない以前に、発射できないのである。
 こんなお粗末な展開になっているのは、本来はあと20回ほどの実験を行ってから配備するはずだったのに、メーカーの軍事産業が、911後に軍事予算の急増が続いている間に前倒しで配備するよう米政府に圧力をかけ、ブッシュ政権は、実験不足のまま2002年に配備を決めてしまったからだった。】

★ ミサイル防衛システムが、撃破できる確率が極めて低いことは、前回述べたが、これを裏付ける資料とともに改めて解説されている。
 田中氏の原文には、裏づけとなる情報へのリンク(各国語)が、そこここに張られているので、関心のある方はクリックして元資料にもあたってみてください。

2006Jul10 JUNSKY

北朝鮮によるミサイル発射事件-2   【連載第1回目から読む】
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フィガロの離婚

2006-07-10 00:05:45 | 観劇レビュー
久々の観劇レビュー

モーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」(ボーマルシェ作)の後日談として、20世紀のオーストリアの作家、エデン・フォン・ホルヴァート(1901-1938)という方が作った、モーツァルトのオペラとは全く別物の演劇。
私の短いコメント
【「フィガロの結婚」(ボーマルシェ)の後日談ということですが、革命で隣国?に亡命する伯爵夫妻と、その従者として逃げ道の案内をする、フィガロとスザンナの若夫婦を軸に、革命の大儀や、伯爵の功罪が織り込まれた展開。
しかし、何を伝えたいかイマイチ解りにくいストーリー。
題名通り、フィガロとスザンナは離婚するのだが、最後は何故かフィガロが革命派政府と交渉し(この裏取引の模様は劇中には出てこない)伯爵が元住んでいた居城の主になり、スザンナを呼び寄せてハッピーエンドという、ある意味革命を馬鹿にしたような話。

私の前の列(10列目)の中央付近に、池辺晋一郎さんが来ていた。
しかし、この演劇の音楽担当ではなかった。
音楽は、川崎 絵都夫という方。
池辺先生には、福岡で行われた歌声祭典でお世話になったので、会釈をすると、先生も会釈を返して頂いたが、こちらが誰かは解らなかっただろう。】

『フィガロの離婚』ホルヴァート34(1935)才の作品。
亡くなった1938年はナチスによって、オーストリアが併合された年。事故死。
『フィガロの離婚』なんでもわかるQ&A 参照

7月17日まで 『紀伊國屋サザンシアター』(新宿駅新南口)にて。

「地人会」 公演

主役のフィガロやその妻スザンナよりも、伯爵の方が目立っていた。
フィガロ:羽場 裕一、スザンナ:古村 比呂、アルマヴィーヴァ伯爵:立川 三貴、伯爵夫人:金沢 碧
演出:鵜山 仁

公式ホームページ より引用。
【演出者より
『フィガロの離婚』。何とも奇妙なタイトルの作品ですが、18世紀フランスの劇作家ボーマルシェの名作、モーツァルトのオペラとして有名な『フィガロの結婚』の「その後」の物語です。作者は二度の世界大戦の間に活躍したオーストリアの劇作家ホルヴァート。
伯爵家の召使夫婦であるフィガロ(羽場裕一)とその妻スザンナ(古村比呂)が「革命」の後、伯爵夫妻(立川三貴・金沢碧)とともに国外に亡命。そこで初めて伯爵に依存する生活から抜け出して、革命前には想像もしなかった現実生活の困難に直面することになります。時あたかも自由・平等・博愛の新時代、といえば聞こえはいいが、まかり間違えば心の潤いよりも鐘が大きな口をきく世の中。フィガロもスザンナも「自由」を手に入れたと思ったとたん、実は自分たちも、やはり古い社会の庇護の下にいたことに気づかされます。「革命」によって華々しくふたを開けた新しい時代の始まりは、実はフィガロ夫婦の受難の幕開けでもあったわけです。
「変革」とは、世界や時代の大変動、なんて大げさなものである以前に、むしろ人の心の小さな変化から始まって、それがやがて身近な人に伝わり、一人一人が、自分の足で一歩一歩を踏みしめ、傷つきながらヨチヨチと、やっとどうにか前に進んでいくものではないか、そんな作者のつぶやきがきこえてくるような気がします。
演出者 鵜山 仁】

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