さて、どうしても見たくて日比谷まで出向いて行きました。
とっても不思議で恐ろしい映画でした。
以下ネタばれになるので、知りたくないかたは気をつけてくださいませ。
ストーリーはこう。
なんだかわからないけどある施設に入れられている子供たち。
施設内では普通に暮らしているようです。
ただ、外部との交流はいっさいなし。
施設の外にでると恐ろしいことが起こると言いくるめられているようです。
後半になるにつれてわかってくるのですいが、たぶん親がいないかもしくは親を知らない彼らの将来はすでにきまっていて、それはドナーになること。そのためだけに育てられているのです。
彼らの親は犯罪者だとかジャンキーなどというどうしょうもない者ばかりらしいのですが、よくわからないのが彼らはいったい何処から来たのかって事なんです。
最初にDNDの話が少し出てくるのですが、犯罪者のDNDを使って、彼らをドナーにするために遺伝子操作などして作ったのか、または親が犯罪者というDNDを持っているから、その子供達を育てる代償として将来はドナーとして役立てようということだったのか。
たぶんドナーとして臓器提供するからには金銭が裏では関わっていたと思います。
おやのいない子達を育てる施設を運営するのだからお金はかかりますもんね。
たしか子供達の書いた絵をギャラリーに出すなんていっていたから、ここでもきっとお金は動いてるんだろうなあ。
そうして育てられた子供達は、2回、3回と生きながらにして臓器提供をして若くして死んでいくのです。
そして、その運命を彼らは知っていて受け止めているの。
そんな中、ひとりの女の子キャシーが同じ施設の男の子トミーを好きになり、両思いだと思われたのですがキャシーと仲良しだった別の女の子ルースと結ばれてしまいます。
微妙な三角関係はいづれ施設を出ることで破綻するのですが、数年後介護士となったキャシーはすでにドナーとなり臓器提供で弱っているルースと再会します。
そして、ルースのおかげでトミーとも出会うことができましたが、彼も臓器提供が始まっていました。
そんななか「本当に愛し合っているカップルはドナーとなることを3、4年ではあるけれども猶予される」という噂を思い出した彼らは、運命を変えようと動き始めたのですが・・・。
このあたりは、もうかなり映画の後半で、ここまでかなり重い映画にも関わらず淡々と進んでいきます。
ラスト間近の彼の叫びには涙せずにはいられませんでした。
これが実際にあった出来事とは思いませんけど、もしかして・・・なんて考えるととても恐ろしい映画です。
実際臓器売買なんてこともあるんだから・・・。
映画の中で自分達のことをブロイラーにたとえるシーン、なんて残酷なんだろう。
そしてラストでキャシーが、ドナーとなって(この映画の場合普通のドナーと違いますから)提供する側と、提供される側に何の違いがあるんだろうとつぶやくシーン・・・。痛ましすぎる。
そんな彼女にもまもなく1回目の提供がはじまるのです。
彼らははとても強いのか、何もかもを諦めているのか、どちらにせよもう、すごい、としか言えません。あんなにも恐ろしい運命を受け入れられるなんて。
タイトルの『私を離さないで』が、どうにもふさわしくないと思ってしまったのは私の読みが浅いのでしょうねえ。
☆☆☆☆で。
追記
アップした後にこの映画の公式サイトを見たのですが(先に見なさいよ)、サブタイトル?キャッチコピー?に
「この命は誰かのために、この心はわたしのために」とあったのをみて、ああそうか、と。
私を離さないでって言うのは、たぶん愛した彼に、先立ってしまう彼に向けての言葉っていうのもあるのでしょうけど、「わたしの身体をを私の心から離さないで」って言う意味なんじゃないかって、お布団のなかで思ったのですが、さてどうでしょうか?